小説の創作相談掲示板:小説の書き方Q&A。執筆の悩み相談をしよう!

冒頭に関する話 (No: 1)

スレ主 パクトボー 投稿日時:

以前読んだ本か、あるいは映画のコメンタリーだったかもしれませんが、「アクション映画は開始10分以内にアクションを描かないと観客は退屈して帰る」のような話を聞いたことがあります。
質問したいのは、この「開始10分」は小説に置き換えて考えるとどこまでの部分なのか?という疑問です。ついでにアクションを描く際に並んで重要そうな「主人公の活躍」についてもお聞きしたいです。

自分が好きで読んだ小説をおぼろげな記憶で思い出すと、確か「フルメタル・パニック!」は少女が逃げ回るシーンからだったと思います。この作品の場合はミリタリーアクションですので「開始0分でアクション」でかつ「開始10分以内に主人公が派手に活躍」していて、どういった作品で何を期待して読めばいいのか?が明確かつテンポよく描写されていました。
「魔術士オーフェン」は化け物が部屋から飛び立つシーンからだったでしょうか?アクションでこそありませんが緊迫した場面でした。直後にギャグ風味に暴れてるので「主人公の活躍」は恐らく満たしています。
「とある魔術の禁書目録」はちょっと思い出が混濁しているのですが、最強クラスの能力者との一騎打ちからだったはず。「アクション」も「主人公の活躍」もバッチリです。
ここまで書いて思ったのですが、自分が好きな作品というのは「物語開始時点で主人公が戦闘能力を有している」ものばかりに思えます。他にも漫画になりますがジョジョでは4部が一番好きです(これは前に3作品分の積み重ねがあっての序盤なのでちょっと違うかもしれません)。

この法則をどう適用すればいいのかを若干悩んでいるのが異世界転生系です。
最初に描くのは「アクション」でも「主人公の活躍」でもなく「取得する能力の解説」だったり、なんらかの説明になりますよね?
今では転生が浸透してきて転生過程を省いていきなり本番というパターンもあると聞きます。先人の説明努力の上で成り立っていると考えると、なかなか歴史を感じます。ただ、自分はこのパターンは書けませんでした。いざ書いてみようとすると、いちいち物語の舞台のいろんなアイテムやモンスターに対する疑問を案内役に聞いてしまう展開が多くて、以前アドバイスでいただいた「設定はイベントで見せる」を実践できませんでした。解説ばかりで肝心の活躍まで行数がかかってしまったのです。
古典的手法では「最初に能力を使っての戦闘を書き、『そもそもこうなった発端は~』と回想で説明する」というものがあります。こちらもうまくものにできませんでした。回想シーンである以上、その場面に至るまでを書くことになるわけですが、どうしても長い話になってしまい、2回目の活躍までにかなりのページを食うことになってしまいました。こうなってはやはり設定資料の域を出られそうにないと感じたのと、そこまでを(作者にとって)既知の情報を延々連ねるのは思った以上に退屈で飽きてしまったのです。「暴れて欲しいところまでお行儀よく主人公を歩かせる」のは想像以上に地味で、先人の皆さまはこれを越えたのかと思うとただただ頭が下がります。

結局今は、最初から妙なことはせず時系列通りに書こうとしていて、それなりに進めることができました。ところが今度は冒頭から一向にアクションしてくれないのです。書いてる側としては一歩一歩話が進んでいるという感覚があって安心できるのですが、読者にはそんな書き手の心情など関係ないでしょう。あと一歩で派手に活躍するんだ!と思っても、そこまでに脱落されては本末転倒なわけです。できる限りの早回しで進んではいるのですが……。

今回の質問は「Webで文字を読む場合、『開始10分』は何文字程度、あるいは何章程度までに当たるのか?」というものです。世間一般の文字数内に今書いているものが収まっていれば安心して執筆できますし、はみ出していれば修正の必要があります。よろしくお願いします。

カテゴリー: 流行分析(なろう研究)

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冒頭に関する話の返信 (No: 2)

投稿者 にわとり : 0 No: 1の返信

投稿日時:

