ライトノベル作法研究所
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  4. ラノベ新人賞の疑問に現役下読みが回答公開日:2014/04/01

ラノベ新人賞の疑問に現役下読みが回答。その13

柘榴さんの質問2014/03/31

 こんばんは。始めまして。柘榴と申します。
 創作で詰まったので、ご相談させて頂きます。

 今現在、ミステリー物でかつ、ファンタジーが混じったような、いわゆる怪事件的な物を解く話を考えようとしております。
 ですが、何処までファンタジーな要素を取り入れたらいいのかわからなくなってます。
 ファンタジー要素があると、論理的なミステリーのストーリーがご都合主義臭くなってしまうんです。

 例えば、不思議な力で事件を解決してしまうとか、そういうのは、だめなのでしょうか?一気にご都合主義臭くなりそうな気がします。
 大雑把な質問で申し訳ありません。

 物語がざっくりとしか出来てないのです。
 主人公が守護霊的な存在から力を借りて、怪事件を解決する話を書きたいと考えてます。
 現実的なトリックと、ファンタジー要素が噛み合わなくて困ってます。

 アドバイスよろしくお願いします。

ジジさんの回答2014/03/31

 ファンタジーとミステリ、相性としては最悪です。
 柘榴さんがおっしゃるとおり、ほとんどのトリックが魔法で片付いてしまうからです。

 ただ、それを逆手に取るという手法があります。

 たとえば現存する魔法、思いつく限りすべてが使えない状況(ここで重要なのは魔法無効空間などという便利空間を設定してはならないということです)の密室で殺人事件が起こる。
 それを追う魔法使いたち。しかし魔法がなければ成立しないだろう事件なのに、肝心の魔法のなにがどう関与しているのかわからない――。

 このような「条件」を提示し、その上でキャラたちに四苦八苦させ、そしてその結果が「科学(別に科学でなくとも大丈夫です。魔法が当たり前の世界において誰も思いつかないような(そして我々のような現代人なら理解ができる)ものならなんでもありです)」をある魔法で起動させた結果、オチがつく。というような構成はありかと。

 これは単純な手法ですので、もっとひねった構成にできるならするべきです。

 ただ、どのような手を使うにしても、「その世界観で生きているキャラが普通には思いつかない角度からしかけられたトリック」が使われていて、それを「キャラクターたちが得意な技や術で解決する」ことが重要です。

 ファンタジーならやはり肝は魔法かと思いますので、魔法をどのように使って科学的トリックを実現するかを考えてみるとよいかと思います。

サイラスさんの質問2014/03/31

 お疲れ様です。返答有難うございます。

> 応募作品において、登場して最初にセリフ・アクション・思考・嗜好等で説明と描写がされたヒロイン像をまず見ます。
> この段階で「生きている」か「テンプレ当てはめ」かを判断し、次に物語中で作者(物語)の都合でその像がブレていないかを見ていきます。

 ここでの「生きている」「テンプレ当てはめ」というのは、
「生きている」→設定がつながっているキャラクター
「テンプレ当てはめ」→設定の羅列のようなキャラクター
 という意味でしょうか?

> たとえば「暴虐で人のことなどまったく興味がない」という人格設定のヒロインがいたとして、なんのきっかけエピソードも心情エピソードの積み重ねもないのに、ストーリーのつじつまを合わせるために突然主人公や他のキャラに協力し、助けたりする。

 なぜ、このようなことが起こったりするのですか?
 やはり、作者が自分をよく見せたい、あるいは、表現したいことが多いため、無理やり、イベント(この場合、設定上合わない人助けをしてしまう)を突っ込んでしまうということでしょうか?

> 成長や二面性という設定が適切にエピソード化されていれば問題ありません。
> ただ、設定を増やすことで煩雑になってしまう、うまく表現ができない等の事情がある場合は、無理をせずに設定を絞るべきでしょうね。

 そうなると、実は、ラノベ作家にとっては、自分の表現したいことを、取捨選択できる能力が重要なようにも感じますね。

ジジさんの回答2014/03/31

 生きている=作者の設定した「性格」をそのキャラが設定に沿って「魅力的に」描けている
 当てはめ=ツンデレならツンデレという、極々単純な萌えをなんのひねりもなく使っている

 になります。

>  なぜ、このようなことが起こったりするのですか?
>  やはり、作者が自分をよく見せたい、あるいは、表現したいことが多いため、無理やり、イベント(この場合、設定上合わない人助けをしてしまう)突っ込んでしまうということでしょうか?

