半分グチのようなものなので迷ったのですが、どうしても気になることがあり質問します。
まず、ここでは分かりやすくするために、アニメやライトノベルなどが好きないわゆる二次元オタクを「オタク」、オタクが好むコンテンツを「オタクコンテンツ」、それ以外を「非オタクコンテンツ」とします(あくまでこの場での定義です)。
私は主に実写映画や一般文芸が好きで、アニメやライトノベルも区別せず楽しんでいます。そのため、ネット上のオタクの集まる界隈ものぞいています。そこで近年「アニメはすごい。それにひきかえ実写はクソ」のような意見を目にすることが増え、嫌な気分になることが多くなってきました。
以前からもオタク界隈では、オタクコンテンツを持ち上げるために一般に受け入れられている非オタクコンテンツをバカにするのを目にしてきました。
アニメを持ち上げるために実写をバカにする
ライトノベルのために純文学や一般文芸を
アニソンのためにJポップやクラシックを
声優のために俳優やアイドルを
など
ですが、アニメ人気のせいか、近年、特によく目にするようになった気がします。
最近も、よく視聴していたアニメを紹介するユーチューブチャンネルで配信者が
「日本が誇れる映像コンテンツはアニメだけ。実写はオワコン」
と主張しだして、すぐチャンネル登録を外しました。
(ちなみに、日本の実写映画はぱっと浮かぶところでは、是枝裕和監督、黒沢清監督、北野誠監督は長年評価され続けていますし、園子温監督はカルト的な人気がありますし、若手では滝口竜介監督は今年を含め3年連続で世界三大映画祭で受賞しています。「日本の実写はオワコン」という意見は全くの誤りです。こういうよく知りもしないでイメージだけで批判するって、それこそオタクが長年受けてきた仕打ちのはずなんですけどねえ)
私が実際に付き合いのあるオタクは皆、他者の好みを尊重できる人達なので、こういう意見を言うオタクはノイジーマイノリティなのか? とも思いますが、実態は分かりません。
そこで質問ですが、
1、非オタクコンテンツをバカにするオタクをどう思いますか?
「同意見だ」「彼らこそ正しい」といった意見もご遠慮なく。
2、(一部の?)オタクがそうした行為に及ぶ理由は何だと思いますか?
どの程度の割合でそういう人がいるのか、も知りたいので、1について「私は賛成(反対)だ」の一言だけでも結構です。
皆さん、ご回答ありがとうございます。
言葉足らずで意図が伝わらなかった方がいたようなので一応補足すると、私はそういうオタクを論破したいとも黙らせたいとも思っていません。「どうしても気になる」というのは、アニメ関連の情報に接していると否応なく視界に入ってきて鬱陶しい、程度の意味でした。
これまでもそうしてきましたが、今後も「何か言うとるわい」で聞き流すことにします。
あまくささんがコンテンツの状況について言及していたので、私も私見を述べておきます。
日本の実写映画産業は衰退傾向どころか、ここ三十年くらいずっと低迷しています。ただ、件の配信者は明らかにアニメの実写化のような作品しか知らずに語っていたため、一般に広く知られなくとも、国際的に高く評価されている人物、作品が多くあることを示しました。
名作、駄作のどちらかのみに注目して評価するのは誤りというのは同意です。
ただ、同じような認知の歪みはアニメについても言えることで、「君の中は。」のような一般人にリーチするように作られた作品の成功をもってオタク向け作品まで世間に受け入れられたように錯覚しているオタクが結構いるな、というのが私の感覚です。
今月、金曜ロードショーで「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が放送され、ネット上では大変盛り上がりましたが、放送してみれば、ジブリ、ディズニー、細田守作品など、ほとんどの一般向けアニメ作品が視聴率10%を超える中、特別編集版が6.7%、外伝が6.2%と低調でした。オタクやテレビ局の認識と異なり、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」ほどの作品であっても一般人は一般向けに作られていない作品は知らないし興味もなかった、つまり、あまくささんの言う「壁を突破するパワーを持ったコンテンツ」ではなかったということだと思います。「アニメが好き」と言った時に何を指しているかのオタクと一般人との乖離はまだまだ大きいかと。
多少挑発的になってしまうかもしれませんが、日本のアニメはこのまま人気が高まっていけば、実写映画の現状に近付いていくと思っています。
実写映画もかつてはオタクコンテンツ的性格の強いものでした。実写映画の現状は、オタクコンテンツとしての映画を愛する映画オタクが、映画を非オタクコンテンツに変質させようとする一般人に負けた結果です。オタクと一般人が戦えば、数で圧倒する一般人が必ず勝ちます。
あえて作品名を挙げれば、アニメオタクから大変不評な実写版「かぐや様は告らせたい」は映画オタクからも大変不評です。でも、興行的には成功し続編まで作られました。では、誰が観たのかと言えば一般人つまり「大衆」です。大衆の嗜好は安易で陳腐で低級です(当然ですね。複雑でエッジが利いた高級なものを好んだら、それはもはや大衆ではない)。
オタクコンテンツが一般に受け入れられるとは、正確には一般人がオタクからオタクコンテンツを取り上げて、自分達の嗜好に合うように変質させ、非オタクコンテンツとして大衆文化に取り込むことです。
オタクコンテンツを世間に受け入れさせ、かつ、産業として成り立たせようとすれば、
オタクには鑑賞にたえない低質な一般向け作品を量産して収益を上げる陰で、オタクのような分かる人にだけ分かる良質な作品をひっそりと作る。
という形態に必ず向かいます。映画に限らず音楽でも出版でもこれまでそうなってきました。
アニメオタクがどれだけ批判しようと、アニメ映画の声優に芸能人が起用されるのも同じ原理です。オタクの不興をかってでも一般人にリーチできた方が制作者にとっては得なのです。この流れを断固拒否するなら、世間からの嘲笑に甘んじる覚悟でオタクだけの狭いコミュニティーの中で楽しむしかありません。
ちなみに、金曜ロードショーの視聴率でいえば、漫画の実写化の「今日から俺は!!劇場版」は11.2%で「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の1.7倍です。これが大衆の嗜好です。
(一応、言っておくと、私自身が多くの分野でその「大衆」の一人である自覚は当然あります)
以上の理由から、「世間にアニメの価値を認めさせよう」「日本のアニメを世界に誇る一大コンテンツにしよう」とすれば、実写映画の現状にどんどん近付いていくと思います。
(私の身近にいるアニメオタクは最近のアニメブームを「オタクの楽園だったアニメを一般人が侵略してきた」と認識しています)
実写映画界は、良質な作品を作るより「かぐや様は告らせたい」を作った方が儲かる、という誘惑に勝てませんでした。アニメ界が今後どうなるかは分かりませんが、個人的には「君の名は。」や「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のような、カップルが一緒に観られるような一般向けのおしゃれな感動路線にリソースが割かれていくのではないかと思っています。