>お話を映像的につくってから小説にする人の目安として、30分の映像なら原稿用紙60枚内外、60分の映像なら120枚内外。30秒/枚、02枚/分あたりになるはず。単行本なら、2時間ドラマ程度のものを考える必要がある。
https://twitter.com/EnJoeToh/status/859562814049968128
 
芥川賞作家のツイートですが、これを信じるなら冒頭10分は原稿用紙20枚程度というところでしょうか。結構余裕あるように感じるけど。

>いざ書いてみようとすると、いちいち物語の舞台のいろんなアイテムやモンスターに対する疑問を案内役に聞いてしまう展開が多くて、以前アドバイスでいただいた「設定はイベントで見せる」を実践できませんでした。

 これは発想が間違ってるんじゃないかと思う。設定をイベントで見せるっていうのは、設定解説にデモンストレーションを足す(足し算)という意味ではなくて、設定解説をやめて(引き算)、デモンストレーションに置き換えるっていうことを言ってるんじゃないかな。そこを足し算の発想でやっていたら冗長になるのは当然。
 たとえば主人公が手のひらから火炎放射できる能力者だったとします。"彼が手をかざすと、手のひらを中心に広がった炎が追手の男たちを焼き払った。「射程距離は5mといったところか。敵が飛び道具を持っていたら危なかったな」彼は手のひらを見つめてつぶやいた。"とか書けばもう主人公の能力は読者に伝わるじゃないですか。ここでさらに"そう、彼は手のひらから火を放つ能力を持っていたのだ"と説明するのは無駄だし何より無粋ですよね。
 それと『物語の舞台のいろんなアイテムやモンスターに対する疑問』って大半はわからないままでも物語の進行自体に支障はないと思うのですがどうでしょう。なんだかわからないが、使用可能なアイテムがあって脅威となるモンスターがいる、ということがわかれば読者的には十分なんじゃないかと。後の展開に関わってくるので詳しく説明しておきたいということであれば、状況が落ち着いてから案内役に"そういえばさっきモンスターがあんなことを言っていたけれど、あれはどういう意味なんだ?"とか質問させればいいし。その場その場で全部説明しなくても、ドラマの軸がしっかりしていれば読者はついてきてくれるから大丈夫。

>回想シーンである以上、その場面に至るまでを書くことになるわけですが、どうしても長い話になってしまい、2回目の活躍までにかなりのページを食うことになってしまいました。

 酒場で変なやつに絡まれて帰り道を待ち伏せされ、撃退するために能力を使わざるをえなくなった、とかでいいんじゃないですか。メインストーリーに直接絡むようなイベントだったとしても、あとで説明が必要になったとき、"実はあのとき……"みたいな語りを入れる感じで、情報を小出しにしていけばいい。
 あなたの作品を読んでないからこれは想像だけど、"ちゃんと書かなきゃ伝わらないんじゃないか"という不安から場面説明が前のめりになっているのが根本的な原因という気がする。ちょっと投げっぱなしに感じても、あとで余裕があるときに回収すればいいやくらいの気持ちで一旦放置して書き進めたほうがいいんじゃないだろうか。

冒頭に関する話の返信 (No: 3)

投稿者 ふ じ た に : 2 No: 1の返信

投稿日時:

以下の公募の新人賞座談会では、
https://sai-zen-sen.jp/works/extras/sfa025/01/01.html
「冒頭の30ページでどんな話なのかをわかるようにする」と書かれていますよ。

あと、異世界転生で、転生場面が簡略化されるようになったのは、
物語の趣旨が変わってきたからだと私は思いました。
同じような話ばかりだと読者も飽きてくると思うので、異世界転生した主人公設定で、色々とアレンジされた話が増えてきたからじゃないかなぁと。

スレ主様は何か行き詰まっているように感じましたが、
話の趣旨は明確になっていますか?

