萌え文化の一般文芸への浸透2015年4月/新人賞下読みが回答

この記事は約3分で読めます。

2015/04/18(土曜日) 14:12:50の質問

新人賞下読みのジジさん、毎回、質問に答えてくださり、どうもありがとうございます! ライトノベル作法研究所を運営しているうっぴーです。
私も一つ、お聞きしたいのですが、最近、流行(2015/04/18現在)のスマホ小説の読者というのは、ライトノベルの読者とかぶっているのでしょうか?

スマートフォン向けの小説投稿サイト『E★エブリスタ』から書籍化された『謎解き乙女と奪われた青春』(2015/2/28刊行)を読んだのですが、かなりライトノベルに近い感じがしました。ライトノベルのテンプレートをそのまま使っている感じです。

刊行元の新潮社は、『新潮文庫nex』は、ライトノベルではないと言っているようですが、明らかにラノベっぽい感じがします。ご覧の通り、表紙にも女子高生のイラスト(写実的な漫画タッチ)が描かれています。いわば一般文芸との中間あたりですね。

2000年代ののケータイ小説は、ヤンキー女性がメインターゲットでありましたが、2010年代のスマホ小説は、どちらかというとライトオタク層向けなのではないかと考えていますが、いかがでしょうか?
また、ヤンキー女性たちが書く小説というのは、完全に廃れてしまったのでしょうか?

よろしくお願いします。

スポンサーリンク

●下読みジジさんの回答

> 私も一つ、お聞きしたいのですが、最近、流行のスマフォ小説の読者というのは、ライトノベルの読者とかぶっているのでしょうか?

主となる読者層は、ライトノベル(というか一定ラインを越えたオタク文化)を敬遠する層が多いですね。
もっとも勢いのあるジャンルは少女向け恋愛小説、次いでオカルト・ホラーやライトミステリといった感じです。

が、萌えという文化は明らかに一般層へ浸食しており、キャラ立てにおいてかなりラノベ寄りになってきているのは確かです。

この一般向けにおけるラノベ(萌え)化は、スマホ小説とは異なりますが、推理創元社の日常の謎系ライトミステリを始め、仁木英之氏のファンタジー作品『僕僕先生(新潮文庫/新潮文庫nex)』(2009年4月1日刊行)の僕っ娘仙人、東川篤哉氏の本格推理小説『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?』(2012/9刊行)の魔法少女等、多くの媒体で見られるようになっています。

と、各業界で萌えを取り込んだ小説は「斬新」な作品として評価されるようになっているのはおもしろいところですが、これは一般エンタテイメントがライトオタク層向けになってきたというよりは、一般エンタテイメントが一定の年月を経て熟成しつつある萌え文化をゆるやかに取り込みつつある。という解釈を私自身はしています。

特にスマホ小説を好む若年層は、生まれたときにはすでに萌えが存在しています。
各メディアに吸収されている萌えに、知らず知らず触れてきているのは確実です。
それが携帯小説→スマホ小説の中に、ごくごく自然に染み出しているのではないかという感じですね。

> また、ヤンキー女性たちが書く小説というのは、完全に廃れてしまったのでしょうか?

一応、スマホ少女小説業界には「暴走族もの」という一大ジャンルがあるのですが、内容はもうほぼ異能力バトルものです。
オタクではない普通の少女が手軽に楽しめる非日常ネタ小説という感じになっているものかと思われますので、「様式は受け継ぎつつも要求される味はここ20年で大きく変わっている」ということになるかと。それこそラーメンのように、です。

コメント募集!

あなたは『萌え文化の一般文芸への浸透』について、どう思いますか? コメントをいただけるとありがたいです!(研究に参加ください)

タイトルとURLをコピーしました