プロ作家になれた最大の要因は『楽しみながら続けたこと』。ラノベ作家・黒九いなさんに創作に関する18の質問

この記事は約8分で読めます。

(AMGとのタイアップ記事です)

スポンサーリンク
  1. Q0:自己紹介をお願いいたします。
  2. Q1: 初めてライトノベルに出会ったのはいつですか?
  3. Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?
  4. Q3: 実力を高めるために役立ったトレーニング方法はありますか? その方法をどこで知りましたか?
  5. Q4: 作品はどのようなアプリ、ソフトを使って書かれていますか?
  6. Q5: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方がありますか?
  7. Q6: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか?
  8. Q7: スランプになった、もしくは作家になることを諦めようと思ったことはありますか?
  9. Q8: アマチュア時代 に参考になった本はありますか? どなたか師匠や先生に教えてもらったりしましたか?
  10. Q9: 尊敬している作家さんはいますか?
  11. Q10: 執筆は、いつもどのような時間帯にされていますか?
  12. Q11: 一日の執筆速度はどの位でしょうか? また、ノルマを作っていますか?
  13. Q12: 一日にどれくらい執筆に時間をかけておられますか?
  14. Q13: どのような方法でプロットを作られていますか?
  15. Q14: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?
  16. Q15: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?
  17. Q16: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?
  18. Q17: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?
  19. Q18: 最後にこれから、黒九いなさんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?

Q0:自己紹介をお願いいたします。

黒九いな(くろくいな)と申します。
アミューズメントメディア総合学院(AMG)ノベルス学科(現在の小説・シナリオ学科)東京校卒業後、第19回えんため大賞特別賞を受賞してライトノベル作家になりました。

▼最新刊

F級討伐屋の死にスキル2 魔術女子をパーティーに入れてはいけない理由は? (ファミ通文庫)

F級討伐屋の死にスキル2 魔術女子をパーディに入れてはいけない理由は?

F級討伐屋の死にスキル2魔術女子をパーディに入れてはいけない理由は?
(C)Ina Kuroku 2018

現在、デビュー作の続刊『F級討伐屋の死にスキル2~魔術女子をパーティーに入れてはいけない理由は?~』がファミ通文庫様より発売中です。

Q1: 初めてライトノベルに出会ったのはいつですか?

いわゆるライトノベルレーベルではないので、ライトノベルかどうかは意見が分かれるかもしれませんが、高校生の頃、『空の境界』(奈須きのこ/講談社ノベルス)という作品に出会ったのがきっかけです。

その後、奈須先生が影響を受けたという上遠野浩平先生の『ブギーポップ』シリーズ(上遠野浩平/電撃文庫)にハマり、そこから他のライトノベルにも手を出すようになりました。

Q2: 初めて小説を書かれたのはいつですか? それはどのような作品でしたか?

同じく高校生の頃にWEB上の投稿サイトで投稿作を読み漁り、しばらくして自分でも書いてみたのが最初でした。
内容は現代日本を舞台にした異能バトルもので、それまで読んできた漫画や小説の内容をごった煮にしたような感じでした。

Q3: 実力を高めるために役立ったトレーニング方法はありますか? その方法をどこで知りましたか?

アミューズメントメディア総合学院(AMG)では即興でショートストーリーや1シーンを書く、という授業がいくつもあったのですが、その授業の中で掴んだ感覚が今も執筆時に活きているのを感じますね。

一見、即興と通常の執筆だと条件が違うようにも思えますが、締切という時間制限があるという意味では同じですし、長編を書いていると物語全体の構成を意識しすぎて漫然となりがちな、1シーンや文節ごとの構成を意識して書くという癖が、頭ではなく身体で覚えられる訓練法でした。

Q4: 作品はどのようなアプリ、ソフトを使って書かれていますか?

Microsoft OfficeのWordです。

Q5: 作品の書き方で(例:クライマックスを先に書くなど)、自分なりの書き方がありますか?

プロットを固めすぎると、いざ本文で書こうとした時に上手くシーンにならない……なんてことがあるタイプなので、詳細は本文を書きながら詰めることが多いです。
高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に執筆すると申しますか。

Q6: 初めて作品を新人賞に応募されたのはいつですか?

二十歳頃だったと思います。
当たり前のように一次で落選しました!

Q7: スランプになった、もしくは作家になることを諦めようと思ったことはありますか?

完全に諦めようとまでは思っていませんでしたが、しばらく休んで他の仕事に集中しよう、としていたことはあります。
ちなみに受賞の連絡をいただく直前でした。

Q8: アマチュア時代 に参考になった本はありますか? どなたか師匠や先生に教えてもらったりしましたか?

たしか当時ライトノベル作法研究所さんで紹介されていた記憶があるのですが、『ハリウッド脚本術』(ニール・D・ヒックス/フィルムアート社)が物語の構成を学ぶ上で参考になりましたね。

アミューズメントメディア総合学院(AMG)では多数の作家、編集者の先生方に、血肉になるような濃いノウハウを教えていただきました。
AMGの先生に薦めていただいた本の中だと、やはりハリウッド系の『SAVE THE CATの法則』(ブレイク・スナイダー/フィルムアート社)という本がわかりやすく、参考になりました。

Q9: 尊敬している作家さんはいますか?

アミューズメントメディア総合学院(AMG)でお世話になった先生方や、ファミ通文庫を始め、市場を築き守ってきたライトノベル作家の先輩方はもちろんですが、特に影響を受けたという意味で、先述の奈須先生や上遠野先生、有川浩先生、井上堅二先生、虚淵玄先生、鏡貴也先生、賀東招二先生、貴志祐介先生、城平京先生、深見真先生などなど……挙げ始めるとキリがないほどいらっしゃいますね。

Q10: 執筆は、いつもどのような時間帯にされていますか?