私の経験談ですが、これがはっきりしてないと、「説明」と「描写」の使い分けができないので、構成に影響が出てました。そして、どの場面を冒頭に持ってきていいのか全然見当がつかなかったです。

何かしら参考になれば幸いです。
あくまで個人の意見なので、合わなければ流して頂いて構いませんので。
ではでは、失礼しました。

冒頭に関する話の返信 (No: 4)

投稿者 手塚満 : 1 No: 1の返信

投稿日時:

1.冒頭の分かりやすさと興味の掻き立て

「魔術士オーフェン」はちょっと分からないんですが、他の二つは確かにうまい冒頭、いいツカミになっていますね。

「フルメタル・パニック!」では、ヒロイン千鳥かなめが難しそうな用語の寝言で始まり、すぐに場面変わって、雪原を逃げる車両→追う軍用ヘリ→攻撃を受けて大破する車両→放り出される少女→宗介搭乗のアームスレイブがヘリを撃破、ですね。巨大人型ロボットは(フルメタ初出時でも)SF的兵器として既に広くなじみのあるものですし、軍用ヘリはもっと当たり前に現実にあるものです。絵的に想像しにくいものは登場していない。

目を引き、かつ分かりやすい戦闘アクションであるわけですが、それだけではないようです。救助された少女がアームスレイブを見て「アームスレイブ」と言ってるわけで、何か知ってる雰囲気を出してます。これがかなめの寝言からつながりそう。

そこに気が付くと、「なんだろう?」って思いますよね。大筋は分かる。悪そうな連中から哀れな少女を救った。だけど、ちょっとだけ分からない部分も加えてある。八割分かって二割不明な感じです。目を引く要素とともに、知りたくなる要素も盛り込んであるわけです。

もちろん「なぜ少女は誰かと逃亡しているのか?」といった謎要素はあります。ですが、アクションものの冒頭ではよくあるシーンですし、大掛かりっぽいですから「まあ、後で分かるんだろう」くらいの気がしてしまう。謎だけど安心感があり、性急に知りたい気はしない。

そこよりも、雪原で寒そうなのにやけに薄着な少女(医療用検査服っぽい)が、(読者にとっても未知な)アームスレイブを知っていることのほうが気にかかる。そういう細部で気にさせるテクニックが使われているように思います。すぐ手が届きそうな謎要素ですね。かつ、相良宗介が少女を救う物語らしいことも示されています。誰が何をする作品か、ということですね。

「とある魔術の禁書目録」ですと、まず(後に御坂美琴と明かされる)ファミレスにいる少女が不良に絡まれてて、主人公 上条当麻が救おうとしてる、と思ったら、実は危なかったのは不良のほうだった。そして、御坂美琴の恐ろしく強い(超)能力が明かされ、かつなぜか上条当麻に通用しない。そこが気になる謎ですが、さっさと次のシーンに移ってしまう。

インデックスの登場ですね。奇抜な登場の仕方でして、上条当麻のアパートのベランダに布団を干すみたい引っ掛かっている。これも「どういうこと?」になります。が、当麻はスルーして、インデックスの「お腹すいた」に応えようとする(当麻の性格「困ってる人が望むことをしてしまう」の一端が示されている)。

続いて、インデックスが自己紹介がてら、何の気なしに「逃げていた(途中で落っこちてベランダに引っかかった)」と漏らす。「逃げていた? なにから? なぜ?」と思わせるものですが、そこは詳しく説明はされない。その先を読みたくなる要素です。
(上条当麻の異能も、インデックスの服がちぎれ飛ぶという、目を引く形で説明もされる。)

こうなると、「上条当麻がインデックスを助ける話なんだな」「(超)能力と魔術がある世界」なんだな、ということが飲み込めて来ます。誰が何をする話なのか、という大事なことが冒頭で示されているわけですね。絵的にも、超能力はフィクションで昔から頻出ですし、その他は現実の日常にあるものが使われています。シーンをイメージするのが易しいように作られています。

