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今回はとっても長い追記になりますよ

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表現技法と「憎悪の理由」へのご意見募集の返信の返信(元記事)

 翻訳ものはもとの文法からして視点ぶれしてる表現だったりするから、参考にするのはあまりおすすめできんですよ……
 ナレーション視点の好例っていうとちびまる子ちゃんの「それでいいのか、まる子よ」とかいうキレのある突っ込みとかで、そういう語り手の主観が面白いんだよ……そうでないのって臨場感削ぐだけだったりするし。
 ほとんどサタンさんの意見に同意なんだけど「むかしむかし、あるところに~」で始まる昔話のような、語り手がいて当然、という状態でなければ現在は推奨されない視点だと思っている。似たような意味で歴史小説がなんとか、この神視点が有効利用できるジャンルかなーとは思っているけど。

>さらに具体例を提示させていただきます。
 目の前に広がっている光景はまさに楽園と呼ぶに相応しかった。頭を垂れた【金色の】稲穂がどこまでも続き、樹木には艶を放つ【赤や橙といった】果実がこれでもかと成っている。視線を映せばよく耕された『であろう』土地に、【青々とした】瑞々しい野菜が実を付けていた。
 吹く風は髪を揺らす程度で、息を吸えば手入れされた土壌の匂いと仄かな潮の香りが鼻腔を満たすに『違いない』。稲穂のささやきと波間のざわめきは、疲れた心を夢へと誘うほどに穏やかだ。

 ……ちょ、やばいよこれ、盛大に視点ぶれしてる!!だからあれだけ気をつけてって言ってたのにぃいい(汗

 知覚心理専攻、その中でも色彩心理が専門のうえでの意見を述べさせてもらいますと「人間の感覚の中で視覚の占める重要度の高さは言うに及ばず、といったところなんですけれど、その中での色彩の持つ特徴ってのは『比較的重要ではない、光源などの要因によって容易に変わりやすい不安定な要素なんだけれども、それにもかかわらず人間に与える印象・影響がとんでもなく強い』もの」なんですよ。人によっては無視してもなんとか生活できるにも関わらず、繊細な表現に用いるには非常に重要なファクターってことなんですが。

 難しく言い過ぎたのでわかりやすく言うと「色彩情報がない」時点でふつう「一見しただけで楽園と感じる」「艶を放つ」「瑞々しい」という言葉そのものが出てこない。「色彩がない世界」=「感動が薄い世界」なんですよ。ものすごいおかしいというか、オミクロンさんが主人公の気持ちになりきっていないのがバレバレです。だから多視点やってるとこうなっちゃうんだってばー!!

 さらに言うと、嗅覚は言われるまで気がつかないくらい認識が遅い・できない可能性の高いものです。それをわざわざ想像しているのもすごい変。あと「よく耕された(だろう)」は別に普通の状態でも通用する表現なので、どっちを選んでも全然おかしい表現ではない。(正確には「よく耕された『で』あろう」という表記だと思いますが)まさにめちゃくちゃとしか言いようがない文です。

 いっぺん白内障体験とかしておいで。水中眼鏡やスキーゴーグルに黄色かオレンジのセロハンを貼って家の中で数日過ごすのでもいいけれど。

 ついでに言うと、触覚がない時点では「ものを取り落とす」可能性がとても高いんだけれど、この時点で行動不能になってることだと思いますが。それで動けていること自体がおかしいです。

 あと、味覚は私自身が例に挙げたように、常人でもしょっちゅう狂います(亜鉛を摂れって話ですが……自分の不摂生がバレますね)。あと嗅覚と連動していることが多く、この二つは早い段階で狂いやすいうえに、それで体の不調だと気付かない・気にしないで過ごすことも可能です。「るろうに剣心」で剣心が暗殺の仕事を受けすぎて酒を飲んで「血の味しかしない」と言っても、その時はまだ普通に動けていた。でも、薫が死んだと思わされた時には行動不能になってしまった。受ける精神的ダメージと体の不調のバランスや順番がおかしい気がする、と感じてしまいました。

 さらに言うと、本当の狂人は幻覚・幻聴を見たり、意識のないうちに叫びをあげたり徘徊行動をしたりします。つまり「何も感じられない」だけでは済まされず「ないはずのものが見える・聞こえる」「やった覚えのないことをやってしまっている」そこまでいかないと本当の狂気は描写できません。わたしが狂気を描けって言われたらそこまでやるつもりでいるけれど、オミクロンさんはそこまでやる気あるのかな?行動不能にまで陥った状態の「絶望を伝える」のは問題ないけれど「狂気を共有させる」のが不安、と言った言葉をもうちょっとよく考えてみて。

