テーマを優先させる(葛藤を狙う)のか、どんでん返しを狙うのかの返信の返信
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テーマを優先させる(葛藤を狙う)のか、どんでん返しを狙うのかの返信(元記事)
はじめまして。あまくさと申します。
自作をめぐって似たような悩みをかかえているため、興味を持ちました。
私の場合は、5年以上前にラ研に投稿した作品がベースないなっています。そのストーリーがやや単純すぎたかと反省し、ヒロインの正体をめぐるドンデン返しを追加して全面改稿を試みました。ところがラストにそういうのを仕込むと、中盤までの主人公のヒロインへの想いや葛藤が迷子になってしまいかねないことに気づいてしまい……。
有効な解決策が思いつかないままその作品は一旦封印し、時々思い出しては考えている状態が続いています。
そういった自分の体験も踏まえて、主人公の葛藤とドンデン返しのどちらかを優先しなければならないとしたら、葛藤をとった方がいいのではないかと考えます。
ただ。
どちらかを優先するということではなく、設定を見直すことによって葛藤とドンデン返しを上手く両立させる道はないでしょうか?
お悩みのようなケースにかぎらずドラマに葛藤を仕込んだ場合は、ラストに何らかの着地点を用意する必要があります。それがないと読後感がモヤっとしてしまいますから。
ならば、ドンデン返しを葛藤解決のキッカケとして有効利用するような持っていき方(序・中盤の流れや伏線も含めて)はないか? ということです。
そんなことを念頭に置きながら、御作の粗筋を拝見しました。で、気になった点がいくつかあります。
(1)
呪いは人間に対して恋をすることによってのみ発動するということですね?
ところがサフィア=ラムズは人間ではないのに、呪いがかかってしまっています。その理由づけも気になったのですが、それについては後述します。
まず確認したいのは、
・主人公はラムズが人間ではないことと、姿を変えられることを知っているのかどうか?
・読者にもラムズが人間ではないことを早めに知らせるのかどうか?
この2点です。
ご質問の文面を読んだかぎりでは、どれも早めに知らせることになっているように思いました。
ここは、以下の4つの要素が絡み合っていて、けっこう複雑です。
ラムズは人間ではない。 → 人間に恋をすると~という呪いとの関係。
ラムズは姿を変えられる。 → ラムズは実はサフィアであることがバレバレにならないか?
主人公はそのことを知っているかどうか?
読者はそのことを知っているかどうか?
この4つの組み合わせを変えるだけで読者の印象が大きく変わる可能性がありそうなので、慎重に考慮する必要があると思います。
(2)
最終的にサフィアとラムズのどちらが主人公にとって「本命」なのか?
サフィアとラムズは同一人物(同一悪魔?)なわけですが、ドンデン返しを狙うからには主人公も読者も物語の終盤近くまでそれを知らないわけです。ということは、主人公(読者)の心の中ではそれまでは二人は別人ということのなるので、どちらに強い想いがあるのかはけっこう重要なポイントじゃないかと。
一案としては、中盤の流れの中で主人公の想いがサフィアからラムズにしだいに移り、そのことがラスト前の主人公の葛藤の最大値に繋がり、ドンデン返しで葛藤解決のキッカケが見える、というプロセスが考えられます。これなら、葛藤とドンデン返しの両立が図りやすいのではないかと。
(3)
サフィア=ラムズは人間ではないのに、呪いがかかってしまった。その理由づけは?
この件は、(1)(2)のどちらにも係わってきます。だから、ここは実はかなり重要なポイントなのではないかと思います。
で、考えていらっしゃる理由づけですが、
>ちなみに、この呪いは神様がメアリにかけたんですけど、神様が間違えたんです。
これでしょうか? だとすると、安直すぎるかもしれません。だって、これだけで葛藤も何もすべて一気に解決してしまいませんか? 一番決定的な解決にポッと出感があるのは、どうかと思います。
また、ラムズは人間ではなく変身できるなどの情報は伏線として機能するので、読者も色々考えてくると思うんですね。それが、神様の間違いでは拍子抜けされてしまう気がします。
なので、
・呪いの設定そのものを見直す。
あるいは、
・呪い発動が間違いと気づくことに、主人公自身の知恵や行動が関与しているように描く。
・神様の間違いで最終的に解決するにしても、そのまえに主人公自身が苦しみながら葛藤に立ち向かい、何らかの決断をする姿勢は示しておく。読者がその姿勢に共感・同情し、「もう、神頼みでも何でもいいから、彼女を助けてやりたい」という願望を起こさせるのが狙いです。人事をつくして天命を待つ、という感じでしょうか?
