小説の創作相談掲示板:小説の書き方Q&A。執筆の悩み相談をしよう!

地の文が書けない (No: 1)

スレ主 蛇鷲 投稿日時:

 寒くなってきた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて今回相談したいことは表題の通りです。正直に申しまして、[なぜかけないのか]どころか[そもそも何を書けばいいのか]すらわかりません。人並み以上に本は読んでいるのですがそれでもさっぱりです。
 以下に現在執筆中の短編の書けた部分を開示しますので、どういったことが足りないのかご教授願いたいです。
ーー以下小説ーー
 少女の前に少年が一人倒れている。
「どうしてこうなったのかって?これには深い事情があるんです」
そんなわけでしばらく時間はまき戻る。

 夜も更けてすっかり暗い林の中、荷物を背負った少年が立ち止まっていた。大きなリュックのためか背を丸め、ヘッドライトをつけた顔には困惑の色が浮かんでいる。
「いやいやこんな始まり方されたら誰だって困るよ」
「開幕早々メタ発言なんかしない」
少年に言葉を返したのはセミロングの少女。こちらは藪打ち用の鉈を持ってはいるがそれ以外の荷物は少なく、身軽な格好をしている。
「いやだって、ウルトラマン第二話みたいな始まり方じゃ真面目な作品とはだれも思わないよ」
「初代バルタン星人は十分真面目な話じゃない。比べるなんて脚本家の方に失礼よ」
「ぬぐ、けどもう少し雰囲気ってもんがさあ」
そんな会話をしつつ、少女が少年を先導し林の中を進む。
「ねえ奏、うちら少年少女って年かな?」
「燈、女性の年に触れないのはマナーだと思うのだけど」
あまりメタ発言ばかりだと話が進まないのですが。
「「お前が努力しろ」」
ごもっともで。
 生暖かい空気の中、ヘッドライトの明かりを頼りに燈と奏は進んでゆく。
「これ、状況説明した方がいいんじゃないかしら」
夜野燈はとある秘密結社所属の改造人間である。今回は幼なじみ兼別の支部所属の月影奏に「水中から白い触手を出すUMAを見せてあげる」言われ、半ば強引に連れ出されたのであった
「説明が雑、それに無理やりすぎるすぎる」
「そうね。これじゃ燈がUMAにつられて40秒で支度してついてきたってことがわからないわね」
「そうじゃなくて。はあ、それよりまだつかないの?」
「え~っと、沼にはもうついてもいいころなんだけど」
問われたことに対し言葉を濁す奏、その態度から燈は嫌な想像をする。
「まさか迷ってる?」
「だ、大丈夫よ。ちゃんとつく、もうすぐだから」
「はあ、もうUMAなんていいから帰りたいよ」
「ここまで来たら退くだけ損よ、口じゃなく足を動かして」
「そんな気質効果は損の元だよ。そもそも奏がいきなり言い出さなければうちが下調べして先導できたのに」
「そんなことされたら…っと、ついたわよ」
 話している間に藪を抜け、二人は林から沼のほとりに出る。
そこそこの大きさはあるが葦など水生植物は少なく、暗くよどんだ水面がよく分かる。
何かが出てもおかしくないという雰囲気に燈の顔色がより悪くなる。
「これはUMAよりも幽霊が出そう・・・あれ、他の人がいる?」
耳聡く人の声を聞きつけ沼の反対側を見る燈。そちらには懐中電灯と思しき明かりが数条動くのがみえる。
「あ~、ちゃんとした道を通れば向こうに出るんだ」
「ちょ、ちょっと待って。ちゃんとした道があるの知っててわざわざ林の中をえっちらおっちら歩かせたの?自分が方向音痴だって自覚してる?」
「だって、もしほかの人と会ったらここがなんなのかバレ…二人っきりになれないじゃない」
「ごまかし方が雑。ここ、UMAが出るんじゃなかったの」
燈の追求に奏は悪びれる様子もなくあっさり口を割る。
「ちゃんと出るわよ。UMAじゃなくお化けだけどね」
お化け。この言葉に燈の顔は青くなる。
「・・・帰る」

カテゴリー: 文章・描写

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地の文が書けないの返信 (No: 2)

投稿者 のん : 2 No: 1の返信

投稿日時:

 こんばんは。こたつの中から返信しています、のんです。本当に寒いですね。

 蛇鷲様が地の文を書けないのは、書くことがないからです。もちろん書けることはたくさんあると思いますよ。作品の舞台背景とか設定とかキャラクターの見た目とか天気とか。けれどそれは重要なことではなく、重要でないことは出来る限り書かないほうがいいので、書くことがないんです。

 一人称でも三人称でも、地の文のことを語り手というと思うのですが、蛇鷲様の作品の場合は、語り手がすでにいます。登場しているキャラクターが台詞を使って語っていて、地の文のほうも台詞のようです。
 ドキュメンタリーやホームドラマのカメラマンやナレーターのような感じでしょうか。第三者として存在している人物による三人称、みたいな。

