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【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈について (No: 1)
スレ主 サヴァ 投稿日時:
1.主人公の無双描写(能力・知識チート)の質について、その限度は?
主人公を強く見せるために敵を弱くするというのは昔からあることですが、小学生レベルの掛け算で賢者認定、杜撰な知識で異世界改革など主人公が強い・すごいというより周りがひどいだけの設定や描写で主人公を賛美するのは無理がありませんか?
2.俗に「中世ジャガイモ問題(ジャガイモ警察)」と呼ばれる設定に対する解釈について
いわゆる中世風異世界に「ジャガイモ」と呼ばれる農産物を登場させたときに「その時代にジャガイモがあるのはおかしい」という批判は、現実世界の歴史を基にした主張です。ジャガイモという名前に引っ張られる形でその歴史過程までも異世界に当てはめようとしてしまうことがおそらく原因でしょう。
反論としては、「異世界が舞台であり現実のそれとは違う」というものがありますが、この場合「ジャガイモ」という名称の由来が新たな争点となります。
異世界であるなら別に「ジャガイモ」である必要は無いのではないかというわけです。(無論すべての名詞を異世界風に改めるのは某FFのように読者の理解が追い付かなくなる危険がありますが)
もう一つ話題になったものとして「異世界シャワー問題」があります。(僕はその作品を読んでいないので詳しいことはわかりませんが)異世界なのになぜシャワーがあるのか? という疑問だったと思います。ジャガイモやシャワーに限らず異世界に関する描写・設定について読者はどこまでを現実的に判断し、どこからをファンタジー的に判断するのでしょうか?(考えるだけ無駄という意見はこの際おいといて)
カテゴリー: その他
この質問に返信する!人気回答!【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信 (No: 2)
投稿日時:
1.
何も問題ないし、無理もないでしょう。
何故なら、賛美してるのはその「ずさんな知識の人々」だからです。
もし、いま異世界から落ちこぼれの魔法使いがやってきて、あなたの目の前で炎の初級魔法を唱えたら、あなたは「すげえ、マジで魔法だ」と思いませんか。
それを、異世界側から見て「この程度で賛美されるとか無理あるわ」というのは主観の問題でしかないでしょう。
2.
「じゃがいも」と言葉を口にしたのが異世界人なのか日本人なのか。
日本人の場合、「その日本人が異世界において名付け親」なので、何も問題ないでしょう。
異世界人が口にした場合、「異世界語と同じくジャガイモを日本語に翻訳してるだけ」なので問題ないでしょう。
potatoは基本ジャガイモですよね?
異世界であるならジャガイモである必要はないけど、では、異世界において「その名称」がジャガイモの個体を指すと考えてる理由はなんでしょう?
イモ類を総じて「ジャガイモ」と言ってるのかもしれませんよ。
つまり、「ジャガイモとよく似た特性をもつイモ類をテーマに扱っている」というだけの話なので、この「異世界の芋」と「この世界のジャガイモ」を結びつけてることがそもそも変なんですよ。
異世界である以上は名称が違うかもという発想があるならば、そもそもソレは似ているだけで「ジャガイモ」と同一種ではないし、しかし文章において「ジャガイモ」と書かれているのは「日本語にするとこの単語が当てはまる」というだけでしょう。
シャワーは発明品なので、そりゃ人間と同じ構造の生物が生きてりゃ似たようなものは出来てもおかしくないと思います。
我々が想像もつかないような道具である可能性は十分にありますが、それは同時に人間の想像力の限界として「自分が知ってるモノ以外は絶対に想像できない」ので、仕方のないことです。
個人的には騎士甲冑に武器と剣術なんかが不思議ですね。
特に剣と剣術、槍や弓でも同じですが、武器の扱いが疑問です。
アレ、どう考えても「対人武器」ですよね。
モンスターがはびこってる世界で、モンスター退治の冒険者が対人武器を装備してる事になるんですけど、明らかに変。
防御魔法なんてものがある世界で、動きにくいだけの甲冑を着込むのも変。
でも、そんなのは「甲冑のほうが防御魔法を刻印しやすい」とか「モンスターに有効かどうかよりも人が扱い易いほうが武器になる」とか、適当に疑問に答えることは出来るので、疑問には思っても、別段そこに突っ込んだりはしたことないです。
つまり、
>どこからをファンタジー的に判断するのでしょうか?
