あまくささんのご意見に関する補足私見
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架空と現実の配分の返信(元記事)
>皆様は異世界モノなどで、現実世界の生物や存在が出てくるのをどの程度なら許容できますでしょうか?
ファンタジーの場合は、そのへんけっこうアバウトですよ。
>色々と異なる世界に我々の世界の存在が登場するのって設定的に矛盾になってしまうのではないかと疑問に思ってしまいました。
理屈っぽく考えればそうでしょうが、それを言い出すと異世界に人間(もしくは人間に酷似した生物)がいるのもおかしいということになってしまいます。
ジャンルにこだわるわけではありませんが、ファンタジーとSFの違いと考えると分かりやすいのではないかと思います。
>異世界とは現実世界、つまり地球と似通った、あるいは共通点のある別の星、または別宇宙だというアドバイスをいただき
その考え方はどちらかというとファンタジーよりもSF寄りです。SFの場合、いかに隔絶していても何らかの物理法則に支配され、同じ時空のどこかに存在する星という感覚で設定します。
もしくは、時空そのものが異なる別の宇宙だとしても、じゃあそれはどう異なっていて、どのように成り立っているのかをある程度論理的に考えるんですね。まあ、論理と言っても疑似科学にすぎないのですが、基本的な設定に矛盾しない範囲でストーリーを展開させるのがSFです。
それに対してファンタジーの場合は、論理ではなく作者の感性で世界を創ってしまいます。それであっても登場するものが現実世界にあまり似すぎていると読者に違和感をもたれることはあるでしょうが、そこは理屈ではなく表現力で処理してしまうんですよ、ファンタジーは。
以前、ファンタジーの異世界にハンバーグが登場するのはおかしいんじゃないかと質問された方がいました。
ハンバーグというのはドイツのハンブルグに由来する名称ですから、さすがに避けた方がよいと思います。ただしそれは論理的に変だというより、イメージとして世界観を損なうのがよくないという話です。
イメージとして損なうというのはどういうことか、うまく説明するのが難しいですが。
要するにね。異世界の連中だって、酒くらい飲みたいでしょ? みたいな。そういうのを全部排除したら読者に分かりにくい以前に、物語がつまらなくなるじゃないですか。
しかし、例えば「スコッチ」とか出してしまうと、あれはハンバーグと同じで地名由来だと思うので(スコットランド)、違和感が強くなりすぎる気がします。「さけ」は地名ではないですが本来は日本酒特有の名称。そういう意味で論理的にはスコッチと同じくらい使いにくいはずですが、こちらはアルコール一般というニュアンスもある言葉なので、まあセーフかなと。
つまり、現実にあるものの固有のイメージを想起しすぎると使いにくく、一般性の高い言葉で表現できればOKという感じになるかと思います。
あまくささんのご意見に関する補足私見
投稿者 ドラコン 投稿日時: : 0
ドラコンです。誠に僭越ですが、あまくささんのご意見に補足私見を申し上げます。
>ハンバーグというのはドイツのハンブルグに由来する名称ですから、さすがに避けた方がよいと思います。ただしそれは論理的に変だというより、イメージとして世界観を損なうのがよくないという話です。
>しかし、例えば「スコッチ」とか出してしまうと、あれはハンバーグと同じで地名由来だと思うので(スコットランド)、違和感が強くなりすぎる気がします。「さけ」は地名ではないですが本来は日本酒特有の名称。そういう意味で論理的にはスコッチと同じくらい使いにくいはずですが、こちらはアルコール一般というニュアンスもある言葉なので、まあセーフかなと。
小説の文章のタブーには、確かに「その世界に存在しないものを出してはいけない」があります。ただ、「実在の地名・人名にちなむ名称は使用しない」としてしまうと、「何も書けない」におちいりかねませんね。雰囲気と、簡便さのどこでバランスを取るかの問題かと存じます。
前にも書いたことです。架空のファンタジー世界には「唐」がないので、「唐草文様」と書けない、だからといって「アラベスク文様」と書いても、「アラビア風の」の意味ですから、大して変わりません。
この問題は、億劫がらずに辞書・事典を引けば、案外あっさり解決することもあります。
例示の「ハンバーグ」なら、Wikipediaの「ハンバーグ」のページの「歴史」の「日本への伝来」の項には、こんな記述があります。
「1937年(昭和12年)の『軍隊調理法』(引用注・日本陸軍のレシピ本)には「挽き肉油燒(ハンバーグステーキ)」という名称で収載されている」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B0
ですので、「ハンバーグ」との名称が使いづらいのなら、一折衷案として、「挽き肉油燒」とかいて、「ハンバーグ」とルビを振る方法もあります。
カタカナ語を出すと、雰囲気が壊れる中華風ファンタジーを書いたときのことです。メロンを出した際には、「メロン=マクワウリの漢名『甜瓜』」で、「甜瓜」と書いて「メロン」とルビを振りました。
異世界ファンタジー作品の文章については、中華風ファンタジー『薬屋のひとりごと』の文章についての私見を、このサイトの管理人・うっぴーさん宛に送ったところ、ブログに転載していただきました。ご参考までにリンクを貼っておきます。
「小説の世界観に合わせた言葉を選ぼう!『薬屋のひとりごと』の文章分析」
https://www.raitonoveru.jp/cms2/2019/08/01/45072/