陳腐な素材を使う上で気をつける最大のポイントとは?/新人賞下読みが回答

2015/07/13(月曜日) 21:56:37 ノギ・ネイさんの質問

こんばんは、いつもお疲れ様です。
作中に「ベタな名称(およびそれによって表現される概念)」を使うことのリスクについて、既出とは思いますが質問です。

このサイトに、「吸血鬼・エルフ・天使・悪魔は陳腐になりやすい」という記事があります。
これは、「『テンプレに沿った』天使やエルフ等の設定は陳腐に思われやすい」という意味なのだと解釈していたのですが……ここで挙げられたような名称そのものを使うこと自体、陳腐にとられるリスクが高いのでしょうか。
たとえば「魔法」や「異能」という言葉などはどうなのでしょうか。

言葉レベル、設定レベルでの、許容される「定番」と否定される「陳腐」の区別がいまひとつつけられず、悩んでおります。
こういったものは、新人賞などでは、名称が(重要なところで?)出てきた時点で「あ、独自性マイナス」とされるものなのでしょうか? それとも、単語自体は問題視されないのでしょうか?

現在執筆中の作品に、上記に近いベタ名称を使っています。使う目的は、

1、「よくある○○だと思われていたが、実は××(作品の特徴的概念)だった」というどんでん返しをやりたい(明かされる正体は物語の展開上重要)

2、読み手にそのもののイメージを伝えることが容易で、そのイメージを作品世界に通底させたい(ゾンビを出してスプラッタホラー感を高めるような狙い)

3、そのものに対する説明を極力減らしたい

主にこの三点です。
もちろん、全て読者のイメージ任せにして説明を全カットしたり、その名称だけに雰囲気作りを担わせたりするつもりはありません。

また、そのものは作中で、作品独自の要素はあるものの、少なくとも正体バレまでは、名称が表すテンプレ通りに見えてしまう可能性が高いと思っています。

このような状況の場合、ベタ名称を使うことで魅力が落ちるのであれば、名称を変更し、最初から「よくある○○に似ているが、また別の概念である」というくらいにしたほうがいいのではないか、と悩んでいます。

目的の1は、ベタ名称を使わなくとも、「作中ではAだと思われていたが、実はBであった」という形にすることで達成できます。2も、イメージが伝わった結果読者に避けられるのであれば、逆効果でしかないですよね。

そこでおうかがいしたいのですが、たとえば以下のような設定で、上述の狙いがある場合、(作中での蓋然性はとりあえず無視、かつ実際にはもっと魅力的な字面・響きのものを考えるとして)どういった名称を選択するのが適切だとお考えになりますか?

●動く死体(『ゾンビ』)だと思われていたが、実は『極秘製造されていた臓器移植用の特殊なクローンが暴走した存在』だった、というものたちを登場させる場合、名称は、

1、『ゾンビ』のままで問題ない。
2、『アンデッド』『ドラウグル』程度まで名称の知名度を下げるべき。
3、『ゾンヴィスタ』程度の、元のイメージを残した(半オリジナルの?)名称にすべき。
4、『I・C』など元のイメージからだいぶ離した(オリジナルの?)名称にすべき。
5、その他。

そもそも(神話伝承を含めて)既存の概念に頼るべきではない、あるいは名称なんかにこだわる暇があったらもっと別の部分を磨くべき、といった場合まで含めて、ジジ様の見解をお聞かせ願えれば幸いです。
よろしくお願いします。

●下読みジジさんの回答

ここで挙げられたような名称そのものを使うこと自体、陳腐にとられるリスクが高いのでしょうか。
その言葉が商品名や版権物でないなら、言葉自体が悪印象を与えることはないです。

1、『ゾンビ』のままで問題ない。

1、『ゾンビ』のままで問題ありません。

問題になるのは、数多くの人が知恵を絞って構築してきた「ゾンビ」というテンプレをどのように覆すかです。

たとえば、

1、「よくある○○だと思われていたが、実は××(作品の特徴的概念)だった」というどんでん返しをやりたい(明かされる正体は物語の展開上重要)

この「実は○○だった」は応募作既存作問わず、非常に多い展開です。
このままこれをやってしまうほうが「陳腐」と評される率が上がります。なぜならゾンビという存在がネタである以上、実はゾンビではなかった以外の展開はありえないからです。

ですので、

●動く死体(『ゾンビ』)だと思われていたが、実は『極秘製造されていた臓器移植用の特殊なクローンが暴走した存在』だった、

ここはもうふたひねりほど工夫していただきたいところですね。

この場合の「陳腐」は、「オリジナリティもおもしろみもないよくあるパターン」、これによって引き起こされるものだとお考えください。

ゾンビというキーワードをひねりにひねった土橋真二郎氏の『FAKE OF THE DEAD』(2014/9/25)、人々のゾンビ化によるパニックホラーかと思わせておいて臭いほど深い人間ドラマを魅せる花沢健吾氏の『アイアムアヒーロー』(2009/8/28)は参考資料になるかと思いますので、未読でしたらぜひ。


●陳腐な素材を使うポイント

  • 最大のポイントは、数多くの人が知恵を絞って構築してきた王道素材、例えば「ゾンビ」というテンプレをどのように覆すか。
  • ソンビだと思われていたが、実は××(作品の特徴的概念)だったという展開は、応募作既存作問わず非常に多く、逆に陳腐になる。要注意。