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モチベーションの維持(元記事)

初質問です。
ファンタジー小説を書こうと志してから1年ほど経つのですが、未だに納得のいく設定、プロットが書けずネット小説サイトに投稿すらできない状態が続いています。今までは何万字と書いた設定集やプロットなどを没にしても、「もっと面白いものが書けるはず」と考えてモチベーションを保っていましたが、それも難しくなってきています。
やはりある程度は妥協して投稿してみるべきなのでしょうか? 
それとも自分の中で完璧だと思えるプロット、設定ができるようになるまで粘るべきでしょうか?
初歩的な質問で申し訳ないのですが、どなたかご教授いただけますと幸いです。

モチベーションの維持の返信

投稿者 手塚満 投稿日時: : 0

結論から申せば、設定やプロットはもっといい加減に作って、小説本体を書く必要がありそうです。それも必ず本編を最後まで書き上げることが大事でしょう。以下、少し説明してみます。

1.物語と設定は不可分の同時進行

設定は掌編くらいでは頭の中で考えるだけでいいかもしれませんが、尺が長くなるにつれて必要となってきますね。ないと序盤と終盤で齟齬をきたしたり、下手すると物語が破綻したりする。ファンタジーともなると、魔法や生物種族など、作品独自ないしは現実との相違が多々出てきて、設定をしっかりさせておくことが重要になってきます。

おそらく、そういう必要性を感じて設定の作りこみをされていると思います。方向性は正しいのですが、どの程度までやるかが問題です。それも、作品完成のプロセスのどの段階で、という点が重要になってきます。

問題を極端にして考えてみますと、例えば全く物語を想定していないのに、設定は作れるか。できないですよね。何をさせるキャラか分からないのに、どういう能力、欠点等々があるか、具体化のしようがありません。アイテムや世界観等も同様です。

そこで簡単なあらすじを作ってみるとします。「魔王にさらわれた姫を騎士が救う」とします。魔王はやっぱり魔力絶大だろう、騎士は剣で戦うだろう、さらわれるくらいだから姫は無力だろう、と思いつきます。すると「姫救出に駆けつけた騎士を魔王が魔法で瞬殺しそう」とか思いつきます。すると「騎士に魔法使いをサポートさせねば」と新キャラが出てきます。すると「魔法使いの役割は……魔王の魔術を封印するか弱めるかは必要かも」と能力設定が出てきます。すると「魔王の魔力を数分間封じて、その隙に騎士が魔王に致命傷を」→「魔王の弱点はこうしよう」→「その弱点を突くための段取りはこうかな」→……みたいに発想できます。

設定とストーリー/ドラマは不可分で、どちらかが先に完璧になることはありません。設定とストーリー/ドラマを行き来しつつ、どちらも具体化していくことになります。もし「こういう設定さえあれば、後は物語がうまく進むはず」といった感覚がどこかにあるなら、いったんその感覚は捨てる必要があります。

2.プロットは物語の可能性でしかない

といっても、いきなり本編を草稿レベルでも書いちゃうのは難しいですよね。だからおやりになっている通り、(あらすじと)プロットを考えることになります。プロットは物語進行の組み立てを示し、出来事の因果関係も盛り込むわけですが、非常に簡潔なものになります(通例、本編の1/100もない)。

それで面白さを出せるかって無理ですし、これなら面白くなるという保証すらできません。プロットに肉付けしていって、面白くもつまらなくもできる。例えばリアリティって、物語がいかにも眼前で起こっているように感じるために大事ですけど、細部に宿ると言われてたりする。プロットはあくまでも面白くする前の元ネタです。

ですので、いくらプロットをいじってても、限界は低いんですね。なにせ「面白さの可能性」ですから。しかし可能性であることで、逆の現象も生じます。本編へ具体化していくと、つまらないと感じることがあるのです。これはプロットが可能性の塊であることが原因です。

上述しましたが、例えばリアリティの出し方はいろいろある。プロット段階では「こうしてもいい、ああしてもいい」といろんな可能性が思い浮かびます。作者的にはその可能性全部に対してワクワクしますので、しばしば「このプロットからはこれだけ面白くなる」と感じてしまいます。しかし物語に具体化するのがたった1つの事例でしかない。プロットから本編を起こしていくにつれ、「こんなはずじゃない」という勘違いをしがちです。

