どこでもドアの鏡像問題/ドラえもんに対するツッコミ

前回では割愛した話ですが、やはり考察してみることにします。状況はこうでした。なお、ちょっとややこしくなりそうなときは、元の場所にあるどこでもドアの入り口を「どこでもドア(入り口)」、目的地にあるどこでもドアの出口を「どこでもドア(出口)」と略記することにします。

どこでもドアの前のび太がに立ち、「10センチ手前!」と言います。どこでもドア(出口)が目の前に現われます。どこでもドア(入り口)の前に立ちふさがってしまうわけです。

仕方ないので、のび太はどこでもドア(出口)の扉を、元の場所に帰るときの要領で引いて開けます。すると、どこでもドア(出口)の10センチ先に、どこでもドア(入り口)があり、扉は引いて開けられています。その先に立っているのは、のび太自身です。

このままでは、のび太が前に進んでも、どこでもドアの向こうにいるのび太も進んで来て、鉢合わせになります。こちらののび太が右に避ければ、向こうののび太も向かって右に避けます。視覚的には鏡と同じ状況ですね。のび太自身が邪魔になって、決してどこでもドアを通れません。

そこで無理矢理通る方法を考えてみます。ドラえもんに「どこでもまど」を出してもらい、どこでもドア(出口)の前に置き、「目の前ののび太より向こう側!」と言って、どこでもまどを開けます。
(前回、通り抜けフープと「どこでもまど」を混同してしまいました、情けないorz。通り抜けフープは壁などの原子構造をふにゃふにゃするもので、本件には使えません。)

すると、こちら側にある「どこでもまど」の入り口を通り、向こう側ののび太を通り越した位置に出て来る「どこでもまど」の出口から、どこでもドア(出口→入り口)の向こう側へ行けます。向こう側ののび太も、全く同じことをして、こちら側に出てきます。だって、同じのび太なんだもん。

どこでもドアは超接近した位置、つまりは同じ場所に入り口も出口もあるわけですから、何のこともないような感じがします。あれこれ細工したものの、ほぼ同じ場所に出て来るだけ。単にひみつ道具でない普通のドアを潜り抜けたのと同じなのではないか。

いえ、違うのです。どこでもドアを通り抜ける前、こちらののび太の目の前にいた、向こう側ののび太(ああ、ややこしい)は、のび太が鏡に映ったのと同じなのでした。左右反転です。鏡像と呼ばれるものです。さらに、向こう側ののび太だけが左右反転なのではありません。

どこでもドアの向こう側は、何もかも左右反転したものになっています。

●鏡の国ののび太

のび太がどこでもドアを通り抜けると、ちょっと奇妙なことに気が付きます。ほとんどの人が左利きです。ハサミなどの道具も、ほとんどが左利き用になっています。文字も左右反転だし、針の時計は反時計回りだし、横書き文章は右から左に向って読むように書かれています。文字化けではないですから、アク○○オーン!と叫んでも無駄です。

要は、鏡の中に入っちゃったみたいなもの、ということですね。どこでもドアの使いようによっては、左右反転の鏡の国に入ってしまうこともあるということです。どこでもドア、恐るべき道具です。

もしかすると、単に不便というだけでは済まないかもしれません。なぜならミクロの世界も激変しているのです。ある種の分子にも、左右反転した異性体があります。化学的性質が異なっています。食物にも含まれ、左右反転した異性体でできた食物は、消化・吸収ができない(らしい、戦闘妖精さんがそう言ってた)。

普段食べていたものの分子が異性体になり、食べても消化できない。これでは、手持ちの食糧が尽きたらアウトです。左右反転世界には長居せず、元の世界にできるだけ速やかに帰還すべきでしょう。

ミクロの正反対の巨大なレベルでも、世界は激変しかねません。もっとも文字などと同じく、変わったものが見られるだけのことで、「だから何なのアハハハ」の話ではあるんですが。

のび太がどこでもドアを北向きに置いて、左右反転世界に突入するとします。念のためですが、突入前にこちらののび太が東(すなわち右)を指差すと、向こう側ののび太も同じく東を指差します。どこでもドアの向こう側でも同じ向きです。左右反転の世界に行っても、太陽はごく当たり前に東から昇ります。

しかし、のび太がどこでもドアを東向きに置いたらどうなるのか。左右反転世界突入前に、こちらののび太が東(すなわち前)を指差すと、向こう側ののび太は鏡像ですから、向こう側ののび太にとっての前、つまり西を指差すことになります。

左右反転世界に行って、夜明けを待っていると、やがて太陽は西から昇ります。昼間に行っていれば、まずは東に沈む夕日が見られます。どこでもドアが自転方向を向いていたため、東西が反転してしまっているからですね。

先ほど、どこでもドアを北向きに置いたときは、何てことはないなんてさらっと言ってしまいましたが、考えが足りませんでした。東向きのどこでもドアで東西が反転するなら、北向きにどこでもドアを置いて通り抜けると、南北が反転してしまうのです。

これは大変なことで……あ、あれ、別にどうってことないか。方位磁石はちゃんと南北指すだろうし。でも、えーと、天体観測は困るかも。星を見ながらの航海とか……い、いや、北極星はやっぱりその世界の北ではあるんだし、いいのか。でも、GPSはどうなんだろう。それよか、どこでもドアを北東に向けてたら、どうなるんだ? えーと、えーと……

コホン。それはそれとして、このように、どこでもドアを変な工夫をして無理矢理使うと、単に物や字が左右反転になる程度ではなく、何か食べたらお腹を壊すとか、天文学的な東西南北まで変わってしまうなんてことも起こってしまうのです。

となると、どこでもドア使用者には「お願いだから、変な工夫しないで、そのまま使ってね♪」と注意書きする必要があるかもしれません。なにせ、のび太は自滅する悪知恵の名人ですから、この考察の問題に限らず、安全化装置をいくら工夫しても、必ずやかいくぐってしまうに違いないのです。

(左右反転世界に行く浅知恵巡らせてたのは、いったい誰なんだよ?)
(そもそも、どこでもドアが左右反転しないようにすればいいだけなんだし。)

どこでもドアの鏡像問題・反論編