ライトノベル作法研究所
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  4. ラノベ新人賞の疑問に現役下読みが回答公開日:2014/04/01

ラノベ新人賞の疑問に現役下読みが回答。その8

風月さんの質問2014/03/28

 風月と申します。よろしくお願いします。
 選評でわたしの作品が、ひとつの完成の域にある作品だと評されながらも、コンセプトや語り口全般にライトノベルの流行を逃していると烙印を押され、一次を通過できませんでした。
 そしてその対策として最新のライトノベルの研究を勧められました。
 それでいいのでしょうか?

 今の流行を追って作品を仕上げたとしても、選考が終わるころには一年近くが経過しています。その時点で流行が流行でなく、今感のない古い作品になる可能性が高いと思っています。

 ですのでわたしの考えでは、現時点での流行を追った作品を仕上げるのではなく、半歩先をリードした作品を目指すべきではないのか、ということです。

 もっともそれが分かれば誰も苦労はしないと思いますし、一番難しいことだとも理解しています。
 そしておそらく編集部は、その考えで大賞受賞作を決めているからこそ、読みを誤って、その結果、大賞受賞作が思った以上に売れなかった、という現象が起きているのではないかとも考えます。

 そのようなリスクがあるとはいえ、やはり大賞を狙うには今の流行を追った作品を仕上げるのではなく、これからの流行を作っていくことのできる作品を追い求めていくべきでしょうか?

 それともこの考えは、流行の先を読み違える可能性が高いことから避けて、ライトノベルの王道を違う切り口から書くべきでしょうか?

 長々となりましたが、よろしくお願いします。

ジジさんの回答2014/03/28

 その応募作の内容がわからないのではっきりとは言えませんが、選評と結果を見るに、大分前に流行したジャンル・人気作と酷似していた、テーマがSFや時代物、文章やセリフまわりが全体的に「固い」、などの理由が考えられますね。

> そしてその対策として最新のライトノベルの研究を勧められました。
> それでいいのでしょうか?

 研究はぜひしてください。
 別に分析する必要はありません。今なにが売れているか、どのようなジャンルがうけるのか、読者が求める読みやすさとはなんなのか、手当たり次第ではなく自分が書きたいジャンルのものにあたりをつけ、受賞作とともに最近の人気作を読めば大丈夫です。

 今感というものはネタそのものである必然性はありません。
 だとすれば、作品の軸となる設定がたとえ「古い」ものだとしても、最近の傾向を踏まえてさえいればそれは「オリジナリティ」に変わる可能性が高くなるわけです。

> そのようなリスクがあるとはいえ、やはり大賞を狙うには今の流行を追った作品を仕上げるのではなく、これからの流行を作っていくことのできる作品を追い求めていくべきでしょうか?

 これに関しても、やはり「今」を知らなければ成し得ないものです。

>ライトノベルの王道を違う切り口から書くべきでしょうか?

 「今」を知り、それを踏まえたうえで「古い」テーマをアレンジすると考えてみてはいかがでしょう? うまくはまれば時代を切り拓けます。
 不明点、疑問等ありましたらまたご質問ください。

saxさんの質問2014/03/28

 続編が作りやすい作品は優遇されますか?

ジジさんの回答2014/03/28

 優遇されません。
 一作できちんと完結させてください。
 主人公さえ生きていればなんとでもなりますので、続編のことは受賞した後に考えましょう。

saxさんの質問2014/03/28

 回答どうもです!
 ではミステリーはどう思いますか? 一話完結だど続編が期待できないですし、続編を想定すると一話完結ではなくなります。

ジジさんの回答2014/03/28

 ミステリーは「ひとつの事件が解決する=その物語は完結」になりますので、一話完結からの続編はやりやすいかと思われます。これはシャーロック・ホームズを始めとする推理物を思い浮かべていただければわかりやすいですね。

風月さんの質問2014/03/28

 風月です。

> 文章やセリフまわりが全体的に「固い」、などの理由が考えられますね。

 具体的に、ライトノベルにおける固くない文章やセリフとはどのようなものでしょうか?

ジジさんの回答2014/03/28

 これは書き手それぞれの持ち味があることですので、あくまでも一例にすぎませんが、

 一人称ならとにかく文語調にしないこと(たとえば中学生男子に「~しているんだからな」などという、今時ありえない文語調セリフをしゃべらせない等)。

 三人称でも1/3くらいは一人称を混ぜて書くくらいの気持ちで、「~である」などの論文調をなるべく使わないこと。主人公の感情描写などでは、普通の描写文にセリフ調の文章をくっつけてもいいですね(たとえば、【○○は●●だと思った。なんだよこれ、わけわかんない。】のような感じで)。

 文章の固さは「文章」を書くことで生じることが多いです。そのようなときは、地の文章もある程度「セリフ化」してみるとよいかと思います。

G3さんの質問2014/03/28

 ラノベのレーベルへの応募を検討しているのですが、萌えやラッキースケベは必要でしょうか
 ちなみにギャグは得意な方だと思います。

ジジさんの回答2014/03/28

 ラッキースケベは必要ありません。
 そこに文量を割くなら、ご自身が考える魅力的なヒロイン、そして主人公とヒロインの関係性を深める恋愛フラグ(もちろん恋愛でなくともかまいませんが、読者は基本的に主人公とヒロインの恋愛が見たいものです)のエピソードを作ってください。

 萌えはこういうものだ、と言えないものですし、明日いきなり妙な場所で誕生してしまう可能性もあるふわっとした「匂い」のようなものですが、ヒロインが魅力的に描けていれば、かならずそこに萌えが匂い、需要が生まれます。
 ただ、読者が好む傾向というものは確実に存在しますので、それを踏まえた上でそれを踏襲するのか隙間を狙うのかを考えるべきかとは思います。

 あと、これは参考になるかわかりませんが、手元に見当たらないのでうろ覚えですが、10年ほど前に出版された『このラノ』のキャラクターブック(そんな感じのタイトルの別冊でした)で、「萌えのパターンは全部で3つ。ひとつめは単一の属性に特化した萌え、ふたつめは互いに引き立て合う属性を掛け合わせた反対色的な萌え、三つめはギャップ萌え。今すでに主な萌えはだれかに抑えられているので、これから書くには隙間狙いしかない」というようなコラムがあり、非常に感銘を受けたものです。

> ちなみにギャグは得意な方だと思います

 ここを生かし、リズミカルでテンポのいい会話劇を多めにしていくのはありだと思います。

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