そういった要素を入れた方がいいのではないかと。
方向性としては、こんな感じかなと思いました。
テーマを優先させる(葛藤を狙う)のか、どんでん返しを狙うのかの返信の返信
スレ主 楽隅 投稿日時: : 0
あまくさ様。
似たような問題にぶちあたったことがあるということで、とても丁寧にコメントしていただいてすごく嬉しいです。本当にありがとうございました。
>ところがラストにそういうのを仕込むと、中盤までの主人公のヒロインへの想いや葛藤が迷子になってしまいかねないことに気づいてしまい
たしかにこれ、その通りかもしれません。
ラストまでラムズの正体を明かさないでいくと、けっこう長い間物語を繋げるものがなくなってしまうんですよね。
ラムズの正体(悪魔であること)やそもそもなぜメアリを恋に落とそうとしているのか(殺されたくないから)、その他色んなラムズの思惑なんかが隠されてはいるんですが、おそらくたぶん甘い──んですよね……。
(1)
>・主人公はラムズが人間ではないことと、姿を変えられることを知っているのかどうか?
これは知りません。ラムズは悪魔という種族ですが、この悪魔は作中では絶滅していることになっています。
悪魔の能力は二種類あり、《変身能力》と《憑依》です。
せっかくとても丁寧にコメントを書いてくれたので、もう少し詳しく自作についてお話しますね。
まず、悪魔という種族の特徴について。
①実態がない。本来の姿は悪魔同士にしか見えない
②生来から決められた『自分の好きな物』に対して、異常なまでに愛情を注ぐ。それ以外に対する興味は皆無。
③《憑依》という能力は、実在する人間の体を乗っ取ることが出来る能力。ただこの能力を使うと、『あの人間は悪魔によって憑依されている!』と気付く能力をもった人間によって、バレてしまう。
特に②についてが重要です。
悪魔は生来から決められた『好きな物』以外に興味を示さないということなんですけど、例えばラムズ(=本名サフィア)は、これが"宝石"です。
とにかく宝石だけを愛していて、宝石を集めるのが趣味なんです。宝石のためにはいかなることもできるし、どんな手段だって取ります。逆に、自分の宝石が盗まれると死ぬほど怒ります。それで相手の拷問をしたり……なんてことが起こります。
そもそもラムズは、メアリのことを『宝石として』好きになるんです。というのもメアリの人魚の鱗が、『自分の求める宝石と同じくらい』綺麗だったからです。ラムズはサファイアが一番好きなんですが、メアリの鱗はまるでサファイアとオパールを組み合わせたような鱗だって言って、彼女の鱗をなんとか自分のものにしたいと思うんです。
メアリを殺して鱗を剥いでもいいですが、ラムズはメアリを『生きている宝石』みたいなノリで愛しています。といっても、メアリ本人には全く興味がありません。メアリの鱗を汚した人には怒りますが、メアリの心を傷つけた人はどうでもいい、とかそんな感じですね。
ですので、まず最初にサフィア(メアリと出会った時のこの姿は、カイルという人間の王子様の姿を、悪魔サフィアが真似しました)がメアリと出会った時も、
単純にメアリの鱗に一目惚れしたから、人間に虐められているメアリを助けたんです。それでメアリは(カイルという王子様の姿をした)サフィアに恋をしたんですね……。
話を戻します。
そもそも悪魔の《姿を変えられる能力》ですが、悪魔の能力についてはかなり隠しています。そもそもみんながラムズの種族なんだろう?って考えてるんで、かなり慎重に情報を小出しにしないと、それこそバレてしまうと思ったんです……。
>・読者にもラムズが人間ではないことを早めに知らせるのかどうか?