2.冒頭に必要な要素と所要時間

いずれの作品も、

A. 目を引く冒頭イベント
B. 絵的にイメージしやすい
C. 誰が何をする物語なのかが示される

ということが同時に満たされています。確かに開始10分以内にこれらが示されなければなりません。もう少し付け加えるなら、3分以内で示される『はず』であることが分からないといけません(3分というのは、何が目的か知らされずに待てる限界だそうです)。さらに申せば、30秒以内に「3分読めば期待できそうか分かりそうだ」と期待させる必要があります。
(なお、以上の時間は体感時間です。文章のテンポ・ドラマ展開が良ければ読む実時間が長くても短く感じますし、ゆったりした文体・情景ならば文字数的に急ぐ必要がある。)
なお、実時間でどの程度かについて考えますと、毎分500字~1,000字程度だと思います。堅く漢字の多い文体なら読書スピードは遅く、柔らかくひらがな比率が高い文体なら速い。短い1文ごとに改行してあるなら速く、長い段落になると遅い。こうしたことは文章のテンポ調整の一助になったりもします。ストップウォッチ(やキッチンタイマー)で測りながら、黙読、音読をしてみるといいと思います(音読は台詞について、特に有効。例えば、話し手キャラ10秒以上も喋ってて、聞き手キャラが黙って聞いてるかとか分かる)。

3.読者は冒頭では作品知識皆無

とまあ、利いた風なことを述べてみましたが、たぶん「そんなことは分かっとる」とお怒りかもしれません。そうできないからこそのお悩みですよね(ご質問文から成功事例の分析、考察、試行錯誤が窺える)。

もしかしたら、冒頭用のシーンの選択が間違っているのかもしれません。派手なシーンは作れたけれど、由来がややこしくなってしまい説明が長くなる。後回しにしてすら長いと、書いた御当人のスレ主さんですら思う(実は自作でそう思えるなら、かなり客観視できている可能性が高い)。

冒頭では読者がどういう状態なのか考えてみますと、(シリーズものでない限り)作品知識は皆無です。楽しみたいのが読者ですから、まだ興が乗ってもないのに一生懸命読み取ろうとも思わない。ですので、何の前提知識もなしに、一読して分かる必要があります。分からないものをそぎ落とすことが必要です。

4.冒頭では読者が知っているか類推可能なもので

オリジナル性が必要だからといって、作者が例えば「見たこともないものを、まざまざと見せつけよう」と力んではいけない。単語から容易に想像できて、シンプルである必要があります。例えば以下のような感じでしょうか。

a. 能力、アイテム、ガジェット等が単純
b. 登場キャラ数が少ない
c. シーンの進行がありきたり、テンプレ

同時に全部やる必要はないですが、これぐらい気を付けてやると、読者に分かりにくくなることは少なくなるかと思います。読者に分かりにくさがないなら、当面は詳しい説明の必要も生じません。これに加えて、

d. 必要なら使い捨てキャラで見せ場を作る

ということも考えられます。重要キャラのみで冒頭を構成すると、「それは誰なんだ?」が生じがちです。例えば異能を見せることが大事なら、キャラは誰なのかのほうの重要度を下げてやる。

5.興味が先、知識欲は後

「とある」ですと、冒頭では仰るように「御坂美琴 vs 上条当麻」です。御坂美琴は重要キャラですが、そうなるのは後々のこと。最初のヒロインはインデックスです。御坂美琴は「この世界には異能がある」ことを示す役割しか負っていない。かつ、御坂美琴の異能の説明は「電気」→「レールガン」だけです。電撃とて、フィクションでは頻出ですし、雷等で読者にある程度は知識があるのが普通です。

派手なシーンで期待させておいて、インデックスの登場から作品世界の説明に移っていくわけですね。多少のギャグを交えつつ、異能(科学側の能力、魔術)について当面必要な情報開示をする。読者は既に多少は興味を持っていますから知りたくもなっていて、動きが少ない説明主題でもとりあえず読んでくれます。

「フルメタ」ですと、冒頭でピンチになる少女は、軍用ヘリの敵を引っ張って来て、相良宗介とアームスレイブを登場させ、本来のヒロイン千鳥かなめに若干の興味を喚起して、役割を終えて退場です。救われた後はどこか安全なところに運ばれたらしい、と匂わせて、それ以上の興味を起こさないようにしてある。軍用ヘリも戦闘ロボットも目新しくはない。悪党に追われる弱者を主人公が救うのも、テンプレで疑問は生じにくい。

