設定に縛られたくないのですが……の返信
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設定に縛られたくないのですが……(元記事)
確か、『ノーゲーム・ノーライフ』の空の髪の毛の色は、設定の上では黒だったと思うのですが、小説と同じ人が描いたイラストでは茶色になってますよね。
個人的にはそのように、シーンによって人の目の色や髪の色が黒や青や赤に見えてもいいし、極端な話が、例えば主人公の住む場所が起伏が多い土地だと事前に説明されていたとしても、次の瞬間には一面に平野が広がっていてもいいと思うのです。
しかし、読者の人から「設定に矛盾があるし、いい加減に作ってるんだろうな」とは思われたくありません。
相反する要求になるかもしれないのですが、解決する方法はあるでしょうか。
設定に縛られたくないのですが……の返信
投稿者 手塚満 投稿日時: : 0
まず、何と何が矛盾するかをはっきり意識する必要があると思います。挙げられた例では、
> 髪の毛の色は、設定の上では黒だったと思うのですが、小説と同じ人が描いたイラストでは茶色
これはは文章作品とイラストで異なるという問題ですよね。文章作品内の相違ではない。文章作品内の相違であれば、極めて簡潔に言えば「黒い茶髪」となります。
イラスト化については、置いておいていいと思います。イラスト化するときに相談すればいいことです。小説作者本人がイラストも描くなら、自分で納得できて、読者への説明ができればいいですから。
> 起伏が多い土地だと事前に説明されていたとしても、次の瞬間には一面に平野が広がって
こちらは、1つの文章作品内での相違ですよね。起伏の多い土地と記してあって、そうイメージしていたら、辺り一面は平野だと描写されて、どうイメージしていいか分からなくなる。
考えるべきは、こういう文章作品内での矛盾と思える表現、描写でしょう。原則としてアウトだと思います。居住地が起伏だらけと描写しておいて、台詞で「坂がないから自転車通学が楽だな」なんて書いたら、読者としては状況が分からなくなります。
作者は映像も音声もイメージしてから、それを文章化するわけですが、伝えられるのは文章だけです。読者は書かれた言葉から映像や音声をイメージします。言葉は記号でしかありません。記号に結び付いたイメージを再生するわけですから、記号同士が矛盾しているとイメージが再生不可能になります。
仕方なく、読んでいるシーンを優先してイメージを修正したりするわけですが、以前のシーンとの整合性をどうするかも読者の負担になります。しんどいわけです。矛盾と指摘するのは、間違いがいけないから減点、みたいな学校のテストの採点をしているのではありません。
落胆してるんです。せっかく文章を頼りに頑張って状況やキャラをイメージして来たのに、どうして崩すんですか、読んだ努力が台無しじゃないですか、とガッカリしたという話を「矛盾」に込めて感想で表現するわけです。読者は「こういうことだから、こうなったわけか」とか「こうなっているから、こうなるはずだ」といった感じで作品を理解するわけですよね。そこを崩したらいけないんです。
設定は読者に見せつけたりするものではなく、作者が守るべき基準(縛り)です。読者が楽にイメージするのを助けたり、何に期待していいかを保証するため(読むモチベーションに重要)のものです。作品世界の法則みたいなものですね。
設定を作ったら、作者は設定に縛られる必要があります。作者都合で変えてはなりません。変えると、読者は「この先を読んでも分からないだろうし、先を期待するのもバカバカしい」と思ってしまいます。そんなことになっては損ですよね。
なお、例外はあります。例えば、表向きの設定の裏をかくことによる効果を得たい場合ですね。起伏が多い土地ということなら、例えば自転車では苦労するはず。しかし主人公が自転車で遠路を楽々やってきた。となると、「なぜ?」と思いますよね。そこで、読者が「なるほど」と思うように描けるなら大丈夫です。そういうのって、頭脳派キャラの見せ場などでよく見ると思います。
カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 設定に縛られたくないのですが……