個人がブログ小説で食っていくことは可能か?/新人賞下読みが回答

大沢朔夜さんの質問 2017/02/04

たびたびお世話になり、ありがとうございます。大沢朔夜です。一日千秋の思いでお待ちしておりました。

今回は、ブログ小説で食べていける可能性について質問させていただきます。長い話になり、また創作だけでなくビジネスの領域にも関わりますが、お付き合いいただければ嬉しいです。

現在、以下二つの理由から、新人賞への応募のみならず、個人ブログでの小説発表で稼ぐことも狙おうかと考えています。

一つは、なろう系に代表されるウェブ小説の人気です。

作者にとっては、アクセス数さえ稼げれば、ちょっとした時間に一話一話書けばいいということ。読者にとっては、無料で、やはりちょっとした時間に読めること。こうした作者・読者双方にとっての手軽さが、ウェブ小説が普及し人気を博している理由の一つだと考えます。

よって今後、有料で、なおかつ紙媒体に合わせて数百ページ単位にまとめられた「本」という形式の小説はますます存在意義を弱め、ライトノベルという娯楽はますますライトになっていくのではないかと考えます。

もう一つは、ブログによる広告収入で主に生計を立てるプロブロガーの存在が、近年目立つことです。そのブログの内容も多岐にわたるため、小説がその一つであってもおかしくないと考えます。

よって今後、ウェブ小説から出版社にスカウト……というレベルではなく、小説を公開するブログの広告収入で主に食べていく、という新たな形式の「小説家」も登場するのではないか、と最近考えているのです(「食べていける」ほど人気のブログ小説なら、やはり出版社が放っておかないと思いますが)。

よって、ブログ小説でプロブロガーを今から目指しはじめれば、他の人よりも優位に立てるのではないか。そう思う一方、不安もあります。

アクセスを稼ぎ続けるために、小出しにコンスタントに連載するウェブ小説は、どうしても設定の練り込みや、物語全体の構成や推敲などが甘くなりがちな印象があります。

一方、本一冊単位での小説の方が、オンリーワンの魅力や二時間映画的な盛り上がりを狙ってしっかり設定・構成・推敲できるため、作者にとってのやりがいや、読者に与えられる熱量が違うと考えます。

後者のやり方で新人賞への応募を続け、自分にしか書けない「何か」がやっと最近見えてきたと感じるため、「本」の形式からウェブ小説のやりかたへの移行を、ためらう気持ちがあるのです。

他にも、自分は新人賞狙いで芽が出なくて、一見楽そうな道を選びたいだけではないのか?

「小説で稼ぐ」ことが目的になっていて、「小説を書くのが楽しい」という創作の原点を忘れていないか? ウェブ小説のコツを掴みだした頃には、もう「ブログで稼ぐ」ことが時代遅れになってしまっていないか? さまざまな不安や疑念があります。

このまま新人賞デビューだけを狙い続けるか。思い切ってブログ小説で食べていくことにも挑戦してみるか。どちらの方法でプロになっても、誰よりも面白いものを書き続けなければいけない、つまり茨の道を進むことになるのは承知しているつもりです。

まだ誰にも分からないことだらけの領域の話だとは思いますが、アドバイスいただけると嬉しいです。

●下読みジジさんの回答

現在、以下二つの理由から、新人賞への応募のみならず、個人ブログでの小説発表で稼ぐことも狙おうかと考えています。

このメディアに関しては私も測り切れていない部分が大きく、単なる私見を述べるしかない部分が大きいのですが。

「サブカルチャーがお金になりづらくなった」のはまさにそのとおりで、いかに小金を継続的に集めていくかは創作製作問わずの課題となっています。

その中で、お金を読者ではなく広告というものに求める流れは確かにあるのでしょう。

しかし、作家というものに求められるものが「信頼」であることは今も変わりはありません。

そして信頼というものは、なろう系においては読者ニーズに沿った作品を継続して発表し続けられるリサーチ力と継続性(あるいは勤勉さ)、加えて人づきあいの濃やかさが求められます。商業であれば当然プロであるか否かですね。

結局のところ開始時に重要となるのは、世間にアピールできる名前があるかどうかです。そして次にはやはり、商業作を越えるだけの完成度が作品にあるかどうかになるでしょう。

以上のことから、無名の書き手が広告収入を得るというのは、おそらく想像以上に難しいのではないかと。
少なくとも私からはお勧めしづらい方向性です。

ただ、プロ作家の転向ということなら、すでにその方向に向かっている方もいらっしゃるようですので、ありえない話ではないかとも思いますが。

このまま新人賞デビューだけを狙い続けるか。思い切ってブログ小説で食べていくことにも挑戦してみるか。

これは折衷案になるかわからないのですが、まず現状の自分にニーズがあるのかどうかを計る方法として、クラウドゲートという会社が運営しているパートナークリエイターというものに登録してみるのは一案です(詳しくは クラウドゲート パートナークリエイター 等で検索していただければ)。

少額とはいえお金がからむので、登録試験もお客さんの目もシビアですし、そこで月5本以上の依頼が取れるなら、次にどうして行こうかと考える種も得られるかと。