ラブコメが一本調子になってしまう問題についての返信の返信
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ラブコメが一本調子になってしまう問題についての返信(元記事)
メリハリ以外にも、緩急、抑揚、テンポなどがよく言われます。いずれも、明確に「ここの表現がこうだから」とは言いにくい、全体の印象ですね。幸い、ご質問文で物語全体の流れを示して頂いてますので、そこから少し考えてみようと思います。
お示しの物語の起承転結から、キャラの心情が上げ(ポジティブ)か下げ(ネガティブ)か、話のテンションがどれくらいか、解決すべき問題がどこ/誰にあるかを付け加えてみます。多少の起承転結の補足も交えてみます。
(物語開始以前:不明)
・起:心の問題を抱えるヒロインとの出会い(事の起こり)
→流れ:上げ?、テンション:中、問題の所在:無し?
(承0:偽のカップル成立(偽のハッピーエンド))
・承:ヒロインのせいで日常が壊れて非日常へ(問題発生)
→流れ:下げ、テンション:強、問題の所在:ヒロイン
・転:日常を取り戻すために一度はヒロインを突き放す道を選んでしまう(偽の解決)
→流れ:下げ?、テンション:強、問題の所在:ヒロイン
(転2:ヒロイン喪失による主人公の苦悩発生?)
・結1:ヒロインの心の問題を解決して(真の解決)
流れ:上げ、テンション:強、問題の所在:ヒロイン
・結2:彼女と一緒の新しい日常へ戻る(エピローグ)
流れ:上げ、テンション:弱、問題の所在:解決が示される
(物語終結後:いわゆる「幸せに暮らしましたとさ」でしょうか)
1.起は大丈夫そう
起の2人の出会いは、とりあえずくっつくということでしょうから、どちらか、ないしは2人とも好意は抱くイベントかなと思います。話の流れ(キャラ、読者の気分)としては、上げ方向でしょう。読者を引き込める作りにしやすいんじゃないかと思います。
緊張感が出るにしても、メインのイベントを考慮すると、テンションは中くらいで、出だしには適切かなと思います。この時点ではキャラ(主人公、ヒロイン)には、はっきりとした問題は出ていないはず(承以降のイベントなので)。気分のいい進行になっていそうです。
2.起と承の間
ご説明の承の前に、2人が親密になる話の流れはあるでしょうか。承以降の流れを見ますと、よほどに親しくないとカタストロフ的な承に至る前に離れそうです。もし「ちょっとしたことで喧嘩したが、仲直りした」みたいな小イベントがありますと、そこでハッピーエンドでもいいような雰囲気を出せます。
ただし、本当の問題と解決は承以降ですから、いわば偽の平和、嘘の静けさといったところです。話しの流れは停滞し、テンションも下がる。問題も無いと分かったか、解決したような感じ。よくあるエピローグと似たような状態になります。
3.承で既に山場狙いかも
続いて承となるわけですが、破局に向かうわけですね。ヒロインの抱える問題があらわとなり、主人公に悪影響を及ぼしていく。ドラマの開始ポイントがこの承ですね。ドラマを発生させる問題の原因・核心はヒロインにあります。
破局へ向かい、おそらく主人公は諦めるまでは抵抗し、解決を試みると思いますので、テンションは高くなっているでしょう。悪戦苦闘ですし、成功したとしても、嫌なことが無くなる、という消極的なものです。辛い流れで気分的に下げになるはずです。
3.転も山場っぽい
転では、主人公が偽の解決を選ぶようですね。ヒロインを諦めて離れて、問題を解消しようとする。だけど解消であり、解決ではない。主人公にとって、離れる決断も辛いものがあるでしょうし、離れた後も心残りなどで辛いはずです(でないと結が発生しない)。
テンションは承から引き続き高いはずです。流れもキャラ(読者)の気分的には、下げでしょう。少なくともスッキリしない。むしろ悩みを深める方向になりそうです。
