キノの旅/ラノベレビュー・シルヴィさん

[ 著者名 ] 時雨沢 恵一
[ ジャンル ] 異世界FT
[ 出版社 ] 電撃文庫
[ 発売日 ] 2014/10/2

シルヴィさんの書評

一巻を読んだ。
文体は綺麗だったが、描写が淡々としすぎていて、上橋菜穂子の「獣の奏者」のように人の息遣いも何も感じられなかった。

主人公のキノも淡々としすぎていて、「真の無表情キャラ」という印象を受け、「生身の人間」のようには感じられなかった。
こういう「無表情キャラ」は今までに見なかった。

「マギ」のモルジアナ、「銀河鉄道999」のメーテルといった、私が今までに見た「無表情キャラ」は、表では何も感じていないように見えても、内に熱いものと固い信念を秘めた、「生身の人間」だった。

今までに見た「旅人キャラ」もまた、「マギ」のアラジンとアリババ、「銀河鉄道999」の星野哲郎さえ、彼女たちと同じく心に熱いものと固い信念を持っていた。
しかし、キノは彼らと違い、内に熱いものも固い信念も持っていない。

それ故に、私は本作を読んで感動できなかった。
結構辛辣に書いてしまったが、あくまで私の勝手な感想である。
いいと思うならいい、悪いと思うなら悪い、だろうと思っている。

キノの旅 the Beautiful World<キノの旅> (電撃文庫)<キノの旅> (電撃文庫)

ラノベ書評

コメント

  1. アバター シルヴィ より:

    こんなに辛辣に書いてしまったのに、まさか載ってしまうとは……。
    ということはともかく、
    なぜ「気に入らなかった」のか、我ながら情報不足だったと思います。
    改めて書評を書いておきます。

    書評・改
    高評価や内容に釣られて一巻を読みました。
    世界観や雰囲気はそれほど悪く無いと思います。
    しかし、「銀河鉄道999」のような悲喜こもごもの熱い王道を期待している人にはおすすめしません。
    実際私はそれを履き違えてしまい、結果として作品により失望することになりました。
    作品の世界観に入り込めず、主人公・キノに感情移入できませんでした。
    物語や文章も淡々としていて、驚きも感動もありません。
    旅先の土地の各々の文化や人々の暮らしぶりは描かれていません。
    驚くほど静かなところに長時間身を置いているような気味の悪さを感じました。
    主人公に感情移入できなかった理由は「熱いものを持たない」ことは以前述べた通りですが、具体的には
    ・(正当防衛とはいえ)人を平然と殺す、旅先の土地で破壊行為(?)を働いてそのまま立ち去るなど、驚くほど非情で淡々としすぎている
    ・旅先の土地や人々に対する好奇心や感慨がない
    ・「世界をこの目で見て確かめたい」といったような明確な目的がない
    といったような「人間らしくない」点にありました。
    それに加え、旅先の人々も淡々とした感じで、「人間らしく」ありません。
    人それぞれ好みはあるでしょうが、私は本作のような「淡々としすぎている」物語や「人間らしくない」人物は好みではありません。

  2. アバター 青井文也 より:

    『キノの旅』読みました.
     確かにファンタジー色が薄い本ではあると思います.
     ファンタジーの王道というと魔法使って……みたいな感じですかね.確かに魔法なんて出てきませんし.
     
     淡々としてるというよりかは,わざと書かないようにしてると言いますか,あえて何も書かないことで,主人公や人々が何を考えているのかを考えさせてくれます.
    そこには作者のメッセージ性じみたものを感じますね.
     
     旅先の文化や暮らしぶり……これも上記と同じ感じですね.どんな生活をしてるか予測できるくらいしか書かれてなかったりします.

     「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか? ものすごく汚い人間ではないか? なぜだかよく分からないけど、そう感じる時があるんだ。……でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なものの様に感じるんだ。とても、愛しく思えるんだよ……。ボクは、それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしている様な気がする」
     キノの旅一巻で最初に出てくる言葉です.これがキノが旅を続ける理由ですね.確かにあまり強い動機ではありませんが,後々のキノの過去とも関わる部分です.

     自分が殺されそうになったら躊躇なく相手を殺しますよ.旅がどれだけ危険なものなのか考えさせられますね.
     
     まあ,私が読んで思ったのはこんなところですかね.キノの旅は抽象的な部分が多くそこを受け入れられないところもあるかもしれません.ちょっと大人向けのライトノベルといった感じです.ちなみに私が好きな話は『優しい国』と『アジン(略)の国』ですかね