手塚満さんへの返信
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No: 8:スレ主さんへの返信です。(元記事)
(No: 8:スレ主さんへの返信です。)
きつい駄目出しを、くどくど致しましたので、まずお叱りを受けるものと覚悟しておりました。そういう質問ではないと。が、丁寧なご返信、ご説明を頂きまして、大変恐縮です。
仰せ、お尋ねのことについて、できるだけ申し述べてみます。
まず、「"~中性的な容貌だった。"に少女にも少年にも見えるという描写があるので老人と勘違いされるということは無い」ということについて。年齢不詳のイメージは、出だしの「腰をゆうに超える長さの~」の一文の時点で生じるということです。
それがどこで解消されるかは読者次第だと思います(最も遅いタイミングが、仰るように少年、少女という説明時点)。ただ、解消されるまではイメージが揺らぐわけで、読者の負担になりますし、イメージを記憶できなくなる原因ともなります。キャラの大要はできるだけ早い段階で示しておいたほうがいいと思います。
「透き通るような白い肌」については、「新雪って「透き通る」感があるかどうか疑問です」と既に申し上げております。白い点は合っているけど透き通ってない。「陶器」については、釉薬次第では表層の透明感は生じます。が、色は様々です。白色、透明性両方であればと思い、白磁を例に出しました。
「白藍の瞳」については、「青空」の例えを活かすということなら、「春の空」が近い感じであるように思います。秋の空は澄んでいます。だから「天高く馬肥ゆる秋」となります。春は秋に比べて空に微粒子が多く、ちょっと濁ります。そのため青みも下がります。ですので、少し黄みがかった淡い水色に近くなるように思います。
ただ、基本的にはこれだけ多量の特徴と形容を連ねるのは損なやり方(読者が覚えられない→印象に残らない等)だと思いますので、どう言い換えるかは重要ではありません。
3つまで、についてですが、人間が瞬時に把握できるのが3ということから来ています。数字ですら、1~3と4以上では認識速度が下がるとのことです。漢数字だと、厚切りジェイソンのネタにあります。一、二、三と来て規則性が見えたと思ったら、次は四。でもローマ数字でも同様ですよね。I、II、IIIと来て、しかし次はIV。洋の東西を問わず、同じです。
個数的な面でも同じです。・、・・、・・・までは瞬時に正確に把握できるけど、・・・・以上になると読みそこなったり、数えないと分からなかったりする。そういうことが心理学実験等で確かめられています。記号、色等の見分けでも同様です。信号機も原則としてランプ3つまでですよね。
小説の描写でも確かに3までなのか、が研究されたわけではないですが(少なくとも見当たらなかった)、口頭説明、文章等での自分の経験範囲では3以下が安全のようです。
もちろん、1シーンで3つまでという直接的なことはあります。ですが、例えばあるキャラの最大の特徴も3つまでに抑えるほうが、読者的には楽だと思います。そのことは、写真に写った人物を記憶する心理学実験での結果から推測できます。
その心理学実験は、「ある人の顔写真を見せて覚えてもらい、後で類似の顔写真を混ぜた多数の中から覚えた顔写真を選ぶ」というものです。実験は2グループA、Bに分け、Aグループは「ひたすら眺めて画像的に記憶する」、Bグループは「顔を言葉で説明しながら記憶する」。
結果、言葉にも頼ったBグループのほうが成績が悪かった。「男、縮れ毛、短髪、口ひげ、…」と覚えていったら、短い縮れ毛の口ひげ男と抽象化されてしまい、同じ特徴の(名詞、形容詞を持つ)人物のどれか、見分けがつかなくなってしまったとのことです。
コミックなら問答無用に絵で見せられますが、言葉を介して読者に絵を想起してもらう文章作品では気を付けないといけないわけです。説明を重ねれば正確に伝わるわけではない。むしろ曖昧模糊としかねないわけです。例えば、作中の他のキャラとイメージが被ってしまう恐れもあります。
コミックなら一目で見分けがつくように描くわけですよね。であれば、文章作品では一言で見分けがついたほうが、読者は楽です。シーンごとに特徴を追加するのも限度があると考えたほうが無難ではないかと思います。
しかし、それでは描写不足に陥るとお考えかもしれません。確かにそうです。ですので、主観表現も使うといいと思います。三人称多視点であれば、主人公を見るヒロインの気持ち、例えば「胸がキュンとした」とか。
すると読者は「胸がキュン」で思い当たるキャラを勝手に想像してくれます。三人称一視点や一人称なら、主人公から見た他のキャラの様子や台詞で。要は「読者の引き出しを使え」ということになります。
手塚満さんへの返信
スレ主 スノーレイン 投稿日時: : 0
丁寧にご説明ありがとうございます。皆さま方の助言を私なりに噛み砕いて解釈した文を載せる前に謝りたいことがあります。
返信を読ませていただいた初見はカッとなってしまったので、しばらく時間をおいて冷静になってから再度読み直して返信しました。ですが冷静になりきれておらずバイアスのかかった状態であった為仰りたいことを正確に読み取れずズレた返答をしたことを謝りたいと思います。
主人公の年齢の判明するタイミングの遅さによる作者と読者の主人公像の乖離による負担は避けるべきことですね。
"透き通るような白"の白でなく透明を議題にしていたにも関わらず変に噛み付いてしまい申し訳ありません!。
では貼らせていただきますが先に言っておくと二つあります。最初のものは文の順序や形容を少し変えただけのもので、二つ目はそれらに加え描写を三つに絞ったものです。
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その顔立ちは見る角度によって可憐な少女に、光の当たる角度によっては凛々しい少年にも見える中性的な容貌だった。ニコリとでも微笑んでみれば老若男女問わず魅了するであろう美貌はしかし、人形の如くピクリと動きもしない無表情。照明を反射して輝く白銀の髪は腰をゆうに超える程に伸ばされている。その肌は透き通るように白くまるで雪か白磁のようだ。春の青空を思わせる白藍の瞳は、不思議と吸い寄せられる空虚さを感じさせる。
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その顔立ちは見る角度によって可憐な少女に、光の当たる角度によっては凛々しい少年にも見える中性的な容貌だった。照明を反射して輝く白銀の髪は腰をゆうに超える程に伸ばされている。春の青空を思わせる白藍の瞳は、不思議と吸い寄せられる空虚さを感じさせる。
三つの特徴についての根拠を調べてくださったようでありがとうございます?
カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 主人公の初登場時の外見描写