大ヒットキャラ文芸の分析『神様の御用人』。どんな創作技術が使われている?

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女性読者が喜ぶようなキャラ、舞台、ストーリー、設定にすることを徹底しています

人気のある小説を書くためには、人気作の研究が欠かせません。

ここでは累計発行部数100万部以上のキャラ文芸のヒット作『神様の御用人』(2013/12/刊行)のヒット要因、どういったテンプレが使われているか詳しく分析します。

●ストーリーの概要

・主人公が神様と人間の間に発生した日常的な問題を解決するほのぼのストーリー。

キャラ文芸とは女性をターゲットにした小説です。

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キャラはこうだから良いのかなポイント

副業:小説の書き方講座。大ヒットキャラ文芸の分析『神様の御用人』。どんな創作技術が使わている?

主人公について

主人公は身体を壊して野球の夢が絶たれた社会人男性。社会人野球チームの廃止により、就職した企業を入社半年で退社して、フリーターとなったという読者に共感してもらいやすい存在。24歳の一般庶民です。

なろう系ラノベの追放系に近い要素が入っています。

彼は神様のお願いを聞く御用人に選ばれますが、基本的にやる気はありません。

だが、相手の事情を知ってしまうと、首を突っ込んで問題を解決してしまうというお人好しタイプです。

神様の御用人に選ばれたのは物語の序盤で、老人(神様)を助けたからです。
作者は主人公を徹底的に善人に見せるべく工夫しています。

上手な作品に共通することですが、主人公が嫌なヤツにならないように。応援したくなる人間、共感できる人間になるように見せる演出をしています。

親友について

主人公の親友は、神社で働く神職。主人公は神社や神様については素人同然です。
親友が神社談義をしてくれて、なんとなく主人公とはニアホモ臭い関係です。
以下、本文のセリフの引用

「え、何か思わないとだめなの? ときめきとか?」
「オレの服装を見て、何か言うことないのかって言ってんの」

男性同士というより、恋人同士のやり取りに近いです。
また、猥談に近い様な話もしますが、いやらしくなく、彼らの感覚は女性に近いと言えます。これは女性読者に共感してもらうためです。

メインキャラクターに女性はいません。

おそらく、主人公と恋愛関係になりかねない女性がいると、女性読者が嫌がるからだと思われます。

それよりも、イケメンの神職の友人との絡みが見たいという女性読者のニーズに応えています。

女性読者が喜ぶようなキャラ、舞台、ストーリー、設定にすることを徹底しています。

主人公の相棒。キツネの神様について

主人公の相棒となるキツネの神様、黄金(こがね)がかわいいです。

神々の中でもっとも古く、格式の高い神ですが、パフェなど甘い物を食べて喜びます。このギャップが魅力になっています。

序盤で黄金が、主人公と一緒に抹茶パフェを食べに行くシーンは、友達と甘い物を食べに行くような楽しさがあります。

神様としての威厳を持っているが、同時に人間臭い部分、食いしん坊なところや、テレビに驚くなど、身近に感じられるところ。主人公が黄金より優位に立てる部分があって、楽しいです。

しっぽがモフモフなど、かわいいペットとしても書かれています。
神様であり、かわいいペットであり、一緒に甘い物を食べに行ける楽しい同居人でもあります。

このことは、仲よさげにしている表紙イラストでも表現されています。

格式の高い神様から特別な存在(神様の御用人)に選ばれ、仲良くなるという点で、読者の承認欲求を満たします。

黄金に洗濯機や電車、テレビについて教えてあげることで、自分が優位に立てて、楽しいです。

なろう系ラノベほどではありませんが、キャラ文芸においても読者の承認欲求を満たす展開は有効であることがわかります。

展開はこうだから良いのかなポイント

言霊の神様が引きこもりでネトゲ廃人など、現代的な要素を入れています。

ゲーム好きな主人公が、ネトゲ廃人の神様と一緒に遊んで仲良くなるなど、神様を身近なものとして感じられるように工夫しています。

神様と仲良くなる方法がゲームなど、読者でも簡単にできそうなことであるため、没入感が高まります。

起きる事件の内容は、失恋した女の子を慰めてあげたい、といった身近な人情物。

身近な問題の解決がエピソードであるため、話を作りやすいと思われます。
以下、本文のセリフの引用

「言霊の神と呼ばれながら、その時の一言主様は、一人の少女に、言葉ひとつかけられなかったのでございます」

神様にできないことを人間として代りに行うというストーリー展開が良いです。

自分はすごい、神様の役に立てるという点で、読者の承認欲求を満たせます。

その他ここはこうだから面白いのかなポイント

舞台は京都。エピソードに沿って神社や仏閣、神様についてのうんちくをひろうします。
これらの知識が自然と身につくLエンタメ要素があります。知識は本格的なもので、読み応えがあります。

京都や神社、神様が好きな女性にはたまらない内容であると思われます。

冒頭で読者をつかんでいる秘訣

冒頭では日本の神々と人との関係について短く触れています。
神様や日本文化に興味がある人を惹きつけるように考えられていると思われます。

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