聞きたかったのは、そもそもジジさんたちはなぜ主人公と幽霊を恋愛させてはいけないと考えているのか、ということです。
ヒロインであれば幽霊だろうとなんだろうとまず恋愛に絡めるものではないかと思うのですが。
いずれ成仏してしまう、という感じがあるからでしょうか。
以前述べたことですが、読者は基本的に主人公とヒロインの恋愛に期待しています。そしてもう一歩踏み込めば、その恋愛の成就をこそ望むものです。
第一に、人間と幽霊ではそれが成し得ません。
第二に、人間と幽霊が結ばれるためのパターンは大まかなものが出尽くしています。
第三に、人間と幽霊が結ばれ得ないパターンもまた、大まかなものは出尽くしています。
以上の理由から、読者の期待を満たし、且つ超えられるだけのドラマを幽霊もので作るのは非常に困難であるとの見解から、幽霊との恋愛ものはおすすめできないということになります。
二度目の質問、失礼します。
質問1.目的のページ内で物語を終わらせるコツとは?
私は100ページで終わるようにプロットをつくったとしても、絶対130ページくらいになってしまいます。何に気をつければ良いのか、教えてくれたら嬉しいです。
質問2.ジジさんの物語構成方法
プロの文章屋さんがどのような構成方法で物語をつくっているのか、興味があります。今後の参考にしたいのでぜひ教えていただきたいです。
よろしくお願いします。
> 質問1.目的のページ内で物語を終わらせるコツとは?
100作ほど書いて感覚をつかむのがひとつ。
それまではプロットを5ページほどの単位で細かく作り重ね、そのとおりに書いていく。それでもはみ出すなら、そのはみだす原因となった箇所をプロットと見比べて、細かく削って調整する。
慣れるまでは設計図を細かくしていくしかありません。
> 質問2.ジジさんの物語構成方法
参考になるかわかりませんが、長い物語でも短い物語でも、文量の調整において重要なのは「その長さの物語にいくつエピソードが入るのか?」の見極めです。
感覚としては、6000字ほどの短いものなら大事件ひとつに人間関係をからめたらいっぱいになりますし、100000字クラスのものなら連動する大事件を3から4、そこに3000字程度でまとめられる人間関係と設定を基にした説明エピソードを、重要度に合わせて適時投入……長くなればなるほど計算は複雑になりますが、流れとしてのプロットを作ればあとはそれを崩さず、必要に応じて膨らませたり削ったりしながら調整します。
と、このあたりはみなさんとそれほど変わらないはずです。
異なる点があるとすれば、一定以上の経験値があるため、行程や思考過程のマニュアル化がされており、発想や見極めがそれなりに速いということになるでしょう。
ちなみにこれはプロになり、経験値が上がれば誰でも速くなります。
はじめまして、長智と申します。
創作の参考にするなどではなく、興味からの質問ですが…。
ジジさんは長く下読みをしておられるということで、自分が通した作品が賞を取った(いいところまで行った)ということもあるかと思います。
そんなとき思うのは『あの作品ならそうだよな』という納得なのか『あの作品が!?』という驚きだったのか。
答えにくい質問かもですが、よろしくお願いします。
下読みは編集部からの「こういうジャンルは受けないのでちょっと控えてほしい」等の要請がない場合、とにかく「おもしろいもの」を上げます。
そしてなんらかの要請があった場合でも、それを踏まえつつ「おもしろいもの」を上げるのです。
ですので、自分が上げた作品が賞を取ることに驚きはありません。
ただ、期待値は高いけれどもきっと賞は取れないだろうなと思う作品を上げる場合はあります(もちろんそのことはきちんと申し送りします)。これは評価シートを受け取ってもらい、来年の糧にしてほしいという思いがあるからですね。
が、その作品が特別賞などの賞を取ることがあります。
私以外の下読みやそれを受け取った編集者が、私と同じようにその作品の可能性を評価した結果、そのようなことが起こるわけですが、その場合は「そうなったか」と思ったりします。
お疲れ様です。遅ればせながら、私からも少し。
7月に来て頂けるとのことでしたから楽しみにお待ちしていたのですが、今回は質問は控えて他の方とのやりとりを興味深く拝見していました。いろいろとヒントが拾えて有りがたかったのですが、今回、個人的に印象に残ったのは、受賞作使い捨ての件(言葉が悪くて申し訳ありませんが、端的に言えばです。私もかねがね思っていたことなので。また、使い捨てにするのがレーベル側の正しい姿勢でしょうし、応募者側はそういう状況からチャンスをつかみとるくらいの気概が必要だと考えています)と、幽霊ヒロインについてでした。
で。
前者はさておくとして、後者について。
質問された方への評価シートに、「主人公との恋に期待が持てない感がある」と書かれていたとか。ちょっと、はっとしました。
私なりの解釈ですが、
① 常識的には、人間と幽霊の恋は成就しがたい。
② そこを工夫して成就させる展開は作り得るが、ありがちなネタなのですでに工夫されつくしていて新味を出すのが難しい。
ということですね?
