[ 著者名 ] 時雨沢 恵一
[ ジャンル ] 異世界FT
[ 出版社 ] 電撃文庫
[ 発売日 ] 2014/10/2
シルヴィさんの書評
一巻を読んだ。
文体は綺麗だったが、描写が淡々としすぎていて、上橋菜穂子の「獣の奏者」のように人の息遣いも何も感じられなかった。
主人公のキノも淡々としすぎていて、「真の無表情キャラ」という印象を受け、「生身の人間」のようには感じられなかった。
こういう「無表情キャラ」は今までに見なかった。
「マギ」のモルジアナ、「銀河鉄道999」のメーテルといった、私が今までに見た「無表情キャラ」は、表では何も感じていないように見えても、内に熱いものと固い信念を秘めた、「生身の人間」だった。
今までに見た「旅人キャラ」もまた、「マギ」のアラジンとアリババ、「銀河鉄道999」の星野哲郎さえ、彼女たちと同じく心に熱いものと固い信念を持っていた。
しかし、キノは彼らと違い、内に熱いものも固い信念も持っていない。
それ故に、私は本作を読んで感動できなかった。
結構辛辣に書いてしまったが、あくまで私の勝手な感想である。
いいと思うならいい、悪いと思うなら悪い、だろうと思っている。