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主人公の心理についての返信

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主人公の心理について(元記事)

はじめまして橙というものです。
今回大雑把に言いますと男子高校生が命の価値が低い異世界に召喚されて...という話を書こうとしています。
その話で私が特に重点を置きたいのが男子高校生である主人公の心の成長です。
そこで悩んでいることがあります。
私の考え方では基本的に小説に出てくるヒロインは主人公に確たる信念があるからこそ魅了されて恋愛感情を抱くと思っています。しかし、私は男子高校生の定まりきっていないアイデンティティに注目して書こうとしています。なので、主人公の信念も定まらないものと考えています。そのため、ヒロインを主人公に対して恋愛感情を抱かせることができないと考えています。 そこで私は主人公に確たる信念を持たせるために様々な仲間の死を体験させようと思いました。
高校生という多感な時期にアイデンティティを形成させる手段として仲間の死を用いるのは間違えていますか?
回答よろしくお願いします。

主人公の心理についての返信

投稿者 手塚満 投稿日時: : 2

主人公に重要キャラの死で動機、衝撃を与える手法は割と用いられるものだと思います。シリアスなドラマだとそれくらいはしないとインパクトや説得力が生じにくいような気が、個人的にはするくらいです。

ご質問の場合では、前提として「ヒロインは主人公に確たる信念があるからこそ魅了されて恋愛感情を抱く」というものがあるわけですね。このことについては、一般論として議論が生じ得ますが、スレ主さんの(おそらく今後も)作品テーマではないかと思いますので、無条件に受け入れるべき前提と考えることにします。

高校生の時期のアイデンティティ形成というは、リアリティを出せるように思います。実際に、アイデンティティ(自己同一性)を確立していく思春期後期に当たりますので、リアリティ(迫真性)というよりリアル(現実)かもしれません。影響を受けやすく、かつその影響を受けて自己を確立していく時期であるわけで、「今の高校生ならどう思い、どうするか」と考えて、話作りをすることができそうです。若いだけに、死はより重い(かつ怖い)こともありますよね。

ともあれ、仲間(恋人、ライバルなどを含む)の死といっても、いろんなパターンがあるようです。

1.特定の重要キャラ1人の死

「君の膵臓をたべたい」(キミスイ)という作品がありまして、好みのタイプではないんですが、TV放映された実写劇場版は見てみました。やはり好きになれないと再確認したんですが、実に(原作者、映画制作者が)上手いと感心もしました。

特にヒロインの扱いですね。不思議な明るさを見せて(人付き合いが苦手な)主人公と遭遇する。主人公だけ、ヒロインが重病で余命1年と偶然に知る、。2人は接近していって、主人公はヒロインの隠された本音が垣間見えそうになる。

主人公と同様、観ていてヒロインの本音を真剣に知りたくなるわけですね。自然とヒロインに気持ちが向かっていくわけですが、そこでヒロインが突然の死亡になります。病からではなく通り魔殺人ですね。最期まで精一杯生きて、なんてドラマを見せてくれない。理不尽かつ突然です。そこから主人公(及び感情移入した観客)はヒロインに一途に向かっていくよう変わります。

「もう少し」「あと少しで」という気持ちを生じさせておいて、退場させる手法ですね。もし自分が作り手だったら、キミスイのヒロインをあのような形、タイミングで退場させる自信がありません。それくらい惜しいからこそ、死亡によって主人公を変えるくらいのインパクトが生じると考えていいと思います。

おそらく女性ターゲットと思われるキミスイを見てみまして、男性向けの古典的名作を思い出しました。「あしたのジョー」です。序盤から中盤までは、主人公・矢吹丈は自分より圧倒的に強かったライバル・力石徹を追いかけ、ボクシングで勝とうとします。力石徹も矢吹丈を認めて、ついにボクシング試合で戦うことになる。

試合は矢吹丈が攻勢をかけ続けるんだけれど、最後の最後で力石徹の狙いすましたアッパーカット一発で矢吹はノックアウト。ようやく起き上がった矢吹は(素直に相手の強さを認め、もっと強くなって再戦を求める気持ちで)力石に握手を求めますが、握手に応じようとした力石が倒れてしまう。以降、主人公・矢吹は次々と強敵と戦うも、力石を追う気持ちは不変になります。しかし、死んでしまっているから叶わない望みでもある。