「ファンタジーだから許される」という判断じゃなくて、そういう疑問に作者がどういう答えを持っているか、が問題ではないでしょうか。
ここまでは読者に許されるからOKとかそういう話ではないと思う。
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信 (No: 3)
投稿日時:
ドラコンと申します。ご質問のうち、「2」に限って、私見を申し上げます。
>俗に「中世ジャガイモ問題(ジャガイモ警察)」と呼ばれる設定に対する解釈について
いわゆる中世風異世界に「ジャガイモ」と呼ばれる農産物を登場させたときに「その時代にジャガイモがあるのはおかしい」という批判は、現実世界の歴史を基にした主張です。ジャガイモという名前に引っ張られる形でその歴史過程までも異世界に当てはめようとしてしまうことがおそらく原因でしょう。
反論としては、「異世界が舞台であり現実のそれとは違う」というものがありますが、この場合「ジャガイモ」という名称の由来が新たな争点となります。
異世界であるなら別に「ジャガイモ」である必要は無いのではないかというわけです。(無論すべての名詞を異世界風に改めるのは某FFのように読者の理解が追い付かなくなる危険がありますが)
「じゃがいも」という名はインドネシアの首都・ジャカルタに由来しますからね。現実世界の地名が付いた農産物を、架空世界出すのは抵抗がある、との理解でよろしいでしょうか。私でしたらその場合、「じゃがいも」の別名である「馬鈴薯」と書いて、「ジャガイモ」とルビを振ります。億劫がらずに辞書を引けば、以下のように漢字の名前があることが結構あります。これは、和風ファンタジーや中華ファンタジーのように漢字圏を舞台にした際、雰囲気を崩しづらくするのに有効な一案と感がています。
さつまいも=甘藷
メロン=マクワウリ=甜瓜
キャベツ=甘藍
ただ、「中国」が存在しない世界で「唐草模様」(唐=中国)と書くのも抵抗があります。ただ、ほかに書きようがなんですよね。漢字圏でカタカナ語を用いるほうがより雰囲気を壊しまし、「アラベスク模様」と書いても、アラベスク=アラビアの意ですから、大して変わりませんし。
>もう一つ話題になったものとして「異世界シャワー問題」があります。(僕はその作品を読んでいないので詳しいことはわかりませんが)異世界なのになぜシャワーがあるのか? という疑問だったと思います。
面倒なようでしたら、浴室の構造には触れずに単に「湯浴み」とでも書いておくのが一案でしょう。
日常的に使う物をウキペディアで調べてみると、案外古くからあることがあります。シャワーも16世紀のヨーロッパに原型があったようです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AF%E3%83%BC
とはいえ、中世ヨーロッパでは入浴は、古代ローマと異なり、好まれなかったようですね。ですので、中世ヨーロッパ風異世界では、入浴はそれほど重要ではないかと。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A5%E6%B5%B4
イスラム圏の公衆浴場「ハマム」は時代や場所にもよるでしょうが、湯を洗面器でくんで浴びるだけで湯舟にはつからないようです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%A0
https://ameblo.jp/maswy-261-peanuts/entry-11904554027.html
「じゃがいも警察」の追記 (No: 7)
投稿日時:
ドラコンです。遅ればせながら、「じゃがいも警察」について追記します。
中世ヨーロッパ風異世界に新大陸原産の農産物には違和感があるということでしょうか。「新大陸原産の農産物を出さない」との制限をかけることで、物語に筋が通ったり、深みが出たりする例があります。
『レベル99冒険者によるはじめての領地経営』(藤崎、モンスター文庫)
3巻で、主人公たちの領地を視察に来る王子を、現代日本の料理でおもてなししています。「ケッチャプやウスターソースがあればこんな苦労は」と、赤ワインベースにバター、小麦粉、魚醤、ハチミツでハンバーグのソースを作っています(じゃがいも同様、新大陸原産のトマトは作中の異世界に登場せず)。また、「ジャガイモもトウモロコシもなくポタージュを作るのが難しいと、あれこれ探していたなかで行き当た」って、ブイヤベーススープを作っています。
材料に制限がかかることで、創意工夫が生まれ、話の筋が通り、説得力が増しています。
じゃがいもがダメなら、豆で代用するのも一案です。『レベル99冒険者によるはじめての領地経営』の著者に、豆コロッケやじゃがいもを使わないクリームコロッケ(牛は居るので牛乳は入手可能)を推薦したいですね。それに、同書4巻で主人公が「ジャガイモがないから、フライドポテトがないのが残念だ」と言っていました。これも、揚げ豆で代用できませんかね。
・中東の豆コロッケ「ファラフェル」
http://www.ntv.co.jp/3min/recipe/20150911_2.html
・クリームコロッケのレシピ
https://erecipe.woman.excite.co.jp/detail/e7876f406c31a2b26993c19bba2b4059.html
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信 (No: 4)
投稿日時:
2についての回答です。
RPGの世界をベースにした小説だと、カジノに電気仕掛けのスロットマシンが置いてあったりしますよね。
個人的には、違和感があるんですけど、ゲームのパロディということで、無理やり納得させてます。変に「魔法の力で…」なんて理屈づけると、世界観が破綻してしまう場合もあるので、下手に触らずスルーした方が良いような気がします。
中世欧州をベースにした、骨太なファンタジーが好みなんですが、そうすると「中世ジャガイモ問題」は避けられませんね。
私も、自作でトマトを出す必要性に駆られ、悩んだことがあります。
そういった場合の逃げ道として考えたのが、「遥か彼方の東国の民族衣装」とか「暗黒大陸から冒険者が持ち帰った、貴重な食材」「南国の珍しい果実」などという、冠を付けることです。
珍しい品々であることを示し「この時代にないことは、わかってますよ。その上で登場させてるんです」ということをアピールしてるんですね。
名称については、地名や仏教由来のものは、特に悩ましいですね。
「ジャガイモ」ぐらいならともかく、「アメリカンドック」や「アメリカンコーヒー」なんかは、「アメリカン」って何んだよ? ってなります。「フランクフルト」なんてもろ地名だし、「トマトソースで絡めたパスタ」はなんて呼べばいいのか頭が痛いです。
とはいえ、欧州の中世って幅広いです。こだわってる人も、どの程度理解しているのか、疑問があります。
日本の歴史で例えれば、
戦国時代をベースにした作品で、大鎧を着て戦をし、握り寿司を食す。
なんてレベルが普通じゃないんですかね。
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信 (No: 5)
投稿日時:
1・掛け算賞賛ですが、結構整然とした街並みがあって、脳死で生きていけるほど魔法の力もなく、技術力も識字率も高そうな世界で掛け算が出来なければ違和感はありますが、教育が行き届いてないとか、逆にその世界の技術が便利すぎて退化してるとかであればそんなに違和感はありません。限度はほとんど定められず、設定や雰囲気によるのではないかと。
2・現実とおなじジャガイモを登場させたいならば、その世界の風土設定が現実のジャガイモの生育条件に適合すれば出していいでしょう。よく知りませんが、歴史的に偶然アメリカ大陸にあっただけで、自然法則的にアメリカ大陸にしか出現しない作物ではないはずです。
生育できない場所で「ジャガイモ的なもの」を出すとき、あるいは、ジャガイモに限らず、生育条件へのツッコミ等を避けるため、味や見た目の基本性質は同じでも現実の品種との違いをだしたいとき、どういう名前にするかということでしょうかね。そしたらその地域の名前をつけて「(ラ研地方なら)ラ研ジャガイモ」でいいんじゃないでしょうか。これで「ジャガイモ」だけど「なんか違うらしい」ってことにできるはず。
そもそもジャガイモという語がない世界でジャガイモという名詞を使っていいかという話ならば、「現実と同じ性質のものを指すなら問題ない」と思います。三人称の語り手なら、基本超越的なので、断りなく現実のジャガイモと全く同じ性質の物体を「ジャガイモ」と言っていいはずです。一人称、ないし回想形式であれば、主人公が翻訳しているのでしょう。あるいは異世界での呼び名を知るシーンがあってもいいですが、そのあとはジャガイモで通してもいいかと。ことわざとか物の名前の由来はめんどうですが、意味だけ抽出してるという態度でいいと思います。「左遷」が中国の制度に由来していたり、言語表現は歴史と一体なので下手に手はつけれられないと思います。
どこまで現実的に判断するかですが、物語一般において、リアリティは
1・ドキュメント的「現実と一致していなくてはならない」
2・リアリティ小説みたいな「登場人物、架空の都市など、現実と異なる部分もあるが、世界の大まかな歴史と物の一般性質は同じであり、かつ現実の町や人も登場する」
3・リアリティSFチック「物理法則は同じであり、”一つの嘘(IF)”があるが、その嘘によって引き起こされる結果の系列はすべて物理法則に適っている」
というようにジャンル的に要求されるリアリティをおおざっぱに区分が出来(るとしてもらい)ます。ファンタジーはおそらくリアリティの要求として「歴史が現実とつながりを持たず、物理学を共有しつつも、複数の嘘を用いることが出来る」だと思います、完全に私見ですが!
