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短編を書き上げたのでどなたか批評をお願いしますの返信の返信

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短編を書き上げたのでどなたか批評をお願いしますの返信(元記事)

正直に申し上げますと、面白いとまでは感じられません。話としてまとまっているようではありますが、強引に持っていった結果のように感じられます。ただ、推敲、改稿すればいろいろ化けそうえです。

が、これで力尽きてしまったということですので、せっかくの叩き台(改良するための試作)が出来たのにという気がいたします。一応の結末まで書き上げたら虚脱感みたいなものが大なり小なり生じますので、一息入れてから、また取り掛かってみてはどうかと思います。

1.御作の概要・特徴

まず御作を概要的に考えてみますと、以下のような物語になっていると思います。

・主人公:彩也子(注:綾子の誤記が2か所あります)
→主人公の抱える問題:自分の存在意義が他人の評価頼り。
・味方:あやかし相談所の妖怪(妖狐、座敷童、ろくろ首)
・敵対者:諒一(恋人)、会社
・物語の傾向・分類
→いわゆる「いい話系」
 →現代ファンタジー
 →勧善懲悪のハッピーエンド
 →成長譚(依存心の克服と精神的自立、断捨離)

分類しやすい感じですので、テンプレート的かもしれません。決して悪いことではなく、受けやすい、改稿しても崩れにくいというメリットがあったりします。

2.強引さについて

全体的には、諒一も会社も(主人公に対して)いかにも悪役に描かれています。しかも終盤に主人公から反撃されると、いともたやすく屈服してしまう。そのためカタルシスに欠け、主人公の成長が感じにくくなっています(「なんだ、敵が情けないだけだったか」みたいな)。

シーンでの強引さですと、主人公:彩也子を相談所に行かせる部分です。普通、チラシ1枚で悩み相談に行くかどうか疑問です。が、それより大きいのが、彩也子がろくろ首を目撃しても、大して動ぜず、逃げもせず、相談所に入って行ってしまう点です。

作者的に主人公が相談所に入らないと話を進められないから、こうしたんだろうと思います。それにより「主人公は妖怪はちょっと驚く程度でしかない」という印象が生じ、「この物語世界では妖怪程度は普通という世界観だろう」と思われるリスクが生じます。

3.冒頭のツカミの弱さ

冒頭から主人公の愚痴(あえてこう言っておきます)が並べ立てられるのも、作者には自然、読者には不自然、強引です。読者からしたら、出だしです。主人公がどういう人物か全く知らない、いわば赤の他人です。赤の他人がいきなり愚痴り出して、興味が持てるでしょうか。逆に、避けたくなりますよね。

でも、最後まで読んでから再び冒頭を読むと、愚痴る理由も分かります。そういう境遇だったんだなと思えば、なるほどな悩みですから。最後まで知っている作者だから、つい冒頭で主人公の自分語りをさせてしまうわけです。

でも、初見の読者には同じ気分は生じません。主人公の気持ち独白ではなく、その気持ちに至る出来事、イベントを見せる必要があるわけです。ですが、その出来事が語られるのが物語半ば以降となっており、この尺でも読者の我慢の限界を超えています。
(主人公の冒頭の愚痴は、相談所でも語られるわけですので、重複でもあります。)

繰り返しですが、主人公:彩也子は出だしでは、読者にとって赤の他人です。その赤の他人に興味を持たせる必要があります。作者さんとて、大多数の読者からすると、未知の作家です。赤の他人が語る赤の他人に興味を持ってもらう覚悟と工夫が必要です。ですので、多くの物語では「冒頭のツカミ」を重視するわけです。

4.展開の不自然さ・操り人形化

御作で仮にツカミが出来ているとします。その続きがダレたら、やはり読んでもらえない。娯楽で読むわけですから、ゲームのほうが面白いと思ったら、読者は御作を放り出してゲームを始めてしまう。

冒頭からようやく話が転がり始めるのが相談所でしょう。既に申しましたが、無理矢理に主人公を相談所内に行かせています。ろくろ首で目を引く効果を狙ったのかもしれませんが、主人公の行動が対応せず、むしろ不自然さを浮き彫りにしています。作者都合で動くキャラ、つまり操り人形になってしまっている。

その後の会社や諒一との関係性、出来事についても、いかにも「こいつらは悪い奴でしょ」と見せびらかすが如きに感じます。主人公にも一応の欠点は与えてある。ミスが多いという点ですね。

5.主人公の欠点を消し過ぎる不利

しかし、ちょっと古典的ですが「ドジっ子」は好感を持ちやすいキャラです。怠惰だからミスするのではなく、一生懸命だけどミスをするから。健気さがありますんで、責めたくない気持ちが生じます(それゆえ、容赦なく責めるキャラは悪役化しやすい)。

