250万部突破のヒット作『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』(2014年7月刊行)の作者、羊太郎さんは3巻のあとがきで、主人公グレンを、母親が倉庫から探し出してきた黒歴史ノートから見つけたと語っています。
この『ロクでなし』の主人公のグレンというキャラクター、実は私にとっては因縁が深いというか、付き合いが長いというか、元々は私が小説を書き始めの初期、習作で書いていた小説の『脇役』でした。
(中略)
「なんだこいつ。スレイヤーズの劣化レプリカなこの黒本の主人公より、こいつの方がよっぽどキャラ立ってんじゃん」
引用『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』3巻のあとがきより
少年ジャンプの漫画家も小学生の時に作ったキャラを主人公にしている!
ジャンプで連載されていた漫画家漫画『バクマン。』(2008年発表)では、少年ジャンプの人気漫画家が、小学生の時に描いていたキャラを人気漫画の主人公にしているエピソードが出てきます。
これを知った『バクマン。』の主人公、真城は黒歴史ノートをあさり、小学生の時に作った一番好きだったキャラを主人公にして、ジャンプの連載を勝ち取ります。
未熟な時に作った話やキャラというのは、実はアイディアの宝庫であり、捨てないで取っておいた方が良いのですね。
おそらく初心者の時に本当に楽しみながら作った物語には、強い情熱が宿っており、これを成長してから身につけたスキルで磨き上げると、良作が生まれるのではないかと思います。
黒歴史小説が大ヒット作になった事例
20世紀初頭、モンゴメリは小説を書き上げ、いくつかの出版社に持ち込みましたが、すべて断られました。
黒歴史として物置に封印したけれど、数年後に読み返して「やっぱり、おもしろい!」と感じ、再度、出版社にアタック。
世界的大ベストセラー「赤毛のアン」が生まれました。
これは現代でも有り得る話で、新人賞で一時落ちした作品を別の新人賞に送ったら受賞した、といった事例もあります。
失敗作や黒歴史と思った物が、実は大ヒットを生む要素を持っていることがあるのですね。
未熟な時に書いた作品は、封印したい過去かも知れませんが、なるべく捨てずに取っておくことをオススメします。
そこに大ヒットに繋がるヒントが隠れているかも知れません。