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書きたい話があるんです。の返信の返信

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書きたい話があるんです。の返信(元記事)

私は比較的気軽に始めたクチなんで、作品一つにそう大層な思い入れはありません。
私個人はそうですが、多くの人の創作での悩みを聞いてると、同じような方は多かったです。
やはり、特に処女作にすごい思い入れを持ってる人が多いと思う。
はじめての作品です、この作品を何年も構想してきました、創作に自己表現の全てをつぎ込んでいます、このキャラクターは自分の分身です、その展開は私の思いがこめられてるので変えたくありません、という感じ。
でも、私は気軽に始めたと書いたけど、それでも処女作にはそれなりに思い入れがあるし、長編だったんでやっぱり一年以上かかったし、少なくとも当時、そのとき考えうる自分の全てをつぎ込んだつもりでした。
なので、「思い入れ」に関しては人並み程度には理解できるつもりです。

処女作を完成させることに躊躇いを感じるのもわかります。
ちょうど半分を超えたあたりで、漠然とした不安や疑問が生まれてきたりします。
……ちなみに序盤を終えたあたりでも一度似たような思いがあったりしました。
でも、この不安は、処女作の思い入れとはあんま関係なかったことにあとで気付かされました。
というのも、処女作、つまり作品を作り慣れてないから、物語をどう作っていいのか自分でわかってないんですよね。
でも、「序盤の終わり」と「物語全体の半分くらい」のタイミングって、物語的にすっごく重要なポイントで、今後の展開の方向性を示す場面なんで、漠然と「これでいいのかな?」という不安が湧いてくるんですよ。
序盤の終わりや物語全体の半分というのは、これまで書いてきた(作ってきた)内容が物語として形になり始めるタイミング、完成図が見えてくるタイミングなので、それまで「こんな感じ」とイメージしてきた曖昧なものが具体的な形として見えてくる頃なわけですね。
物語を理解してない初心者の頃なんで、そうやって完成図がイメージできるようになると、今度は漠然とした不安が「自分はいま何書いてるんだろう?」という混乱とか「このまま完成させちゃっていいんかな?」という妙な考えになって、襲ってくる。
ようするに。
「これまでの苦労が全部台無しになってしまうかもしれない」という考えが生まれてくるタイミング、それが序盤の終わりや物語の中間地点なわけですね。
なので案外、処女作で長編ではなく短編や掌編から入った人はあんまこういう気持ちはわかんないんじゃないかな。
短編ならその「台無しになるかもという不安」は大したことないですから。
ダメならまた作りゃいいと切り替えられる規模ですし。
後戻り出来ない規模だから、振り返ることも進むこともできなくなるわけだしさ。
そんで、そういう不安に答えを出そうとすると、「自分の思いがつまった作品だから」とか「全力が込められたものだから」って答えになるんだと思う。
少なくとも私の場合は、後からそうだと気がついた。

だって、そんな二度と筆が持てなくなるような完成度で満足できる作品ができるわけないもの。
自分の全てをつぎ込んだ処女作が完成してそれなりの出来で満足しても、すぐに似たようなテーマでまた書き出すよ。