そうしておいて、相良宗介軍曹が何に所属していて(軍事組織ミスリル)、これから何をするか(千鳥かなめの護衛)が示される。これも多少のギャグを交えつつ、説明を連ねている感じです。やはりもう興味は多少掻き立てられているので、説明を読んでも苦にならない。

5.無用の用

繰り返しですが、ご質問文からは勉強、考察、試行錯誤を重ねて来られたことが窺えます。例えば、無駄を省くことについてもいろいろ工夫されてこられたのではないでしょうか。これは要らない、あれは後回しにできないか、この二つはまとめてしまえば等々です。

ですが、減らすだけが無駄を省くとは限りません。「フルメタ」では冒頭でメインヒロインを救うシーンにせず、モブキャラで行ってます。冒頭で千鳥かなめを相良宗介が救うと、おそらく膨大な説明事項が生じます。

そこで冒頭ではモブのヒロインを立ててある。それにより、説明の必要性を下げてあるように思います。

「とある」でも、冒頭でインデックスの危機に上条当麻が遭遇したら、えらいことになりそうです。当麻が御坂美琴と勝負を続けてもまずい。どちらも説明すべきことが多くなります。ですので、御坂美琴で目を引いてさらっと流し、メインヒロインのインデックスにつないで、作品世界の説明に移ってます。

余計なキャラを冒頭に加えたようでいて、実際は描写、説明の量を下げることに成功しているわけですね。結果、無駄がなくなっている。正確に申せば、無駄に読まされる感じを減らしています。

そういう観点も持って、プロット段階から工夫してみてはいかがでしょうか。

冒頭に関する話の返信 (No: 5)

スレ主 パクトボー : 0 No: 1の返信

投稿日時:

にわとり様
ラノベに置き換えると、だいたいアニメの4話程度で一巻を消化してるような計算ですね。感覚的に納得できる感じです。
説明が前のめりになるのは設定弄り大好き人間の悪癖ですね……衝動を抑えて、起きた出来事だけで説明するのが、解説ばかりの展開を抜ける方法でしょうか。ありがとうございます。

ふじたにかなめ様
30ページって結構余裕ありそうに思えますね。と思って、手元にあった「蒼穹のカルマ」をペラペラめくってみたんですが、イラストだけのページも含めプロローグ終了までおおよそ25ページ。すごくテンポよく主人公の人となりや世界観が飲み込めて、プロの人はここまで考えて日々戦っているんですね、と改めて感じました……恐ろしい。
話の趣向、確かにぼんやりしているかもしれません。真面目に詰めてみようと思います。ありがとうございました。

手塚満様
どこかで「読者の引き出しを使え」というアドバイスが書かれていたのを思い出しました。読者が知らない情報は手が届きそうで届かないようにする、というのも、「難しそうだけどできた」の繰り返しでプレイヤーを引っ張ることで興味を持続させるようなゲーム的手法って感じです。
「使い捨てキャラ」という発想も抜けていました。確かに、御坂美琴も保護された少女も、重要キャラになるのはまだまだ先の話でした。どの作品もすごく考え抜かれた構成をしているんですね……。
「読者が理解しやすい普遍的な能力のモブ」を立てるのは、主人公に親しみやすい弱点を付け加えるのに似ている気がします。つまり、「世界観の日常」に没入する手助けになるはず。参考にします。ありがとうございます。

人気回答!冒頭に関する話の返信 (No: 6)

投稿者 あざらし : 3 No: 1の返信

投稿日時:

個人的な結論から書かせて頂きます。

>Webで文字を読む場合、『開始10分』は何文字程度、あるいは何章程度までに当たるのか?

