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『幼女戦記』原作版

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群像劇(元記事)

「群像劇」という言葉を最近知りました。
色々な人の視点で物語が進む形式という意味らしいんですが、いまいちよく分かりません。
群像劇の形式で書かれたライトノベルというと、どんなものがありますか?作品名を教えてください。

『幼女戦記』原作版

投稿者 あまくさ 投稿日時: : 0

『幼女戦記』の原作小説は典型的な群像劇です。主人公をめぐり、上司・部下・敵、さらには神(存在X)や天使まで登場して、それぞれの勝手な主観と思惑によって同じエピソーソがまったく異なる様相を呈していきます。そういう状況の結果、勘違いが勘違いを読んで一つの大きな歴史が紡がれていくという、そういうストーリー構成なんですね。

こういう物語は、複数視点でなければ書きようがありません。そして、一つ一つの視点にかなり筆を割く方が効果的なので、大長編になりやすいです。短編や短めな長編で多視点を採用している作品もありますが、キャラ同士の認識のギャップによってストーリーが進行する面白さが盛り込まれていない場合は単に多視点というだけで、敢て「群像劇」と呼ぶものではないように思います。

例えば幼女戦記の主人公ターニャ・デグレチャフ(中の人は中年日本人男性ですが)は、過酷な戦争の時代に孤児として転生させられ、他に選択肢がないため軍人の道に進みますが内心では「安全な後方任務での立身出世」を望んで画策します。ところが言動がことごとく誤解され、軍の上層部には優秀な野戦将校とみなされて最前線に送られ、死に物狂いで生き残ろうとする姿が周囲からは恐れを知らない戦争狂のようにみえてしまうんですね。
この主人公がきわめて優秀な軍人になったことには、いくつもの理由があります。
中の人が日本のエリートサラリーマンだったので冷静な判断力はある。
転生した異世界が第二次大戦下のヨーロッパに酷似しているため、現代人の戦史の知識が役立つことが多い。
任務に失敗すれば死に直結する戦場なので全力で成功させるしかない。
神(存在X)の介入で強力な魔導師としての才能を持っている。
などなど。結果的に超チート的な戦果をあげてしまい、戦場の英雄扱いされてますます危険な最前線を東奔西走させられられるハメになります。そういう姿が敵や味方、後の時代に戦史を調べているジャーナリストなどの様々な視点から描かれるという趣向です。

この主人公の魅力は、異なる立場から与えられた数々の異名によって端的に示されています。軍からは戦功と外見的な美しさから「白銀」という称号を与えられますが、あまりに好戦的と畏れる者からは血塗られた「錆銀」、常識人の上官レルゲンからは「幼女の皮をかぶった化け物」、敵からは「ラインの悪魔」(ライン戦線での活躍が名をはせるきっかけになったから)、後世から彼女の実像を追いかけるジャーナリストからは「十一番目の女神」と呼ばれます。
他に。
参謀本部の大物ゼートゥーアには卓抜した戦略眼の持ち主として注目され、部下たちからは畏れられながらもけっこう信頼感を寄せられています。厳しいけれどもそれは過酷な戦場の現実を知り尽くすゆえのこと、根は部下を大切にする立派な指揮官と「誤解」されているんですね(笑
また、名将ロメール将軍は、少数精鋭を指揮した時の主人公を戦機を的確に察知して機敏な行動のできる野戦指揮官として激賞。
ソ連に擬したルーシー連邦の冷酷なナンバー2ロリヤなんてキャラもでてきます。こいつは幼児性愛者で、主人公の姿に「なんと可憐だ」と惚れ込んでしまいます。ロリヤは連邦の魔導師たちを反革命分子として排斥した張本人なのですが、そのため連邦軍の弱体化という結果を招いてしまいます。ところがこのロリヤが主人公を捕虜にして性的に蹂躙したいという欲望にとりつかれてしまい、魔導師や追放した指揮官を復帰させたために連邦軍が強力になってしまったり。

このように群像劇というのは、群像を構成する登場人物群がそれぞれに異なる動機や思い込みによっててんでんばらばらな行動に走り、それらが絡み合って意外な結果に繋がっていくという展開の妙が面白いんです。

なお。
アニメ版の『幼女戦記』も秀作だと思いますが、群像劇としての性格は原作よりは弱いと思います。多視点ではありますが、誤解や思惑のずれからストーリーが作られていくという展開は、少しだけあるものの原作ほどじゃないんですね。
そもそも多視点という手法は小説では難しい側面もあり、一方アニメには向いています。小説は文章だけで表現するので視点の切り替えが多いと読者が付いていけなくなりがちです。対してアニメや映画などの映像メディアは、視覚という強力なツールで表現するためシーンの切り替えが多くても視聴者は混乱しないんですね。そういう強みを活かしてアニメのほぼすべての作品は多視点で、むしろそうでない作品を探す方が難しいです。
アニメ『幼女戦記』もそんな特徴を踏まえた多視点という範疇に留まっています。

カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 群像劇

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