よく漫画などの1話目の最後で、インパクトを与えるために掌を返す展開がある気がします。
有名なところだと「がっこうぐらし!」や「あやかしトライアングル」のように、1話目の最後でジャンルが変わるもの、
「ワールドトリガー 」のように思いもよらない真実が明らかになるものがありますよね。
楽曲では「カゲロウデイズ」の終盤で悲劇的な展開があり、
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」でも3話目でジャンルがホラー系になります。
「がっこうぐらし!」や「あやかしトライアングル」を分析してみると、序盤では「ありがちな部分」が目立ち(それでもそれなりに作り込まれている)、後半で別のジャンルに変わる。
「カゲロウデイズ」「ワールドトリガー 」を分析してみると、前者ではボーカロイドではやや珍しい叙事詩の形で怪事件を説明していますし、後者も前半から独自の設定やデザインが出てきます。
したがって、「途中からジャンルを変えるタイプなら片方をありがちなものにする」「驚きを入れるタイプなら最初から異色なことをする」
この二つが言えるのかと自分なりに考えたわけです。
自分の小説について言えば、設定はもう考えてあって、それはたぶん異色だと思ったし、
悲劇的な展開にしてインパクトも残したいと思ったので、
後者のタイプにして、章の変わり目あたりにそういうどんでん返し的な展開を入れようと思ったのですが、
ここで意見を聞きたいなあと思ったわけです。
また、それはそれとしてカプ厨のハピエン厨である自分は途中に下手に不穏な設定を入れて読者を困惑させたくないというのと、
もしかしたら俯瞰してみればジャンル的にそんなに奇抜なものではない、既存の先入観を脱し切れてない(流行に乗りたい自分が自分からそうした設定を取り入れているせいでもありますが)ものかもしれないというのがあって
なんか変な落とし穴にハマらないかなと少し不安という訳です
長くなりましたが、何かこの方法について注意点等ありますでしょうか。よろしくお願いします。
うまくやる分には効果的な手法だと思います。しかし、注意点がいくつかあります。
序盤の展開をA、流れを変える新展開をBとしますね。
注意点は以下かと。
1)Aがありきたりだと、Bまで読んでもらえない。
2)Aが面白くても、Aの好きな読者はBで失望するかもしれない。
3)逆にBが好きな読者は、一般的にAが面白くても好みに合わず、1と同様にBまで読んでくれない可能性がある。
ただでさえ序盤にウリ(つかみ)を仕込むのは難しいのに、A・B両方に違うウリを盛り込まなければならず、しかもその二つのウリの片方が読者の嗜好に合わずに喧嘩してしまうおそれがあります。それを避ける配慮も必要で、難易度はかなり高いかと。
しかし、スレ主様が例示されているようにいくつかの成功例もあります。それらの作品では上記の1・2・3にどう対処しているかを確認しながら見直してみるのがよいかと。
私的には、あげていらっしゃる何作かのうち『まどマギ』以外は知らないのですが。
まどマギの第3話はけっこう有名になっていて、確かにそこにB点が作られていたなと私も思います。
1については、定跡的ながら「謎の転校生」などの手法を盛り込み、イヌカレー演出のユニークな魔女描写などで興味をつないでいます。
ちなみに、あの第3話については脚本家が「序盤の3話までに視聴者をつかめれば後はついてきてくれる」という見解を明言しています。
しかし、「2話あたりまでで視るのをやめようかと思った」という声もチラホラ聞こえるんですね。
つまり作り手がかなり意図的に、序盤ではギリギリ第3話まで引き付けられればいいと考えていたことが分かります。第3話に爆弾を仕掛けているということが前提です。
2・3についても、脚本家の談話が参考になります。
それによると、今の読者・視聴者は、頭の中にストーリーのデータベースができているような気がする、と言うんですね。無意識に、この展開なら先はこうなるだろうと推測しながら見ていると。
だから、どこかでその予想をはずしてやると「あれっ?」と思い、「この先も見ておかないとマズイかもしれないぞ」と。そう感じさせるのがコツなんじゃないかと思いながらあの第3話を作ったとのことです。
まどマギのAパートには穏やかな日常描写もありますが、「謎の転校生」や魔女描写などで1話から不穏で妖しいムードもちゃんと演出されていたことに注目。けしてAは日常、Bから急にホラーという単純な作りではありません。AもBもホラーであることには変わりはなく、そこで視聴者の嗜好に齟齬が生じることはありません。
ただ、同じホラーでもAはややありきたり、Bでは定跡をはずす展開で視聴者を驚かせるということを仕組んでいます。そしてB点を境にして、Aの「あまり動きのないホラー展開」が、「どんどん加速していくホラー展開」に変化する感じでした。
エンタメの鉄則に、
◎読者の予想は裏切れ。しかし期待は裏切るな。
というものがあります。
途中で流れを変える仕掛けで失敗しがちなのは、読者の予想を裏切ることに気を取られすぎて、期待まで裏切ってしまうからだと思われます。
そこが注意点かと。