自由度が高いジャンルですが、ややSFチックに考えるなら「新しい惑星に、IF(もしもあったら)的な物質(魔石的な)やエネルギー(魔法的な)を複数入れた世界を作る」となりそうです。このとき魔法等を最小限にすると、物理法則と技術の発展段階(あれを作るにはこれがないといけない、あれがあるならこれもある)などが科学法則的なものでなくてはならない、ないしそのように考えた後それと整合性が取れるIFを加える、となるでしょう。
しかし、これはとても「原理的」「理想的」です。本当のところはもっとルーズであるように思えます。あるのは基本的な物理法則「らしきもの」です。しかも、厳密なものではないので、「重力」よりは実質「立つことへの経験則」「落下することへの経験則」程度の日常認識。しかもそこに「現実とは違う」魔法やなんやをぶちこで、リアリティをぼかすのです。そういう曖昧な世界の中ではジョジョみたいにナイフが回転せずにまっすぐ飛んでも「物理法則に適っている」(ように見える)のです。
ファンタジーに対するリアリティの要求はゆるめのSFという感じだと思いますが、現実的には本筋や美点を破壊しない矛盾はほっといていいはずですし、ほっといてくれると思いますが、どんなファンタジー世界でも、物が落ちる描写があるなら、我々の世界の重力があり、この世界の物理学がその描写で含意されるという見方を持つ方もいるでしょう。そもそも読者の側のことなので、ジャガイモ問題のように歴史の連続性すら要求する方も少数存在するようです。読者の見方より自分のスタンスを持ったほうがいい気がします。完全に私見ですがっ!
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信 (No: 6)
投稿日時:
コンセプト次第。
星新一のショートショートで、地球観光から帰ってきた宇宙人がお土産を地元に持ちかえるやつ思い出した。
A「なにこれ?」
B「【カギ】ってものだって。物につけて使うんだ」
A「どう使うの?」
B「それがビックリなことに盗ませないためにつけるんだと」
A「え?【盗む】って何?」
B「人の物や金を勝手に持っていくことだそうだ」
A「なんでまたそんなことするの?」
B「それが画期的なんだ。そうやると・・・・・自分のものが減らないんだよ!!」
A含む皆「「「っ、ほんとだスゲー!!【盗む】スゲー!!」」」」
みたいな。
韓国とかだと、たしか「物をついガメたくなる」文化があるとかで、金持ちの娘が一般庶民の友人を家に呼ぶとき、取られたら大事になる高価な美術品とかは隠してから家に入れてあげるのがエチケット。「見えなけりゃ盗みたくもならないし」だとかいうのは見た。
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ジャガイモうんぬんでぐちゃぐちゃ言うならば、そもそも異世界人とか地球人と同じ
生物とは限らん。
異世界人は脊椎動物か?類人猿とかからの進化か?血液の色は薄いブルーとかじゃない?烏賊や蟹みたいにさ?
異世界人よりオラウータンのがDNAが近いレベルなら、異世界人と地球人の子作りとか普通に無理じゃね?異種血統とかライガー、レオポン、騾馬しか生まれなくね?
