罪を犯した主人公の結末についての返信
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罪を犯した主人公の結末について(元記事)
仲間に裏切られてやさぐれた主人公が何の罪もない少女を八つ当たりで殺してしまい、そしてその少女がヒロインの妹だったという話なのですが、裏切り者への復讐を終わらせた後に主人公をヒロインに殺させるのがいいかそれともヒロインが許すのがいいか悩んでます。
罪を犯した主人公の結末についての返信
投稿者 にわとり 投稿日時: : 2
最終的にどっちを選ぶかよりも、その決断に至るまでの過程が重要なんじゃないかなと思いました。どうなるかわからないサスペンス感を演出することがたぶん大事。
質問だけだと殺す動機しかなさそうな印象を受けてしまいますが、殺したい気持ちと釣り合うくらい許してあげたい気持ちがあるわけですよね、ヒロインには。究極の悩みでしょうこれ。殺したい、でも殺せない。許したい、でも許せない。次に主人公と顔を合わせたら、殺してしまうんだろうか、許してしまうんだろうか、一生許せないまま殺さず生かしておくのだろうか、それとも彼を許しながら殺してしまうのだろうか。多分ヒロイン自身にもわからない。主人公に殺された妹の無垢な笑顔が、幼い頃からの思い出の数々が脳裏にちらつく。妹が死ぬ瞬間を想像する。辛かっただろう、苦しかっただろう、怖かっただろう。私は助けてやれなかった。一生消えない後悔。罪悪感。手を下したのは彼だ。やったのは彼だ。八つ当たりで殺したのだ。何の罪もない少女を。他ならぬ私の妹を。これは殺すべきではないのか? 仇を討つべきではないのか? 彼がもうすぐ帰ってくる。千載一遇のチャンス。いま彼を殺せなかったら、きっともう一生機会は巡ってこない。今しかない。やるのか? 私にやれるのか? しかしその一方でまた別の情景が彼女の瞼の裏を掠める。主人公の、頼りがいのある大きな背中。あの背中にいつも私をかばってくれた、裏切り者の悪意から私を遠ざけてくれた。安心して身を預けることのできる、優しい、あたたかい彼の背中。彼に何度救われたことだろう、助けられたことだろう。彼もまた、私に救われた、助けられたと言ってくれたことがある。彼は私に心を許しているのだ。私だけに心を許しているのだ。そんな彼を殺そうだなんて、これは裏切りじゃないのか。彼に対する裏切りじゃないのか。彼はああ見えて、とても繊細なのだ。ガラス細工のように脆いところがある。本当は、私が守ってあげないといけないのだ。この世のあらゆる裏切りから。守ってあげないと。彼の笑顔にはいつもどこか陰があるのだ。背中はどこかいつも寂しそうなのだ。何か大きな、重いものを一人で抱え込んでいるのだ。ほんの時たま、まるで雨に濡れた子犬のような、かなしい目をするのだ。そして、それを知っているのは私だけなのだ。だというのに、私が彼を守ってあげないといけないというのに。私が彼を殺してしまったら、私はあの裏切り者と一緒になってしまうだろう。彼がいま命をかけた復讐を終わらせたばかりの、あの裏切り者と。そんな裏切り者に成り果てた私自身を、私は許せるだろうか。否、否、そんなはずがない。私は一生後悔し続けるだろう、罪悪感に囚われ続けるだろう。心から幸福や安らぎを感じることが生涯できなくなるだろう。真っ黒なかなしみが、過去、現在、未来の私を刺し貫くだろう。それでもやるのか? 私にやれるのか? 妹の笑顔と、彼のかなしい目が交互にフラッシュバックする。神様、神様、私はなぜこんな責め苦を受けなければいけないのですか! 私は、私はどうすればいい……?
……みたいな。いや、あなたの作品のヒロインと主人公の設定は知らないですけど。そういうキャラの感情の揺れを、丁寧に、先を読ませないように描くのが重要なんじゃないですかね。主人公は殺されてしまうのか、それとも許されるのか? 宙吊りの緊張感。これぞサスペンス。読者がちゃんとヒロインに感情移入してくれたら、最終的に殺しても殺さなくても許しても許さなくても納得してくれると思いますよ。そんだけ悩んだ結果なら(自分なら違う判断をしたかもしれないけど作品として)ヒロインの決断を尊重しよう、みたいな感じで。
すくなくとも大した葛藤もなしに簡単に許すor殺してしまったらつまらないですよ。これだけは間違いない。
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