でも、世の中には確かに「処女作を書いた以降、まったく書けなくなった」という作家もいます。
有名所では「風と共に去りぬ」のマーガレット・ミッチェルですね。
処女作で名作を作り上げたんで、そっから何も書けなくなった。
でも彼女の場合は調べてみると、さもありなん、という事がわかります。
「風と共に去りぬ」の主人公スカーレット・オハラは、これ作者なんですよ。物語の展開は大部分が作者の体験談で、初恋や結婚離婚その他もろもろ、作者が体験したエピソードのリメイクなんですよね。
ただ舞台を南北戦争時代にしただけで、基本的に「風と共に去りぬ」は作者の自伝です。
そりゃ、自分の人生をそのまま切り貼りして作品にしたんだから、続刊・新刊は書けなくて当たり前ですよね。
ただ切り貼りしただけでなく、本当に作者は「風と共に去りぬ」の中に自分の半生の全てを打ち込んだんだから、これを書き終えたら書くことがなくなるのは当たり前です。
まったく新しい話を書くんであれば、作者は「別の人生を体験」しなきゃ書けないものね。
自伝と創作は違うし、自分の体験を元に創作するならあくまで「モデルにした」に留めないとダメ。
マーガレット・ミッチェルも、最初は「自分をモデルにした」に留めてたと思うんだけど、書いた量が大長編だったんで、次第にそのモデルの域を飛び越えちゃったんだろうなと思う。
まあ、マーガレット・ミッチェルは世に出した作品で「風と共に去りぬ」が処女作だった、というだけで、10代の頃から本は好きだったようだし、社会人になっても確か記者やってたんだっけな、文字を書く職について趣味で掌編を書いてたりしてたんで、この場で言う「初めて書いた作品」という意味での処女作とは意味が違うけどね。

私もそう経験豊かではありませんが、処女作で完全燃焼して新作がまったく書けなくなった、という例はありそうでいてマーガレット・ミッチェルみたいな自伝以外の例を知りません。
あとはまあ、だいたい脱稿した後の達成感をひとしきり味わったあとは、みなポツポツと書き始めます。
なので、おそらく今感じてる不安の正体は「自分が全力で打ち込んでるものだから終わったら無気力になりそう」とかそういうんじゃなく、単純に物語の完成図が見えてきて終わりが見えてきてることに対する不安、それまでの努力が台無しになるんじゃないかという不安である可能性が高いと思う。
これまで考えてきた10年の構想が「この展開で正しいのか? 間違ってないか?」と思ったら、そりゃ二の足を踏むでしょう。
正直、その考えをスッパリ切り捨てるしかないです。でもその考えを捨てるのはおそらく難しいから、そのまま形にするしかないと思う。
でも、そもそも「同じテーマの同じ作品を二つ以上作っちゃダメ」なんて決まりはどこにもありません。
今書いてる作品を書き上げたとして、おそらく100%満足することはないんで、またゼロから設定変えて書き直したりすりゃいい話です。
初心者ほど、私もそうだったけど、何故か「一発で完成品を作らなきゃダメだ」と考えてるフシがあるんですよね。
今構想してるのはあくまでプロットですよね? 執筆してるわけじゃないですよね。
なら、そのプロットは、パターンを変えて10個くらい作りましょう。
絵描きだって、何枚もラフを書いて構図を試行錯誤するもんでしょ? 文字も同じよ。何度もプロット作って試行錯誤するもんよ。
「書きたい話」のプロットを、10個作ってみましょう。そう考えると、一個目のプロットの半分程度で不安や悩みなんか生まれませんし変な考えは吹き飛びますよ。

書きたい話があるんです。の返信の返信

スレ主 tourdion 投稿日時: : 0

サタンさん
返事が遅くなってしまってすみません。回答ありがとうございました。
おっしゃる通りで、「今考えている展開は正しいのか?」という疑問が多分に含まれているように思います。それどころかそもそも面白さって何?って考えに至ることもあります(しかも、採用している展開の半分以上がキャラが勝手に動いたものや偶然の思いつきだったり、酷いときは夢産だったりしまして)
でも、いくつもプロットがあってもいいと思いました。これまで不採用にしてきた展開なども、別の形で存在してもいいかなと。
自分は音楽家が最晩年に作った曲が好きになることが多いのですが、そういう曲に惹かれるのって人生の経験とエネルギーの全部を詰め込んだからなのかなって思ってまして。だからなのか、自分の創作が自分の完成であるべしと考えていたのかもしれません。

それにしても、ミッチェルの例はたいへん参考になりました。うまく言えないのですが、とてもしっくりきたと言いますか、なんと言いますか。

カテゴリー : やる気・動機・スランプ スレッド: 書きたい話があるんです。

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