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異世界テンプレは創作論と矛盾しているのでは?の返信

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異世界テンプレは創作論と矛盾しているのでは?(元記事)

 俗になろう系と呼ばれる異世界転生/転移ファンタジー作品について、これらの作品で用いられるテンプレートが一般的な創作論との間に矛盾や乖離を生じているのではないのかと疑問が浮かんだのですが、それが自分の理解が足りていないだけなのかどうか判断がつかないので皆様の意見を伺いたく思った次第です。

 個人的に疑問に思った点は、
:いわゆるチート転生ものにおいて、ブレイク・スナイダーが【魔法のランプ】もので盲信二段重ねと呼ぶタブーを犯しているのではないのか?(1.異世界へ転移 2.その世界で異質/異常な能力を獲得 さらには「魔法なしでやることを学ぶ」という重大な要素にも反している)
:主人公のコンフリクト(葛藤、対立)が薄いか全く無く、それによってアーク(人格/精神面)の変化に乏しい(成長要素が能力面に偏っているか、最初から成長の余地がなく、いつまでも変わらない)
:「行って帰る」の「帰る」に値する部分が欠落しているのではないか?(転移したまま元の世界に戻らない/戻ろうとしない)

 また、自分が参考にした創作指南書は
・「SAVE THE CATの法則」(ブレイク・スナイダー)
・「工学的/物理学的ストーリー制作入門」(ラリー・ブルックス)
・「ストーリーメーカー」(大塚 英志)
他、となります。

 これらの創作論について間違った理解の仕方をしているようであればご指摘お願いします。

異世界テンプレは創作論と矛盾しているのでは?の返信

投稿者 サタン 投稿日時: : 3

うーん……なに気に難しい話題だな、と……
まず、大前提として創作論は人それぞれ違うので、大作家や名脚本家の言うことが正しい、という道理はないです。経験に裏打ちされているので聞く価値はあるけど、それが絶対の真実ではありません。

次に、創作論というのは0から作り上げるときに使うもので、既存作品を分解してその仕組を理解しようというのは「ただ例として挙げてるだけだ」ということを忘れてはいけません。
というのも、既存作品を例に出した創作論の著者も、その論を信じて既存作を分解している我々も、作者自身ではないから作者がどう思ってその作品を作ったのかは正しくわからないためです。
つまり、解釈によって違うので、どうとでも言えちゃうんです。
例えば「チートものでタブーを犯してる」というものですが、よくある異世界チートをよく見てみてください。
これって、別に異世界人である必要ないよね? 確かに現代日本人って設定は利用されてるけど、極論「同じチート能力があれば現地人の若者でもOK」な物語ではないかな?
要するに、「異世界へ転移する」というのは「能力を得るためのスイッチ」でしかなくて、「異世界へ転移した」という事自体が主旨の物語ではない。
これは
>「行って帰る」の「帰る」に値する部分が欠落しているのではないか?
こちらにも言えるのだけど、「それが主旨ではない」から、そもそも「異世界に転移する」というのは「行って帰る」の「行く」には当たらない。
物理的に移動してる場面は目立ちやすいけど、これは「物語」という目に見えない概念の例えなので、物理的な移動にはこだわらないんだ。
例えば、比較的わかりやすいかなと思うものでは「貧乏な主人公がいる、思わぬ幸運から大金を手に入れて調子に乗るが、自業自得なオチで無一文に戻る」というストーリーがあるとすると、物理的に移動、それこそ異世界に転移したり元の世界へ帰ってきたりしなくても、ここで注目すべきは「貧乏」ってことなので、「貧乏、金持ち、貧乏」と「行って帰る」が成立してますよね?
なので、この疑問は「その物語のどこに注目するか」で答えは変わってしまう。
もちろん注目すべきは作品のテーマ(その話題のテーマ)に当たるので、それを正確に読み取る必要があります。

しかしそれを盲信していると、例えば「最低な場所から這い上がってく話」などを想定した場合、スタートが「最低な場所」なので「行って帰る」のであればラストシーンは「最低な場所」になってしまいます。
シンデレラは王子と結婚せずに灰被りに戻らなきゃおかしい、となりませんか?
なので、あえて「スタートを伏せる」というテクニックのようなものも無いことはないです。
あるいは舞踏会が終わって灰被りに「帰って」、本来はそこで終わるけどもう一歩突っ込んで「王子さまが迎えに来る」と一気に物語を変化させている、とも解釈できます。

>主人公のコンフリクト(葛藤、対立)が薄いか全く無く
この板で何度か触れているのですが、そもそも「英語を和訳した書物」は、日本語にない言葉を無理に和訳しているので「葛藤」という言葉になっているだけです。
日本語の意味での「葛藤」すなわち心理的葛藤のことを指しているわけではありませんし、AとBが対立してる状態のことを指しているわけでもないです。
コンフリクトは確かに葛藤・対立という意味ですが、英語圏の人がどういう意図を持って「conflict」と使っているのかを、和訳している人は考えていません。
これはどちらかと言うと「衝突」と考えたほうが良い単語です。
対立しているとAとBが衝突してそこにドラマが生まれるでしょ? この衝突する事を指しているんであって、対立してる状態の事を指してconflictと書かかれてるわけじゃないんですよ。
葛藤も同じく、主人公が思い悩んでる状況のことじゃなくて、そういう状態のときに心で衝突があるとそれが行動になるでしょ? それを指してるんです。
では、既存作品を見てみましょう。
ギャグ系で成長要素も無さそうなの「この素晴らしい世界に祝福を!」では、主人公とヒロインがしょっちゅう衝突していますよね。考えの違いからサブキャラクターとも衝突しっぱなしです。
conflictが無いどころか、サブカルチャーの物語ほど衝突が多い作品は他にないです。
そして、衝突したままでは話にならないので、物語が展開し話になってるって事は何かしらの変化があって衝突から展開したって事なわけで、変化しまくってます。

否定ばかりの内容を書いてしまったと思うのだけど、最初に書いた通り、創作論なんてのは人それぞれで解釈によって違うので、サヴァさんの考えを否定するものではないです。
むしろ、「自分には乖離してるように見える」と考え、創作論に沿ったものを書けばそれはそれで現状の作品とひと味違った作品になるでしょうから、それもまた間違いではないと思います。
偉そうに上から目線の否定を書いてしまったと思うけど、それはあくまで「私はそう思う」というだけで、私の回答にしても「このレスを読んでるあなたは違う」のは当然ですから、私の言も決して正しいわけではありません。

カテゴリー : 創作論・評論 スレッド: 異世界テンプレは創作論と矛盾しているのでは?

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