どうも、承と転が性格的に似ているように思えます。ですので、変化は感じにくそうです。お考えのサブヒロインを行動開始させるとしたら、承と転の間でしょうか。苦悩する主人公に接近し、転と結の間でカップル成立させるか、寸前まで行く。
偽のカップルであり、偽の平穏です。そうすると、テンションは下がり、問題は隠され、話の流れは停滞します。ただ、結に至る前に、サブヒロインとの破局により偽の平和は壊れるはずです(でないと物語が結に向かわない)。
4.結は当然ながらクライマックス(最大の山場)
結で大事なのは「ヒロインの心の問題を『解決』」ですね。主人公は問題を解消しようとしていたわけですが、思い直して解決を試み、(おそらく過去の失敗を踏まえて)成功させる。
ここでようやく、話と気分の流れが上げに転じます。全体を考えると、ツカミが終わってドラマが始まる承以降、下げて、下げて、最後だけ上がる感じです。
テンションは変わらず強いままです。承以降、エピローグ前まではずっと山場を維持しようとしている感じがあります。
そういった点がもしあるとすれば、メリハリという点では、一本調子を感じさせる恐れがあります。
5.流れは変え、テンションは上げ下げする
流れは変える必要がありますし、意図的に揺らしたりもします。変化をつけないと、飽きてくるからですね。気分的な幅を持たせないと、読者の気持ちも揺れず、感動できるポイント見失いやすくなりがちです。
テンションは上げ下げしないと、ダレて来ます。テンションを上げたままだと、慣れによりだんだん下がる感じがしてしまいます。下げたり上げたりするほうが、緊張を保ちやすいでしょう。かつ、谷と山の落差も作り出せます。
6.ドラマ発生の鍵の問題の所在も変化させるのが便利
主人公の存在も割と希薄になってしまっている恐れがあるように思います。ドラマを動かせる問題の所在が、ずっとヒロインにあるようですので。例えば「当初ヒロインに苦しめられていると思った主人公だが、ある時、自分が/もヒロインを苦しめていたと気が付く」なんて、よくあるドラマじゃないかと思います。問題の焦点も動かしたほうが変化がつけやすいからですね。
かつ、主人公は全面的に描かれるため、問題を抱えるのにうってつけのキャラです。問題を解消ではなく解決させるとき、主人公の問題としておくのが便利でしょう。
6.まとめの再掲
ご質問文からは、以上のように思えました。簡潔にまとめて再掲してみます。
・キャラ(ひいては読者に引き起こす)感情の変化が乏しいかもしれない。
・テンションを高いままに保っていて、かえってダレてしまうのかもしれない。
・ヒロインだけが問題を抱えて、主人公の当事者性が薄めかもしれない。
ラブコメが一本調子になってしまう問題についての返信の返信
スレ主 I 投稿日時: : 0
手塚満さん、返信ありがとうございます。
私は簡潔なあらすじを書いただけのつもりでしたが……間違ってあらすじを全て書いてしまったのかと焦りながら自分の投稿を見直しました。とても的を得た予想で驚きました。
創作活動をしている方からすれば、簡単なあらすじを見ただけで全体の流れを簡単に予想できてしまうのですね……。
その点もふまえて、もっと予想を裏切り期待に応えられる内容に変えなければと思いました。
キャラの心情の上げ下げ、話のテンション、解決すべき問題がどこ/誰にあるか、この点が似ているために抑揚が無くなっているというのは、まさにその通りでした。
特にキャラの心情が結のラスト周辺まで『下げ』で一貫していたため、ここが最も悪かった点かもしれません。
『主人公の存在も割と希薄になってしまっている』のも図星でした。
主人公にも問題がある設定ではあったのですが、それの描写と度合いが薄くて物語への影響が乏しかったので、問題の位置をしっかりと主人公とヒロインの二人をメインにし、承転結で振れ幅を広げることを意識して書き直したいと思います。方向性がまた見えてきました。
まとめていただいた三点を肝に銘じて改稿していきます。
アドバイス、本当にありがとうございます。
カテゴリー : ストーリー スレッド: ラブコメが一本調子になってしまう問題について