例えば、主人公が魔族にさらわれた恋人を助け出すという物語を考えたとします。
冒険の途中で、新しいヒロインと出会い、いちゃいちゃラブコメを初めたとしたら、主人公が何をしたいのかわからなくなりませんか?
これが作品コンセプトが崩れた状態です。
読者は何を楽しんで良いのかわからなくなり、確実に失敗します。

あなたの好きな要素を考えなしに盛り込んでいくと、このような作品コンセプトが崩れた状態が発生しやすくなるのです。
コンセプトが壊れる要素を入れない!
『転生賢者は娘と暮らす。』( 2018/10/20刊行)。これは「小説家になろう」から書籍化された作品です。
過労死して異世界に転生した主人公が、スローライフを楽しみながら、かわいい義理の娘たちから「パパ、すごい! すごい!」と言われる小説です。
娘の中には、主人公に恋愛感情を持つ子もいますが、主人公はヒロインたちに恋愛感情は持ちません。
もし、主人公がヒロインたちと恋愛をはじめてしまったら、作品コンセプトである「転生した主人公が娘から父として慕われる」が壊れてしまうからです。
このように物語を書く場合は、作品コンセプトを壊しかねない要素は取り除くようにしましょう。

最初から最後までコンセプトを守って書くのが大切なのですね
コンセプトを守ってストーリーを書く!
以下は第32回ファンタジア大賞・金賞を受賞した永松洸志さんに「ストーリーを考える際に重視していること、気をつけていることがありましたら教えてください」と質問した際の答えです。

ちゃんと作品コンセプトに合ったストーリーかどうかを重視しています。
例えば、コンセプトだけを見たらめちゃくちゃギャグなのに、いざストーリーを読むとドシリアスなら、矛盾しているので、そうならないように、ストーリーを考えるときは常にコンセプトを確認しています。
だいぶ前にプロット作成途中で自分が暴走して、好き勝手好きなシーンを突っ込んだ結果、コンセプトと真逆のストーリーができてしまった……ということがあったので、今は常に確認しています。


コンセプトを決めたら徹頭徹尾、これを守ってストーリーを書くことが大切なのです! これができれば必ず良い作品になります