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そこまでつつく気がないくせにジャガイモだけを言われても(笑)ってなる。
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信 (No: 8)
投稿日時:
「中世ジャガイモ問題」についてですが、少し論点がずれてるんじゃないでしょうか。
「ファンタジーは別世界の話だから、なんでもあり」だからといって、中世欧州風にも関わらず、高層ビルが建ち並んだり、自動車が走ったりするのは、どうなんでしょう。違和感がありませんか。
もっと極端な例を挙げると「平屋や二階屋の木造建造物が建ち並び、城郭には天守閣がそびえる。そして、ちょんまげを結った男たちが闊歩する」なんてことになると「日本じゃん! 中世、どこ行った!?」という事態に陥ります。
「中世ジャガイモ問題」とは、単にジャガイモの存在について言及するものではなく、中世欧州風の剣と魔法のファンタジーにおいて、その世界観を崩さない範囲はどこまでなのか。それを問うものです。
その象徴が、ジャガイモであり、シャワーです。
基本情報として、南米原産のジャガイモは中世欧州には存在しません。
にもかかわらず、中世欧州の世界観を現すために、風景や街並み、食事をする様子を描写、そこにジャガイモが登場したらどうでしょう。
「この作者、なんもわかってないな!」となるんじゃないでしょうか。
もちろん、ジャガイモひとつで作品の評価が上がったり下がったりはしません。こういう細かい指摘をしてマウントを捕った気になる読者も、ただ単にウザいだけです。
ですが、小さな瑕疵でも頻発すると、作者の作品に対する姿勢に疑問を抱かざるえません。
逆に、聞き馴染みのない料理名が登場して、調べてみると当時に流行った物だったりすると、「やるじゃん」と嬉しくなりますよね。
書き手として作品に深みを出すためにも「中世ジャガイモ問題」は意識すべきだと思います。
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信の返信 (No: 10)
投稿日時:
ドラコンです。横やり失礼します。
>「中世ジャガイモ問題」とは、単にジャガイモの存在について言及するものではなく、中世欧州風の剣と魔法のファンタジーにおいて、その世界観を崩さない範囲はどこまでなのか。それを問うものです。
>その象徴が、ジャガイモであり、シャワーです。
この点につき、私見を申し上げます。
モデル・モチーフにする時代・場所に存在しない物を出す・出さないというより、作者が作中の衣食住について、ブレないイメージを持っているか・持っていないか、読者に違和感を持たせない工夫をしている・していないかではないでしょうか。
モデル・モチーフにする時代・場所の衣食住について、何も考えずに「ジャガイモ」「シャワー」を出せば違和感のもとでしょう。ですが、ちゃんと考えて「あえて」出したのあれば、気にならないでしょう。
中世中華風異世界が舞台での後宮ミステリー『薬屋のひとりごと』(日向夏、ヒーロー文庫)では、中世ヨーロッパ風異世界以上に違和感を覚えさせる以下の飲食物が出てきました。ですが、読者に違和感を持たせないように工夫させていたので、違和感はありませんでした。
中華ファンタジー好きで宦官にも多少の知識がある者としては、むしろ1巻で登場した「どじょう髭の宦官」(宦官は中華文明の特徴の一つ)のほうに違和感を持ちましたね。宦官は髭がないですからね。多少ネタバレになりますが、ニセ宦官のほうが宦官らしく描写されていました。「どじょう髭の宦官」に髭がある理由が、僅かなりとも出てきたのは、4巻に至ってからです。
・カカオ(新大陸原産)とチョコレート
カカオは「可可阿」、チョコレートは「巧克力」と中国語で表記しして、カタカナでルビ振り。
カカオについて、「西の、さらに西の南方にあるもの」(1巻)とあり、作中世界では「珍しい物」との扱い。
チョコレートの原料の1つ「砂糖」自体、高級品と描写されている。
・アイスクリーム
4巻で登場。氷が高級品と描写。塩を混ぜだ氷でアイスクリームの素を冷やして作った。「今、落ちて壊れた氷の塊だけでも、人ひとりが買える価値がある」。
「氷菓」と漢字表記で「アイス」とルビ振り。
考古学的に実在が確認されている中国最古の王朝・殷(紀元前17世紀―紀元前11世紀)でも、シャーベットのようなものが食べられていたようだ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0)。
・ジュース
「果実水」と書いて「ジュース」とルビ振り。
・さつまいも
6巻で、漢名「甘藷」として登場。苗を「南の品」で「面白い牽牛(アサガオ)がある」と間違って買った。飢饉対策で普及させようとする(実際、さつまいもの全国普及は享保の大飢饉を受けて、儒学者・青木昆陽より南町奉行・大岡越前守への意見具申がきっかけ)。
・パウンドケーキ
8巻で登場。名前は特になく、単に「焼き菓子」となっていた。材料、作り方、挿絵からパウンドケーキと推定。
また、挿絵の助けが大きいのですが、中華風世界であることを示すために、以下のような工夫もされていました。
・主人公の少女・猫猫(マオマオ)はじめ、一部の登場人物名の漢字は中国語読み。
・「小姐(おねえちゃん)」など、一部の用語が中国語表記で、日本語訳を仮名でルビ振り。
・昔っぽさをだすため、「半時」と書いて「いちじかん」とルビ振り。
・妃の位や役所の名が、中国王朝で実在したもの。
・参考記事
https://www.raitonoveru.jp/howto1/sekai/09.html
https://www.raitonoveru.jp/cms2/2019/03/22/43530/
リンク先訂正です (No: 11)
投稿日時:
リンク先訂正です。
アイスクリームのリンク先は次の通りです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0
この掲示板は、リンクを( )でくくると、)が邪魔をして上手く開けないようです。失礼しました。
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信の返信の返信 (No: 12)
投稿日時:
おっしゃる通り、私も必然性があれば出しても良いと思ってます。
別の回答でも書きましたが私自身、中世欧州風のファンタジーでトマトを出したことがありますから。
ジャガイモも、例えば飢饉に苦しむ農村を救うため、幻の作物を求めて旅をする。その幻の作物がジャガイモだった。といった展開であれば、問題ないと思います。
問題があるのは、少し調べればわかるようなことを、何の考えもなく安易に出すことですね。
もうひとつの問題は、必然性があれば何を出してもいいのか。
もしくは、世界観に馴染ませるにはどういう工夫が必要か。
ドラコンさんが、例として挙げている作品は、そこのところが秀逸ですね。
特に「半時」と書いて「いちじかん」がよいです。
時間や距離などの概念は、どう表現するか難しいところです。
リンク先も読ませてもらいました。
リアリティについては、まさにその通りで参考になりました。