 私もよく、さあ書こうと思った物語の冒頭が書けなくて困ります。何を書いたらいいのか分からないし、どこから書いたらいいか分からないんです。蛇鷲様も同じようなことありませんか。

 全部私の体験談なんですが。上で言った重要じゃないから書かないほうがいいけど書けること、て沢山あるんです。そして結局そのうち必要になって書きます。
 書いていて、もしくは書こうとして、何をかいたらいいんだろうって思いませんでしたか。

 説明や設定のられつは嫌われるので、よりよい読みものを求めると展開しかかけません。物語の冒頭が、例えば『森のなかで寝ていた主人公が父娘と遭遇して敵対する』というようなものだったとします。

 どこから書きますか? 『森の描写から』か『主人公が寝ているところから』だとドツボに嵌まります。そこに展開はなく、どう頑張っても説明にしかならないからです。それでも上手くやる人は当然いるのですけれど。

 何度もいいますが、重要じゃないことはかかない方がいいです。『森の描写から』はじめるとして、そこに重要な情報はなにも転がっていません。ただ森であるとわかればいいので、極論、森の一言で終わります。
 そこに湖があるとか、木々から水が滴っているだとかは要らない情報です。例えあとで必要だとしても、それならあとで書けばいいだけで、何の伏線にもなりません。どこをどう描写しても重要じゃないので、重要なことを探して描写しようとしてもドツボです。

 次。『主人公が寝ているところから』。よく、物語は読者様を混乱させないため時系列順にとは言いますが、やっぱりここにも必要な情報はありません。寝ていたの一言です。
 あとで回想が必要なほど重要な情報があって、それを後出しにする必要がないなら、時系列順は安心安全です。が、そもそも回想の必要もないなら飛ばしましょう。

 面白い小説には展開しかありません。これを前提とすると、物語が展開するまでの『主人公が寝ているところ』とか『ドラえもんと出会う前ののび太』とか、書くことがありません。ちょっとのび太はキャラ紹介という意義がありそうですが。出会ってから紹介した方が問題解決までの弛みがなくていいでしょう。

 例に戻って『森で寝ていた主人公が父娘と遭遇して敵対する』では、主人公が父娘と遭遇して敵対した『すでに敵対してしまっている』ところから書き始めると楽です。
 『敵対した』という状況は異常事態なので興味をひかれやすく、また登場人物たちのもつ何を優先するかという価値観を描きやすいので、書けることが増えます。キャラクターの個性は重要なことですから。

 一度物語が動き出すと、そこには流れが生まれますよね。進む方向がわかれば、何が重要かがわかってきます。例では戦闘の流れが生まれます。
 攻撃するならどういった攻撃をするのか。逃げるのならどうやって逃げるのか。主人公の意思が定まれば、それをどう実現するのか、その助けになるヒントや実際の行動を地の文で描いていきます。

 例にあげた主人公ですと、先ずは状況把握だったので状況の描写でした。ただし森の描写はなく、敵対者と主人公のみの描写です。まだ逃げようとはしていませんでしたので。
 環境の描写は、それが物語に絡んでからか、ちょっと間が空いたときに伏線?として小出しにしとくくらいでいいと思います。まだ必要ありませんから。

 長くなりましたが蛇鷲様の書かれた小説に戻ります。展開が少ないですね。
 キャラクター同士の台詞の掛け合いというのも、1つの展開だと思います。これだけで成り立っているコメディなんかもあります。けれど状況設定をおろそかにしてはいけません。

 台詞は地の文に比べて書きやすいです。私はそうです。それは、事件でも災害でも好き放題おこせる地の文と違って、キャラクターの個性に反することは台詞に出来ないからです。
 『このキャラクターの台詞である』という、枷がすでについてるんですね。だからキャラクターの個性から方向性を見出だせます。

 書けることがたくさんあっても、重要でないことは書きたくないので、重要なことが何かわからないと書けないんです。だから地の文より台詞のほうが書きやすい。私はですが。

 しかし。書きやすいからといって上手く書けるわけではありません。まだまだ無駄が多いです。重要なことが何か見えていません。だから状況設定が大切なんです。さらに枷を増やしましょう。言えることがどんどん減って、地の文で何を書いたらいいのかがみえてきます。

 台詞が書けるなら地の文も書けるんです。状況設定をちゃんとして、展開できるようにしましょう。
 御作はお化け嫌いな子を騙して、肝試しのようなことをしようとしているのかな、と思うのですが。それが展開しだすのはどこからですか。騙して連れていっている(?)という部分は、後回しにすると回想をいれないといけないほど重要ですか。