②についてはいかにもそうだろうと思うのですが、はっとしたのは①の方です。エンタメ・ストーリーは「読者の予想を裏切り、期待は裏切らない」のが鉄則だとよく言われますが、その期待感の方。ヒロインが登場すれば、読者は主人公との「恋の成就」を期待するものなんだな、と。
単純と言えば単純な発想ですが、設定に凝るとそこを軽視してしまうことがあります。ストーリーを練っているとどうしても作者都合で考えを進めてしまうので、読者は何を期待するのかということを考え落としてしまうんですね。
というわけで、①②の考え方で合っているかどうか、お考えをお聞きしたいと思いました。
なぜ、こんな質問をするかと言うと。
そのありがちという幽霊ヒロインもの。案外まだ使えるんじゃないかと思ったんです。先人が開拓したアイデアが今やありがちなら、さらに捻ればいいわけでしょうが、具体的にどういう部分がありがちなのか分かっていれば作戦が立てやすいのではないかと。
そこで、上の①②が正しいかどうかでもいいですし、どういう所がありがちで何が問題なのかという、もっと詳しいお考えがあれば教えていただけないかと。
よろしくお願いいたします。
ご提示いただいた1と2に加え、
3.幽霊との恋愛が成就しない展開もまた出尽くしていて、工夫が困難である
を加えて考えていただけるとよいかと思います。
また、なにが「ありがち」かと言えば、「幽霊ものは大概が恋愛もの」であるという点ですね。
言い換えれば、恋愛要素がスパイスではなく、恋愛の成就こそが物語の軸――メイン素材になっているものが多い。
人間と幽霊の恋愛という困難な問題を取り上げるからこそ起こってしまうありがちさなのですが、だからといって恋愛以外のものにはし難い理由があるのです。
それは幽霊もので叙情性以外のものを追求しようとすれば、コメディかホラーにしか成り得ないからです。ネタそのものの発展性が狭く、幽霊という存在のもつ個性が固まりすぎていて動かしづらいとも言えますね。
……まずはこのような感じで。
足りない部分が多々あるかと思いますので、その点は再質問してください。
こんばんわ、ティアラミスですわ。
>これは結果論ということになりますが、すべての新人賞で編集部が確実に得られる財産とは「受賞作」のみなのです。
>なぜならその作品からは作者の内面や個性、才覚は透かし見えず、たとえその作者が去年は一次落ちしていたとしても、1年経って成長したのか、はたまた今回だけまぐれで書けたのかの判別もつかないからです。
>そうなれば、確実な物として残るのはまさにその「受賞作」のみということになるわけです。
こう見ると、受賞というのは、編集部には、ある種の宝石の原石を渡されるような感じですわね。それが、良質なのかそうでないのか、そんな感じがしましたわ。
>受賞作のシリーズに続く2シリーズめをその作家が書けるかどうか……それどころか2巻を書けるかどうか。書けるとしても年に何冊かけるのか。編集部が締め切りを定めて出版枠を確保できるほどその作家にファンがつくのか。
>新人作家にはそれらの編集部の不安を退けられる「実績」がありませんので、結局は受賞作の出来映えに賭けて、やらせてみるしかないわけです(なろうなどの投稿者が今、出版でもてはやされているのは、実力の安定ラインを見極められるうえに書かせる労なくシリーズ化できるだけの作品ストックがあるから、というのが大きいですし)。
なるほど。
ただ、それは、出版社や編集部の見る目が堕ちているような気も……それなら、各出版社新人賞を廃して、こういうサイトを自社で持って、そこに投稿される作品からデビューさせたほうが、編集する側は楽なよう気がしますが、どうなんでしょうか?
> こう見ると、受賞というのは、編集部には、ある種の宝石の原石を渡されるような感じですわね。それが、良質なのかそうでないのか、そんな感じがしましたわ。
原石というか、石の塊を手に取るようなものかと思います。
その中に作家を続けられるだけの才能という金が混じっているのかただただ石が詰まっているだけなのか……「今年の賞に応募してもらった作品」という石の表面だけを見て判断するわけですから、目利きがどうのという問題ですらない部分が強いですね。
> ただ、それは、出版社や編集部の見る目が堕ちているような気も……それなら、各出版社新人賞を廃して、こういうサイトを自社で持って、そこに投稿される作品からデビューさせたほうが、編集する側は楽なよう気がしますが、どうなんでしょうか?
どのレーベルでも、生え抜きの看板作家を育てたいものです。
生え抜きの作家とは人間関係が一から作れるので安心していろいろやり取りできますし、人間関係が作れていないと壮絶に揉めてネットでイヤな話をばらまかれたりしますし、いろいろとお金も儲けやすいです。
ただ、E★エブリスタのような小説投稿サイトが現在、さまざまなレーベルの新人賞と直結していますので、ティアラミスさんがおっしゃられたような「楽」をするシステムが業界内に構築されつつあることも確かですね。
まあ、楽をしたいというより、書店における自レーベルの棚を確保し続けるための新作の確保を確実にしたい、新人賞というものに対する応募者の方の心理的ハードルを下げ、応募数を上げたい、という思惑が大きいかとは思いますが。