【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信の返信
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【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信(元記事)
「中世ジャガイモ問題」についてですが、少し論点がずれてるんじゃないでしょうか。
「ファンタジーは別世界の話だから、なんでもあり」だからといって、中世欧州風にも関わらず、高層ビルが建ち並んだり、自動車が走ったりするのは、どうなんでしょう。違和感がありませんか。
もっと極端な例を挙げると「平屋や二階屋の木造建造物が建ち並び、城郭には天守閣がそびえる。そして、ちょんまげを結った男たちが闊歩する」なんてことになると「日本じゃん! 中世、どこ行った!?」という事態に陥ります。
「中世ジャガイモ問題」とは、単にジャガイモの存在について言及するものではなく、中世欧州風の剣と魔法のファンタジーにおいて、その世界観を崩さない範囲はどこまでなのか。それを問うものです。
その象徴が、ジャガイモであり、シャワーです。
基本情報として、南米原産のジャガイモは中世欧州には存在しません。
にもかかわらず、中世欧州の世界観を現すために、風景や街並み、食事をする様子を描写、そこにジャガイモが登場したらどうでしょう。
「この作者、なんもわかってないな!」となるんじゃないでしょうか。
もちろん、ジャガイモひとつで作品の評価が上がったり下がったりはしません。こういう細かい指摘をしてマウントを捕った気になる読者も、ただ単にウザいだけです。
ですが、小さな瑕疵でも頻発すると、作者の作品に対する姿勢に疑問を抱かざるえません。
逆に、聞き馴染みのない料理名が登場して、調べてみると当時に流行った物だったりすると、「やるじゃん」と嬉しくなりますよね。
書き手として作品に深みを出すためにも「中世ジャガイモ問題」は意識すべきだと思います。
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投稿者 ドラコン 投稿日時: : 1
ドラコンです。横やり失礼します。
>「中世ジャガイモ問題」とは、単にジャガイモの存在について言及するものではなく、中世欧州風の剣と魔法のファンタジーにおいて、その世界観を崩さない範囲はどこまでなのか。それを問うものです。
>その象徴が、ジャガイモであり、シャワーです。
この点につき、私見を申し上げます。
モデル・モチーフにする時代・場所に存在しない物を出す・出さないというより、作者が作中の衣食住について、ブレないイメージを持っているか・持っていないか、読者に違和感を持たせない工夫をしている・していないかではないでしょうか。
モデル・モチーフにする時代・場所の衣食住について、何も考えずに「ジャガイモ」「シャワー」を出せば違和感のもとでしょう。ですが、ちゃんと考えて「あえて」出したのあれば、気にならないでしょう。
中世中華風異世界が舞台での後宮ミステリー『薬屋のひとりごと』(日向夏、ヒーロー文庫)では、中世ヨーロッパ風異世界以上に違和感を覚えさせる以下の飲食物が出てきました。ですが、読者に違和感を持たせないように工夫させていたので、違和感はありませんでした。
中華ファンタジー好きで宦官にも多少の知識がある者としては、むしろ1巻で登場した「どじょう髭の宦官」(宦官は中華文明の特徴の一つ)のほうに違和感を持ちましたね。宦官は髭がないですからね。多少ネタバレになりますが、ニセ宦官のほうが宦官らしく描写されていました。「どじょう髭の宦官」に髭がある理由が、僅かなりとも出てきたのは、4巻に至ってからです。
・カカオ(新大陸原産)とチョコレート
カカオは「可可阿」、チョコレートは「巧克力」と中国語で表記しして、カタカナでルビ振り。
カカオについて、「西の、さらに西の南方にあるもの」(1巻)とあり、作中世界では「珍しい物」との扱い。
チョコレートの原料の1つ「砂糖」自体、高級品と描写されている。
・アイスクリーム
4巻で登場。氷が高級品と描写。塩を混ぜだ氷でアイスクリームの素を冷やして作った。「今、落ちて壊れた氷の塊だけでも、人ひとりが買える価値がある」。
「氷菓」と漢字表記で「アイス」とルビ振り。
考古学的に実在が確認されている中国最古の王朝・殷(紀元前17世紀―紀元前11世紀)でも、シャーベットのようなものが食べられていたようだ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0)。
・ジュース
「果実水」と書いて「ジュース」とルビ振り。
・さつまいも
6巻で、漢名「甘藷」として登場。苗を「南の品」で「面白い牽牛(アサガオ)がある」と間違って買った。飢饉対策で普及させようとする(実際、さつまいもの全国普及は享保の大飢饉を受けて、儒学者・青木昆陽より南町奉行・大岡越前守への意見具申がきっかけ)。
・パウンドケーキ
8巻で登場。名前は特になく、単に「焼き菓子」となっていた。材料、作り方、挿絵からパウンドケーキと推定。
また、挿絵の助けが大きいのですが、中華風世界であることを示すために、以下のような工夫もされていました。
・主人公の少女・猫猫(マオマオ)はじめ、一部の登場人物名の漢字は中国語読み。
・「小姐(おねえちゃん)」など、一部の用語が中国語表記で、日本語訳を仮名でルビ振り。
・昔っぽさをだすため、「半時」と書いて「いちじかん」とルビ振り。
・妃の位や役所の名が、中国王朝で実在したもの。
・参考記事
https://www.raitonoveru.jp/howto1/sekai/09.html
https://www.raitonoveru.jp/cms2/2019/03/22/43530/
カテゴリー : その他 スレッド: 【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈について