チェーホフの銃対策の返信
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チェーホフの銃対策(元記事)
近未来を描いた小説を友人に見せたところ、「分かりにくい」とのことで、より詳しく話し合ってみると、どうやら以下のような原因があると考えられました。
どうでもいいことに関する謎がよく出てきて、本筋に集中できない。──(1)
理想的には、読者が小説に対して特定の種類の謎/空白を抱き、それを解決するための説明に伴いまた空白が生まれ…という流れに伴って話が進行する(その際、伏線やモチーフが多すぎると混乱の元になるので、少ない方が良い)ものだと理解しています。
自分の書いた小説では、まず近未来に特有の価値観の違いや設定(たとえば、未来ならキラキラネームが多いだろうという考えに基づいたネーミング)の方がより目立ってしまい、本筋の内容へ注意が向きにくくなってしまっているのだと感じました。
未来でも異世界でも、この世界と異なる場所であることから来る何かしらの違いは幾つもあって然るべきだとは思うのですが、そのうち1, 2つだけを利用して作品を作るとなると、それ以外の物事への説明(それが面白くなるためには、複数の登場人物による複数の視点から物事を語らなければならないと自分は考えていますが)を削るか、説明が完結するまで脇道に逸れなければならず、いずれも読者に対して少なからぬ「追加の要素」を与えてしまい、モチーフがぼやけたり、どれが伏線なのかが分かりにくくなったりして、読者の「注意の向きが逸れて」しまいます。
また、特に人物の心情に関しては説明をしすぎると演技臭くなってしまったりするという問題もあり、そうした演技臭くなさと「注意の向きの固定」が特に難しいとおもいました。
これらはどのように解決すれば良いでしょうか?
チェーホフの銃対策の返信
投稿者 あまくさ 投稿日時: : 0
>これらはどのように解決すれば良いでしょうか?
ポイントを抽出し、(読者に)全体を想像させるテクニックに目を向けてください。
* * *
以下、説明します。
>未来でも異世界でも、この世界と異なる場所であることから来る何かしらの違いは幾つもあって然るべきだとは思うのですが、
ここからはじまる段落を読み直してみてください。文章が少し混乱していることに気がつくでしょうか? (添削するようですみません)
>未来でも異世界でも、この世界と異なる場所であることから来る何かしらの違いは幾つもあって然るべきだとは思うのですが、
これは、その通りだと思うんですね。
>そのうち1, 2つだけを利用して作品を作るとなると、
多数ある事象のうちから1~2の事象を抽出する、ということですね。
ここまでは良いのですが、続く文章は、( )を使ったために分かりにくくなっているので、分けてみます。
1)それ以外の物事への説明を削るか、
2)(それが面白くなるためには、複数の登場人物による複数の視点から物事を語らなければならないと自分は考えていますが)
3)説明が完結するまで脇道に逸れなければならず、
こうなりますが、まず、2の考え方を見なおす必要があると思います。
例えば主人公が未来なり異世界なりのある街を歩いているシーンを想像してみてください。
描写しなければならないポイントは色々あるでしょうが、特にそのシーンが作品の序盤である場合は、住人の姿や、街の情景、その世界はどの程度まで技術が進んでいるかなど伝えなければならないことは多いと思いがちです。また、冒頭だったら、主人公自身の特徴も少しは書かなければならないし、同行者がいるかもしれない、などなど……。
小説ではなくアニメだったら、それらを視覚的な情報として短時間で伝えることが可能ですが、小説は文章で表現しなければならないので1シーンに上記のすべてを詰め込むのは無理があります。
そこで、
◎ポイントを抽出し、(読者に)全体を想像させるテクニック
が非常に重要になります。
街の情景や主人公の特徴のうち、最も印象的と思える要素をいくつか絞り、まずはそれだけ書くことです。
ここでは、読者に情報のすべてを伝えるのではなく、
4)読者に鮮烈な印象を与える。
5)作品の方向性や世界観を、(事細かに説明せず)感覚的なイメージとして大まかに伝える。
この2点に注力します。
この二つに成功すれば、読者は先を読んでくれますから、初っぱなで伝えきれなかった情報はストーリーの進展に合わせて少しずつ盛り込んでいけば良いのです。
ですからスレ主様の文脈で言うなら、
1)それ以外の物事への説明を削るか、
これが絶対のお勧めで、
3)説明が完結するまで脇道に逸れなければならず、
そうなることは避けなければなりません。
以上は小説を書く上で、きわめて重要で基本的なテクニックです。