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【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信の返信の返信の返信 (No: 13)
投稿日時:
> f-log さん
ご丁重なご返信ありがとうございます。ドラコンです。
>私も必然性があれば出しても良いと思ってます。
必然性を含めて「説得力」でしょうね。先に挙げた『薬屋のひとりごと』でも、主人公の養父は、西洋世界が想定される「西方」に留学していましたから。つまり、東洋風世界が舞台でも、西洋世界との交流がある世界であることが示されています。もっとも、チョコレートが登場したのが1巻、養父の西方留学が明らかになるのが2巻でしたが。
中世ヨーロッパ風異世界でも、帆船とはいえ、高度な航海術を有し、ほかの大陸と交流があるような世界であれば、トマトやジャガイモが出てきてもそれほど違和感でないのでありませんか。
シャワーにしても、古代ローマを想定した「過去の高度な水道技術を応用して造った」とでもあれば、説得力が出てくるでしょう。
次に、世界観への馴染ませ方です。『薬屋のひとりごと』では、漢字圏が舞台とはいえ、「巧克力(チョコレート)」と漢字(中国語)で表記していました。作中世界が漢字圏でも、「外来語」であることを明示すれば、無理に漢字表記する必要はないですよ。登場人物にとって、耳慣れない語であれば、むしろひらがなで表記したほう良いかもしれませんね。実際、『薬屋のひとりごと』7巻では、主人公にとって耳慣れぬ西方人名がひらがなで書いてありました。
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信の返信 (No: 14)
投稿日時:
確かに、アラビアンファンタジーでことわりなくアボカドが出てくれば(基本)面食らうでしょうね。やっぱりイチジク、ぶどう、ナツメヤシの実なんかが普通ですね。アラブ的環境のなかでも多分原産地としてアボカドが出てもいいはず(いや、生育条件上だめかもしれないけど)、けどなんとなく違和感がある。つまりは必然性以外の要素があるということでしょうね。「世界設定」には反しないで「世界観」というものに反する場合があると言えるかもしれません。
世界観になじまるということであれば色々な要素が絡むでしょうけど、一つとしては「時代投影」とでも言うべきものがありそうです。異世界を理解させるために基本的な時代を指定するということで、それに反するときには描写的にことわりを入れるというルールはあるように思います。
「中世ヨーロッパ風異世界」が「アラブ風異世界」「ラテンアメリカ風異世界」「南アジア風異世界」「中華風異世界」とは違って「RPG風ファンタジー」と看做される場合があるのがジャガイモ問題をややこしくしているかもしれません。私も基本念頭にあったのはこっちでした。こちら側にはかなり広い範囲のヨーロッパの時代の要素がはいりこんでいるようです。
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信の返信の返信 (No: 18)
投稿日時:
ドラコンです。以下について私見を申し上げます。
>確かに、アラビアンファンタジーでことわりなくアボカドが出てくれば(基本)面食らうでしょうね。やっぱりイチジク、ぶどう、ナツメヤシの実なんかが普通ですね。
>「中世ヨーロッパ風異世界」が「アラブ風異世界」「ラテンアメリカ風異世界」「南アジア風異世界」「中華風異世界」とは違って「RPG風ファンタジー」と看做される場合があるのがジャガイモ問題をややこしくしているかもしれません。私も基本念頭にあったのはこっちでした。こちら側にはかなり広い範囲のヨーロッパの時代の要素がはいりこんでいるようです。
アラビアンファンタジーを書いて、特別な意図がなければ、アボカドを出すことはまずないですね。アラビア、ペルシャ、エジプトやモロッコなどの北アフリカ地中海沿岸のイメージから、アボカドは結び付きませんよ。大ボーイさんがおっしゃるように、これらの地域なら「いちじく、ブドウ、ナツメヤシ」ですよ。
じゃがいもが問題になるのは、ヨーロッパ風異世界を示すために、西洋料理の代表的な食材として、無意識に使っているからではないでしょうか。私も、作中世界の文化・文明・生活を明示するのに、「食」を意識していますから。
同じ新大陸原産のいものさつまいもと異なり、じゃがいもの本格普及は、日本では明治以降で、西洋料理とセットです。『帝国海軍料理物語』(高森直史、光人社NF文庫)には、じゃがいもについて以下のくだりがありました。「江戸時代まではもっぱら観賞用植物で、本格栽培は明治になってからである」「じゃがいもは本来、洋食の食材なのである」。
さらに、同じく新大陸原産で、じゃがいも・さつまいもよりも日本伝来の時期が早い、かぼちゃなら、たたかれ具合は少なかったかもしれませんね。かぼちゃの種は漢方薬として使われるぐらいです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%9C%E3%83%81%E3%83%A3
https://blog.goo.ne.jp/shokuyo365/e/6ed2c2ea78cdaf3f457d69eb838ce221
『ドラクエ』のようなRPG的世界観だと、「中世ヨーロッパ風」と言いながらも、「近世」や場合によっては「近代」も含まれますから。実際、『ドラクエビルダーズ2』では、かぼちゃが登場するほか、雪国の主要な食料としてじゃがいもも登場します。『ドラクエ10』ではほかの大陸に渡る手段の一つが鉄道です。しかも、青函トンネルや瀬戸大橋のように、海底トンネルや海上橋を走っています。
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信 (No: 9)
投稿日時:
1.
現代でも公教育がまともに機能してない国に行けば、とくに貧困層では掛け算ができない大人なんてザラにいると思うし、異世界の教育水準によってはそういうこともあるのかなと思う……。
まあ掛け算はともかく、描かれている異世界の文化水準に比して、ご都合主義と思えるレベルで異世界人の特定の知識が欠落している、みたいな作品はもしかしたらあるのかもしれない。だとしても、それがいいかどうかは時と場合によると思う。リアリティは間違いなく犠牲にしているけれど、整合性だけが物語の価値のすべてじゃないし。
ギャグとして面白く仕上がっているとか、平凡な主人公が予期せず異世界住民によって賢者に祭り上げられてしまう展開が後々のストーリーのために必要だったりとか、そういう物語上の要請があればリアリティを捨てるのも選択肢のひとつではあるので。
とくに後者、主人公が実力以上にスゴい人物のように周囲から見られてしまう、っていうのは巻き込まれ系主人公で話を転がしていく常套手段のひとつです。能力を過大評価されているが故に、周囲から無理難題が次々持ち込まれてくるわけですね。
だからまあ、そういう低レベル知識チートも、話のきっかけとして活用するのであればアリなんじゃないかなという立場。一方で話のオチとか緊迫した場面での起死回生の一手としてこういうことをやっちゃうのは、やっぱりだめだと思う。幸運で窮地を脱したってことになるとどうしても物語的に盛り上がらないので。
2.