 どうしても時系列順に書きたいときは、今回蛇鷲様が展開されている会話劇のように、状況的な展開は置いておいて、キャラクターを掘り下げるというのはとても有効な手段だと思います。
 物語てにき受け身な形式ぽいので、状況が動き出す前となると、キャラクターを掘り下げる以外ないんじゃないでしょうか。

 会話劇での地の文はテンポ調整が主です。ほぼ必要ありません。だから書けないのでしょう。地の文を増やすなら、会話劇は短めに。
 例えば雰囲気をだすために周りやキャラクターの表情を描くだとか。まあ、そういう怖さの演出、という方向だと展開ではなくメタなので、もう少しどうにかした方がいいのですが。

 一番手っ取り早いのは状況を動かすことですね。怖い話が書きたいのなら、怖いところ、か、怖がっているところ、を書きましょう。

地の文が書けないの返信 (No: 3)

投稿者 あまくさ : 0 No: 1の返信

投稿日時:

HNをよくお見かけするので、これまでにどんな質問をされていた方だったかなと思い、軽く読み返してきました。ニコニコ動画への投稿歴があり、そこでメタ発言がうけていたのですね。
物凄くなるほどと思いました(笑
示された冒頭の文章は、動画と小説の違いを測りかねているところに問題点があるかもしれません。

メタ発言そのものは必ずしもだめではないと思っているのですが、冒頭から多用しすぎでかなり読みにくくなっているようです。小説として読者に内容を効果的に伝えるにはどうしたらよいか。それをあれこれ考えれば、地の文は巧拙はべつとして自然にできてくるものです。

今少し時間がありませんので、夜にでも時間が取れたらもう少し詳しく説明できるかもしれません。

地の文が書けないの返信 (No: 4)

投稿者 ふ じ た に : 0 No: 1の返信

投稿日時:

メタの表現が上手いですね。
これはこれで作者さまの武器な気がしますよ。

ところで本題に戻りますが、
こういうときは、解析してみると、自分の文章に何が足りないのか分かりやすかったですよ。
試しに、小説形態素解析CGI(β)で解析してみました。
https://ennach.sakura.ne.jp/Morph/index.html

「会話文主体の文体のようです。
 かな:漢字の比率は読みやすい範囲だと思われます。
 1つ1つの文章の長さは平均よりやや短めです。テンポがいいぶん読みやすいと思います。
 文体やテンポにもよりますが、平均と比べだいぶ副詞が少ないようです。
 指示語によって文章がうまく流れています。
 接続詞が少なめです。文章運びはテンポ・感性重視のようです。
 体言止めが平均より多めに使われています。
 連用中止法が高い頻度で使われています。
 若干説明寄り・要約寄りな文章展開のようです。具体的には、自立語における名詞の比率がやや高いようです。
 動きの描写に比べると、物事を形容する言葉がやや多いようです。」

>若干説明寄り・要約寄りな文章展開のようです。

エンタメの構成は「場面」が基本だと聞いたので、説明寄り要約寄りってことは、場面の作り方が弱い、もしくはあまり意識せずに書かれていることが原因のことがあります(私の場合がそうでした)。
そのため、状況は伝わるけど、雰囲気までは作中から感じづらくなります。

さらに、
> 会話文主体の文体のようです。
>動きの描写に比べると、物事を形容する言葉がやや多いようです。

とあるので、もっとキャラの動きを地の文に落とすと、もうちょっとバランスが良くなるのでは?と感じました。

私の経験からの解釈なので、間違っていたらごめんなさい。
何かの参考になれば幸いです。

ではでは、失礼しました。

地の文が書けないの返信 (No: 5)

投稿者 サタン : 2 No: 1の返信

投稿日時:

のんさんが指摘されているけど、私も「ナレーションみたいだな」と感じた。
それはそれで味があると思うし、何がどう、と細かいことはあえて書かないけれど、
いろいろ説明をはぶいて助言すると、セリフの一部を地の文にまわしてしまえば書くことは増えます。
例えば、
> 少女の前に少年が一人倒れている。
>「どうしてこうなったのかって?これには深い事情があるんです」
> そんなわけでしばらく時間はまき戻る。
この冒頭は

 少女の前に少年が倒れている。
「これには深い事情があるんです」
 どうしてこんなことになったのかと、眼が少女を批難しているように見えたのだろう。問うまでもなく少女は毅然と口を開き「事情」とやらを語りだした。
 ーー時計の針は数時間巻き戻る。

こんな感じでしょうか。
「どうしてこうなったのかって?」という部分を地の文に落とし込んだだけです。
まあ、これだと地の文で書くことは増えるんだけど、書いてるだけでほとんど描写してないので、「こうすれば良い」という話じゃなくて「とりあえず地の文が増えるよ」というだけの事です。
ついでに、
>「はあ、もうUMAなんていいから帰りたいよ」
こういう「ため息」なんかも地の文に落としやすいです。

