鬼畜ヒーローを描きたいの返信
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鬼畜ヒーローを描きたい(元記事)
どうもこんにちは。いつもお世話になっております。
最近久しぶりに新作の作業を進めているところなのですが、スレ題通り鬼畜ヒーローを描きたいです。
ただ近年の作品での鬼畜ヒーローの流行傾向があまりわからないので、あまりやりすぎた鬼畜ムーブをして読者に引かれるかどうかの不安も多少はあります
北斗の拳やジョジョ三部、デスノート(手段を選ばないという面においてはLも含む)などの鬼畜ヒーローが登場する名作を多く輩出した少年ジャンプでも近年はヒロアカの緑谷出久や鬼滅の刃の竈門炭治郎みたいな礼儀正しい主人公が増加傾向にあるそうです。
ライトノベルの作品ではざまあ系でもあからさまな復讐者主人公は嫌煙されているそうですし、やりすぎた時のリスクが大きい題材であると思っています。
ちなみに今企画している作品の鬼畜ヒーローとその周囲の人物の設定はこんな感じです。
●主人公
物語の本来の主人公です。
このスレッド内で開示が必要な情報は「冒険者で、ジョブはRPG的に表現すると狩人」「彼が山で遭難することが物語のオープニング」「自衛のためにリザードマンの熟練戦士を倒したため彼らに報復で狙われる」くらいです。
●リザードマン
物語の敵役です。
竜を神として信仰している種族で仲間意識が強く、ベテラン戦士でも討伐は容易ではない程度の強さがあります。
山にいる魔物の中ではかなりヒエラルキーが高く、下級魔物から税と称して食料を略奪しています。
●エリザベート・クロウリー
竜人に変身する力を持っている魔法使いで、彼女がメインで相談したい鬼畜ヒーローです。
魔物退治のために山へ向かいましたがその際に負傷してしまい、竜の力を多用した反動で帰還することすらままならないほどに体力を消耗したところでリザードマンに見つかりました。
その際リザードマンは竜に変身する彼女を神の使いと勝手に思い込んで自分達の集落に連れ帰り、彼女を「竜の巫女」に祭り上げ自らの部族の要職につかせました。
抵抗する体力が残っていないエリザベートは「体力が回復するまでの間接待してもらおう」と思って彼らの貢物で生活しながら内政を執ります。
※ここから鬼畜ヒーロームーブ開始です。
そこから彼女は横暴の限りを尽くし始めます。
・人間の街への侵攻作戦の全面禁止(縄張りに入られた時の反撃のみ許可)
・些細な理由でも気に入らないと思ったら自由に粛清を行う
例)客観的に見ても戦術的撤退の範疇を逸脱していない行動すら敵前逃亡とみなし、粛清。ご飯の内容が気に入らないという理由だけで料理人を粛清。粛清された者をかばおうとした者も一人残さず粛清。
・夜遅くにお腹が空いたらメスのリザードマンが産んだ卵をこっそり盗み出し、夜食にする。
・肉しか食べないリザードマンに対して、肉以外のものをよこせとねだり、自分しか食べない木の実や山菜の調達を無理矢理行わせる。
彼女自身は「早く人間の街に帰りたい」「自分のことを崇拝していようが敵は将来的に皆殺しにする」という意図で行動しています。
最初に記述した侵攻作戦の全面禁止は人間の敵に加担するのが嫌だからという理由で、理不尽な粛清の数々は元気を取り戻した後のために戦士の数を間引き一族全体を疲弊する作戦です。(ちなみにその虐殺は主人公の存在がトリガーになりました)
私自身はエリザベートを仲間にする形でエンディングにしたいです。
幸いにもエリザベートはかなり強キャラなので、リザードマンが全滅した後に主人公一人では倒せないボスキャラを出して共闘させるなど、主人公との信頼を作る方法はいくらでも思いついています。
ですが魔物相手とはいえ横暴な粛清をしていたキャラクターを読者の方が受け入れてくれるかどうかは心配です。
鬼畜ヒーローを描きたいの返信
投稿者 あまくさ 投稿日時: : 1
この案件はけっこうセンシティブかもしれません。
人間の倫理観には個人差があり、冷静に見える人間でも「ここだけは触れられたくない」という微妙な感情をどこかに隠し持っている場合があります。
また。
創作界隈にかぎらず近年SNSなどで炎上している案件を見ると、加害者に対する大衆の処罰感情が強まっていて、それがネット社会を背景に同調圧力をともなって拡散する傾向を感じます。
もう一つ重要なのは、陣営間の対立の構図です。