人間じゃないことは、かなり序盤でもう知らせています。私の小説には大量に種族がいるんですが、
・アークエンジェル×
・ヴァンピール(=吸血鬼)×
・エルフ×
・妖鬼(オニ)
・ケンタウロス×
・ドラゴン×
・ナイトメア
・人魚×
・人間×
・ニンフ×
・フェアリー×
・ペガサス×
・ラミア(=食人鬼、人間の子供のみ)
・悪魔
・オーク(=食人鬼、人間)
・ドワーフ
こんな感じです。順当に予測していけば、×と書いてあるところは、ラムズがそうではないことに気付きます。
おそらく、世間一般的な見た目的にもオークとドワーフも外されます。
そして私の予測的には、まず初めに、ラムズをラミアだと思ってほしいと思っています。
そもそも、ラミアという種族は銀髪という絶対的な特徴があります。ラムズも銀髪です。
またラミアは人間の子供を食べますが、途中メアリがラミアの男に出会うシーンで、その男から食べられそうになるところがあります。
そいつが特集な性癖(的なもの)を持ってるだけなんですけど、そのままラムズもラミアなんじゃね……?と思ってもらえる流れを作っています。
というのも、サフィアの今の姿=ラムズは、スピネロという名前の王子様の見た目なんです。
さっきカイル王子が出てきましたよね。これがメアリが恋をした時の姿。
今の姿は、スピネロ王子。
スピネロ王子とカイル王子は兄弟です。そしてスピネロ王子本人は、実はもう死んでます。というのも、彼こそはラミアだったんです。
ラミアは人間の子供として生まれる種族なんで、スピネロとカイルが兄弟というのは一応ありえる話です。そしてスピネロはラミアだからこそ、髪の毛が銀色です。
そしてラミア(食人鬼)だとわかったところで、親に殺されてしまったんですね。人間を食べるラミアは嫌われているので。
それを見たラムズが、「スピネロの青い瞳は綺麗だから、今後はこの姿を真似して生きることにしよう」って思って、スピネロ王子の姿を真似した『ラムズ』が出来上がったんです。
と、いうことで……。
あるタイミングで、メアリたちがスピネロ王子を知っている男と出会うシーンなんかを作る予定です。するとその男は
「なんで貴方様が生きているのですか……?! あなたはラミア……! 殺されたはずでは……?!」
みたいなことを、ラムズに言うわけです。そうすると読者は「え、ラミアなの?」みたいになるというわけです。
さらにもう一つ。ラミアだという説が捨てられたあとは、ナイトメアという種族だと思われるようにはしようと思っています……。
ナイトメアですが、夢を操る種族ということになっています。ただこれは、実はデマです。ナイトメアという種族は存在せず、悪魔が流した噂でしかないんです……。
悪魔は絶滅したと書きましたが、その理由は、「恐怖が大好きな悪魔」「殺人が大好きな悪魔」「死が好きな悪魔」「悪戯が好きな悪魔」「死体が好きな悪魔」この辺の悪魔が、自分の姿を自由自在に変え、人間に憑依をしまくり、世界を混乱に貶めたからなんです。
あまりにも悪魔が酷いので、神様が懲らしめようと思って、「憑依を見抜く人間」を作り出します。そして、片っ端から人間たちは憑依された人間(と悪魔)を殺しにかかります。
ただ、悪魔は不死身なんです。
ある特定の条件を持つ者だけが、悪魔を殺せます。それは、神様から神力という特別な力をもらった「人間以外の種族」です。
なので、悪魔が暴れ回っていた時代には、この「人間以外の種族で、特別な力──神力を貰った者達」が大量に現れ、悪魔を殺していきます。
悪魔は絶滅するのは叶わんと思って、《憑依》という能力を使うのはやめ(憑依するとバレてしまうから)、ほとんど人間の見た目に擬態して過ごすようになったんです。
また特に、「恐怖が好きな悪魔「なんかはもう殺されました。
そして「宝石が好きな悪魔」「お酒が好きな悪魔」「正義が好きな悪魔」などの比較的安全そうな悪魔が残ったというわけです。
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