 燈は深い溜息を再度吐き出して、遠い目でぼやいた。
「もうUMAなんていいから帰りたいよ」

とか。
セリフを地の文に落とすと、つまりこれは「セリフを口にしてるキャラの状態を解説している」という地の文になるので、キャラの状態はわかりやすくなります。
でも、コレばっかだと背景が書かれないことになるので、真っ白な空間でキャラが会話してるように見えちゃう。
そのため、ほとんど描写してないし「とりあえず増えるよ」というだけの手段です。

地の文が書けないの返信 (No: 6)

投稿者 t : 1 No: 1の返信

投稿日時:

こんにちは。パッと読んだ感じ、たしかに夜野燈と奏がどういった人物か分かりませんね。
つまり人称が弱いのですが、とはいっても沼に行くことを読者にちゃんと書こうとする気持ちや、燈や奏の魅力を書きたい台詞、心情としてUMAや改造人間などの情報も入れたい、そして全体を面白くしたいメタ発言といった感じで。苦心されている様子が痛いくらい伝わってくる、真摯に向き合っている素敵な文章です。

小説の文章には、”誰が書いても面白くなる展開”と”技術を必要とする展開”があります。
誰が書いても面白くなる展開を使えば、昨日今日はじめた初心者さんが文章ド下手で書いても普通に面白くなります。
異世界なろうテンプレやチートハーレムはゴミだという人がいますが。(その意見には賛同できる部分もありますが……)。世の中には、”誰が書いても面白くなる展開”を使って書かれているものが、私達の身近にはかなりたくさんあります。
別サイトでもなんでもいいのですがネットの短編で高評価ものとか、探せばいくらでもでてきます、そういった、誰が書いても面白くなる展開の引き出しを多く持っておくことも大切です。

この夜野燈の短編は、技術を必要とする展開なので難しいです。
例えば今だと一手間加えて、誰が書いても面白くなる展開に傾けるのは簡単です。
燈か奏のどちらでもいいのですが、
夜道でつまずいて転びそうになったところを、手を掴んで体を支えてもらう。2人はしばらくの間、手を繋いで歩いていたが、そのことに気付くと手を放し気まずい空気が2人に流れた。
というシーンを、
「まさか迷ってる?」
「だ、大丈夫よ。ちゃんとつく、もうすぐだから」
このあたりに挿入するだけでお話が少し分かりやすくなります。
しかしこのようなやり方は、
周りの作家レベルがちょっと上がっただけで、まったく通用しなくなります。

この短編の一番の課題は、最後まで読んでも、夜野燈と奏がどういった人物か分からない点につきます。
これはどうしてかというと、よく視点人物はカメラに例えられますが。
視点人物が弱いと面白さが半減してしまいます。
その原因として、夜野燈には動機が書かれていません。
もちろん作中では、
『今回は幼なじみ兼別の支部所属の月影奏に「水中から白い触手を出すUMAを見せてあげる」言われ、半ば強引に連れ出されたのであった』
と提示されているのですが、ちなみにこれは非常によくあるミスなので重く受け止めないでください。

小説では、
『今回は幼なじみ兼別の支部所属の月影奏に「水中から白い触手を出すUMAを見せてあげる」言われ、半ば強引に連れ出されたのであった』
が、夜野燈をどのような気持ちにさせたのか! までを、つまり後もう一歩踏み込んで書かなければいけません。

半ば強引に連れ出されたことに対して、夜野燈は怒ったのでしょうか。
もし彼が怒ったのであれば、腹が立って、憂さ晴らしに周囲の物を殴るかもしれません。
あるいは夜野燈は奏のことが好きなので、彼女にいいところを見せようと思ったのかもしれない。その場合は、彼女が普段香水をつけているかどうかは分かりませんが、歩きながら香水を褒めようとして言い出す機会をずっと伺っていたのかも。
あるいは、奏に従わなければ何かしらのペナルティを加えられるのだとすれば。地の文で、もし文句でも言おうものなら奏からどんな罰を与えられるのか、それで胃が痛いだとか。
まとめると、夜野燈はどんな人物か?

