技名口上の返信
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技名口上(元記事)
異世界系とかで、魔法を放つ時や、剣で斬りかかる前に、技名て書いた方が良いんですか?
あまり書きたくない派です
技名を書かない人がいたら、どういう書き方するのか教えてください。
技名口上の返信
投稿者 手塚満 投稿日時: : 1
魔術や武術等の技名を書くか否かが先決ではなくて、文章で何を描くかによって、技名が必要か否かが決まります。以下、少し説明してみます。
1.北斗の拳の事例(北斗と南斗の相違)
文章と言っておいてなんですが、有名な、もう古典と言っていい「北斗の拳」から少し。主人公ケンシロウは技名を言いますね。おおむね技を放った後です。かつ、しばしばその技でどうなるかも解説してます。すると打たれた敵が驚いて、バーンと破裂。
これは主人公が使う「北斗神拳」の設定によるものです。経絡秘孔を突いて、人体を破壊する技ですね。人体内部で先に起こることなので、何が起こったかは(最初は)見えません。ですので、技名+秘孔名+技効果を説明しないと、威力が感じられないわけです。説明を要するので、打たれた敵が死ぬまでの時間的余裕も設定されています。
「北斗の拳」にはライバルの拳法として南斗聖拳があります。こちらは通常の拳法同様、打った力で破壊です。技名はいくつかつけられていますが、北斗神拳ほど重要ではありません。使い手が殴れば敵は即座に破壊され、手を振った途端に斬られるという、分かりやすいものだからです。
(奥義は別で、後述します→5)
2.とある魔術の禁書目録の事例(魔術と(超)能力)
魔法系では「とある魔術の禁書目録」がありますね。魔法系では魔術と(超)能力に二分されています。(超)能力のほうは単純な性質が設定されているものが多い。御坂美琴ですと電撃です。電気を直接流す場合は説明を要しません。少し応用が入るのが「超電磁砲(レールガン)」ですが、序盤では発動前に少し説明が入る程度です。
魔術のほうは((超)能力との差異を出すため)発動条件が複雑になって、手がかかることになっています。こちらは魔術名よりも段取りがあることが明示されて、魔術だと分かることが多い。ストーリーを左右するほどの魔術だと、一回こっきりしか使われないことが多い。
3.繰り返し使われる(多少でも複雑な)技は名前がつく
どちらも技名が重要ではないわけですが、しばしば使われる(超)能力や魔術については、技・魔術名が便利に使われています。何度か名前と説明付きで技を発動したら、読者が覚えてくれます。そうなれば説明抜きの技名だけで済ますことができ、話を運ぶテンポが良くなります。
あるいは、一度しか発動しないけれど、ストーリーの重要アイテムであれば、キャラがしばしば言及することになります。この場合も技名があるほうが、読者が読みやすいものになります。技名がなかったら、どういうものか説明を繰り返さねばなりませんので。
4.読者が知っている単純な技は名前が不要
しかし、例えば動きが単純な剣技だとどうでしょうか。主人公が居合抜きのような剣技が得意技だとして、「剣に手をかけたと思ったら、もう振り下ろしていた」くらいでしょうか。剣道にあるような基本的な剣技も同様です。技名が必要とは思えません。ルパン三世の石川五ェ門は技名を言いませんし、仮にノベライズしたところで技名は必要にならないでしょう。
5.威力感を出すときも技名ありが多くなる
しかし「るろうに剣心」では奥義クラスの技には名前がついてます。奥義らしくするため、剣の動きなどが目立つようにされているからです。見た目だけでは、ぱっと見で区別がつくものではなく、技名も添えることで、読者が主人公が何をしたかがすぐ理解できるようになっています。かつ、技に名前があることで威力についての説得力も増してます。
例えば、ただのストレートパンチだが岩をも砕く、となれば、技名があったほうが迫力を感じやすい。その技の持ち主だから強い、その技が出そうという緊迫感、といった表現もやりやすくなります。文章作品でも使える手法です。
6.描くものの都合で技名の有無が決まる
いずれも作品で何をどう描くかが先にあって、技名の有無の必要性が決まって来るわけです。ですので、技名の有無から考え始めると、ややこしくなるように思います。