時間はとりあえず保留してですが、退屈して帰っちゃうのはWebなら速くて5行。
ページではなく、行です。
以下、ご質問の所感を細かく書きます。

個人的には、まず、大前提がちょっと違うと思います。

>「アクション映画は開始10分以内にアクションを描かないと観客は退屈して帰る」のような話を聞いたことがあります。

コメンタリーの場合、問題は『この映画が何か?』です。
マーベル系なら、まぁその通り。そういう映画で観客もそれを望んでいますから。
アクション映画全般を指すなら、一理あるとは思いますが実例が多いだけに首を傾げます。
これが広く『アクションもある映画』になると噴飯ものの話しになっちゃいます。

本だった場合も含めて、多分に比喩的な意味が強いのでは、と感じました。
そもそもアクションものに限った話しではありません。
本であれコメンタリーであれ、これはおそらくは深読みが必要な情報で『面白い映画にするには(なんらかの方法で)開始10分で観客のハートを掴み、スクリーンに没頭させないといけない』という意味あいが強いのではないでしょうか。話題の対象がアクション映画だったので『アクションでは』という枕詞がついたように思います。

私も月に5本以上は映画館で観ますけれど、大はずれの映画でも10分で帰る人なんかいません。少なくとも私はそんなの察知したことはありません。
元話の空気を読まず、あえて書きますが、クソつまんねー映画でも観る前にお金を払ってますから30分ぐらいは持ちます。
映画というのは観る前にお金を払い、あらかじめ上映時間を確保した上で観るものですから、そうそう帰りません。30分ほど過ぎると絶えきれないらしく寝る人は出ますが(笑)

で、これは『映画ならば』です。
漫画や小説の場合『退屈して帰る(作品切り)』は、もっとシビアです。
漫画雑誌では定期的に新連載が始まりますよね。雑誌によって違いますし、ギャグ等の短いものもありますがストーリー漫画の初回は60ページ前後がおおよその基本になってます。
面白ければ全部読むのは当たり前ですが、好みに合わなかった場合、初回だからという理由で全ページ読み通すかというと、まぁ、私は読みません。
切っちゃう場合は、おおよそ半分ぐらいで『退屈して帰る(読むのをやめる)』パターンが多いように思います。

小説の場合、雑誌での連載もありますが、書き下ろしが珍しくありません。
ライトノベルの場合は、大半の作品で文庫が初お目見えとなっています。

私個人を例にすると面白そうな作品を書店に探しに行くのは映画館とセットになっているのですが、タイトルで目を引いた作品冒頭をパラパラとめくります。
購入の有無を決めるのは本文5~10ページぐらいです。書恥の類いの人間ですので、『あまりにも平凡』という作品以外はおおよそ買っちゃいますが、やはり冒頭でハートを掴む作品で無いと後回しになります。

と、ここまでは漫画でも小説でもプロ作品です。
編集というプロの目を通した後に世に送り出された作品の場合でも、これぐらいのページです。
もちろん個人差はあるでしょうが、いずれにせよ世の中に出てきた全ての作品を読み通すことは不可能ですから、『退屈して帰る(読むのをやめる)』は誰しもがあることだと思います。

さて。
アマチュア作品の場合はというと、さらにシビアになります。
というのも、プロ作品の場合『最低限度の質、底の底よりは上』を保っています。(人気・有名レーベルの小説、漫画全般は競争が激しい分、レベルは必然的に底上げされていますね)
プロ作品の場合、全作品とは口が裂けても申しませんが、おおよそレベルではなく『好みの問題』が大半で読むのをやめています。
言い方を変えれば、読者にとってギリギリラインであれど『時間の無駄にはならない、大丈夫だろうという期待』が手伝っての結果です。

一方、これはアマチュア小説の良いところでもあるのですが、まさに玉石混淆。
編集というプロ、慣れた人の介入によって平らにされていない尖りっぷりが、良くも悪くもストレートに出ています。

アマチュア作品もそれなりに、というか、むしろ結構読んでいる方だと思うのですが『時間の無駄にはならない、大丈夫だろうという期待』これを裏切られる経験も、読んだ数の分母に比例して増えていきます。
正しく作品の質だけで読むという状態。
ある意味、健康的ですね。

結果、速ければ数行で読むのをやめる、というケースもあります。
これは単純に小説以前の問題で『日本語の不備』手っ取り早くいうと「読むのが苦痛」という場合。

こういった最低限のことが出来ていたとしても、読むのをやめる場合、多くて5ページでしょうか。
プロ作品より短くなるのは、『それぐらい解りやすく読む価値を見いだせない』これに尽きます。

>最初に描くのは ~略~ なんらかの説明になりますよね?