異世界ジャガイモ問題、これは、A.それはジャガイモなのか、とB.そこは中世なのか、の2つの論点があると思う。
まずA.について。たとえば英語を知らない日本人がアメリカに長期間ホームステイして、現地人との対話の中で英語を学んだとする。彼は、日本ではジャガイモと呼ばれる食材を彼らがポテトと呼ぶのを聞いて「ああ、ジャガイモはこの土地の言葉でポテトと言うんだな」と理解する。もしかしたら日本のいわゆるジャガイモとはDNAや品種が微妙に違ったかもしれないけれど、彼の味覚はそれをジャガイモと認識し、彼の聴覚はそれを地元民がポテトと呼んでいると認識する。
そんな彼が日本に帰国し、日本人に向かって日本語でホームステイ中に食べたものについての思い出を語るとする。そのとき彼はポテトについてどのように説明するだろう。とくに説明なく"じゃがいも"って呼ぶんじゃないだろうか。
厳密には「ジャガイモによく似ているが日本のジャガイモと厳密に同一であるかどうかはわからない、ポテトと呼ばれる食物」と呼ぶべきかもしれない。けれどいちいちそんなまどろっこしい説明を加えていたらいつになっても話が先に進まない。
英語と日本語だって厳密には一対一で対応しているとは言い切れない。それでもポテトをジャガイモと呼ぶような"処理"を施さなければ翻訳したことにならないし、聞いている側も理解できない。
フィクションの異世界探検記も同じことなんじゃないのかなと思う。ジャガイモとは厳密には異なるよく似た作物であっても、それを作中でジャガイモと表記する(=日本人に馴染みのある用語に翻訳する)のは、特に不当ではない自然な言い換えでしょう。それを否定するなら、任意の名詞や動詞は"現実世界とは関連付けられない異世界に固有の概念"ということになるので異世界で見聞きしたことを何一つ日本人の読者に理解できるように説明することは不可能、みたいな話になる気がする。だからこれって翻訳の問題なんじゃないのかなと。そういう意味において、異世界ファンタジーでジャガイモを登場させる(作中でジャガイモと表記する)ことに問題はないと考えます。
続いてB.中世という言葉にまつわる問題について。これまで長々語ってきてあれだけど、中世ジャガイモ問題の核心はこっちだと思う。ジャガイモ警察がなんで中世ヨーロッパ風の世界観にジャガイモが登場するのを問題視しているのかといえば、そこが中世ヨーロッパ風で、かつ現実の中世ヨーロッパにジャガイモは存在しなかったからなんだよね。だから近代ヨーロッパ風ファンタジーとか、中世ペルー風ファンタジーだったらおそらくジャガイモ警察は発動しない。そう考えるとファンタジーであることより中世ヨーロッパ風という限定の付け方が警察諸氏の反感を買っているものと思われる。
これは言い換えると、現実の中世ヨーロッパをどこまで再現する必要があるか、っていう話なんだと思う。中世ヨーロッパ風って紹介されると、読者は自分が思い浮かべる"中世ヨーロッパ"と比較しながら作品を読みすすめてしまうので、知っている中世ヨーロッパの事情と違う設定が説明なしに登場すると、つい警察になって知識マウントを取りたくなってしまう、みたいな。
フィクションだからほどほどでいいんだよ、っていうのもひとつの答えですが、どっちかというと中世を全面に出しすぎないほうがいいんじゃないかと自分は考えてる。世の中で流通しているほとんどの中世風って、実質的に"剣と魔法のRPG風"ですよね。そうやって看板と中身が微妙にずれてるから揚げ足取られるんだよ……と個人的には思う。
クリエイターはフィクションの嘘について開きなおるべき時っていうのが確かにあって、スターウォーズで宇宙空間での戦闘シーンに音響効果がついている(真空中では音は伝達しないはず)ことを指摘されたルーカスが"俺の宇宙では音が鳴るんだ"という趣旨の発言をした話が有名ですが、中世ジャガイモについては若干事情が違うのではないかなと思う。もちろん個別作品によっていろいろあるし、中世ジャガイモ問題という言葉だけが独り歩きしたために鑑賞者が色眼鏡で読むようになったっていうのもあるけど、その前段階として創作者サイドが『中世風』って言葉を都合よく使いすぎていたっていう土壌は間違いなくあったと思うのよね。その点で、中世ファンタジーに安易にジャガイモを登場させるのは良くないんじゃないかと思う。
まとめると、異世界にジャガイモがあってもいいけど中世にジャガイモがあるのはたしかに考証ミスにあたるし、中世にジャガイモはないっていう認識が読者感に共有されつつある局面でもあるので、2019年現在において中世ヨーロッパ風を標榜するなら、なんらかの対策が必要なんじゃないのかなと感じる。ジャガイモ警察、"お前ら読者じゃねーから"って切り捨てるには層が厚すぎるように思えるし、ジャンルに求められるトレンドの一種みたいに考えるのが作家側としては無難なのかもしれない。
最後に異世界シャワー問題について。これはね、ほんと山本弘には怒りしかない。新人潰す気かよ。やめてくれ。
現代的な上水道を仮定しなくても、どこかに貯水槽があって高低差で水が出てるだけの原始的な仕組みなのかもしれないし、舞台は娼館なんだから水とか衛生とか大事だろ。いかに中世風の世界観でも施設の性質上、きれいな水が大量に供給可能な立地だったとしてなんら不自然ではない。もっというとあの世界観自体がよくある異世界転生のパロディで、設定の細部がガバいとこもふくめて異世界転生あるあるネタをうまく取り入れてるんだよね。そういうの、ちゃんと読めばチバや神様の言動からわかると思うんだけどな。戯画化された世界観にマジになってどうすんの?
とにかく読んだことないならJKハルは読め。めちゃくちゃ面白いから。性的な場面がいっぱいあるのでここにリンク貼れないのが悔やまれるが……。
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信 (No: 15)
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正直なところ、ご質問内容には興味が湧きませんでした。1は作品ごとの工夫を度外視しての一般化ですし、「小学生レベルの掛け算」「杜撰な知識」「周りがひどいだけの設定や描写」と、スレ主さんが期待する回答は既に決まってしまってます。
2ですと、逆に個々の事例に拘ってしまっている。確かにジャガイモは例だし、ご質問もジャガイモを例に取った説明のように見える。ですが、「ジャガイモ」が名詞という記号であり、実態そのものでないこと等へ踏み込む様子がない。
「異世界シャワー」問題に至っては、読んでないと仰ってますよね。それで何か論じられるんでしょうか? 私も書籍版は読んでいません。話題になった当時は「なろう」にありましたんで、読んでみました。シャワーに違和感を表明したのは、あるプロ作家でしたね。作品内容だけでなく、その作家の普段の言動なども考えないと、JKハルにおける「異世界シャワー」問題は論じられないように思います。
いずれも以下の各項で触れてみたいと思います。興味ないのになんで回答を試みる気を起こしたかといえば、各ご回答には興味ある内容が多かったからなんです。ご質問はお世辞にも中身があるとはいえませんが、少なからず寄せられた回答がよき議論になっている。だから参加してみたくなったのです。
> 1.主人公の無双描写(能力・知識チート)の質について、その限度は?