主人公は欠点があるようでいて、ドラマ的には非の打ち所がない完璧なキャラであるわけです。こんな善人はいませんよ、みたいな。勧善懲悪にしてもやりすぎでしょう(時代劇の「水戸黄門」みたいに、視聴者からのテンプレ上の要請・期待があるのなら別ですが)。

そう印象付けておいて、主人公が相談所のアドバイス、激励を受けると簡単に一転し、まず会社に反撃して叩き伏せ、諒一も容易く追い出してしまう。どちらも主人公に手も足も出ない感じで描写されてますよね。主人公の強さよりも、敵対者の弱さのほうが印象付けられてしまいます。

6.過保護にされた主人公

相談所の面々もせっかく妖怪という強い特徴を与えられていながら、単に話を聞き、アドバイスするにとどまっている。話をすることで主人公が変わった、という理屈付けだけのために存在してしまっています。主人公は自分で自分を変えられることを打ち出したかったからでしょうか。残念ながら、説得力は生じません。

主人公のハッピーエンドで締めくくりたいとしても、前会社退職後に次の就職を確定させるとか、主人公を守り過ぎです。主人公がきちんと変化できたとしたら、次の職が未確定でも読者が信頼できるように描けるはずです。それには作者が主人公の得た強さを信用し、突き放さないとうまくいきません。

以上を簡潔に言ってみますと、作者が主人公を過保護に扱ってしまっているようです。レールを敷いて、お膳立てして、危険のないように手を出しつつ話を進め、主人公のドラマを殺してしまっています。情けない自分に終止符を打ち、精神的に自立する話なのに、最初から最後まで過保護では主人公は自立したくても自立できません。

7.いい点も多々ある

しかし、「あ、ここはちゃんと調べてあるな」「これはいい運び」というものも、部分的ながら見られます。例えば諒一が彩也子を操る手口。DV事例でときおり見る「4回むごく扱って、1回だけ優しくする」みたいなものですね。こういうのはちゃんと入っていて、諒一のキャラにリアリティを与えています。

こちらでも仰ってますが、会社勤めについてよくご存じではないので、詳しく描写したり、説明したりは避けている点もなかなかのものです。よくある悪い事例は「知らないことほど饒舌」というものです。誤魔化そうとしてつい書きすぎてしまう。御作はそこはきちんと避けていますね。しかし数字の間違いによるピンチとか、大事なポイントはしっかり入れてある。

8.変更案:相談所に行く部分

ベタな案出しで申し訳ありませんが、具体的な例として主人公がチラシを見て相談所に入るまでを考えてみます。

恋愛相談と見て、行ってみる気を起こすから不自然なわけです。しかもチラシ1枚。現代ですと、悩みを相談したくなったらネット検索するとか普通です。他の方法があるのに、チラシ広告を選んでしまっている。

主人公も胡散臭いと思うわけですよね。ところが、『恋に泣くそこの貴女、わたしたちにコイバナしてみませんか?』という胡散臭い宣伝文句を信用してしまっている。

胡散臭くても相談に行く場合はあります。例えばもしチラシに「占い」とあれば、心理的なハードルは下がります。カウンセラーとか相談員となるとなかなか行く勇気が出ないものですが、占い師だと割と気軽に立ち寄る人は多いでしょう。

相談所に行って入る段取りも、御作には既に仕込まれているも同然だったりします。この場の思い付きで、練れてなくて申し訳ありませんが、例えば、ろくろ首が主人公の背後に立つだけで終わらせない手が考えられます。

・主人公が夜道で転んで泣く
→見知らぬ女性(実は買い出しに出たろくろ首)が心配そうに声をかける
→主人公は慌てて立ち上がり、礼もそこそこに去ろうとする(悩みは言わない)
→見知らぬ女性が呼び止め、チラシを渡して行ってみたらと言う
→主人公、地図に書かれた扉の前まで来る
→首無しろくろ首が背後に現れ、主人公が悲鳴をあげる
→悲鳴を聞いた妖狐が扉を開ける
→恐怖でパニックの主人公は妖狐にしがみついて助けを求める
→ろくろ首は首を戻し、「あら、さっきの」と言い、主人公も確認する

みたいな段取りです。こうすると、主人公は(いったん助けを求めた)妖狐を頼る気が起きる雰囲気を出しやすくなります。ろくろ首との関係もスムーズに進めやすくもなり、残る座敷童に警戒しない雰囲気も伴わせることができます。
(文字数制限のため、続く)