ごめんなさい。
あくまで私の場合ですが、『説明』これが最も解りやすく切る(読むのをやめる)パターンです。
もちろん説明から始まっていても光るものがあれば読みますが、そうではない場合、そして大多数のそういった作品は早々に読むのをやめてしまいます。

>確か「フルメタル・パニック!」は少女が逃げ回るシーンからだったと思います。

ご質問にある作品から一本目を例に。
異世界もやり方は同じなんです。
考え方を変えてみて下さい。
おおよそ現代を舞台にしたフィクションですが、『アーム・スレイブという人型兵器が存在して、一般学校に兵隊が転校してくる』という異世界を描いていると考えれば、見えてくるものがあるかと思います。
フィクションってのは重箱の隅をつつけば異世界に違いないわけですよ。

読者には説明せず、エピソードを通じて周知してください。
フルメタでいえば、プロローグ。
☆コピー用紙を手に入れるために、発煙弾を使用する。
☆補完としてヒロインが罵倒【引用】『戦争ボケのネクラ男』
このふたつでプロローグの役目、もっといえば作品の骨子(アクションあり・恋愛要素にも期待できる)を表しています。
もっとも説明っぽいヒロインのセリフが【引用】『スゴ腕の傭兵だか、AS乗りだか知らないけど ~』です。
おおよそ、これが説明のギリギリライン。

>解説ばかりで肝心の活躍まで行数がかかってしまったのです。

もっとも基本的な物語進行ですが、『活躍から書く』『出来事の最中から書く』ことを意識してみてください。
読者への設定説明なんて後でもできます。(フルメタだってそうでしょ?)
謎のままで結構ですので、とにかく読者に向けてボールを投げて続けて下さい。
ボールを投げ続けられる限り、そうそう飽きませんが、投げられてくるボールがないのにバッターボックスに立ち続ける暇人はそうはいません。

そして物語で、読者にわき上がるクエスチョンをエピソードで(徐々にでも)読者に伝えてください。
断片の情報でも、読者は頭で組み立てて一本の筋道をつけます。
ここは読者を信用して下さい。
出来事を丁寧に時系列で順番に書いていく、しかも飽きさせない、これを成立させるには『飛び抜けて魅力的な筆致』もしくは『飛び抜けて魅力的なキャラクター』が必須となります。
おそらくこちらの方が遙かに困難であるはずです。

>古典的手法では ~略~ こちらもうまくものにできませんでした。

戦闘シーンから始める必要はありません。
冒頭に戻りますが、「アクション映画は開始10分以内にアクションを描かないと観客は退屈して帰る」これをストレートに取るのではなく、意味を汲み取るべきだと思います。

小説の場合、まず第一に飽きさせないために、説明するのではなくエピソードで伝える。
そのための手法のひとつが『活躍から書く』『出来事の最中から書く』という冒頭です。

>時系列通りに書こうとしていて、~略~ 一向にアクションしてくれないのです

それは時系列通りではあるが、物語の開始地点に問題があるように思います。
小学校の宿題の定番ですから、日記をつけられたことはあると思います。
普通は「その日で最も思い出深い出来事」を中心にしますよね。朝起きて歯を磨いたことは飛ばしますし、トイレに行った回数だって書きません。
海に泳ぎに行ったなら、その思い出を書くべきで、家を出るところから書く必要はありません。
いきなり、
「クラゲに刺された!」
から始まってもいいのです。
この一文だけで海に行ってることは解りますよね。山でクラゲに刺されるヤツはいません。
これを冒頭にして5W1Hを交えながら日記を書くことだって出来ますよね。

>できる限りの早回しで進んではいるのですが……。

悪手のように感じます。
早回しできる、というのは、それが無駄となって存在している証明ではないでしょうか。
本当に面白い小説は、一行の無駄もありません。
家で映画を観てても、面白ければチャプターを飛ばしたりしないはずです。
『本当に早回しが出来るシーンを飛ばすことは出来ないだろうか』
これを著者であるパクトボーさんではなく『読者にとってどうか? 削ることで読者が混乱するだろうか? 混乱させない方法はないだろうか』これを基準に判断してみて下さい。

