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神の視点という言葉を最初に使ったのはフランスの哲学者のサルトルです。

(1)彼女は自分の嘘を意識せざるをえなかった。(2)しかし、彼女はこの嘘に安住し、平然としていた。

小説において)こういう文章はおかしいと論じています。
(1)も(2)も「彼女」の心理描写ですが、(1)は客観的であるのに対し、(2)には「安住し、平然としていた」という何者かの「批評」が入り込んでいる。そこに齟齬があるんじゃないかということです。

まあ、哲学者の言うことだから小難しいですよね(笑
ですがこの指摘は世の小説家たちには「痛いところをつかれた」という感じがあったのか、「神の視点」という言葉はあっという間に広まっていきました。一人歩きした末に、今では普通の創作用語になってしまいました。人によって違う意味で使っていることも多いので、注意しないと議論がかみあわなくなります。
サルトルの論からしても、元々は批判的な意味がこめれられた言葉だったと思われます。しかし、肯定的な意味で使う人もいますよね。

というわけで以下はあくまでも私見ですが。

◎三人称一視点 : 小説の手法として、かなり強力なツールだと思っています。一人称よりも客観性を保ちつつ、視点を固定することによって描写に臨場感を持たせることができます。

ただ、三人称一視点は先人の試行錯誤によって洗練されてきた手法であって、三人称としてはむしろ特殊な書き方なのだと思います。今はごく普通になっているので特殊という感じはしませんが。
 三人称で視点を意識するということは、文学史的にはやや新しいんですね。ただ、古い作品でも部分的には見事に三人称一視点になっていることがあります。聖書まで遡れるかどうかは分かりませんが、江戸時代に書かれた『雨月物語』の「菊花の約」にそんなシーンがあったように記憶しています。

◎三人称神視点 : 簡単に言ってしまえば視点にあまりこだわらないということ。だから、部分的にこだわるのも有りです。

・俯瞰的視点
・登場人物の内面に視点が入り込む
・書き手の批評が入り込む

などバラエティに富んだ表現が可能になりまが、安易にやると大抵は読んでいて違和感のあるものになってしまいます。ただ物語性の豊かな作品には、この書き方の方が適している場合があると思っています。

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投稿者 t-log 投稿日時: : 2

神の視点って、元々は批判的な意味でつかわれていたんですね。勉強になります。

私の解釈が間違ってるかもしれませんが、最初の方でサタンさんが例に挙げていた「Aは死んだ。Bも死んだ。そして誰もいなくなった。…ってこれ誰が書いとんねん! 神か!」ってことですよね。この議論、むかし見た覚えがあります。
私はあんまり気にしませんが、「本当にあった○○」みたいなので、これやられると興ざめですね。

三人称一元視点って、誰がいつ頃始めたんでしょうね。
一人称の感情移入のし易さと、三人称の客観性を兼ね備えた、優れた手法だと思います。

多元視点は群像劇を描くには欠かせない手法ですね。章ごとに視点が変わるのは、私見ですが一元視点の応用だと解釈してます。場面転換などでちょくちょく視点変更するのは、混乱を招きやすいので注意が必要ですね。

カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 神視点での小説の成功例

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