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物語の主人公には、アクティブな目的があった方が良いのだろうか?の返信

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物語の主人公には、アクティブな目的があった方が良いのだろうか?(元記事)

 質問はタイトル通りなのですが、事情を軽く説明します。

 一カ月ほど前から制作中だったロボットアクション物の原稿が昨日の明け方に書きあがったのですが、我ながら大変面白くない作品に仕上がりまして、ここに持ってくる前に書き直すことにしました。
 既に独りよがり状態の面白くなさがあったので、相方に推敲を依頼したところ「主人公に『夢』みたいなものが無くて、個々の事件に対処するだけの作品になっているのが原因ではないか?」と言われまして。

 俺の作品の場合はまさしくその通りなのですが、世の中には『とある魔術の禁書目録』みたいに『主人公が何かをしようとしているわけではなく、たまたま陰謀に巻き込まれて阻止するために動く』タイプの物語もあるわけで、物語の主人公にはどれくらいの『目的意識』が求められるのかなと疑問に思い、質問しました。
 ご意見いただければ幸いです。

物語の主人公には、アクティブな目的があった方が良いのだろうか?の返信

投稿者 手塚満 投稿日時: : 1

目的と対になる動機はどうお考えでしょうか。以下、少し説明してみます。

1.目的(意識)だけが独立して発生することはない

「とある魔術の禁書目録」の主人公 上条当麻を目的意識を(少なくとも強くは)持たない例としてお考えですね。確かにそうだと思いますが、別の視点から見てみると、違って見える可能性もあります。

主人公に強い目的意識があるとします。平たく言えば「○○を成し遂げたい」などでしょうか。しかし目的意識だけが独立して発生するかどうか考えてみると、どうもありそうではありません(あるとしたら神の啓示などかも)。

主人公に目的が発生するには動機があったはずなんです。なぜ何かを成し遂げようと、主人公が思ったのか。どこへ向かうかが目的(未来)であれば、どこから来たのかが動機(過去)です。

2.作者が目的だけを意識すると主人公がブレやすい

目的意識だけがあると、キャラがブレがちです。目的達成に近づくのが、どこからやってもいいからです。出発地点不明でゴールだけが決まっているようなものです。どこから出発してもいいなら、物語を終えるのはすぐにやれてしまいます。

しかし、それでは言葉通り、お話にならない。そこで目的達成を邪魔する要素を入れて、話を引き延ばすことになります。主人公が四苦八苦してるんだけど、なんでそんなことをしているのかが分からない状態に陥りがちです。

そこで動機が必要になるわけです。動機がはっきりすれば、目的もはっきりしてきますし、何より動機と目的を結ぶ線がストーリーとして(作者的に)見えても来ます。そうなると、主人公がブレないように話を進める工夫も思いつけて来ます。動機と目的を結ぶ線は見えているのですから、意図的、効果的にブレさせて波乱を作ることも可能です。

3.作者は全て知り、主人公は見える範囲だけしか分からない

ただ、以上は作者的な視点であって、作中の主人公視点は別物となります。お考えの「とある魔術の禁書目録」が、まさにそういう例ですよね。

主人公 上条当麻は目の前の困っている人を助けたいだけです。勝利条件は、普通に平和に暮らせる、というつつましいものでしかない。直接的な動機は「目の前の人を助けたい」ですが、その動機の動機となるのは上条当麻の「困っている人を見過ごせない」性分でしょう。この辺り、説明不能・不要な部分(主人公の性格形成過程)に設定を押し込むテクであるように思います。

目的意識も上条当麻的には常に明快です。困っている人が困らないようになりさえすればいいんですから。しかし強敵の仕業であるため、強敵を倒さないと目的達成できないと判明するわけですね。そこで目的意識「他人の困りごとを解消する」の目標(手段)が「目の前の敵を倒す」になります。

しかし敵には背後があって→中ボスがいて→ラスボスがいて、と次々と目標が書き換えられていきます。上条当麻的には「どこまでやれば、このキャラの困りごとが解消するんだ」となるでしょうし、緊張感も高まっていきます。読者も同じです。

作者だけは、主人公がどこまで行くのか知っています。作者は「困っているキャラの悩みを解決するには、これこれを達成する必要がある」とプロットを作って進めているわけですから当然ですよね。

4.主人公がいつ、どこまで正しい目的を知るかは、作者の狙い次第

言い換えれば、作者的には主人公の目的(意識)は存在するということです。目的の明確化のためには動機も与える。動機は主人公にも分かっていますが(でないと主人公が行動を起こさない)、目的は主人公が知り得る範囲でしか発生しない。知り得る範囲でしか目的意識も持てません。

主人公に、いつから、どれだけ目的意識を持たせるかは、作者の狙い次第ということになります。最初から作者の考える目的を主人公が把握していれば、ラストまで目的意識を持つことになります(ときには揺らがせたりするとしても)。

変化する状況に戸惑う主人公を描きたいなら、作者が考える目的を小出しにすることになるでしょう。ときには偽の目的でミスリードもするかもしれません。揺るがない主人公なら作者の考えた目的を序盤で与えることになるでしょう。

これらは、読者にどういう感銘を与えたいか、という作者プランに依存します。感情移入は主人公に起こる/起こすわけですので、主人公の心情の動きが読者の感情の動きです。

5.まとめ

長くなりますのでまとめますと、

・動機と目的をつなぐ線がストーリーとなる。
・作者は主人公の最終目的を作っておく。
・主人公が最終目的をどの程度知るか、どう意欲(目的意識)を持つかを、作者が制御する。
・以上は、読者にどういう感動を与えたいかでやりようは決まる。

となります。

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