これって作者が設定する強弱、賢愚の相対性に過ぎません。無双主人公を出したいのなら、抜きんでて強力、ないしは天才になるのは必然です。でも「抜きんでて」なんですよね。絶対的な基準じゃない。例えば「12万5千度の炎が出せるなら最強」にしてみたとして、15万度出されたら最強じゃなくなる。主人公の12万5千度を最強としたいなら「この作品世界では理論上の最高温度」とか「他のキャラはそこまでやれない」とするくらい。
既出の良回答と被りますが、現実の歴史でも「小学生レベルの掛け算」を古代の庶民に見せたら、賢者レベルに認定される可能性が高い。異世界なら文明や教育レベルは設定次第ですよね。
設定次第を使った作品だってあります。ドラえもんですと、のび太が他の惑星に行ったら、超人的な膂力と認定されるなんて話がありました(重力が弱い星なので、住人の筋力が低いという設定)。確か永井豪さんの昔の作品で、未来世界に行った男の話もありました。その話では、機械文明の発達で人間が虚弱化してしまった、と設定されていました。そのため、過去から来た普通の男でも超人的になってしまう。
いずれも無理な感じはありません。周囲が主人公を褒め称えるのも自然でした。作品内での整合性があるからだと思います。
一方、無理を感じるものがあるのも確かでしょう。実際の作品を出すのははばかれますので、この場で捏造してみます。例えば、悪役(嫌われ役)が凡人レベルの実力もないのに親の七光りだけで威張り散らし、周囲を虐げている。主人公が颯爽と現れ、悪役の親が公認するゲームで悪役を叩きのめす。周囲が主人公を「凄い」「最強」「英雄だ」と心から称賛する。
おかしいですよね。凡人以下の悪役は実際にはモブキャラでも倒せてしまうことは分かり切ってるわけですから。悪役が叩きのめされて気分はいいでしょう。しかし主人公が強いことにはならない。戦えさえすれば誰でも勝てる相手に勝ったに過ぎない。
こういうの「ご都合主義」と呼んでるわけですよね。作者が「みんなが主人公を褒め称えるシーンが欲しい」と思って、整合性、必然性等を考慮せずに話を運んでしまうといったことで起こることです。
仰っている内容は、おそらく無双だからではありません。ご都合主義が感じられるとリアリティのなさにがっかりする、という昔から言われているものに過ぎません。ご質問(ないしはご主張)は問題のとらえ方が間違っています。
> 2.俗に「中世ジャガイモ問題(ジャガイモ警察)」と呼ばれる設定に対する解釈について
「ジャガイモ」という名詞は語源があって、ある一つの種類の芋を指しますね。そういう意味では、「ジャガイモ」と書いたら、対応する芋がイメージされる。現実の古代~中世ヨーロッパが舞台(ただし魔法やドラゴンはいたりする疑似的なもの)だとしたら、避けるべき。それは分かります。「国王の人気が失速」したり、「話が脱線」したりという表現も避けるべきかもしれません。そこまで制限して、作者、読者ともメリットが生じるかは疑問です。ですので、出すのを控えたり、変えるとしたら固有名詞だけでしょう。
ですが、古代~中世欧風の異世界だと話は違いますよね。「ジャガイモ」があって何がいけないのか。現実世界とリンクしてしまい、異世界感が損なわれるからでしょうか。それは一理あります。「ジャガイモ」を避けるなら、リンゴもピーナッツも避けるべきでしょう。調理法、食器にもオリジナルのものと固有名詞を考案する必要が生じます。結果、わけが分からない食事シーン描写に陥ります。
それでもいい、と思える作品もあるでしょう。例えば、異世界(ないしは異星)に放り込まれて戸惑う主人公ならアリでしょう。食品も(現代日本から来た)主人公にはグロテスク、味も不慣れなうちは極めて不味くて苦労するといった運びなら、異質・異常感を出すために、現実のものを連想させない固有名詞を与えるのはアリです。
一方、冒頭から美味しそうなご馳走を出したかったらどうか。例えば、腹を減らした主人公が宿屋に駆け込んで来たら、大勢がご馳走を食べていて、とか。未知のオリジナルな固有名詞で美味しそうと感じてもらうのは相当に無理が生じます。ビーフステーキにジャガイモの付け合わせ(に相当する食事)をどう言い換えるのか。言い換えること自体は簡単です。ですが「美味しそう」と感じてもらうのは、事実上、無理でしょう。
異世界感よりも食事が美味しそうなほうが大事であれば、なじみのある表現を使うべきなんです。異世界なんだから、なんでもかんでも異質にするべきと一律には言えない。そもそも、異世界の住人とて2足歩行で顔には目が2つ、鼻と口は1つずつ、髪の毛が生えていているだけではなく、美人・イケメンかどうか、マッチョか否か、とかとか、現実世界基準のものが多数あるわけです。たとえ、異世界感を強調する作品でも。でないと、例えば恋愛とか描いても感情移入はしてもらえないですよね。
これも問題意識の持ち方が間違ってるんです。問いの立て方がおかし。「ジャガイモ」を例にしてもいいけど、「中世欧風でアリかナシか」と考え始めると、罠にはまります。ジャガイモが出て来て雰囲気壊れる作品読んだら「ナシ」と言い始め、ジャガイモが出て来ても自然な作品を読んだら「アリ」と言い始めてしまったりします。
さらに映像作品を引き合いに出して文章作品に安易に適用したりして、さらに間違ったりします。例えば「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの前日譚「ホビット」シリーズでは、ホビットが食道楽ですんで、食事シーンがふんだんにある。原作小説はありますが、映画版で考えてみます。中世欧風異世界ハイファンタジーですが、食事ではジャガイモやトマトなどが並んでいる。まるで全世界から食材を集めてきたかのようです。
大変に美味しそうで効果的です。ですが、だから文章でも同じに描いていい、とはなりません。映像は説明しないから成り立つ面が多分にあります。トマトに見えるけど、トマトと呼んでないし、単にさりげなく置かれているだけ。意識してみなければ、「あ、トマトだ」とは思わない。文章だと必ず名詞を書かないといけません。必ず意識することになります(意識しないなら読んでない)。
