- 小説新人賞の評価項目に沿って内容をチェックする。MF文庫Jなど評価項目を公開している新人賞があるので、これと同じ項目をチェックして批評すると効果的です。
- ターゲットとなる読者から意見をもらう。ラノベを読んだことがない人にラノベは正しく評価できません。
- 書籍化ラインを100点満点として減点方式で批評してもらう。減点の理由を教えてもらいましょう。何が悪いのか明確にわかります。
- できれば複数の人から批評をもらう。複数の人が同じ指摘をしたら、それは真実である可能性が高いです。
- プロ作家や編集者など実力者からアドバイスをもらう。これが最強です。
- 怒ったり泣いたりしないとルールを決める。感情的にならないと決めておけば、意見を言う側は安心して批評ができます。
- 必ず長所も指摘する。良いところは褒めるとルールを決める。欠点ばかり指摘して、作者の心を折る批評は作者のためになりません。欠点ばかり言う人は、優越感にひたりたいだけなので意見はすべてスルーしてください。
私の運営する小説オンラインサロン「エンタメノベルラボ」では、運営スタッフ・大手出版社編集者Y氏の指導の元、月に一度「ラノベ・ガチ批評会」が都内で行われています。上記の項目をすべた満たした大変貴重な会です。
小説の批評。20の評価項目(MF文庫Jの評価シート)
以下は、2019年段階のMF文庫Jライトノベル新人賞の評価シートの項目です。
この新人賞はそれぞれの項目を5段階評価し、審査員のアドバイスが入った評価シートを応募者全員にわたしてくれます。
小説、特にラノベの批評する場合は、以下の20の項目をチェックして指摘してあげるのが最も良いと言えるでしょう。
キャラクター
- 読者にとってキャラクターは魅力的か
- 掛け合いが魅力的に書けているか
- 共感したくなる主人公か
- 適切なキャラの配置・書き分けができているか
ストーリー
- 物語の方向性がはっきりしているか
- 読者を楽しませるストーリーをつくれているか
- 読者の予想を上回ろうとしているか
- 題材、キャラクター、設定が物語に活かされているか
世界観・アイデア
- 読者の興味・関心を引きつけられる題材か
- 新規性のあるアイデアか
- 世界観や設定に矛盾は無いか
- 作品世界にリアリティがあるか
構成力
- 物語の導入からおもしろいか
- 起承転結のメリハリがあるか
- テンポよく読み進められるか
- 終盤がしっかりと盛り上がっているか
文章力
- 読みやすく、書きこなれた文章か
- 文体は魅力的か
- 用字用語に誤りがなく適切か
- 過不足ない状況描写ができているか
ラノベを書く場合はラノベ読者から意見をもらいましょう!
ラノベを書く場合はラノベ読者から、キャラ文芸を書く場合はキャラ文芸の読者から意見をもらいましょう。
小説の評価は、読者の好みや価値観に大きく左右されます。
普段から、ラノベを読んでない人にはラノベの良さがわかりません。
例えば、妹ラブコメ小説をターゲットから外れた若い女性に読ませても、酷評しか返ってこないでしょう。
BL小説をノーマル男子に読ませても同様です。
小説はジャンルごとにターゲットとなる読者層が決まっており、ターゲットから外れた人から意見をもらってもマイナスでしかないのです。
主なジャンルごとのターゲットは以下のようになっています。
- キャラ文芸の読者は10~40代の女性。知的でおしゃなものが好き。
- ラノベの読者は10~20代のオタク男性。ゲーム、漫画、アニメと親和性が高い。
- なろう系ラノベの読者は30~40代のオタク男性。仕事で疲れている。
- 時代小説は高齢者がメインターゲットです。
誰かに小説の意見を求める場合は、必ずあなたの小説のターゲットとなる人を選んでください。
逆にターゲットから外れた人の意見は無視してOKです。
書籍化ラインを100点満点として減点方式で批評してもらう
小説の批評とは、主に欠点を探して、それを修正するために行うものです。
アニメ制作会社『ガイナックス』の創業者、岡田斗司夫さんは「成功には理由がないが失敗には理由がある」と述べています。
これをすれば絶対に大ヒットする! などということは、どんな人気作家や凄腕編集者にもわかりません。でも作品がコケる理由、欠点ならわかります。
つまり、欠点、失敗の理由をつぶせば、それだけ成功確率が上がるということです。
このために有効なのが、書籍化ライン、新人賞受賞ラインを100点満点として、あなたの小説に点数をつけてもらうことです。
例えば、80点と採点された場合、残りの20点はどうして減点されたのか、批評してくれた人に理由を教えてもらってください。
ストーリーが強引、序盤の引きが弱い、タイトルが良くない、テンプレから外れている、など、何か理由があるはずです。
また、できれば複数の人から意見をもらうと良いです。複数の人が同じことを指摘した場合、それは真実である可能性が高いからです。
「感情的にならない」というルールを決める
批評とは主に欠点を指摘するものなので、どうしても反発したくなるのが人間です。
そこで事前に、決して、泣いたり、怒ったりしない、感情的にならないというルールを決めておきましょう。
このルールがあれば、批評する側は安心して意見を言うことができます。
また、できればプロになりたい人はプロになりたい仲間で集まり、趣味で小説を書いている人は、趣味で書いている仲間で集まって、意見交換をしましょう。
目指す場所が異なれば、どこまで本気の批評を行うかも変わってきます。
重要!「長所を必ず褒める」というルールを決める
小説の批評をする際は、必ず長所も指摘して褒めてください。
作者の心を折るだけの欠点ばかり指摘する批評は、作者のためになりません。
長所を指摘してあげることは、モチベーションアップに繋がります。
実は、以前、私が主催した小説勉強会でプロ作家の方から「うっぴーさんのセリフを考える能力はプロ並みです!」と褒められて、嬉しくなって、次の勉強会でも小説を書いて持っていったら、今度はあまり評価されなかった、ということがあります。
褒められると、人間、嬉しくなってやる気が出るものです。
ラノベ作家、岸馬きらくさんによると、プロになるためには『執念』『才能』『要領の良さ』のどれかが図抜けている必要があるそうです。
岸馬さんは、お兄さんから小説を褒められたことを糧として、ずっと書き続けたそうです。褒められたことが、自分はできるという自信と執念につながったのですね。
このようにプロ作家になった人に話を聞くと、小説を褒めてくれる友達や兄弟がいたからプロになれた、という人が他にも何人かいました。
天才作家と言われた芥川龍之介も文豪・夏目漱石に褒められたことで、自信を得えて、小説家になることを決意しました。
初めて芥川の小説を褒めてくれたのが漱石だったそうです。
小説の長所を褒めることは、このように大変、有意義です。
以下は、私が開発運営している小説の批評依頼ができるWebサービス『ノベル道場』です。
長所を書く欄や、良かった要素を選ぶ項目が用意されていて、あなたの長所を知ることができるようになっています。