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思考の流れについて

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これ見たら小説書きたくなって実際書きましたという作品(媒体問わず)の返信(元記事)

『ふたりはプリキュア』(1年目)。
私にとっては、アニメのシナリオ小説を書く上で非常に参考になることに最初に気がついた作品でした。

『少女革命ウテナ』
これもアニメ。独特の世界観とキャラ設定の組み合わせに魅せられて。他に昔読んだ半村良とかの小説の影響が少しずつ入って、SFファンタジーみたいなのを1本でっちあげました。

『女か虎か?』
これはF・R・ストックンの著わしたいわゆるリドル・ストーリーです。結末を提示せずに読者に委ねるという趣向ですが、ストックンのこの作品を下敷きにして最適解を競うのが一時海外で流行したんですね。
で、ラ研の旧掲示板でこれをお題にした人がいて。そこではアイデアを出し合っただけだったんですが、いっそ実作を書いてしまおうかと。
結末だけでなく、基本的なアイデアをのぞいてストーリー全体をほぼオリジナルに作り直しました。

思考の流れについて

投稿者 あまくさ 投稿日時: : 0

ちなみに『女か虎か?』ですが、概要は以下のようなものです。(すでに作品というよりはお題として認知されているようなコンテンツなので、ネタバレはいいかなと)

ある国の王女と庶民の若者が恋に落ちるんですね。それが王に知られて若者は処刑されることになるのですが、その国には奇妙な処刑方法がありました。
罪人は二つの扉の前に引き出されます。一方の扉の向こうには絶世の美女が、もう一方には飢えた虎がひそんでいます。二つの扉の選択は罪人にまかされ、美女の扉を選んだ場合は、罪を許されて美女と結婚できるというものです。

扉に入れられた美女の立場はどうなるの? という問題はおくとして(笑

このストーリーのミソは、王女の行動です。
どちらの扉が虎か美女かは王女にも知らされないのですが、彼女は八方手を尽くしてそれを調べ上げてしまいます。そして、牢に繋がれている若者に教えることに成功したのです。

ただし、王女は正しい情報を若者に教えたとはかぎりません。若者が自分以外の女性と結ばれることを許せず、嘘を教えた可能性もあるからです。

また若者の側は、そういう王女の心理を読みながら、命がけの選択をすることになります。

そして。
王女は若者に真実を伝えたのか?
若者は、どちらの扉を選んだのか?

この二つが書かれないまま、物語は終わります。

   *   *   *

この物語は、若者と王女の双方に葛藤があります。そして、二人の葛藤が噛み合わない点に面白さ、または考えているうちにモヤッとしてくる要素があるんですね。

王女にとって二つの扉の選択は、どちらが選ばれても幸せにはなれない選択です。

若者にとっては。
この試練には王女との愛が試されるという側面もありますが、同時に王女の心理を読んで生き延びるという戦略ゲームとしての側面もあります。
そう考えると王女の葛藤はシンプルで、若者の葛藤は複雑です。

しかし、この設定はどちらかと言うと若者ではなく、王女の物語なんじゃないかと私的には思えました。

そもそもゲームのルールを作ったのは国王、または国の掟ですが、王女は途中からこのルールに介入して行動しています。

若者の選択は複雑ですが、王が作り王女が改変したルールに従うことしかできません。
また、若者の葛藤は命がけという点で王女よりも深刻ですが、愛の物語としては逃げ道があります。
若者がどちらの扉を選んでも王女に危害が及ぶことはなく、また、若者との愛という局面においてどちらにしても王女は幸せにはなりません。
それならば若者は、生き残ることに全力をそそげばよいと割り切ることもできるでしょう。

王女の葛藤は、シンプルですがどちらに転んでも辛いものです。
目の前で愛する者が惨殺されるか、別の女と結ばれるのを見なければなりません。

王女の葛藤は、

1)ハッピーエンドに繋がる結末を見つけることが難しい。

2)そういう状況の中で、王女は行動している。

この2点において、この設定は若者よりも王女の方が主人公にふさわしいと私は判断しました。

で、この困難な葛藤を彼女がどのようにして克服するかという物語を書いてみようと思いたったんです。

    *    *    *

大野さんの回答を拝見して思ったことが一つ。

私の場合、単に好きな作品に触発されて自作を書くときも、根幹になるような大きな要素を真逆というほど変えてみるという操作をよくやります。
それはパクりになることをふせぐのも目的の一つですが、むしろ自分の好みや思考のパターンを敢えて壊してみるのが主な狙いです。
『女か虎か?』にしても、設定にモヤッとする要素があったことが思考がはじまるきっかけになりました。
だから自分の「好き」という要素をどこかで一つ壊してみるというのが、私が見つけた創作のコツの一つです。

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