小説の創作相談掲示板:小説の書き方Q&A。執筆の悩み相談をしよう!

地の文が書けないの返信

元記事を読む

地の文が書けない(元記事)

 寒くなってきた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて今回相談したいことは表題の通りです。正直に申しまして、[なぜかけないのか]どころか[そもそも何を書けばいいのか]すらわかりません。人並み以上に本は読んでいるのですがそれでもさっぱりです。
 以下に現在執筆中の短編の書けた部分を開示しますので、どういったことが足りないのかご教授願いたいです。
ーー以下小説ーー
 少女の前に少年が一人倒れている。
「どうしてこうなったのかって?これには深い事情があるんです」
そんなわけでしばらく時間はまき戻る。

 夜も更けてすっかり暗い林の中、荷物を背負った少年が立ち止まっていた。大きなリュックのためか背を丸め、ヘッドライトをつけた顔には困惑の色が浮かんでいる。
「いやいやこんな始まり方されたら誰だって困るよ」
「開幕早々メタ発言なんかしない」
少年に言葉を返したのはセミロングの少女。こちらは藪打ち用の鉈を持ってはいるがそれ以外の荷物は少なく、身軽な格好をしている。
「いやだって、ウルトラマン第二話みたいな始まり方じゃ真面目な作品とはだれも思わないよ」
「初代バルタン星人は十分真面目な話じゃない。比べるなんて脚本家の方に失礼よ」
「ぬぐ、けどもう少し雰囲気ってもんがさあ」
そんな会話をしつつ、少女が少年を先導し林の中を進む。
「ねえ奏、うちら少年少女って年かな?」
「燈、女性の年に触れないのはマナーだと思うのだけど」
あまりメタ発言ばかりだと話が進まないのですが。
「「お前が努力しろ」」
ごもっともで。
 生暖かい空気の中、ヘッドライトの明かりを頼りに燈と奏は進んでゆく。
「これ、状況説明した方がいいんじゃないかしら」
夜野燈はとある秘密結社所属の改造人間である。今回は幼なじみ兼別の支部所属の月影奏に「水中から白い触手を出すUMAを見せてあげる」言われ、半ば強引に連れ出されたのであった
「説明が雑、それに無理やりすぎるすぎる」
「そうね。これじゃ燈がUMAにつられて40秒で支度してついてきたってことがわからないわね」
「そうじゃなくて。はあ、それよりまだつかないの?」
「え~っと、沼にはもうついてもいいころなんだけど」
問われたことに対し言葉を濁す奏、その態度から燈は嫌な想像をする。
「まさか迷ってる?」
「だ、大丈夫よ。ちゃんとつく、もうすぐだから」
「はあ、もうUMAなんていいから帰りたいよ」
「ここまで来たら退くだけ損よ、口じゃなく足を動かして」
「そんな気質効果は損の元だよ。そもそも奏がいきなり言い出さなければうちが下調べして先導できたのに」
「そんなことされたら…っと、ついたわよ」
 話している間に藪を抜け、二人は林から沼のほとりに出る。
そこそこの大きさはあるが葦など水生植物は少なく、暗くよどんだ水面がよく分かる。
何かが出てもおかしくないという雰囲気に燈の顔色がより悪くなる。
「これはUMAよりも幽霊が出そう・・・あれ、他の人がいる?」
耳聡く人の声を聞きつけ沼の反対側を見る燈。そちらには懐中電灯と思しき明かりが数条動くのがみえる。
「あ~、ちゃんとした道を通れば向こうに出るんだ」
「ちょ、ちょっと待って。ちゃんとした道があるの知っててわざわざ林の中をえっちらおっちら歩かせたの?自分が方向音痴だって自覚してる?」
「だって、もしほかの人と会ったらここがなんなのかバレ…二人っきりになれないじゃない」
「ごまかし方が雑。ここ、UMAが出るんじゃなかったの」
燈の追求に奏は悪びれる様子もなくあっさり口を割る。
「ちゃんと出るわよ。UMAじゃなくお化けだけどね」
お化け。この言葉に燈の顔は青くなる。
「・・・帰る」