昼過ぎ~深夜辺りが多いです。

Q11: 一日の執筆速度はどの位でしょうか? また、ノルマを作っていますか?

締切にもよりますが、基本的にはWordの見開き(文庫2ページ分)で日に10枚をノルマにしています。
この程度なら翌日に疲労を残さずに済むので、(他の仕事が入らなければ)約二週間で一冊分書き終わります。
たいていノルマをクリアできない日も出るのですが、最終日は20~30枚書けることも多いので、そこで帳尻は合わせます。

Q12: 一日にどれくらい執筆に時間をかけておられますか?

6~7時間前後が多いと思います。

Q13: どのような方法でプロットを作られていますか?

基本は脳内で。
誰かに見せる必要がある時だけ改めてプロットの書式に落とし込む感じです。
手順としては、核となるシーンやキャラクター、冒頭、クライマックス、物語の転換点やざっくりとした流れを決める程度。

先述したように細かい部分は書きながら決めていくことが多いので、そのまま本文に移ります。
プロットにいないキャラクターや設定が増えることもしばしば。

Q14: 作品を書く上で何か大事にしている、または心に留めていることはありますか?

完璧に想像できるものでもありませんが、今書いているシーンや表現が読者さんの目にどう映るか、というのは常に意識するようにしています。

Q15: 「売れるものを書くべきか」、「書きたいものを書くべきか」、答え辛い質問ではありますが 、もし良ければ意見を聞かせていただけませんか?

月並みかもしれませんが、両方必要だと考えています。
書きたいものが売れる(売れそうな)内容と自然に一致すればベストですが、そうでない場合、プロとしてやっていこうとすれば「売れるかどうか」という評価軸は避けては通れないものなので。

かと言って全く何の興味もない、一切書きたくないジャンルを無理に書いても、そのジャンルの読者さんのツボや嗜好からズレたものになってしまうと思います。

理屈や研究でそのズレを修正することも不可能ではないかもしれませんが、やはりそのジャンルを書きたくて書いている他の人と競う上では不利になるはずです。

なので、自分の書きたいものを売れそうなものに近づける、今売れているものを自分が書きたくなる内容に近づけて書いてみる、といったバランスや、バランスを取ったことによる化学反応が大事ではないかと。

こう書くとなんだか一種の妥協のようにも感じますが、たとえば『フルメタル・パニック!』(賀東招二/富士見ファンタジア文庫)は、当時から今に至るまでライトノベルの主流ではない(売れそうではない)リアル系ロボット・軍事要素を、学園モノという十代向け定番の(当時はまだそこまで主流ではなかったようですが)要素と組み合わせることで大成功に至った、(賀東先生がおそらく)書きたいものと、売れそうなものとが化学反応を起こした好例ではないでしょうか。

Q16: プロになれた理由を、ご自分ではどうお考えですか?

ダラダラとではありますが、なんだかんだ『続けた』おかげでしょうか。
書き続けていれば少しずつ成長もできますし、執筆スピードも上がります。

新人賞や出版物は『出してみるまで結果がわからない(どれだけ傑作に見えても落選や売れない可能性は常に存在するし、その逆もある)』という意味でソーシャルゲームのガチャに似た部分もありますし、実力を高めることも大事ですが、試行回数を増やすことも重要です。

質と量を高めるにはやはり続けることが一番で、ひとまずプロになれた理由としては、『続けた』という要因が大きいのかなと考えています。

Q17: プロになって一番嬉しかったことは何ですか?

自分が小説を書き始めた当時とは比較にならないほど大勢の読者さんに読んでいただき、感想までいただけたことです。

今では大規模な投稿サイトも増えて、並のプロ以上に多くの読者さんに読んでもらえるチャンスのある場が増えましたが、当時はそこまでの規模のサイトは多くありませんでした。
それもあって「もっと多くの読者さんに読んでもらいたい」というのがプロを目指した一番最初の動機だったので、その目的を達成できた瞬間は本当に嬉しかったです。

Q18: 最後にこれから、黒九いなさんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?

上で、プロになれた要因は『続けた』ことと書きましたが、この続けるという部分が地味に高いハードルかもしれません。
半年かけて書いた渾身の一作があっさり一次で落選した時など、心が折れそうになりますし、辞めようかという考えも脳裏をよぎります。

そこを乗り越えて続けていくコツとしては、執筆自体を『楽しむ』という方法があると思います。

執筆自体を楽しめていれば、費やした時間に対して結果が伴わなくとも『楽しかった』という見返りは得られますし、『自分としては楽しんで書ける内容だったけど、読者さんにはどうしてこの楽しさが伝わらなかったんだろう?』という反省の起点にもなります。

また基本的に書いていて楽しいのは自分が書きたいものを書いている時だと思うので、先述した『売れるものと書きたいもの』のバランスを考える取っ掛かりにもなりえるかと思います。

書くのが楽しくて作家を目指している、すでに楽しんでいるという方にとっては「何を当たり前な」という話かもしれませんが、続けていると『結果』にこだわりすぎて『過程』の楽しみが二の次になり、最悪、『過程』の楽しめなさが作品の質に影響したり、続けていくモチベーションを失わせたり……といった悪循環に繋がることもあるのです。

減量やトレーニングなどもそうですが、まあ、楽しむ余裕のある範囲で気楽にダラダラ長期間続けるのが、短期間苦痛に耐えて頑張るよりも結果的に大きな成果に繋がるかもしれないと、そんなお話でした!

タイトルとURLをコピーしました