このお話は事実として、夜野燈と奏が山道を歩いて沼に行きます。
その現実にもう一歩踏み込んで、視点人物である夜野燈はどのような心境や考えで、山道を歩いて沼に行くのかを地の文に書くようにしていくと、全体を通して流れが生まれてきます。
夜野燈、彼から見える景色を、これは視点人物のフィルターを通してといわれるやつですが。
その部分に注目しながらあらためてネットやプロの本を読んでいくと、新しい発見があるかもしれません。そしてコツを掴むまでが大変ですが、分かってくればすぐだと思います。
何かの参考になれば幸いです。

地の文が書けないの返信 (No: 7)

投稿者 手塚満 : 0 No: 1の返信

投稿日時:

文字数をカウントしてみますと、約1300字ですね。読むのに2~3分くらいでしょうか。それだけ読んでみても、冒頭のツカミになるイベントも起こらず、読むモチベに大事な「誰がどこで何をする話なのか」も明かされていません。

読んだ感じでは「そもそも作者さんが何の話をしたいかということ自体、ないんじゃないか」と思えてしまうほどです。しかし、話を書き始めておいて書きたいことがないなんて、ちょっとあり得ない。

1.最初の3行だけでも問題山積

もしかすると、以前ご質問の「「わかる」前提で話を作ってしまう」があるのかもしれません。が、もしそうだとしても、それ以前の問題になっているようです。出だしの3行を見てみます。

01>  少女の前に少年が一人倒れている。
02> 「どうしてこうなったのかって?これには深い事情があるんです」
03> そんなわけでしばらく時間はまき戻る。

01で簡単に状況が描写されています。周囲の状況等は分かりませんが、必要な情報としてはミニマムに示されている。だから02の台詞も発することができる。

しかしその02の発話者は誰なんだということは分かりません。倒れた少年が喋ったのか(台詞直前に描写されたキャラは少年)、少女が喋ったのか(少女は特段の描写はなく、喋れそう)。

その02も誰に向けたかは分からない。少年、少女以外にその場にいる誰かかもしれない。ずっと読んでみても、この3行に至る状況は示されていないに等しい。おそらくメタ表現だろうと思えますが、文章中にあからさまにメタ表現と言っていること以外に、以前に「メタ発言の是非について」というご質問があったから、おそらく02もメタ表現だろうと推測できる程度です。

何も分からないで読み進めようとすると、続くのが03で「そんなわけで」と言われる。おそらく、この3行で目を引けると思われたのでしょうか。分からないことがあると知りたくなるはずとのお考えで。しかし、分からなさすぎて読みたくない、になるリスク大です。
(それ以外に、以降が回想になるため、少年・少女に何が起ころうが01の状況になることが分かってしまうデメリットもあるけど、分からなさの害と比べたら些細。)

2.分かってもらおうとしていないのでは?

分かる前提で書いたかどうか以前です。読者(通例、作者とは見ず知らずの赤の他人)に分かってもらおうと思ってすらいないような印象です。頭の中で組み立てたシーン、そこで動くキャラを眺めながら、気になった部分だけ書き出したような、自作への感想を言ったような感じしかしません。

しかし、おそらくこの3行を書いたことで読者が先を知りたくなって読んでくれると思われたのか、キャラも地の文の語り手も駄弁りを始めてしまう。駄弁りの内容が面白おかしければいいですが、申し上げにくいことですが、全くそうではない。

3.メタ発言が有効ではない

ぱっと目につく害はメタ発言です。メタ発言は面白いものもあります。ですが、メタ発言の発言者(キャラ、地の文の語り手)に魅力がないといけません。メタ発言はフィクションであることを思い起こさせる、いわば没入している読者を現実に引き戻す作用があります。

なぜなら読者に直接語り掛けるわけですから。読者が語り掛けて欲しいキャラ出ないと効果が薄いか、下手すると逆効果です。また、メタ発言者が目立ってしまう行為でもあります。メタ発言者(キャラ、地の文の語り手)ストーリー・ドラマ外へ出てくるわけですので。

冒頭って、読者はまだどのキャラへの感情移入も起こっていません。三人称の地の文の語り手だって、名前がないけどキャラの1人です。三人称の地の文の語り手が、例えば読者が分かるよりちょっと詳しく説明したり、読者が気が付くより少し早く説明したりすると、読者として三人称の地の文の語り手を信用できるようになります。この地の文の語り手にガイドを任せてもいいな、といった感覚です。

そうなってから地の文の語り手がメタ表現しても、実は読者としては語って欲しかった気持ちがあるので受け入れられます。主人公などの登場キャラも、読者が感情移入し、共感でき、好きになってからならメタ表現を受け入れ可能になります。好きなキャラがちょっと声をかけてくれたら嬉しい場合もあるわけですので。

ですが、冒頭なんです。どのキャラも、地の文の語り手もまだまだ赤の他人状態です。読者としては地の文の語り手含め「こいつらって何者だ?」と思っている状態です。興味はまだわかず、下手すると警戒感がある状況なわけです。

そういう状況では、メタ表現はリスクが高いです。どこの誰で、何をしたいのか分からないキャラが、いきなり物語外へ出てきたら、「これは物語ではないのかも」「読むものを間違えたか」と読者が思いかねません。地の文の語り手も同様です。

4.メタ発言同士で衝突している

かつ、メタ表現するキャラが地の文の語り手も含めて複数います。あいつもこいつも、どこの誰だか分からないのに、競うように目立とうとしてくる。正直なところ、個人的にはですが、イラっとさえします。