「キミスイ」にせよ「あしたのジョー」にせよ、重要キャラの死亡で主人公を変え、突き動かすには、死亡するキャラを相当に魅力的に描き、効果的に退場させる必要があります。大変に手間が必要ですので、やる価値があるかどうかは充分に考えておかねばなりません。

かつ、死亡したキャラが印象的に(主人公以外では)最強キャラになってしまう可能性も考慮しておく必要があります。「キミスイ」ですと、ヒロインの死亡後、仮に主人公の彼女キャラは出そうとしても、おそらく無理でしょう。死亡キャラのポジションは誰も取れない前提で話作りをするしかありません(そのポジションの後継キャラを出せるようなら、死亡キャラの主人公に対する影響は下がってしまう)。

2.キャラに急造の重みを持たせる死亡フラグ

「この戦いが終わったら、故郷に帰って」どうこう言うキャラって、たいていその戦いで死んでしまったりします。いわゆる死亡フラグの台詞であるわけですね。今でこそ、死亡フラグくらいにしか考えないわけですが、「この戦いが終わったら」って、そのキャラが死亡してみると、死ぬときの無念を表していることに気が付きます。死亡フラグ台詞は、もともとは死に重みを持たせるための台詞であるわけですね。

死亡するキャラに本当に(主人公を変えるくらいの)重みを持たせるドラマ作りが困難、あるいはキャラの死亡で物語を進めるのが困難になりそうなら、誰にでも分かる「死の無念」を持たせる方法があります。これですと、主人公とちょっと被さるところがあるキャラでありさえすれば、主人公が共感でき、主人公がそのキャラの死に衝撃を受けることが自然となります。

主人公に対して本当に重みを持つドラマで描いた死亡て予定キャラには敵いませんが、主人公も何かに深く悩み苦しむところがあったりすると、有効になるように思います。

3.子ども

何も言わなくても死亡フラグ台詞を発したも同然なのが、子どもです。誰でも子どもの死は避けたいですから、子どもキャラが死亡すると無念を感じやすくできます。ひいては年少キャラですね。男性主人公だとして、家族の死でショックを与えるとします。女性キャラで考えますと、母親、姉、妹。

おそらく、主人公が最もショックを受けて、その後の人生が変わるドラマだと、妹キャラの死亡が多いのではないでしょうか。これは、身近による親愛以外に、守るべき責任を感じやすいことが要因であると思います。

4.人数

以上のような死による印象を生じやすいキャラ1人ではなく、主人公と関りを持ったキャラが次々と死んでしまうようだと、一人ひとりのキャラは重みがさほどなくても、次第に主人公を追い詰めることが可能です。例えば、主人公が「自分では誰も救えない」と悩みを深めていき、ある時点で何かを悟るとか。

お考えの作品の「命の価値が低い異世界」ですと、あくまでも例えばですが、次々と死亡する仲間キャラに悼みを覚えない仲間キャラに対し、主人公が元の世界で培った価値観を否定されて苦しみ、やがてそこから何らかの飛躍をする、といったことも可能なように思います。

藤子不二雄の「ミノタウロスの皿」ですと、ある惑星で牛から進化した知性体が、人間そっくりの知性体を美味しい食材とする話です。そこへたどり着いた人間主人公が命の価値観の隔絶や、単なる立場の違いでしかないこと等に悩む内容になっています。主人公が自分の価値観が否定されたところで終わっていますが、主人公のその後は絶対的価値観が相対化していくような余韻を感じました。

「灰と幻想のグリムガル」は仲間の死を有効に使ったドラマ作りをしていたように思います。記憶を失って異世界に招かれてパーティを組んだわけですから、最初は仲間同士の信頼とか、目的意識の共有とかがありません。あけすけに言えば、ゲームの仲良しごっこといったところでしょうか。それが、仲間が死ぬごとに、主人公も仲間も次第に変わって行った印象があります。

以上のような感じですし、例に挙げてみたのも高校生くらいのキャラの物語が多いです。他人の死によって成長する物語は今までも成功例がたくさんあるわけですから、間違いなんてことはありません。キャラの死を軽く、ファッション的、あるいはご都合的にに扱わない限り、大丈夫だと思います。

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