短編を書き上げたのでどなたか批評をお願いしますの返信の返信

投稿者 手塚満 投稿日時: : 0

(No: 5の続き)
9.変更案:主人公の変化

そうした工夫抜きに主人公を行動させていますので、作者さんも気が付いたか、あるいは漠然と不安になられたのか、以下のような念押しするような記述がありますね。

>  首のない体を見た時彩也子は確かに仰天したし、(略)そこそこ仰天したし、もちろん今だってしっかり仰天した。実際まだ心臓がばくばくと音を立てている。

こういう、思い出したように説明するのは言い訳っぽく見え、逆に無理矢理な感じが出てしまう恐れがあります。もし主人公:彩也子のある行動の不自然さをお感じになったのだとしたら、後付けで説明するよりも、その行動の前を見直したほうがいいと思います。

彩也子が従属(他人の評価が自己評価基準)から自立(己のことは己で決定)に変わっていく部分についても、ちゃんときっかけの適切なイベントがあります。遅刻です。彩也子は勤務状態、私生活から考えて過労状態であると伝わってきます。

だからちょっと飲み過ぎると、起こされない限り寝過ごしてしまう。自然な流れですが、主人公が叱られるだけのイベントになってしまっているようです。妖怪たち、わざと寝過ごさせたとしたらどうでしょうか。会社より彩也子の心身の回復をそれとなく図った、としても自然な行動であるはずです。

そういうことがときどきあって、彩也子の過労は次第に改善してきたとします。気力も回復しますし、感情は落ち着いてくるし、思考も正常に戻ってきます。妖狐の言う「自分の問題に立ち向かえるのは、自分だけだから」「元気になったら、思ってたより勇敢な自分に出会えるはず」方針に合致する解決方法です。

短い尺ですから、キャラの行動にはできるだけ目的、意味を持たせたほうがよいと思います。せっかくイベントを作ったら、できる限り使い倒せないか考えてみてはどうでしょうか。寝過ごして怒られるたびに強さが出てくる主人公を描けば、反撃に転じる主人公も不自然ではなくなります(むしろ期待したくなる)。

10.主人公の最大の問題は作者さんしか解決できない

しかし、会社のことは恋愛問題ではないわけですよね。相談所の本義:恋愛問題からは外れています。作劇的には、本当の問題の解決の予兆に当たるのではないかと思います。主人公:彩也子の抱える真の問題はおそらく「カタログスペックの高い彼氏を持つことによる偽のプライド」でしょうか。

そこを断ち切らないと、彩也子は真に自立したことにはなりません。せっかく会社問題を一気に片付けたのだから、その勢いで本丸の諒一を撃破する。現状でもそうなっています。そこはなんとかしたいところですが、自分ではアイデア例すら出ず、申し訳ありません。作品の最重要部分ですから、作者さんにしか分からないのかもしれません。

11.主人公に辛い選択を与えることによる説得力

ただ、諒一との決別で主人公も犠牲にするものがあったほうが、重み、説得力は出るように思います。例えば、

・相談所や妖怪相談員は恋の悩むがある人にしか見えない。
・相談所に打ち明けた悩みが解決すると、妖怪たちには二度と会えない。

としておくとか。この前段で、主人公が妖怪たちと仲良くなる必要があります。現状でもそうなっているんですが、変化が少ないようです。例えば、最初のうちは主人公は「妖狐さん」と呼んでいて、次第に愛称で呼ぶようになると描写すると、変化が感じられやすくなります。

そうしておいて、クライマックスで「諒一と決別して、しかし妖怪たちとも別れる」かどうかのジレンマを主人公に与えると、決断の重みが増します。すると、主人公が依存心を捨てて自立したこともはっきりします。
(かつ、あやかし相談所、妖怪がなぜ騒ぎ立てられないかの説明にもなる。御作の描写にあるような「ろくろ首が正体見せてうろついている」なんてことがときどきあれば、いずれ大騒動になるはず。)

12.まとめ:完成作としては不足、叩き台としては優秀

いずれも御作には種としては既に仕込まれているも同然のものばかりです。もちろん、上記は例に過ぎないですし、この場の思い付きですから寝れてもいません。しかし、そういう思い付きができ、かつそうしてみても物語が崩れそうにもありません。

完成した小説としては物足りないとしても、叩き台(そこから改善するための原案、原作)としては優秀であるように思います。倍以上の出来には必ずできます。また、お考えのように、ここを起点に連作するのも容易でしょう(ゲスト主人公さえ思いつけば作れる)。力尽きたとのことですが、気力が戻られましたら、いろいろ工夫を考えられてはどうかと思います。
(終)

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