キャラがまだ分かってないのにメタ表現する弊害はまだあります。どれがメタ表現なのか確信が持てないのです。このキャラならこの状況でこう言いそう、そう言ってもおかしくない、といったことがまだ分からない。だから、唐突に他のキャラに語り掛けた台詞か、独り言か、メタ表現なのか区別がつきにくい。

5.あってもいいだけのものはなくてもいい

メタ表現は読者がキャラや地の文の語り手を理解し、好きになるまでは使うべきではありません。もう少し申せば、終始使わないで済むなら、使わないほうがいいほどです。少し大枠で考えれば、あってもなくても構わないものはないほうがいい、ということです。さらに申せば、あってもいいものですら、削れないか考えるべきです。
(もちろん、そう考えてみてもなお、メタ表現を活かせる場合なら使えばいい。そういうものこそ、魅力あるメタ表現となり得るはずです。)

6.物語が設計されていないのでは?

メタ表現以外では、キャラが言ったことを全て収録した感じがあります。まるで字数稼ぎしているかのようです。だけど、おそらく作者さんが少年・少女のキャラが好きで、言ったことを漏らさず書きたいからではなさそう。

冒頭の3分で何を読者に示すべきか、整理できていないからではないかと思います。言い換えれば、どんな情報を、どういう順序で出せば、読者に物語が伝わるかを設計していない。なんとなくこういうシーン、と想定して試行錯誤してしまってないでしょうか。

読者から見て2人の他愛ない駄弁りであっても、作者としては常に狙いを持っているべきです。読者に何を伝えたいか、ですね。決して、いかにも駄弁っているっぽく見えればいい、なんて文章を書いてはいけない。2人の不安を伝えたいのか、状況を飲み込めていない2人の危機を描くのか、目的意識に沿って、会話も描写となるようにすべきです。

最初に申したことを繰り返しますが「誰がどこで何をする話なのか」を伝えるという冒頭の目的から外れています。しかし、単にそれらを説明したって読みたくなる者にはなって行かない。目を引くイベントで間接的に可たる必要があります。

7.誰がどこで何をする話なのかが最重要

くどいですが繰り返します。「誰がどこで何をする話なのか」を見せるイベントを、まず組み立ててみてください。地の文がどうとか、台詞の工夫とか、メタの可否とか、冒頭のイベントの骨子を組み立ててからです。伝えたいこと、伝えるべきものが決まらないのに、些事に拘っても何も始まりません。

地の文が書けないの返信 (No: 8)

投稿者 あまくさ : 2 No: 1の返信

投稿日時:

朝の書き込みからの続きになります。もう少し具体的に御作の冒頭に沿ってみていきます。
示された部分の内容をまとめると、

1)少年と少女が夜更けの林の中を歩いている。

2)二人はとある秘密結社の異なる支部に所属している。少年は改造人間である。(少女も改造人間? ここ、ちょっと曖昧ですね)

3)少年は少女に誘われて、白い触手をもつUMAを見るために沼に向かっている。

4)少女は沼に向かう本道を通らず、そのためちょっと迷いかけた様子。少女=方向音痴疑惑も浮上するが、少女が何か隠している気配が垣間見える。

5)沼の反対側に懐中電灯を手にした数人の人間がいる。少女は彼らに見つからないようにわざと裏道をたどってきたふしがある。

6)沼にいるのはUMAではなくお化けであるらしい。

少し前にこの掲示板でストーリーの本筋とは何かという話をしたのですが、以上が示された部分の本筋と思われます。もっとも情報が不足して判断しきれない部分もあるので、私の読み違い、または他に重要なポイントなどがあったら教えてください。ただしストーリー展開の話としては、序盤で情報が十分でないことは普通なので問題ありません。

情報不足は問題ありませんが。
読者に興味を持ってもらうために、先に気を持たせるようなタネはまいておきたいところです。なおかつ、そこはしっかり印象づける必要があります。読み流されてしまったら何にもなりませんから。

で。
仮に上記の1〜6がそれほど的外れではないとしたら、先の展開につながりそうなポイントは4ではないかと思いました。少女が何か隠しているというところですね。隠し事があれば、それが明かされていく過程だけでもストーリーになります。つまり、4で少女がごまかすような言い方をした部分で「何かフラグが立った」と見たわけです。合っているでしょうか?