 大抵の場合、作者が自分の考えたストーリーを決めたとおりになぞろうとすることで起こります。

>  そうなると、実は、ラノベ作家にとっては、自分の表現したいことを、取捨選択できる能力が重要なようにも感じますね。

 応募者の方の場合は、自分が書きたいものを形として見定めることに加え、規定枚数の中でなにがどのくらいできるのかを計測できないと辛いですね。

サイラスさんの質問2014/04/01

 こんばんは、サイラスです。質問に答えていただきありがとうございます。

> 大抵の場合、作者が自分の考えたストーリーを決めたとおりになぞろうとすることで起こります。

 お恥ずかしいながら、覚えがあります。自分がこういうストーリーで書きたいと考えるあまり、キャラの設定や立ち位置が定まらず、つまらない作品を量産していた過去があります。
 ここから、作者のこういう風に書きたいという衝動で書くのは、アマチュアで、それをどうやったら読者に受け入れるか考えるのがプロということを学びました。
 ただ、当時は、その原因が設定やキャラだと考えていたのですが、本当は、ストーリーだったと、改めて思い知りました。

ジジさんの回答2014/03/31

>  お恥ずかしいながら、覚えがあります。

 物語を書く人間なら、天才以外はかならず通る道かと思います。
 他の方へ、私は「クリエイター」ではなく「クラフトマン」ということを返信させていただいたのですが、クラフトマンはたとえフリーランスであっても複数人のチームで仕事をしますので、早めにそれに気づけたのかなとも思いますが。

 ただ、作者の都合という問題については、設定やキャラの出来がいいことで引き起こされてしまうこともあります。
 知らず知らずのうちに、作者が設定やキャラに合わせてストーリーをねじ曲げてしまうのです。

 ラノベは設定とキャラ命! と私は大きな声で繰り返しているのですが、小説というメディアは文字によるストーリーなくして成り立たないものです。
 魅力的な設定、魅力的なキャラを生かす魅力的なストーリーについて、プロット段階で考えていただけると結果に繋がるかと。

二言三言さんの質問2014/03/31

 未完扱いについての質問をいくつかさせてください。

 ヒロインの一人が呪いをかけられているのですが、小説を書いている最中、その呪いを解く方法を思いつきました。
 しかし、呪いを解くことは本筋と関係ないのと長いエピソードが必要になるので、本編で書くことができません。
 呪いの効果は本編に絡んできますが、呪いを解くことは本編には絡みません。

 結果、ラストで主人公がそれに気づいて、呪いを解くことをほのめかして終わるのですが、これも未完扱いになるのでしょうか?
 ほのめかした時点で、完結したと思っているのですが、審査ではどういう扱いになるのでしょうか?

 これは別のケースですが、主人公の視点のみで書いているので、主人公がいないシーンは謎です。
 ヒロインが敵との交渉を成立させてしまうエピソードがあるのですが、どうやっても釣り合わない交渉なので、交渉を成立させた方法が謎のまま残ります。このシーンで書きたいことは交渉した事実そのもので、成立過程は二の次です。補足として、ヒロインの特殊能力を使って、脅迫したんだろうと主人公は考えます。
 こういうのも謎を残したということで、未完扱いになるのでしょうか?
 それとも説明も描写もしてないから減点ということになるのでしょか?

 もし減点対象なら、ヒロインにどういう方法で解決したのか嘘をつかせて、その場をまとめようと思います。
 何か良い嘘を思いつけばの話ですが。

 あと2つあるのですが、

 大きな敵がいて、その最初のボスを倒して終わりという直列的なつながりではなく、この世界にはいろんな物語が細切れにあって、これはそのひとつですという並列的な感じがある場合、未完とみなされるのでしょうか? さまざまな問題を抱えた登場人物がいる場合、そのすべてを解決するわけにはいかないという感じです。その登場人物の問題が事件の解決につながるという使い方がされていて、問題は解決はされません。

 最後に、例えば、魔王を倒したが、その代償として、ヒロインが深い眠りについてしまったなど、ヒロインを救おうと主人公たちが新たに動き出すシーンで終わるというのはどういう評価になるのでしょうか?

 これで物語は終わったという感じが線引きの基準になるのでしょうか?
 いくつも質問があり、申し訳ありませんが、未完判定の線引きについて、回答していただけたらと思います。

ジジさんの回答2014/03/31

> 結果、ラストで主人公がそれに気づいて、呪いを解くことをほのめかして終わるのですが、これも未完扱いになるのでしょうか?
> ほのめかした時点で、完結したと思っているのですが、審査ではどういう扱いになるのでしょうか?

