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私見追記(『錬金術 仙術と科学の間』の紹介)

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魔法の威力と、知性についての返信(元記事)

 ドラコンと申します。ご質問の件につき、私見を申し上げます。

●魔力と知性について

 そもそも魔力は「知」の分野だからでしょう。戦士のような「武」の分野は、「知性」は魔法使いに比べて求められていません。中国の高級官僚登用試験「科挙」には、武官登用試験の「武科挙」もあります。兵法書の問題も出ますが、カンニングして大目に見られています。

 文官を対象にした「文科挙」でカンニングをすれば、良くて失格の上、一定回数の受験資格停止(科挙は3年に1回なので、3回も停止されれば、次に受験できるは9年後。平均寿命が50年で9年も受験資格が停止される)。下手すると、科挙でのカンニングは皇帝に対する反逆と同じで、本人はもとより、一族全員の死刑もあり得ます。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/科挙
 
 錬金術師も魔法使いの一種ですね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/魔術
https://ja.wikipedia.org/wiki/錬金術

●魔導書について

 そもそも識字率の低い世界では、読み書き、特に高度な文語文を読み書きできること自体が、特殊能力で、読み書きができない人からすると、魔法に近いと言っていいでしょう。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/識字

 また、言霊信仰に代表されるように、「口にした言葉が実現する」との考えもありますね。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/言霊

『ドラクエ』の勇者のように、文武両道で、剣を持って戦えると同時に、高度な攻撃・回復魔力を使いこなせるキャラも、不自然ではありません(そもそも『ドラクエ1』の勇者は、仲間なしでパーティーを組まず、たった一人で竜王を倒し世界を救っています)。それに、頭の悪いキャラに魔法を使わせるのであれば、知力の高い魔法使いが作った魔法道具を持たせるのも一案です。詳しくは、下記リンク先の私見をご覧ください。
 
 https://www.raitonoveru.jp/counsel/novels/thread/1471

私見追記(『錬金術 仙術と科学の間』の紹介)

投稿者 ドラコン 投稿日時: : 0

 ドラコンです。遅ればせながら、先の投稿後に読んだ『錬金術 仙術と科学の間』(中公文庫、吉田光邦)の紹介も兼ねて、私見を追記します。本来であれば、ハウツー本コーナーに投稿すべきものですが、長らく更新されていませんので、こちらより失礼します。

 やはり魔法というのは、「知」の分野ですね。錬金術を魔法の一種として考えるとします。そして錬金術の過程で、火薬や蒸留技術が生まれています。また、医者の家に生まれて錬金術師になった人もいます。科学者や医者をして、「知性がない」と言えるのでしょうか。

 この『錬金術』は、副題が「仙術と科学の間」であり、著者の吉田光邦氏が中国科学技術史学者でもあるので、中国錬金術にも詳しいですね。全体の構成は、中国錬金術2/4、西洋・イスラム錬金術1/4、日本錬金術1/4です。中国錬金術が分量の半分を占めているとはいえ、洋の東西を通じて、錬金術、特に魔術的思考がよく分かり、魔法薬、魔法道具を考えるに役立つ一冊です。実験に用いる器具、材料に詳しいです。

 中国で不老不死の薬・丹薬を作ろうとしたり、西洋で鉛を金に変えようとしたりする、錬金術師たちは、知識階層の人たちです。『錬金術』から、気になる記述を拾ってみます。

「錬金術に熱中したのは、当時の支配階級、上層階級の人々だったことを注意しておかなければならい。まずテキストはギリシア語、ラテン語、そして本書のはじめにかかげたブリューゲルの絵に見られるような複雑な装置を持つラブトリーの設備、また材料としての多種多様な鉱物や金属の購入という問題を考えてみれば、錬金術は相当高度な教養があり、かつ財力も十分でなければ不可能なことがわかろう。
 錬金術は庶民には無関係なものだった」

「現代の科学者はその解決を未来に求める。自分らが創案し、計画した実験の結果のなかから法則を求めてゆこうとする。逆に錬金術師たちは、東西を問わずその法則を過去のなかから、過去のテキストから見出そうとした。彼らにとって過去は完全なものであり、過去の賢人は全知全能で、貴金属を卑金属から自由に作り出し、ゆたかな平和な暮らしを送っていた。しかるに現実は堕落した時代である。過去の聖賢のなかにのみ、真理を証明、真の法則は存在する――そう考えたのだった」

 そうなると当然、複雑な実験を行い、それを正確に記録する能力や高度な古文書解読能力が求められます。これらの能力は「知力」によるものです。

 魔法は科学と違い、過去のほうが優れている印象がありました。『ドラクエ』で魔法研究家が出てきても、自分で新しい魔法を生み出そうとはしていませんね。『ドラクエ5』のルーラ・メガンテのように、主人公の現代では失われた古代呪文の復活に重点が置かれています。錬金術も、『8』以降アイテム作成手段として出てきますが、古代の技術の復活とされています。

 科学が「未来」を見るに対し、魔術は「過去」を見る、というのが大きな違いと、納得できました。

 欠点はあまりないのですが、強いてあげれば次の通りです。
 
 ・初出が1963年と古いこと。
 ・解説が中国錬金術に終始していこと。『錬金術』刊行後に出た錬金術書の紹介が中国錬金術のものにとどまっていること。

カテゴリー : 設定(世界観) スレッド: 魔法の威力と、知性について

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