同様のことが「エヴァンゲリオン」(1995年)でも見られました。日常シーンでアスカがゲームをしているんですが、マシンがセガサターン(そっくり)だったんです。だけど、単にさりげなく置いてあるだけだから無理は生じていない。これを文章で「アスカがセガサターンでゲームをしていると」と書いたら、相当おかしな感じになります。「2015年でなんでセガサターン? レトロゲームファンなの?」みたいになりかねません。映像作品だからこそ、さりげなく置くことができ、当時の視聴者に日常感を感じてもらうことが可能だったわけです。
同様に、「トップをねらえ」(1989年)。日常シーンのソフトドリンク(缶)、スナック菓子は当時に実際にあったものを忠実に描いていました。ただし誰も固有名詞で呼んだりはしない。映像作品だからこそ、それで日常感を出せたわけです。どちらもGAINAX作品・庵野監督で、小道具での効果の出し方に特有の拘りがあったのかもしれません。
表現媒体でも違いが出てしまうわけですね。決して「中世欧風(異世界)ファンタジーでジャガイモはどうか?」みたいな、大雑把な、あるいは大枠過ぎる問いを立ててはならないと思います。間違った問いには適切な答えは生じません。延々として終わらない議論であるのも、無理からぬことかと思います。必ず「この作品にジャガイモは適するか否か」みたいなピンポイントな疑問を持つべきです。
(続きます)
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信の返信 (No: 16)
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(No.15の続きです)
3.異世界シャワー(JKハル)
「なろう」にあったものを読んだだけですが、結論を先に申せば「シャワーは必要であり、特別なものであってはならない」です。「JKハル」は女子高校生が(忌み嫌う男子高校生と共に)剣と魔法の欧風異世界に来てしまい、生きて行くために娼婦を始めるというものですね。娼館があって、そこに就職する。
主人公ハルは娼婦を否定はしないけれど、好感を持っているわけではない。娼婦として成り上がろうとも思ってない。欲しいのは平和な日常です。ですが、魔物もいれば戦いも絶えない世界のこととて、そうそうは上手く行かない。好きな食べ物だって、当初はない。感覚的な不満が溜まってしまう世界であるわけですね。
対象読者層を考えると、どうも自分には不向きのようです(少なくとも、女性向けだと感じた)。実際、感情移入もできなければ面白くもなかった。ですが、狙いは自分なりに分かります。娼婦となっても性的に屈せず、むしろ客となるキャラを軽蔑する。ただし、娼館の客だからではなく、普段、あるいは隠された人物像、性格、生き方を軽侮するわけですね。
だけど嫌なものばかりであるわけです(下手な話運びではなく、そこが溜めになって終盤で効果を出している)。物語を壊さなくて、しかしハルの息抜きになるものが必要となります。でないと、ハルに感情移入している読者も溜まる一方の嫌悪感に悩まされる。
だから「シャワー」があるんです。客を取った後、体くらいは流して清潔になりたい。嫌な客と取るという生理感覚的な下げの後、ちょっと上げるわけですね。その落差で、(主人公も読者も)少しホッとすることができる。
これは読者にもなじみがある「シャワー」だから良いわけです。イメージしにくい道具とか、不可思議な魔法で体を清める、では生理的な上げにならない。苦労して読み解いたら、論理的には清潔になることが分かった、ではまずいんです。感覚的にすっと分からないと、感覚的な上げにならない。
シャワーを例に貶した例のプロ作家さんですが、ハヤカワから出ているため、異世界感満載を期待して読んだようです。そりゃハズレと思うでしょうね。「JKハル」は主人公が不快な世界に転移したことが、読者に苦も無く分かることを狙って書いてあるようですから。作品の目的が違うんです。「あれは何?」「これはどういうこと?」みたいな、異世界観光的なものではない。むしろ、現実の不快感を利用し、分かりやすく強調するために異世界を利用してます。場所は隔絶、感覚は類似、といった感じですね。
そのプロ作家さんが、改善案として引き合いに出した作品事例もまずかった。例えば、ヒロインが卵を産む種族、なんてのを称揚して、「JKハル」に駄目出ししようとしてました。生活だけでも元の世界に回帰させたいという主人公、それに感情移入した読者の感覚が分かってない。感情移入した主人公が不潔なことだけでも嫌な思いをしているのに、シャワーはやめとけ、さらに卵を産むのがいいなんて。嫌悪感を減らす必要性・工夫に対して、嫌悪感を増す手法を提示してはいけません。自分が卵を産むと想像して、誰が共感し、嬉しがれると思うんだか。
そういう作品特有のことを度外視して、「異世界にシャワーがあってもいいの、悪いの?」なんて語っても意味はありません。もしシャワーの是非を考えるとしたら、「この作品のここで、こういう風にシャワーが出てくるのは、どういう効果になるのか?」といったことであるべきです。
繰り返しになりますが、「JKハル」は私には不向きです。ありていに言えば、嫌いなタイプの作品ですらあります。しかし、嫌いだからと言って、作品がなし得ていることまで否定することはできません。「JKハル」には、シャワーはごくありふれたものとして必要です。
(極めて個人的な判断ですが、件の作家さんは、自分の好き嫌いが万人共通であり、質の客観的な良さの尺度であると思い込んでいる節があるようです。しかも、どうあしざまに言うかを工夫しがちのようでもある。話半分に聞いておくべきだろうとも思っています。)
【質問/考察?】主人公及び異世界の設定・描写、その解釈についての返信 (No: 17)
投稿日時:
確かにこの質問の仕方は雑ですね。申し訳ありません。
ご回答いただいた方々、貴重なご意見をいただきありがとうございます。