 あと、主人公にラスボスに同族嫌悪を抱かせようとしているみたいだけど、「自分の思い通りでないと気が済まない箱庭世界を作って満足している」神と「努力しても実らず、不本意な方法で力を手に入れて成り上がってしまっている」主人公のどこに共通点を見出そうとしているのか、正直ちょっとよくわからん……

 そもそも「戦う理由」と「憎悪する理由」を混同してない?「戦う理由」に必要なものはたったひとつ、「利害の衝突」なんだよ。無差別殺人犯が多くの人にとって嫌悪感を抱かれるのは当然のことで、ほとんどの人間が持つ「生きたいという欲求」に真っ向から対立する存在だから。理由のつけられない憎悪で人を殺そうとするのは衝動殺人犯で、それこそ相手とやってることが変わらなくなっちゃうよ。だから多くの人の賛同を得るための「戦うための大義名分」てものが必要になることがあるんだよ。その手の社会的な観点をあんまり軽視しないでほしい。

 いちおう「仮面ライダー龍騎」が、「戦う理由の見本市」として有名なので、wikiでも眺めてくるといいんではないのか、とも思っている。そのへんの王道少年漫画や特撮ヒーローものの価値観をあまり軽視しないようにね。あれらは大衆に理解されやすい、普遍的なものが詰まっているから。そういうのを避けていると視点ブレが起こりやすいんだってば……。

今回はとっても長い追記になりますよ

投稿者 hexa 投稿日時: : 1

 ド近眼で色弱だけどweb上の色彩テストでは「感度年齢がピチピチ18歳相当」とか「上位5%の神の目の持ち主」とか診断されたhexaです。仕事上色の扱いに慣れているとはいえ、自分でもそこまで上位に食い込めるとは思っていなかったので驚いた……。

 五感について詳しく話したつもりが、聴覚について全く触れていなかったので補足です。

 聴覚は、強い精神的ショックを受けた場合、自己防衛本能が働くからか「自分にとって都合の悪いこと」が聞こえなくなる可能性がとても高いです。御作の場合「主人公にとどめの一言を与えてしまったキャラクターの声が聞こえなくなる」「主人公を悪しざまに言うキャラクター同士の会話で、その強烈な単語のみが部分的に聞こえなくなる」などの可能性が考えられます。

 そして、主人公が興味のある話題のみ、あるいは周囲の声を聞き取ろうという意欲が戻ってきた時、急に大音量で聞こえるようになったりします。
 逆に幻聴のほうはその「悪しざまに言う言葉」が何度も繰り返し伝わってくることも……すみません自分で言っていてちょっと怖くなったのでこのへんにしておきます。

 最終段階で「色彩のない視覚」「聴覚」のみが残っているというのは、「物語の進行にとって、小説表現として残っていたら都合のいい感覚だけが残されている」という風に感じられ、主人公の視点に立っているようには思えません。

 もうひとつ、常人が「色のない世界」を体感できる手っ取り早い方法があったのでそれについて触れておきます。というか、皆さん常に体感しています。
 一言で言うと「夜の世界」です。

 視神経に関与する感覚器官として、大きく二つに分けて「錐体細胞」「桿体細胞」とあります。wikiを覗いてもわかることですが、錐体細胞は色に敏感に反応するものではありますが充分な光量がないと働かず、暗所では桿体細胞のほうが働きます。桿体細胞は明暗にのみ非常に敏感ですが、色の判別はほとんどできません。

 TVのミステリー検証番組などて使用される暗視カメラの映像が、より顕著な例だと思ってください。(wikiの暗視装置を参照)。あれは最も暗所で感じ取りやすい緑の光を拾って緑一色に基調されています。ただ、夜の世界は青色の光で照らされているため、人間の桿体細胞では青みがかって見えます。青色光は光の届かない世界で最も遠くまで届く波長の光とされています。

 逆に赤はほとんど感じ取れないため「赤い果実」はドス黒い色と化します。逆に「青や緑の葉物野菜など」はその差異が詳しくわかりすぎるため、やや明るめの、締まりのない中間色のグレーに映ります。
 カラーの画像をモノクロプリントしてみると、赤が思った以上に黒く、青が思った以上に薄く印刷されます。漫画の原稿用紙などは薄青で断ち切り線などが印されていますが、あれをモノクロコピーするとほぼ白と化し消えてしまうため、都合がよい色なんです。
 逆に作文用の原稿用紙はなぜか赤茶色系の線ですが、これはモノクロコピーするとほぼ黒と同等に映ります。文字数計測をしっかりできる利点か何かがあるんだろうか……昨今ではワープロ原稿が増えたため、あまり関係のない話ですけどね。