そうだとすると、先の書き込みでも触れましたがメタ発言の多用はちょっと邪魔かもしれません。それらが目立ちすぎてフラグが埋没している感じがします。
先にも書きましたがメタ発言はスレ主様の持ち味にもなり得るでしょうから否定はしません。しかし、どこでどう使うかという匙加減は慎重に考えた方がいいと思います。現状ではあれがノイズになっているきらいがあり、文章が読みにくくストーリーが分かりづらくなってしまっています。読者の頭がまだ白紙の状態の冒頭ですからなおさら致命的です。

次に、これも先の書き込みで触れましたが、小説と動画の違いを測りかねているのでは、ということについて。
ここまで述べてきたように1〜6の内容にはある程度先の展開を期待させる要素が含まれていると感じたのですが、それとメタ発言をのぞくと、このシーンは少年と少女が林の中を歩いているだけです。

……いや。秘密結社の改造人間とかUMAとかけっこうぶっ飛んだ要素もあることはあるのですが、それでいて全体の雰囲気は子供たちが誘い合わせて肝試しでもやっているような平穏さにつつまれているので、今のところ浮いている感じです。

ところがこれが小説ではなくアニメなどであれば、平穏に林の中を歩いているだけでも何とかなってしまうこともあるんですね。理由は簡単で、絵という鮮烈なツールがあるからです。「百聞は一見に如かず」とはよく言ったもので、キャラ達がおバカな会話をしていてもノイズになって状況が分かりにくくなったりしないし、林の中の風景も作画によってはそれだけで視聴者を楽しませることが可能です。しかし文章だけの小説ではそれらは逆立ちしてもできない表現なので、キャラの分かりやすい行動やフラグを目立たせるなどに注力する必要があるのだと考えます。

最後にメタ発言・ギャグ要素について。
何度も繰り返しますが、スレ主様がこれを武器にしようとしていらっしゃるのなら他人から否定するようなことではありません。ニコニコでうけていたとのことですし、小説でもうまく使いこなして読者にうけるなら正義です。
ただ、一般論としてあの手法は取り扱い注意の危険物ぎみかなとは思うので、少しだけ指摘しておきます。
他の方からもナレーションのようだというコメントがありましたが、特に地の文に作者が顔を出してキャラと会話しはじめたあたりです。なぜ危険物かというと、ああいうのは読者にわざわざ作者の存在を思い出させてしまうという手法だからです。むしろ読者には作者の存在を忘れて物語世界に没入してほしいところ。その没入感の妨げになりかねないことを危惧してしまいます。
ですがこの点は異論もあるところでしょうから、当方の持論を押し付けるつもりはありません。考えられるデメリットと秤にかけて判断していただけばよいかと思います。

地の文が書けないの返信 (No: 10)

投稿者 t-log : 0 No: 1の返信

投稿日時:

会話文が続く下記の個所に、地の文を挿入しました。
最小限の範囲で、セリフも改変してます。

>「そうじゃなくて。はあ、それよりまだつかないの?」
>「え~っと、沼にはもうついてもいいころなんだけど」
>問われたことに対し言葉を濁す奏、その態度から燈は嫌な想像をする。
>「まさか迷ってる?」
>「だ、大丈夫よ。ちゃんとつく、もうすぐだから」
>「はあ、もうUMAなんていいから帰りたいよ」
>「ここまで来たら退くだけ損よ、口じゃなく足を動かして」
>「そんな気質効果は損の元だよ。そもそも奏がいきなり言い出さなければうちが下調べして先導できたのに」
>「そんなことされたら…っと、ついたわよ」
> 話している間に藪を抜け、二人は林から沼のほとりに出る。

「そうじゃなくて。はあ、それよりまだつかないの?」
「え~っと、沼にはもうついてもいいころなんだけど」
歯切れの悪い返答に、燈は嫌な想像をする。
「まさか迷ってる?」
「だ、大丈夫よ。ちゃんとつく、もうすぐだから」
 秦の「大丈夫」ほど当てにあらないものはない。燈の悪い想像は当たっていたらしい。本当に迷ったようだ。
「はあ、もうUMAなんていいから帰りたいよ」
 いつ目的地につくか、わからないと思うと、急に背中の荷物が重く感じだした。足取りが重くなる。うなだれたせいで、ヘッドライトの光が関係のないところを照らし出す。
 遅れだした燈に、秦は舌打ちをした。 
「ここまで来たら退くだけ損よ、口じゃなく足を動かして」
 そう言って強引に手を引く。だが燈の士気は上がらない。
「そんな気質効果は損の元だよ」
 そもそも奏が、いきなり沼に行くなどと無理を言わず、十分な時間さえくれれば、燈自身が下調べして先導できたのだ。そう愚痴をこぼすと、秦はかぶりを振った。
「駄目よ、そんなことされたら…」
「なに?」
 燈は秦の顔を覗き込んだ。彼女は気まずそうにそっぽを向いた。
「なんでもない……ってほら、ついたわよ」
 秦が右手を上げ、まっすぐ前を指さした。
 深い藪を抜け、ようやく二人は林から沼のほとりへ出た。