地の文が書けないの返信

投稿者 手塚満 投稿日時: : 0

文字数をカウントしてみますと、約1300字ですね。読むのに2~3分くらいでしょうか。それだけ読んでみても、冒頭のツカミになるイベントも起こらず、読むモチベに大事な「誰がどこで何をする話なのか」も明かされていません。

読んだ感じでは「そもそも作者さんが何の話をしたいかということ自体、ないんじゃないか」と思えてしまうほどです。しかし、話を書き始めておいて書きたいことがないなんて、ちょっとあり得ない。

1.最初の3行だけでも問題山積

もしかすると、以前ご質問の「「わかる」前提で話を作ってしまう」があるのかもしれません。が、もしそうだとしても、それ以前の問題になっているようです。出だしの3行を見てみます。

01>  少女の前に少年が一人倒れている。
02> 「どうしてこうなったのかって?これには深い事情があるんです」
03> そんなわけでしばらく時間はまき戻る。

01で簡単に状況が描写されています。周囲の状況等は分かりませんが、必要な情報としてはミニマムに示されている。だから02の台詞も発することができる。

しかしその02の発話者は誰なんだということは分かりません。倒れた少年が喋ったのか(台詞直前に描写されたキャラは少年)、少女が喋ったのか(少女は特段の描写はなく、喋れそう)。

その02も誰に向けたかは分からない。少年、少女以外にその場にいる誰かかもしれない。ずっと読んでみても、この3行に至る状況は示されていないに等しい。おそらくメタ表現だろうと思えますが、文章中にあからさまにメタ表現と言っていること以外に、以前に「メタ発言の是非について」というご質問があったから、おそらく02もメタ表現だろうと推測できる程度です。

何も分からないで読み進めようとすると、続くのが03で「そんなわけで」と言われる。おそらく、この3行で目を引けると思われたのでしょうか。分からないことがあると知りたくなるはずとのお考えで。しかし、分からなさすぎて読みたくない、になるリスク大です。
(それ以外に、以降が回想になるため、少年・少女に何が起ころうが01の状況になることが分かってしまうデメリットもあるけど、分からなさの害と比べたら些細。)

2.分かってもらおうとしていないのでは?

分かる前提で書いたかどうか以前です。読者(通例、作者とは見ず知らずの赤の他人)に分かってもらおうと思ってすらいないような印象です。頭の中で組み立てたシーン、そこで動くキャラを眺めながら、気になった部分だけ書き出したような、自作への感想を言ったような感じしかしません。

しかし、おそらくこの3行を書いたことで読者が先を知りたくなって読んでくれると思われたのか、キャラも地の文の語り手も駄弁りを始めてしまう。駄弁りの内容が面白おかしければいいですが、申し上げにくいことですが、全くそうではない。

3.メタ発言が有効ではない

ぱっと目につく害はメタ発言です。メタ発言は面白いものもあります。ですが、メタ発言の発言者(キャラ、地の文の語り手)に魅力がないといけません。メタ発言はフィクションであることを思い起こさせる、いわば没入している読者を現実に引き戻す作用があります。

なぜなら読者に直接語り掛けるわけですから。読者が語り掛けて欲しいキャラ出ないと効果が薄いか、下手すると逆効果です。また、メタ発言者が目立ってしまう行為でもあります。メタ発言者(キャラ、地の文の語り手)ストーリー・ドラマ外へ出てくるわけですので。

冒頭って、読者はまだどのキャラへの感情移入も起こっていません。三人称の地の文の語り手だって、名前がないけどキャラの1人です。三人称の地の文の語り手が、例えば読者が分かるよりちょっと詳しく説明したり、読者が気が付くより少し早く説明したりすると、読者として三人称の地の文の語り手を信用できるようになります。この地の文の語り手にガイドを任せてもいいな、といった感覚です。

そうなってから地の文の語り手がメタ表現しても、実は読者としては語って欲しかった気持ちがあるので受け入れられます。主人公などの登場キャラも、読者が感情移入し、共感でき、好きになってからならメタ表現を受け入れ可能になります。好きなキャラがちょっと声をかけてくれたら嬉しい場合もあるわけですので。

ですが、冒頭なんです。どのキャラも、地の文の語り手もまだまだ赤の他人状態です。読者としては地の文の語り手含め「こいつらって何者だ?」と思っている状態です。興味はまだわかず、下手すると警戒感がある状況なわけです。