最後になりますが参考書籍を。
【冬月いろり著:鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王】
2018年電撃大賞の銀賞受賞作ですから既読かも知れませんが、デビュー作にして上々です。
読者にとって必要な情報はエピソードで読ませる、ということが理解しやすいと思います。

ではでは執筆頑張って下さい。
応援いたします。

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タイトル:冒頭に関する話 投稿者: パクトボー

以前読んだ本か、あるいは映画のコメンタリーだったかもしれませんが、「アクション映画は開始10分以内にアクションを描かないと観客は退屈して帰る」のような話を聞いたことがあります。
質問したいのは、この「開始10分」は小説に置き換えて考えるとどこまでの部分なのか?という疑問です。ついでにアクションを描く際に並んで重要そうな「主人公の活躍」についてもお聞きしたいです。

自分が好きで読んだ小説をおぼろげな記憶で思い出すと、確か「フルメタル・パニック!」は少女が逃げ回るシーンからだったと思います。この作品の場合はミリタリーアクションですので「開始0分でアクション」でかつ「開始10分以内に主人公が派手に活躍」していて、どういった作品で何を期待して読めばいいのか?が明確かつテンポよく描写されていました。
「魔術士オーフェン」は化け物が部屋から飛び立つシーンからだったでしょうか?アクションでこそありませんが緊迫した場面でした。直後にギャグ風味に暴れてるので「主人公の活躍」は恐らく満たしています。
「とある魔術の禁書目録」はちょっと思い出が混濁しているのですが、最強クラスの能力者との一騎打ちからだったはず。「アクション」も「主人公の活躍」もバッチリです。
ここまで書いて思ったのですが、自分が好きな作品というのは「物語開始時点で主人公が戦闘能力を有している」ものばかりに思えます。他にも漫画になりますがジョジョでは4部が一番好きです(これは前に3作品分の積み重ねがあっての序盤なのでちょっと違うかもしれません)。

この法則をどう適用すればいいのかを若干悩んでいるのが異世界転生系です。
最初に描くのは「アクション」でも「主人公の活躍」でもなく「取得する能力の解説」だったり、なんらかの説明になりますよね?
今では転生が浸透してきて転生過程を省いていきなり本番というパターンもあると聞きます。先人の説明努力の上で成り立っていると考えると、なかなか歴史を感じます。ただ、自分はこのパターンは書けませんでした。いざ書いてみようとすると、いちいち物語の舞台のいろんなアイテムやモンスターに対する疑問を案内役に聞いてしまう展開が多くて、以前アドバイスでいただいた「設定はイベントで見せる」を実践できませんでした。解説ばかりで肝心の活躍まで行数がかかってしまったのです。
古典的手法では「最初に能力を使っての戦闘を書き、『そもそもこうなった発端は~』と回想で説明する」というものがあります。こちらもうまくものにできませんでした。回想シーンである以上、その場面に至るまでを書くことになるわけですが、どうしても長い話になってしまい、2回目の活躍までにかなりのページを食うことになってしまいました。こうなってはやはり設定資料の域を出られそうにないと感じたのと、そこまでを(作者にとって)既知の情報を延々連ねるのは思った以上に退屈で飽きてしまったのです。「暴れて欲しいところまでお行儀よく主人公を歩かせる」のは想像以上に地味で、先人の皆さまはこれを越えたのかと思うとただただ頭が下がります。

結局今は、最初から妙なことはせず時系列通りに書こうとしていて、それなりに進めることができました。ところが今度は冒頭から一向にアクションしてくれないのです。書いてる側としては一歩一歩話が進んでいるという感覚があって安心できるのですが、読者にはそんな書き手の心情など関係ないでしょう。あと一歩で派手に活躍するんだ!と思っても、そこまでに脱落されては本末転倒なわけです。できる限りの早回しで進んではいるのですが……。

今回の質問は「Webで文字を読む場合、『開始10分』は何文字程度、あるいは何章程度までに当たるのか?」というものです。世間一般の文字数内に今書いているものが収まっていれば安心して執筆できますし、はみ出していれば修正の必要があります。よろしくお願いします。

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