提示された登場人物の設定や立ち位置を見ますと、エリザベートの「鬼畜性」はリザードマンのみに向けられていることに気が付きます。
そしてポイントは、リザードマンが「悪役の陣営」として位置づけられていることです。
>・人間の街への侵攻作戦の全面禁止(縄張りに入られた時の反撃のみ許可)
>彼女自身は「早く人間の街に帰りたい」「自分のことを崇拝していようが敵は将来的に皆殺しにする」という意図で行動しています。
>最初に記述した侵攻作戦の全面禁止は人間の敵に加担するのが嫌だからという理由で、理不尽な粛清の数々は元気を取り戻した後のために戦士の数を間引き一族全体を疲弊する作戦です。
これらは「人間」である読者にとっては鬼畜要素ではないんですね。描き方のチューニングさえ間違えなければ、人間を守るための正当な行為と受け取ってもらえる可能性はあります。
つまりエリザベートは、リザードマンにとっては鬼畜、人間にとってはヒーロー足り得るということです。
* * *
ここで、一応、個人的な倫理観からくる「余談」を挟みます。
私的には、「~にとっては鬼畜、~にとっては英雄」という立ち位置に一抹の危うさは感じないでもありません。
ちょっとヤバイ例ですが。
シェークスピアの『ベニスの商人』に登場するシャイロックは、きわめて卑劣な悪役として描かれた「ユダヤ人」です。
ナチス体制時代の収容所看守の中には、「シャイロックを裁く気持ちでユダヤ人に拷問を行った」という証言もあることを、指摘しておきたいです。
個人的には、これは人間という動物が潜在的にもつ最も危険な性質だと思っています。
* * *
……という私の私的な問題意識はおくとして、ぶっちゃけ「悪役として位置づけられた種族が相手なら、多少ひどいことをしても許せる」という読者感情はありますから、創作のテクニックとしては利用できますよ。
以下は、最初に述べたセンシティブで個人差のある倫理観の一例として。
>・些細な理由でも気に入らないと思ったら自由に粛清を行う
>例)客観的に見ても戦術的撤退の範疇を逸脱していない行動すら敵前逃亡とみなし、粛清。ご飯の内容が気に入らないという理由だけで料理人を粛清。粛清された者をかばおうとした者も一人残さず粛清。
織田信長を思い出しました。
信長が家来の秀吉の城を訪れるために安土城を留守にしたことがあるんですね。旅程から考えて日帰りは有り得ないだろうと思った女房衆が、羽根を伸ばそうとして城外の寺に参詣したりしました。ところがせっかちで有名な信長が馬を飛ばしてその日のうちに帰城してしまい、激怒。仕事を離れていた女房衆を全員斬れと命令し、彼女たちを擁護した僧侶まで処刑してしまったというエピソードがあります。
信長というキャラは、自分にも他人にもきびしい人物というイメージが強いです。良くも悪くも苛烈すぎる性格で時代を切り拓いた英雄という人物像が確立しているので、嫌いな人も多いだろうけど、キャラ立ちにブレがなければわりと大丈夫なところがあるようです。
>・肉しか食べないリザードマンに対して、肉以外のものをよこせとねだり、自分しか食べない木の実や山菜の調達を無理矢理行わせる。
これは、さほど憎めないただのワガママという感じしかしません。
>・夜遅くにお腹が空いたらメスのリザードマンが産んだ卵をこっそり盗み出し、夜食にする。
個人的は、これが一番微妙です。
卵生の生物にとって、卵は赤ん坊に等しいかもしれません。ましてリザードマンは知性のある生物ですから。
「将来的にはリザードマンを皆殺しにしようとしている」ということなのでブレはないのかもしれませんが、「幼い命への想い」というのは読者にとっても微妙な感情につながる可能性のあるファクターなので、熟慮した方が良いかもしれません。
むしろ、上手く逆に使えばエリザベートの「鬼畜ヒーロームーブ」の中に「好感度」を生み得る美味しいモチーフだとも思います。
* * *
もう一つ、重要なポイント。
>私自身はエリザベートを仲間にする形でエンディングにしたいです。
設定を見る限りエリザベートは根っからの鬼畜とは思えないので基本的には大丈夫だと思いますが、「改心しないまま主人公陣営に加わる」という行動に強くこだわる読者はいると思います。
これも陣営の対立と価値観の微妙なずれ、という問題に繊細に関わる点ですが、敢えて詳述はしないことにします。
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