『存在しない観念』の表現方法。の返信
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『存在しない観念』の表現方法。(元記事)
大野です。最近では珍しく、まともな質問です。
今俺は、ファンタジー世界を舞台にしつつ、SF的な所のある古代文明が出てくる作品を作っています。
今回の質問内容は、『現実には存在するけど作中には存在しない観念』を、『登場キャラには理解させぬまま、作中世界に存在しない・意図的に消された』ことを表現したく、悩んでいます。
抽象的過ぎたので、以下具体例。
『戦争を起こさないために統一帝国を作って、攻撃魔法の技術や宗教などを消し、仮初の楽園を作った』が『数千年ほどして、溜まり切った軋轢によって戦争が起こり』、『戦乱の世界を生きる主人公がひょんなことから古代文明の兵器を拾う』という展開なのですが、『古代文明の兵器』の性質が作中世界の宗教と密接にかかわりあっていて、しかし『宗教』の存在を主人公が知らない場合、ですね。
どなたか、ご教授願います。
『存在しない観念』の表現方法。の返信
投稿者 あまくさ 投稿日時: : 0
サタンさんとのやりとりで、「地の文で普通に説明してしまう」「分け知りのキャラに語らせる」のセンにまとまりかけているご様子。それでよいなら何の問題もないわけですが。
悩んでいらっしゃるのは、つまりアレでしょうか? (どれだよ)
何かがあることを描写するのは簡単だけど、何かが無いことを描写するのは難しいということですか?
例えばある世界にリンゴがあるということを描くには、リンゴを登場させればすみます。しかし、その世界にリンゴが無いことを描くには、リンゴを登場させなければよいというわけにはいきません。リンゴはどこかに有るのだけれど、たまたま主人公の近くには無いだけかもしれないからです。
で、三人称なのだから地の文で「この世界にはリンゴは無い」と書いてしまってもかまわないし、今は無くても千年前にはリンゴが有ったのなら、希少な書物にはリンゴのことが書かれており、そういう書物を読んだことのある人間に語らせる手もある、と。
というわけですが、それではややつまらないので、もう一捻りしてみましょうか。
千年前にはリンゴは有った。主人公は敵に追われるかなんかで、深い密林に閉ざされた人跡未踏の地に分け入る。そこに、瓦礫となった古い建造物がある。そして赤い木の実を食べている人物の壁画が。
「なんだ、あれは? あんな食い物、見たこと無いぞ」
と言わせれば、この世界にリンゴ(とイチゴ)はないらしいということが伝わりますよね。
御作の設定の場合、無いのは果実ではなく宗教なので、例えば薄衣をまとった女性の石像が崩れかけていて、一方の手に剣、もう一方の手に天秤をかかげた姿に造形されていて、美しい面差しに不思議な威を感じさせる。
とか何とか書けば、読者は女神像を思い浮かべてくれるのではないかと。しかし、主人公にはそれが何なのかわからず、ただ呆然と立ち尽くす。
こんな情景をまず描いておいて、後はストーリーを追いながら情報の断片を小出しにしていきます。古代史マニアの分け知り娘とかに多少トンチンカンなことを言わせてみるとか、敵は何か知っている様子だったり、誰やらの地下室に秘密の手記が隠されていたりしてもいいです。
カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 『存在しない観念』の表現方法。