 内容がわからないので正しいお返事になっていない可能性はありますが……
 仄めかす程度なら大丈夫です。

 個人的には「おまえの呪いを解く方法、これからいっしょに探していこう」でいいとは思いますが。
 物語の必然性の中でその呪いが解ける意義がないのであれば、それを解く方法は「蛇足」になる恐れがありますので。

> これは別のケースですが、主人公の視点のみで書いているので、主人公がいないシーンは謎です。

 なんの説明も描写もなければ、ほぼ確実に「構成」でマイナス評価がつきますね。
 ですので作品が一人称で書かれていて、且つ主人公がいない状況なら、「視点主をそこだけヒロインに変えて描写する」か「そこだけ三人称にする」、「事を終えてきたヒロインが主人公に説明する(そのシーンをヒロイン視点や三人称描写、もしくは主人公が聞いた話を自分の言葉で語る)」などで処理すればよいかと。

> この世界にはいろんな物語が細切れにあって、これはそのひとつですという並列的な感じがある場合、未完とみなされるのでしょうか?

 見なされません。が、それほど複雑な設定を、不足なく応募作という枚数規定の中で再現できるのかは疑問があります。
 今思いつくのは、主人公がゲームのサブイベントを選ぶように事件を選んで解決していく。その結果が大きな世界に微少な変化を与えていく……などの展開でしょうか。

 既存のものでない世界設定は、説明するためにはかなりの文量を必要とします。できる限りシンプルにまとめるのが無難です。

> 最後に、例えば、魔王を倒したが、その代償として、ヒロインが深い眠りについてしまったなど、ヒロインを救おうと主人公たちが新たに動き出すシーンで終わるというのはどういう評価になるのでしょうか?

 規定としての問題ではなく、その展開でカタルシスが得られるのかは疑問ですね。読後感の悪いものはマイナス評価がつきやすいです。プラス方向でもマイナス方向でもいいので、後を引きすぎない完結を目ざすほうがよいかと思います。

ユキさんの質問2014/04/01

 こんにちは。
 以前にも相談に乗っていただき、悩みが解決したばかりか考え方を変えられました。ありがとうございます。
 今回も、ふたつほど質問をさせてください。

1・地の文について
 『狼男さんのアドバイス』のところで、

>「若い読者を集めて話を聞いたら『いまのライトノベルは地の文章が五行を超えてはいけない』なんて言ってましたよ。信じられないでしょ?」
>注・これはアドバイスではなく、ただの世間話。ただし「これが読者の求めるものなのか」という参考資料として。

 という、あくまでも『世間話』のことがありましたが、
 下読みさんとしては、地の文の量は考慮しますか?
というのも、わたしは風景描写や状況描写を入れてしまう癖があり、しかも今書いている話の主人公は無口タイプなので、台詞で説明させるのにも限界があり、悩んでいます。

2・最近、主人公のタイプで多いのはどういったものですか?
 先ほどの質問でも触れたのですが、今書いている話の主人公は、無口タイプ……というか、気まぐれな面倒臭がり屋です。
 いわゆる『巻きこまれ型』で始まりますが、芯ではきちんと目標を持って行動するタイプです。
 そこで思ったのですが、近年の応募作品の主人公はどのようなタイプが多いのでしょうか?
 『実は最強な主人公』、『ヒロイン主導の巻きこまれ体質』、『自分で首をつっこんでいく熱血漢』……複合型もあるとは思いますが、ジジさんの印象をお聞かせください。

 お忙しい中、読んでいただきありがとうございます。

ジジさんの回答2014/03/31

> 結果、ラストで主人公がそれに気づいて、呪いを解くことをほのめかして終わるのですが、これも未完扱いになるのでしょうか?
> ほのめかした時点で、完結したと思っているのですが、審査ではどういう扱いになるのでしょうか?

 必要以上に多くなければ特に気にしません。
 ただ、中高生読者は地の文、中でも説明文をあまり好まない傾向があるのは確かです。

 ですので地の文により描写も説明も、セリフに振り替えられるところはセリフに。なくても成立するものは思いきって削ってみる、というほうがよいかとは思います。

> 2・最近、主人公のタイプで多いのはどういったものですか?

 熱血タイプはまだ復権ならずですね。
 巻き込まれ型はやはり多いです。その中でやれやれタイプ、口ではめんどくさいと言いつつ実はマジメタイプはそこそこ、という感じでしょうか。

 個人的には『実は最強な主人公』はおすすめできません。
 がんばってシチュエーションを工夫しても、強敵(もしくは難関)出現→主人公ピンチ→主人公覚醒のワンパターンになってしまい、話をおもしろくしづらいですので。

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