そういう状況では、メタ表現はリスクが高いです。どこの誰で、何をしたいのか分からないキャラが、いきなり物語外へ出てきたら、「これは物語ではないのかも」「読むものを間違えたか」と読者が思いかねません。地の文の語り手も同様です。

4.メタ発言同士で衝突している

かつ、メタ表現するキャラが地の文の語り手も含めて複数います。あいつもこいつも、どこの誰だか分からないのに、競うように目立とうとしてくる。正直なところ、個人的にはですが、イラっとさえします。

キャラがまだ分かってないのにメタ表現する弊害はまだあります。どれがメタ表現なのか確信が持てないのです。このキャラならこの状況でこう言いそう、そう言ってもおかしくない、といったことがまだ分からない。だから、唐突に他のキャラに語り掛けた台詞か、独り言か、メタ表現なのか区別がつきにくい。

5.あってもいいだけのものはなくてもいい

メタ表現は読者がキャラや地の文の語り手を理解し、好きになるまでは使うべきではありません。もう少し申せば、終始使わないで済むなら、使わないほうがいいほどです。少し大枠で考えれば、あってもなくても構わないものはないほうがいい、ということです。さらに申せば、あってもいいものですら、削れないか考えるべきです。
(もちろん、そう考えてみてもなお、メタ表現を活かせる場合なら使えばいい。そういうものこそ、魅力あるメタ表現となり得るはずです。)

6.物語が設計されていないのでは?

メタ表現以外では、キャラが言ったことを全て収録した感じがあります。まるで字数稼ぎしているかのようです。だけど、おそらく作者さんが少年・少女のキャラが好きで、言ったことを漏らさず書きたいからではなさそう。

冒頭の3分で何を読者に示すべきか、整理できていないからではないかと思います。言い換えれば、どんな情報を、どういう順序で出せば、読者に物語が伝わるかを設計していない。なんとなくこういうシーン、と想定して試行錯誤してしまってないでしょうか。

読者から見て2人の他愛ない駄弁りであっても、作者としては常に狙いを持っているべきです。読者に何を伝えたいか、ですね。決して、いかにも駄弁っているっぽく見えればいい、なんて文章を書いてはいけない。2人の不安を伝えたいのか、状況を飲み込めていない2人の危機を描くのか、目的意識に沿って、会話も描写となるようにすべきです。

最初に申したことを繰り返しますが「誰がどこで何をする話なのか」を伝えるという冒頭の目的から外れています。しかし、単にそれらを説明したって読みたくなる者にはなって行かない。目を引くイベントで間接的に可たる必要があります。

7.誰がどこで何をする話なのかが最重要

くどいですが繰り返します。「誰がどこで何をする話なのか」を見せるイベントを、まず組み立ててみてください。地の文がどうとか、台詞の工夫とか、メタの可否とか、冒頭のイベントの骨子を組み立ててからです。伝えたいこと、伝えるべきものが決まらないのに、些事に拘っても何も始まりません。

カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 地の文が書けない

返信する!
コメントは4500文字以内。

「私はロボットではありません」にチェックを入れてください。

トップページへ ページの先頭へ

「地の文が書けない」の返信一覧

他の相談一覧

恋愛描写等の「丁寧さ」とは何か

投稿者 回答数 : 2

投稿日時:

「丁寧な描写がされる恋愛漫画」のように修飾語が使われる作品の特徴は具体的にはどのようなものですか? また、それを獲得するには何... 続きを読む >>

怪獣の設定について

投稿者 金木犀 回答数 : 20

投稿日時:

怪獣があの大きさで潰れず動き回れるのは、物質と反物質、暗黒物質で肉体が構成されているからと説明したいのですが、 なにぶん作者が... 続きを読む >>

温度差

投稿者 ポコポコ 回答数 : 5

投稿日時:

こんばんはです。 いつもお世話になっております。 主人公は、競輪選手になるために真面目に練習してるのですが新入部員は、競輪選手に... 続きを読む >>

▼書き込みの検索

▼投稿者の検索

小説の書き方Q&A:創作相談掲示板の使い方・利用規約(必ずお読みください)。お問い合わせ