小説の書き方講座。キャラ設定はストーリーとリンクさせる

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主人公が絵を描くシーンから始まったのに、絵がまったく話に関係してこなかったら絵が好きという設定は無意味です

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キャラ設定とストーリーはリンクさせる!

キャラ設定はストーリーとリンクさせるようにしましょう。

累計発行部数150万部の大ヒット作『エロマンガ先生』(2013/12 刊行)を例にあげて解説します。

主人公は、高校生のライトノベル作家です。
彼の目的は「引きこもりの妹に部屋から出てきてもらって家族で仲良く暮らすこと」。

主人公は、自分の小説のイラストを担当する凄腕絵師のエロマンガ先生の生放送動画を見たことから、尊敬するエロマンガ先生の正体が、実は妹であることに気づきます。

エロマンガ先生がWebカメラを切り忘れて服を脱ぎだしたので、慌てて妹の部屋に行って、動画放送が続いていることを教えて彼女を救ったことから、一年ぶりの再会を果たします。

主人公のキャラ設定であるラノベ作家。妹のキャラ設定である凄腕絵師が、主人公の目的である「引きこもりの妹に部屋から出てきてもらって家族で仲良く暮らすこと」に、ちゃんと繋がる構造になっています。

2019年段階のMF文庫Jライトノベル新人賞の評価シート項目の1つに
「題材、キャラクター、設定が物語に活かされているか」
というのがあります。

キャラクターや設定は、ストーリーを盛り上げるために活用されていなければならないのです。

他にも例として、世界で累計3000万部以上売れたアニメ化作品『グイン・サーガ』 (1979/9 刊行)を上げます。作者の死後も他の作家によって2019年7月現在も連載が続いてる世界一長い大河ファンタジー小説です。

この小説の主人公・グインは豹の頭に人間の体を持った半獣のような存在です。
彼は記憶を失った状態で、突然、世界に現れ、聖王国パロの王子と王女を救います。

グインは、なぜ自分が豹の頭を持った人間なのか? 自分は何者でどこから来たのか? を知るために各地を放浪し、やがて世界最強の軍事国家の王に上り詰めるという物語です。

主人公の特徴である豹の頭を持っていることが、ストーリーの根幹である自分が何者か解き明かす、という謎に直結しています。

ただ記憶を失っているだけではなく、明らかに異常な身体の特徴を持っていることで、自分を知りたいという主人公の動機が強くなっています。

この手法は文芸作品でも使われています。

小田雅久仁の短編小説「髪禍」を例に上げます。(『短篇ベストコレクション: 現代の小説2018』に収録)

この小説の女性主人公は、子供の頃から髪の毛に嫌悪感を抱いていました。
そんな彼女が、貧困状態に陥ってお金を得るために「髪は神なり」を宗旨とするうさんくさい新興宗教の儀式に、サクラとして参加するはめになります。

これはホラーに属する作品であり、主人公が最初から髪に嫌悪感を抱いているので、恐怖体験に繋げやすくなっています。なにより、主人公ともっとも相性の悪い組織に参加させられることで、組織との対立軸を作りやすくなっています

物語とは極論すれば、個人vs個人、個人vs組織、組織vs組織、といった対決を描いたものです。

人は誰かと誰かが対立してバトルしている状況が大好きなのです!

このため、対立やトラブルが起きやすい設定を作ってあげることが、物語作りの1つのコツになります。
(グイン・サーガの場合でも、主人公が異形ということから、トラブルが起きやすくなっています)

逆に、初心者の小説で多い失敗が、例えば主人公の趣味が絵を描くことで、絵を描いているシーンから始まったのに、絵がまったくストーリーに関係してこないといったことです。

この場合は、主人公が絵を描いているシーン、絵を描くことが好きだという情報は、まったく無意味となってしまいます。ざっくり削ってしまった方が良いです。

最初に絵を描いているシーンから始まったら、読者はきっとこれが後の伏線になっているだろうと、期待して読みます。なのに、ぜんぜん関係してこなかったら、がっくりしてしまいます。

キャラ設定はストーリーとリンクさせるようにしましょう!

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