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決め台詞のオマージュはアウト?の返信の返信

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決め台詞のオマージュはアウト?の返信(元記事)

1.決め台詞の仕組み

まず決め台詞ってなんだ、というところから考える必要があるように思います。多くが、聞いて燃える、胸がすっとする、待ってましたと言いたくなる、そんな感じですよね。

多くは数々の段取りを踏んで、決め台詞まで持っていきます。古い時代劇から決め台詞を適当に取って来まして、冒頭でいきなり「この桜吹雪が目に入らねえか!」と主人公が叫んだとして、どう思うか。きょとんとするしかないはずです。たとえ元ネタをよく知っていたとしてもです。

決め台詞を発生させる文脈がないと駄目なわけですね。お考えの「我ら来たれり」ですと、某映像作品でしょうか。そうだとしてまして、燃える台詞としては冒頭ですよね。物語世界略史が語られ、戦争が描写される。防御側は本来の力を封じられ、攻勢側は圧倒的で情け容赦なく蹂躙していく。

誰でも「この状況を打開できる者はいないのか」と感じられるものです。そうしておいてヒーロー登場となり、まず敵に一撃しておいてからの名乗りでお示しの「我ら来たれり」。ヒーローは遅れて登場するって、このシーン見ただけでも理由が分かる気がします。

冒頭にしてそこまでやれているのは凄いですよね。創作者なら自分でもそういう展開を作りたくなる。

2.読者に元作品との比較が起こる弊害

ですが、元作品は映像作品ですよね。派手な視覚効果、BGM、効果音、役者さんの熱演を見ることができる。でも、やろうとしているのは文章作品のはずです。言葉という記号を上手く伝えて、読者に状況を再現してもらう。絵も音もキャラ演技も、作者は概要を伝えるに過ぎず、詳細は読者が再現するわけです。

作者は具体的なイメージを元に文章に起こします。シーン詳細は絵も音も、匂いすらも分かっている。だから、連想する既存作との類推も容易にできる。書く前は意識していなかったとしても、書き進めてみて「ああ、これはあのシーンだ」と思えるのは、よくあることじゃないかと思います。

ですが、読者にも同じことが起こるでしょうか。絵も音も読者が想像しています。言葉は論理的には優れていますが、情報量は非常に少ない。作者が文章の元としたイメージと、かなり違う、あるいはまったく異なる絵、音を想像していると覚悟すべきです。そうなると、類似作を思い浮かべたとしても全く別作品になります。

そこへ、知る人が多いと思われる「我ら来たれり」を突っ込んだらどうなるか。読者としては戸惑います。シーンが緊迫し、ドラマが最高点へと盛り上がって来て「来た来た来た、さあここだ!」と感じた瞬間に、全く別のイメージを強制的に突っ込まれるわけです。これは非常にマズい事態です。

3.元ネタのファンが読者になった場合

仮にネタ元の映像作品を思い浮かべてくれた読者がいたとします(まず間違いなく出てくる)。その読者なら喜んでくれるか。リスキーだと思います。お書きになる作品が元作品以上か比肩できるレベルであればOKです。いいオマージュと言ってくれるでしょう。

だけど、あの作品にそうそう追いつけないですよね。絵も音も読者次第なんですから、読者にも相応の技量が要求されるわけですし。すると、ガッカリされます。この場合は、パクリと言われます。パクリという非難は、ネタが似ているかどうかより、出来栄えにより大きく左右されるのです。

たとえ、その台詞直前まではなかなかの出来だったとしても、「我ら来たれり」と読んだ瞬間、ダイレクトに比較されます。比較されても大丈夫、元作品と同レベルの出来だということなら、「我ら来たれり」でもいいかもしれません(自作は他人の作品より20倍くらい面白く感じがちなことに注意。元作品より20倍は出来がいいと思えなければ危険)。

4.オリジナル性の低下

繰り返しですが、「我ら来たれり」を使っても、最上の評価が「いいオマージュ」でしょう。いい台詞、とは評価されないでしょう。元作品のお陰、という評価も付いて回ります。有名作品の有名台詞の引用・使いまわしって、パロディ笑える使い方が多いのは、そこも一因ではないかと思います。作者の最大の工夫を殺されたくない。苦労して作り上げた作品の大事な部分では、作者ならではで評価されたい。当然の欲求です。

しかし、作者としては自作があの名作のあの名シーンをイメージしたことは伝えたいのも本音ですよね。決め台詞って何だったか思い起こすと、台詞前後で支えていることに気が付きます。主人公が現れて何か言ったことが大事で、お膳立てで感動を生み出している。

決め台詞が台詞の巧さで感動を引き出しているのではないのです。たまたま使った台詞で、そのシーンや感動を呼び起こされる記憶のタグになっているだけです。既存の記憶のタグを流用したら、思い出されるものが混乱します(要は決め台詞のはずなのにノイズになる)。

5.オリジナル決め台詞のメリット

ですので、思い出した名作の決め台詞に拘るべきではありません。別の台詞でいいのです。別の台詞だったとしても、前後が(状況や呼び起こされた感情)似ていれば、知っている読者は勝手に「ああ、あれだな」と思ってくれます。そう思っても、台詞が違っていれば、イメージの混乱は起こりません。

別の視点で言うと、作者は明言を避けて、読者に元作品をイメージしてもらうべきなんです。「ああ、あれだな」って「分かった!」ということです。何かが分かったときって、快感ですよね。そこは作者が読者に譲るべきポイントです。作って嬉しい作品より、読んで嬉しい作品を作りたいなら、ですが。

決め台詞のオマージュはアウト?の返信の返信

スレ主 ステラ 投稿日時: : 0

返信ありがとうございます!

①はい、その作品です…。あのシーンがとても好きで、オリジナルでも再現したいと思ってしまい、結果的にオマージュという名のパクりになりそうですが…。

②正直、読者様のこと…考えていませんでした…。論外ですね…。書き手失格です…。確かに、ヤバイですね…。

③ですよね…。やはりそれは避けられないとはわかっています…。比較上等とは思っていましたが、実際に海底公開すればただの劣化パクり作品になってしまうのでしょうね…。
元作品のようなストーリー、再構成を書きたいと昔からずっと思っていたのです…。

④オリジナル性の低下は覚悟の上でした…。できれば別の言い回しにしたいと思っていましたが、浮かばなかった自分の技量の無さの結果です…。

⑤なるほど、なるほど…!!メリットがとても良くわかりました…!参考になります…!
頑張ってみます…!

長々と、丁寧な指摘と説明、ご意見ありがとうございました!!

カテゴリー : 著作権・オリジナリティ スレッド: 決め台詞のオマージュはアウト?

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