新人賞応募の際の序盤の展開についての返信の返信
元記事を読む
新人賞応募の際の序盤の展開についての返信(元記事)
ご存知かと思いますが、それは多指症という実在する症例なので作品を公開する場合には配慮が必要かと思います。
過去に多指症を扱った作品は複数存在しますが、例えば手塚治虫さんのブラック・ジャックにもこれに触れたエピソードがあり、差別的表現があると指摘されて単行本に収録されなかったなどのケースがあるようです。
御作の「父親や兄弟から疎まれていた」という設定は、差別的なセリフなどを誘発しやすそうな懸念を感じます。私自身はこの種の問題についてジャッジメントするつもりは毛頭ないのですが、選考側が二の足を踏んで敬遠する可能性も考えた方がいいかもしれません。
>一つ目、新人賞で序盤からテンプレを使って良いのか?(個人的にはダメだと思ってる)
テンプレは王道ともいい、読者に安心感を与えるので一概にダメだとは思いません。何かプラスアルファを加える必要はあるでしょうが、示された案では上記のことも含めて主人公のイメージがかなり暗いのが気になります。
>二つ目、このプロローグの完成度はどの程度か?(情報量が少ないですので、面白いか否か、ニュアンスで結構です)
この設定であれば、物語の前半で主人公とヒロインが深刻に対立するのは必須ですね。それは、良い点だと思います。ドラマを作りやすそうです。
>三つ目、親が序盤に死ぬ以外の他のショッキング展開を知りたい!(できればこのプロットに合致するような内容)
ショッキング展開にこだわりすぎではないでしょうか? そういう指向から私が冒頭で懸念したようなファクターを思いつかれたのではないかとも推測します。
くだんのモチーフはわりとショッキングではあるでしょうが、それは「陰惨」と同義のショッキング性です。敢えてそれにチャレンジしてみたいなら止めはしませんが、リスクのある賭けにはなりそうな気がします。
できたら「陰惨ゆえのショック」だけではなく、読者の予想を超えるような斬新なアイデアなどの方向にも目を向けてみると良いのではないでしょうか?
新人賞応募の際の序盤の展開についての返信の返信
投稿者 ヘキサ 投稿日時: : 2
s.s.さんはノベル道場でしっかりやりとりなさっているので(いろんな意味で大丈夫な人だろうと思っていたので書きこんでいなかったのですが)、いちおうお話を伺おうかな。
>一つ目、新人賞で序盤からテンプレを使って良いのか?(個人的にはダメだと思ってる)
ダメだとは思っていませんが、+アルファが欲しいと思っています。このプロットの場合、主人公の六本指に何か意味深なものがあると思わせれればアリだと思いますが、後の展開から推測するにあまり関係していなさそうなので「そこちゃんと考えているよ」ということであればいいのでは、と思います。ただの迫害の理由づけでしかないのであればダメだと思います。
>二つ目、このプロローグの完成度はどの程度か?(情報量が少ないですので、面白いか否か、ニュアンスで結構です)」
正直、ありきたりです。「親が殺された」のほうは構わないのですが「ヒロインが親の仇と思い込む」のほうがありきたり度をいや増している感じです。さらに「実はそうではなかった」の結末で気落ちしました。短編であれだけ冴えたオチを示しているs.s.さんの作風を先に知っていると「内容が無難に長編向けすぎる」「もう少しオチのほうに意外性が欲しい」などと欲張った要望を出したくなってしまいます。
>三つ目、親が序盤に死ぬ以外の他のショッキング展開を知りたい!(できればこのプロットに合致するような内容)
ドイツでヒットした児童文学「海賊ジョリーの冒険」三部作を読んだ後だと「全体にファンタジー度や謎が足りない!」というのが正直な感想です。
主人公と海賊少女ジョリーは「ミズスマシ」という、水の上を歩ける特殊能力を持っており、そのため他の海賊に狙われ家族を殺されたりなど序盤はテンプレではあるものの「ミズスマシ」の能力、あと謎の多い「死霊の売人」の存在などの設定のためぐいぐい引き込まれていきます。
身体能力はジョリーのほうが上ですがミズスマシの扱う「貝の魔法」は主人公のほうが威力が強く、そんなこんなでお互い協力しあって海底を冒険するのですが、そこでミズスマシそのものの秘密などが明らかにされていくためこのプロットだと単に「親の仇打ち」しか見えてこないのが残念です(もちろん三部作のためボリューム違うじゃん、と言われてしまうとそれまでなのですが、ミズスマシの能力、あと敵である「大渦潮」に絞って尺を圧縮しても充分に面白いあらすじです)。
序盤ありきたりでも結末が見事だった電撃大賞受賞作に「リングテイル 勝ち戦の君」がありますが、なせ「勝ち戦の君」と呼ばれる存在が常勝の能力を持っているのか、などがそれまでの世界観で伏線が張られていて(続編の「凶運のチャズ」は引っ張り過ぎてつまらなかったんで打ち切られたんですけどね……)、スレ主さんはむしろそっち方面の作風なんじゃないのかと思っていただけに妙に期待を外されてしまった感が……。
「実は○○だった」というホラー色の強い短編の描き手というと山岸亮子を思い浮かべてしまうのですが、同作者の長編の「日出処の天子」ではそれまでの聖徳太子像がぶっとんで掻き消される恐ろしさを持った人物として描かれています。「厩戸皇子こわいマジ怖い」と震えながら読んでいました……
そういうわけで、スレ主さんの質問の意図とだいぶ違うと思われるかもしれませんが「序盤よりも全体のストーリーラインやオチのほうの弱さが気になる」というのが正直な感想です。「ショッキングな展開」よりも「先を読みたくなる展開」かどうかに重点を置いたほうがいいんじゃないのかなぁ……。
ということで、変な方向の期待を勝手に押しつけてしまって申し訳ありませんが、テンプレを外したいのであれば既存の「海賊もの」にひととおり目を通したうえでそれと被らないように工夫する、というほうがいいのではと思いました。
カテゴリー : ストーリー スレッド: 新人賞応募の際の序盤の展開について