しかし、可能性の塊を表現する方法なんてありません。仮にその方法を思いつけたとしても、読者がそれを受け取って読み取る能力に期待するわけにはいかないでしょう(間違いなく「何が書いてあるか分からない」になる)。面白さが出せなくて、しかし面白くなるはずと過剰に期待しがちだったりする。いろんな点で、プロットに大きく期待してはいけないということになります。ですので、プロットを精いっぱい頑張るのはあまり意味がないわけです。

3.盛りすぎた設定でキャラが身動きできないことも

設定とプロットを頑張りすぎるのは、別の弊害もあります。特に設定の作りこみすぎで悪弊が出やすい。設定って、例えばキャラクターですと「主人公は怒りっぽい」→「髪型を貶されたときに激怒する」とか曖昧から具体化に進みます。「怒りっぽい」だけだと漠然としていて主人公が怒りから行動を起こすタイミングなどで苦労します。しかしピンポイントに「髪型を貶されると」としておけば、敵が主人公に言う罵倒で髪型を貶させるだけでよくなります。

しかし、例えばそういうのをたくさん作っていくと、逆にキャラが動かなくなります。喜怒哀楽全部に条件設定すると、いちいちその条件を起こさないといけなくなってくる。よくあるのが能力設定の過剰です。これもできる、あれもできる、としていくと、できることは全部やらないといけなくなってきます。例えば「主人公は超高温の炎で敵を撃てる」と設定しておいて、作中で明かして、しかし炎を出さなかったら、読者には肩透かしで、不満の原因となります。「凍結魔法はできない」と設定しても同様です。凍結さえできれば、というピンチを作らないと、読者に肩透かしになります。

設定は「べからす集」の面があります。設定を盛ったら、盛っただけキャラは縛られのです。適度に縛られると動かしやすいですが、できるできないをどんどん具体化しよう、あるいはキャラの強さや魅力を設定で保証してやろうと盛っていくと、ある段階からキャラを動かせない悪影響に変わります。スリリングにしようと落とし穴の数を増やし、ついにどう進んでも落ちてしまう状況になり、身動きできなくなるようなもんです。

ですので、設定やプロットはある程度までにして、物語本編の草稿を完成させたほうがいいんです。草稿が完成したら、逆にそこからプロットを生成したり、設定の過不足を検討して、改稿していくほうが効率も出来栄えも良くしやすくなります。

4.挫折を繰り返すと挫折する習性が身に着いてしまう

そうせず、設定とプロットを頑張っては、本編未完成ということを繰り返すと、非常に悪い癖が付きます。誰でも、良きにつけ悪しきにつけ、繰り返し行ったことは身に着いてしまいます。たとえ「設定とプロット作ったら、本編を頑張るぞ」→「本編が完成させられず残念、次こそ」みたいな、意識しているのは「失敗したが繰り返すまい」だとしても、いわば体が覚えるのは「設定とプロット頑張ったら、本編は失敗させる」になります。

そうなると大変です。設定(やプロット)作り出した時点で既に、本編が出来上がらないことが織り込み済みになっているからです。いわば、失敗するために行動を起こす、になります。しかもたいてい無意識です。類例は例えばダイエットでよくあります。最初は短期決戦しようときついダイエット計画を立てる。しかし無理がたたって失敗する。失敗にあせってまた無理をし、やっぱり失敗。

それを繰り返すと、成功しないダイエット計画を立ててしまう癖がついてしまうのです。むしろ、挫折しないうちは不安になりさえする。失敗して「ああ、やっぱり」と残念半ば、安心半ばの奇妙な感覚に納得してしまうようにもなります。

小説執筆でも同じことが起こります。失敗は成功の母、ということわざはありますが、あまり失敗経験を繰り返してもいけません。小さくて不満もあるけれど、一応は小説完成の成功経験を積み重ねないと危険です。完成させる(無意識の)癖がついたら、ときどき「思い切り設定盛ってみたら」といった冒険しても大丈夫になります。

カテゴリー : やる気・動機・スランプ スレッド: モチベーションの維持

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