 ……で、この状態の「楽園のような風景」を見ても普通は一見して楽園とは思えません。せいぜい「他の誰かが『楽園って言うのはこういう場所かもしれないな』と横で呟く→そんなものかと思って詳しく周囲を見てみる→作物が(そのボリュームから判断して)しっかり大量に実っているのがわかる→いちおう豊作ということになる、この土地に住んでいる人にとっては喜ばしいことに違いない→楽園とみなすことができるだろう」という思考経路を辿ってじわじわとその良さを噛みしめることはできるかもしれませんが。

「彩りのない世界」=「光のない世界」=「感動や希望のない世界」
 簡潔な言葉にしてしまうと非常に陳腐に聞こえてしまいますが、これが一般的な認識なんです。この一般的な認識を打ち破る表現をしたいと思っているのなら、それこそ狂気の世界に突入すると思ってください。
 そして独特の表現をしたいわけではなく、単に主人公の気持ちを読者に伝えたいだけならば、無難に一般的なわかりやすい表現でしっかりと伝えることを強く推奨します。独りよがりの実験的な表現は、短編や詩などで試みたほうがいいです。

 あと、fateの例の二人に関して。私はstay nightのTVアニメ放映時にアニメの情報のみで「彼」の正体に気づきましたが。あの二人はメンタルは若干不安定だけれどもキャラコンセプトはしっかりしている。「マスターとしての主人公」と「――としての主人公」ですよね。凛ルートは凛と一緒にいることを楽しむ物語ではなく、彼が存在するための物語。

 二人が同時に居合わせる状況になって、彼が士郎に対して心の内に踏み込み過ぎた上から目線の説教じみたセリフをした時点(私はこの時点で彼の士郎に対する態度が「父」もしくは「兄」と感じられました。単なる敵愾心だけでは出ない言葉ばかりだったから。そしてこの存在は反抗期の「子供」「弟」側から見ればただのウザい存在でしかないことも……)。
 サーヴァント召喚は時間軸を無視できるギミックであること。イリヤが士郎に言った「わたしの――になりなさい」といった言葉(これで士郎が――になる可能性がある、と気づかされた)、本来弓使いのくせに剣を使う機会のほうが多いこと、トドメのキーアイテムが凛のペンダント。

 キャラコンセプトが先にありきでああなんだから、鉢合わせる状況になってしまったら結果的にそういう感情を持つのは当たり前。でも別にあのふたりは完全敵対してるわけじゃない。聖杯戦争での立場上は敵ではあるけれど、凛と彼のコンビは早々に脱落しちゃったわけだし。どっちも私利私欲を優先できないお人よしなんだからもーねー……。
 オミクロンさんはキャラコンセプトがあやふやなまま、なんとかして悪感情を抱かせようとして、そして戦わせようとしている。根本の構造を理解しないまま無理矢理に自分の好きな作品の状況を嵌め込もうとしても、物語は作れません。

 何度も言っていますが、オミクロンさんの作品のラスボスの思考パターンは、藤崎竜版封神演義のそれが最も近いです。ほんの少しでも自分の気に入らない箇所があれば平気でぶっ壊して作り直す、その繰り返し。主人公たちはその気まぐれでぶっ壊される側なんだから、抵抗するのは当たり前。戦う理由はそれだけで充分。おまけで過剰に嫌悪感を感じても全然構わない。

 主人公の生きる意欲が薄くて、さほど嫌悪感を感じないというのでも構わない。でも、その世界にいる「他の誰かとの絆」があれば、戦わないという選択肢はあり得ない。最初から最後まで利己的なだけの主人公だったら、この時点で死んでバッドエンドかもしれません。

 でも、「力を貰った親しかった人達」の想いを背負って生きているんではないの?彼らの代わりに自分が成し遂げなければいけないとか、そういう思いはないの?ないんだとしたら、やっぱり「ただ単に強い力が貰えて喜んでるだけの、自分のことしか考えてない主人公」です。私はそういう主人公にこそ嫌悪感を覚えますよ。

 絶望の描写もいいけれど、それ以上に立ち直る時の描写に力を入れてください。死ぬのはいつでもできるけど、その前にやらなくちゃいけない何かがあるはず。それがこの物語にとって、主人公にとって何なのか。そこをしっかり浮かび上がらせてください。

カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 表現技法と「憎悪の理由」へのご意見募集

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