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「何」という文字の使い方について (No: 1)
スレ主 ベン・ウィラード 投稿日時:
こんにちは、皆様お久しぶりです。以前は多くのアドバイスをお寄せくださり、まことにありがとうございます。
さて、今回は「何」という漢字について相談させていただきます。じつは今まで人物の特定や物の数を疑問視を表現する以外に「何で」や「何ということか」、「何かしら」とあまりよく考えずに使っていたのですが、二次創作やオリジナルの短編を作成する参考に多くの作品を読むようになって「ひらがな」で表記されていたり、私と同様の書き方をされていたりとどうするのが正しいのか分からなくなり困っております。
皆様はどのようにされているのか、またどうすべきかアドバイスよろしくお願いいたします。
カテゴリー: 文章・描写
この質問に返信する!「何」という文字の使い方についての返信 (No: 2)
投稿日時:
漢字で書くか、あえて平仮名で書くか、読みやすさを考えて漢字を平仮名表記にすることを「漢字をひらく」と言います。
これは主に漫画でよく使われる方法で、漫画は地の文もないし吹き出しという制限されたスペースで、更にフォントやフォントサイズの自由が効くので、単純なワードのみのセリフなんかはだいたい漢字をひらいています。
「な、なんだってー!?」とか「ちくしょう!」とか。
その漫画表現から輸入された、というわけでもないと思うけど、文章表現よりも読みやすさ(理解しやすさや雰囲気の伝わりやすさ)を重視するライトノベルでもこうした漢字をひらくことはよくあります。
「何」のほかにも「方」や「事」あたりも良く開くことが多いでしょう。
「彼はあっちのほう(方)に行った」とか「そういうこともあるよね」とか。
さて、じゃあ何が正しいのかというと、正しさで言えば漢字で書くことが正しいです。
ただ、この表現は「正しさ」ではなくて「読みやすさ」ですから、読みやすさで言えば、そのときどきの状況や前後の文・単語によって違いますが、漢字をひらいて平仮名にしたほうが読みやすいと言えると思います。
例えば、「今(いま)」という漢字の扱いには困った事ありませんか。
「今コンビニいるよ」と、これなら良いけど、「今村についたとこだよ」といった風に一字で意味を成す漢字が2つ並んでしまうと、「イマムラって誰? どこ? 地名?」って誤読しちゃったりするでしょ。
こういう場合は句読点で区切れば良いけど、それだと読点が多すぎな一文になったり、そもそも「ああそう。今、村についたとこ」と、漢字一字だけ句読点で挟んで何か座りが悪くなる。
それなら、「いま村についたとこだよ」と、漢字をひらいてしまうのがシンプルな解決法だと思う。
こういう、例えば「一字で意味を成す漢字が2つ並ぶ場合」はどちらかの漢字をひらいてしまうほうが 読みやすい ということです。
もちろん、これは 例えば なので漢字をひらくときの状況は多くあって、その状況判断は作者が自分で読みやすさを考えて判断していくしかないです。
私の場合の「何」の扱いは、地の文(三人称)では漢字表記。一人称ないし人物の心の声など人格が宿る文書の場合は状況によって平仮名表記。
セリフはキャラクターによって大人は漢字にしがち、成人以下は開いて平仮名表記。「何」「今」「事」「時」「方」えーと、形のない概念を示す漢字って言ったらいいかな、そういうのはだいたい漢字をひらいてる。
だから、大人ないし大人びた知的キャラと感情的な未成年のキャラが対話している場合は「なんだとこの野郎!」「何か問題でもあります?」といった感じで混在している。
正しさではなくて、これはこういう表現だし意図があってそうしているので、別に突き放す意味ではなく「自分で考えたらいい」というのが回答になってしまう。
その表現の正しさは、作者が自分で決めるものですから。
「何」という文字の使い方についての返信の返信 (No: 3)
投稿日時:
返信ありがとうございます。キャラや場面による使い分けが大切なのですね。
参考になりました。
「何」という文字の使い方についての返信 (No: 4)
投稿日時:
使い分けのルールというか、基準はあるのですが、心得ている方が少ないのだと思います。かくいう私もあやふやですが。笑
こちらの記事など参考になるかと思います。
幻冬舎のコラムです。
https://www.gentosha-book.com/method/novel/hiragana-kanji/
横やり失礼します (No: 5)
投稿日時:
横やり、失礼します。
リンク先、読んできました。こういうサイトがあったんですね。内容は私も知らなかったことも多々あり、参考になりました。横やりですが、教えていただいてありがとうございます。
ところで。
リンク先が例示していた「基準」ですが、どちらかと言うと公用文・ビジネス文では気をつけた方がよいというものが多く、小説の場合はあまりああいうのにはこだわらない方がよいと思いますよ。
顕著な例としては最後の方に、
(引用始め)
また、モラルの問題から漢字の使用を控えるべき言葉もあります。
<例>
障害=障がい
子供=子ども
(引用ここまで)
と書かれていました。これは害・供が差別的だと言いたいんですね。しかし、こういう理由で「子供」より「子ども」を推奨するというのは、小説ではそぐわないでしょう。
また、もっと文法的な案件にしても。
(引用始め)
下さい ⇔ ください
この二つは、明確に用法が異なるので注意が必要です。
あるものを要求するときには「下さい」、ある動作を促すときには「ください」を使います。
つまり「水を下さい」と「水を売ってください」の違いです。
漢字・かな表記のどちらも使用できますが、一方は誤りになると言えます。
(引用ここまで)
これはね。
「売ってください」の「ください」は補助動詞と言って、独立して意味を持ちません。この場合は「売ってくれ」を丁寧表現にしているのですが、補助動詞には他にも「風が吹いている」の「いる」などもあります。一方、「水を下さい」の「下さい」は独立して成立する動詞(くれの丁寧語)ですから、意味と用法が明確に違うのはたしかです。
ただし。
だからと言って、補助動詞の場合だけ「ください」と平仮名で書くのが正しいというのは、合理的な理由があるのか無いのかはっきりしません。「風が吹いている」を「居る」は何かが居るわけではないので漢字で書かない方が良いというのはわかりますが、「水を下さい」の「下」には「あげる」「もらう」という意味がそもそも無いですよね? 下と書くのはおそらくへりくだった意味を持たせたいからなので、だったら補助動詞の方の「ください」と機能的には同じということになってしまいます。
すなわち、この例は文法的に違うのは確かなのですが、漢字の当て方については合理性があるとは考えられないんですよ。
これはおそらく、二つの「ください」が紛らわしいので「じゃあ、区別するために片方だけ漢字を使わないのが正式とすると都合がいいんじゃね?」と比較的現代に近い時代の誰かが考えたのだろうと思われます(文部省? 知らんけど)。きわめてお役所的な発想です。
小説を書くのなら、漢字と平仮名の使い分けは「読みやすさ」に重点をおいて考えるべきです。
平仮名を多めにすると文章が平易でやわらかい印象になりますが、あまり平仮名ばかりだと区切りがわかりづらく読みにくくなります。それと漢字は表意文字と言ってそれ自体に意味を含んでいるので(象形文字が変化したのが漢字)、ぱっと見て意味がわかりやすいという特徴もあるんですね。
なので、平仮名続きの文章にアクセントをつけ、速読がしやすくなるなどの効果が漢字にはあるんですよ。
漢字・平仮名は使い方によってリーダビリティをかなり左右するものなので、小説の文章の場合は「何が正しいか」ではなく「どうすれば読みやすいか」あるいは「表現したい雰囲気に近いか」を考慮して、文章センスで選択するべきです