補足。キャラとストーリーについて
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キャラクターから作るにはどうすればいい?の返信(元記事)
キャラクターが個の意志を持つことはありません。しかし、個の意志を持ったように見えることはあるし、作者から離れて歩くこともあります。
最初にいくつか確認しておきますね。
まず、キャラクター=登場人物ではないということ。
純文学にキャラクターという概念はありません。一般寄りのエンタメ小説にもほぼ無いと思う。
キャラクターというのは登場人物を記号化したもののことをいいます。この場合の「記号」はテンプレと言い換えてもいいです。
この概念が発生したのはたぶんマンガの世界で、少し遅れてアニメ・ライトノベル・ゲームに浸透したのだと思います。
キャラクターというのは登場人物の喜怒哀楽の感情や、状況に対する行動をわかりやすくテンプレ化するんですね。状況に対するリアクションもわかりやすく明快にテンプレ化し、それを原動力にしてストーリーが進行するのが基本です。
そういうのって伝統的な文学の作り手は軽蔑するんですよ。
次に、「キャラクターが一人歩きする」という言葉について。
これって、二通りの意味があります。
一つの意味は、作者の主観としての一人歩きです。
作者の目にキャラクターがそれこそ「個の意志」を持ちはじめたように映り、コントロールできなくなる状態ですね。もう少し冷静な作者なら、自分の頭の中でキャラクターを造形する計算とストーリーが噛み合わなくなった状態だととらえるかもしれませんが。
どちらにせよ、これは作者と創作の問題です。
もう一つの意味は。
キャラクターが完全に作者から離れて、読者や視聴者、つまりユーザーのものになった状態。
ドラえもんとかルパン三世とか、ユーザーの間に確固としたイメージが定着していますよね?
ああいう形でイメージが確立した作品は、作者が亡くなっても作り続けられたりします。そういうことができるのは、作者がわかりやすく明快でシンプルなパターンを作ってくれたからです。だから一定の技術さえあれば誰でも再生産できるのです。
これって取りも直さず、それだけ鮮烈で揺るぎない典型を作り出した原作者がすごいわけですが、反面ちょっと怖い感じもしませんか?
そういう作品やキャラクターって、ある時点から原作者は必要なくなってしまうんです。だって原作者が亡くなっても作られ続け、不動の人気がびくともしないんですから。
エンタメ作品がヒットするということは、その作品やキャラクターがユーザーの「共同幻想」になることを意味します。これを下手に改変しようとすると、原作者でも非難されてしまいます。一方で二次創作の世界ではユーザーは勝手にキャラを改変して楽しめるのに、原作者は自分の作ったキャラクターを改変できないという不思議な逆転現象です。
キャラクターが作者ではなくユーザーのものになってしまうんですね。
こういう状態も、「キャラクターが一人歩きしはじめた」と言います。
ある意味、エンタメの一つの理想形ではありますけどね。
……ということも踏まえた上で、少し考えてみます。
>ですが理屈で分かってても、キャラを一番初めに作るというのは具体的にどうすればいいか分かりません。
その前に。
キャラを一番初めに作る必要がありますか?
いや、そうしたいならしてもいいのだけれど、できないなら別にできなくてもかまわないと思うのですが。
キャラから作り始める人も、ストーリーから作り始める人もいますよ。それはその人の資質の問題で、どちらが優れているということはないと思います。
>特にライトノベルはキャラノベルともいわれるだけあって、ラノベの作家さんはキャラを先に作るという方が珍しくありません。
キャラクター小説というのは、登場人物をキャラクターとして扱う(記号的、テンプレ的に扱う)小説ということであって、必ずしもキャラクターが最重要な小説という意味ではないと考えています。ましてや、キャラクターを先に作る小説という意味であろうはずもないかと。
>それともある程度のストーリーが無ければ、キャラクターは作れないのでしょうか?
そうとも言えません。実際にまずキャラを作って、それに合ったストーリーを考える人もいるだろうとは思います。
しかし、
>キャラから作りたいのに、まずはストーリーが無いと具体的にどういうキャラを作れば分からないので詰まってしまうんです。
スレ主様がそういうタイプなら、ストーリーから先に作っても一向にかまわないと思いますが。
>キャラから先に作る方法を知りたいです。
大事なのは作り方の順序ではなく、キャラを生き生きと動かすことなのでは?
先にある程度ストーリーの輪郭を考え、その枠組みの中でキャラクターをいかにして生き生きと動かすかを考える方が本筋ではないかと思いますよ。
補足。キャラとストーリーについて
投稿者 あまくさ 投稿日時: : 0
>それともある程度のストーリーが無ければ、キャラクターは作れないのでしょうか?
この点について、もう少し考えてみます。
ある程度というなら、その通りかもしれませんね。
ストーリーはキャラクターが行動することによって動きますし、キャラクターは何らかのシーン・エピソード・シチュエーションがないと生き生きと表現できないように思います。
後者は小説の場合とくにそうです。
マンガなら一コマの絵だけでもキャラクターはかなり表現できます。しかし小説にはそれがありません。ヒーローのかっこよさやヒロインの可愛らしさをどんなに巧みな文章で描写しても、絵にはかなわないでしょう? だから小説のキャラ表現は行動の重要性が高いのだと思われます。そして同じ行動でもアニメのように直接的な身体の動きを表現するにも向いていないので、ある程度のシチュエーションをからめた行動が必要になります。
ここまで来ると、もうストーリーの一部に近づいているでしょう?
このような意味で、キャラとストーリーは不可分です。なので、小説は「ある程度のストーリーが無ければ、キャラクターは作れない」と言えなくもありません。
ただ、この場合の「ある程度のストーリー」というのは本当にある程度でいいと思いますよ。
私が一番最初にエンタメのストーリーを考えたとき、最初に「何でもいいから主人公がヒロインを助け出す話にしよう」と決めました。ちょっと恥ずかしいくらいアレな発想ですが、出発点はこんなもんでいいと今でも思っています。
サタンさんが物語の最小単位として「魔王を倒す話」をよく例にあげていますが、つまりそういうことです。
次にやることは、これまでに読んだり観たりした小説やら映画やらアニメやらのうち「主人公がヒロインを助ける話」を思い出し、その中の自分が気に入った要素、または人気がある(と思われる)要素を思いつくだけ拾い集めます。で、なんでそれを気に入ったのか、どうして人気があるのかを考えて、パーツを取捨選択して再構成します。
拾い集めた要素を全部つめこむことはできないし、要素と要素の間で相性が悪いものもあるわけですね。そういうことを検討していると、ストーリーの輪郭もだんだん見えてきます。
構想の段階でキャラとストーリーを一緒に煮詰める。そういう方法もあると思います。
(余談)
「誰だれが~をする話」というシンプルな最小単位は、実は最近よく言われる「ログライン」の基本でもあるんですね。
ログラインという言葉は、ハリウッドのナントカさんとかの影響なのかよく耳にするようになりましたが、具体的にどうすればいいのかイマイチわからんってことないですか?
こういうのって難しく考えない方がいいです。そこに引っかかっていると何もはじめられませんから。
まずは自分にとってわかりやすく、手をつけやすい形にアレンジしちゃっていいから、やってみることが肝心です。
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