こんな感じでどうでしょうか。
ざっくりなんで、文章表現が拙いのはご容赦を。

人が会話するとき、口だけが動いているわけではありません。
身振り手振りや、頷いたり首を振ったりもします。
嬉しい話なら喜び、嫌なことを言われればムッとします。

今作であれば、歩きながら会話しているわけです。
精神状態によって、足取りが軽くなったり、重くなったりもするでしょう。

そういう仕草、表情、行動を地の文で描写すればいいのです。

セリフのみで書くよりも、感情表現が豊かになります。

また、一部セリフを地の文に落とし込めばメリハリがでます。

参考になれば幸いです。

御礼 (No: 11)

スレ主 蛇鷲 : 0 No: 1の返信

投稿日時:

 皆様方ご指導ありがとうございます。
いただいた指導をもとに小説らしく書き直します。
 ただ、メタ発言をなくせるかと言われると自信がないです。ほおっておくとキャラがすき勝手に尺などに言及するほど当たり前に使っていたもので・・・

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タイトル:地の文が書けない 投稿者: 蛇鷲

 寒くなってきた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて今回相談したいことは表題の通りです。正直に申しまして、[なぜかけないのか]どころか[そもそも何を書けばいいのか]すらわかりません。人並み以上に本は読んでいるのですがそれでもさっぱりです。
 以下に現在執筆中の短編の書けた部分を開示しますので、どういったことが足りないのかご教授願いたいです。
ーー以下小説ーー
 少女の前に少年が一人倒れている。
「どうしてこうなったのかって?これには深い事情があるんです」
そんなわけでしばらく時間はまき戻る。

 夜も更けてすっかり暗い林の中、荷物を背負った少年が立ち止まっていた。大きなリュックのためか背を丸め、ヘッドライトをつけた顔には困惑の色が浮かんでいる。
「いやいやこんな始まり方されたら誰だって困るよ」
「開幕早々メタ発言なんかしない」
少年に言葉を返したのはセミロングの少女。こちらは藪打ち用の鉈を持ってはいるがそれ以外の荷物は少なく、身軽な格好をしている。
「いやだって、ウルトラマン第二話みたいな始まり方じゃ真面目な作品とはだれも思わないよ」
「初代バルタン星人は十分真面目な話じゃない。比べるなんて脚本家の方に失礼よ」
「ぬぐ、けどもう少し雰囲気ってもんがさあ」
そんな会話をしつつ、少女が少年を先導し林の中を進む。
「ねえ奏、うちら少年少女って年かな?」
「燈、女性の年に触れないのはマナーだと思うのだけど」
あまりメタ発言ばかりだと話が進まないのですが。
「「お前が努力しろ」」
ごもっともで。
 生暖かい空気の中、ヘッドライトの明かりを頼りに燈と奏は進んでゆく。
「これ、状況説明した方がいいんじゃないかしら」
夜野燈はとある秘密結社所属の改造人間である。今回は幼なじみ兼別の支部所属の月影奏に「水中から白い触手を出すUMAを見せてあげる」言われ、半ば強引に連れ出されたのであった
「説明が雑、それに無理やりすぎるすぎる」
「そうね。これじゃ燈がUMAにつられて40秒で支度してついてきたってことがわからないわね」
「そうじゃなくて。はあ、それよりまだつかないの?」
「え~っと、沼にはもうついてもいいころなんだけど」
問われたことに対し言葉を濁す奏、その態度から燈は嫌な想像をする。
「まさか迷ってる?」
「だ、大丈夫よ。ちゃんとつく、もうすぐだから」
「はあ、もうUMAなんていいから帰りたいよ」
「ここまで来たら退くだけ損よ、口じゃなく足を動かして」
「そんな気質効果は損の元だよ。そもそも奏がいきなり言い出さなければうちが下調べして先導できたのに」
「そんなことされたら…っと、ついたわよ」
 話している間に藪を抜け、二人は林から沼のほとりに出る。
そこそこの大きさはあるが葦など水生植物は少なく、暗くよどんだ水面がよく分かる。
何かが出てもおかしくないという雰囲気に燈の顔色がより悪くなる。
「これはUMAよりも幽霊が出そう・・・あれ、他の人がいる?」
耳聡く人の声を聞きつけ沼の反対側を見る燈。そちらには懐中電灯と思しき明かりが数条動くのがみえる。
「あ~、ちゃんとした道を通れば向こうに出るんだ」
「ちょ、ちょっと待って。ちゃんとした道があるの知っててわざわざ林の中をえっちらおっちら歩かせたの?自分が方向音痴だって自覚してる?」
「だって、もしほかの人と会ったらここがなんなのかバレ…二人っきりになれないじゃない」
「ごまかし方が雑。ここ、UMAが出るんじゃなかったの」
燈の追求に奏は悪びれる様子もなくあっさり口を割る。
「ちゃんと出るわよ。UMAじゃなくお化けだけどね」
お化け。この言葉に燈の顔は青くなる。
「・・・帰る」

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