以下は、私が小説勉強会など、アマチュア作家さんの小説を批評させていただく機会を通して気づいた、よく陥りがちな7つのミスです。
キャラの行動が不自然。ストーリーが強引になってしまう
例えば、いじめられっ子の主人公が、出会ったばかりのヒロインに対して、強気の態度を取るなど。
この性格で、このような行動は取らないだろう、ということをストーリーの都合上、やらせてしまうことが非常に良くあります。
キャラクターとは、首尾一貫した行動原理を持つものです。
設定の説明をしない
雰囲気で小説を読んでもらいたいと思って、設定(専門用語)の説明をしないままストーリーを進めてしまう人がいます。
わからない設定が増えてくると理解不能になります。
設定が多くて複雑
創作とは要素を盛っていくのではなく、不要な要素を削っていく作業です。
設定が複雑になりすぎたり、序盤からキャラが多く登場しすぎると、小説の内容が理解しにくくなります。
(設定を理解するだけで一苦労)
ヒットしている作品は、設定がシンプルでわかりやすいものが多いです。
例えば、大ヒット漫画『デスノート』は、「デスノートに名前を書かれた人間は死ぬ」という非常にシンプルな設定を元に、物語が展開します。
ストーリーが進むにつれて「死の間際の人間の行動を操れる」など、新しい設定が開示されていきますが、最初のシンプルな設定を応用、深めていく形なので、理解しやすくなっています。

ストーリーに関係してこない無意味なキャラ設定
初心者の小説で多い失敗が、例えば主人公の趣味が絵を描くことで、絵を描いているシーンから始まったのに、絵がまったくストーリーに関係してこないといったことです。
この場合は、主人公が絵を描いているシーン、絵を描くことが好きだという情報は、まったく無意味となってしまいます。
ざっくり削ってしまった方が良いです。
最初に絵を描いているシーンから始まったら、読者はきっとこれが後の伏線になっているだろうと、期待して読みます。
なのに、ぜんぜん関係してこなかったら、がっくりしてしまいます。
2019年段階のMF文庫Jライトノベル新人賞の評価シート項目の1つに
「題材、キャラクター、設定が物語に活かされているか」
というのがあります。
キャラクターや設定は、ストーリーを盛り上げるために活用されていなければならないのです。
需要のない小説を書いてしまう(安易なテンプレの否定)
例えば、異世界に転生した主人公が、貧しい農村に生まれて苦労するなど。
今までにないリアルな異世界転生を書きたいと思って、読者にとって需要のない物語にしてしまうことがよくあります。
異世界転生のおもしろさの本質は、「オレつえええ! 世界よえええ!」生まれ変わって異世界でヒーローとしてもてはやされることです。
転生して苦労する話は、ストレスしか感じないので需要がありません。
ラノベなのか文芸なのかわからない(ターゲットがあいまい)
キャラクターはラノベなのに、ストーリーは文芸というチグハグな小説を書いてしまう場合があります。
例えば、ヒロインの妹が主人公の兄を否定するような辛辣な言葉を浴びせる。
ヒロインが主人公以外の男を好きになるなど。
こんなリアリティあふれる展開は、ラノベではノーサンキューです。
ラノベは読者の承認欲求を満たすのが目的のジャンルなので、ヒロインは主人公のホステス役であるのが基本です。
ヒロインは主人公が大好きで、その気持は永遠に変わらない! というテンプレを守るようにしましょう! テンプレから外れると、ラノベ読者から嫌がられます。
主人公が誰であるかわからない
例えば、プロローグと一章と二章で、視点人物を変えていたりすると、誰が主人公であるのかわからなくなります。
(大ヒット作品ではまず行われていないのですが、初心者の作品にはよく見られる構成です)
小説の読者は主人公になりきって物語を楽しみます。
主人公がすぐに登場しなかったり、序盤に章ごとに視点人物を変えていたりすると、誰になりきって物語を楽しんでよいかわからず、即さようならをされる原因になります。
- 主人公はなるべく早く登場させる
- 序盤は視点人物を固定する
の2つを守っておけばOKです。