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手塚満さんの返信一覧。得点の高い順4ページ目

元記事:情景描写の鍛え方

ただいま、人生で2作目の小説に挑戦しようと思っています。
今回は、情景や感覚の描写に力を入れたいと思っているのですがどうすればいいのかわかりません。

例えば、この色が綺麗だとか匂いや肌触りがどうだとかいう書き方は、何を意識してすればいいのでしょうか?よろしくお願いします。

上記の回答(情景描写の鍛え方の返信)

投稿者 手塚満 : 3 人気回答! 投稿日時:

遠景から近景、目の前のもの等の(動く)絵を説明しても、単にそれだけですよね。状況は分かるけれど、読者の気持ちを動かしたりすることは、普通はできません。目の前で誰かが死んでいる、みたいなショッキングな場面なら(ある程度は)可能ですけど、そんなシーンばかり描くというのも話作りが難しくなってきます。

情景は光景+気持ちの動きと(辞書的に)考えるとしまして、誰の気持ちが動くのかということがあります。小説である以上、読者の気持ちを動かす必要があります。その読者はどうして、どういうときに気持ちが動くのかといえば、主に感情移入しているキャラの気持ちが動くときですよね。普通は主人公です。

気持ちを込めやすい、気持ちを描きやすいのは一人称でしょう。地の文でも主人公が喋っているわけですので、どう思ったり感じたりしたかをダイレクトに描きやすい。ですが、得てして主人公の自分語りに陥ってしまいます。

自分語りでも主人公の気持ちは描けています。ですが、それだけです。読者が同調しにくい。主人公が「俺は本当に腹が立った」と地の文で感情吐露しても、読者は「なんか主人公が怒ってるな」くらいにしか受け取らない。

言われた通りに解釈しても面白くないからですね。主人公の気持ちを察したと読者が感じたら、満足できて納得もしやすいのです。だから主人公の気持ちを間接的に描くと効果を上げやすい。情景を描く大事さが言われるのは、その間接的な表現が可能だからというのが、理由の1つです。

例えば、主人公が非常に寒い朝、学校へ向かうとする。普通の投稿ですから劇的な事件とかではない。問題は寒い(もしかしたらまだ眠くもある)ということなんですが、主人公が台詞や地の文で「寒い」「嫌だ」とか言っていても、実感はわきにくいでしょう。

そこで、「主人公が、通学路の自販機からホットの缶コーヒーを買う」というシーンを入れたりします。指がかじかんでいるし、震えているし、手袋もしているので、なかなか財布からコインが取り出せない。いったん、手に「はあー」と息を掛けたりして、ようやく暖かい缶コーヒーを買い、それで手をあっためてから開けて飲み、ほーっと一息つく。みたいな感じですね。

主人公が一言も「寒い」とも「暖かい」とも言わず、しかしどちらも読者が察することができるように表現するわけです。それが光景ではない情景の描き方の1つです。

大事なのは、主人公の周りに何があるか、周りがどういう状況かではないわけです。周りにあるものや状況で、どう主人公が感じているか、思っているかを暗示するのが大事なわけです。そうすると、後は読者が察します。繰り返しますが、間接的なことから主人公を察すると面白く感じやすいのです。

別の事例も考えてみます。実際に読んだアマチュア作品(一人称)で上手いなと思ったものです。主人公とヒロイン、さらに2人の子だと主張する幼児が登場します(実は未来から来ている)。話が進むにつれ、地の文で幼児について描写する割合が増えていっていました。

一人称ですから主人公が選んで述べているのは自明です。となると、主人公が次第に幼児を可愛く思えてきていることが伝わってきます。これも心情を情景で描く手の1つだと思います。地の文の語り手が選んで書くことが、地の文の語り手の興味対象というわけですね。

ですので、主人公の目に映るものをどう正確に(客観的に)描くかに心を砕くべきではありません。主人公の気持ちから、主人公が何に注目するかを考えて、描写すればいいです。言い換えれば、状況を俯瞰的、正確、均等に描くのは避け、主人公の目になって描けば効果的な情景描写にしやすいということです。

カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 情景描写の鍛え方

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元記事:苦労して書いた小説はまったく読まれません、評価されません。どうすればいいか教えてください。

どうも、しがない小説家の九十九零(つくも ゼロ)と申します。
いつも小説創作のヒントを得るためにこちらのサイトを利用させていただいていますが、掲示板を使うのは初めてです。
まだ不慣れなところがたくさんあると思いますので、何卒よろしくお願いします。

さて本題ですが、私は「小説家なろう」及び「カクヨム」にて「反逆正義」を連載しておりますが、感想やコメントはおろか、アクセス数すら満足に伸びずにいます。

内容を簡単に紹介すると、「親の希望を満足するためにとある学校に送り込まれた主人公たちは、その学校は実は地獄のような場所だと知り、教師たちに抗議を持ちかけるが、学校から出るためには教師全員を倒す必要がある」というストーリーです。

主人公たちは途中で超能力のようなものを覚醒させ、それで様々な舞台(ファンタジー世界など)で教師たちに立ち向かうという熱い展開にする予定です。

この小説を思いついたのは2011年にとあるゲームからインスピレーションが湧いて、最初は冒頭部分しか書けませんでしたが、2014年にキャラクターを大幅に増やし、舞台も現実世界からファンタジーまで拡大することで、2015年から正式になろうに投稿することにしました。

以前専門学校で設定を先生に見せた時、「キャラクターが多い」と指摘されましたが、マルチメディア化を目指しているので、やはりこれぐらいの方が多いかと思います。(現時点では50-70人ぐらい)

構成としては5段階を予想して、2018年6月15日にようやく第1段階は完結させました。第2段階は主人公たちが教師たちが用意したファンタジー世界に転移し、そこで新たな冒険に出るという感じです。

さて問題ですが、「これぐらいの内容なら大ヒット間違いなし!」と意気込んでいまぢたが、5年間連載しているにもかかわらず、なろうのアクセス数がたったの21000ぐらいしかありませんでした。(字数は70万字で、文庫本5-6冊ぐらいは出せると思います)

感想もたった1しかなく、それも大学の先生がくれたものです。

第1段階を完結させたその日はアクセス数が伸びており、「これでようやく評価させる」と喜んでいましたが、次の月にまたいつも通りに落ちてしまいました。

焦った末に私は2018年末にカクヨムにも投稿しましたが、こちらではコメントやレビューをいただいたものの、なろう以上にアクセス数が伸びませんでした。

このままでは、書籍化はおろか、アニメ化も夢のまた夢でしょう。
私はすでに各キャラクターに出演する声優さんを決めており、一緒にお仕事できる日を待ち望んでいますが、今はただ時間が無駄に過ぎていき、見る見る声優さんたちも年を取っていくのが目に見えます。

コンテストも何回も応募しましたが、どれも一次選考すら通れず、失敗の繰り返しでした。

「別の作品を書いてみて」という意見もいただいたのですが、やはり5年間も続けてきた作品ですので、思い入れがあってどうしても諦め切れないんです。
私は一体どうすればいいでしょうか?

もしお時間のある方は、私の駄作を読んでご意見をいただけたら幸いです。感想や批評なども受け付けております。
https://ncode.syosetu.com/n7727cl/
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887803930

何卒よろしくお願いします。

上記の回答(苦労して書いた小説はまったく読まれません、評価されません。どうすればいいか教えてください。の返信)

投稿者 手塚満 : 3 人気回答! 投稿日時:

申し上げるべきか否か、逡巡しておりました。言い方ではなく、以下に申し上げる内容がむごいことは承知しつつも、思い切って申し上げてみます。

結論から申せば、お示しの作品に固執していては、いつまで経っても思わしい成果が出ないと存じます。

この作品はやりたいことをやり切った記念碑とし(フェイズ2以降は諦めたほうがよい)、次の作品に取り掛かったほうがいいでしょう。何年かけていようが、どれほど労力をつぎ込んでいようが、今の作品はサンクコストとして切り捨てるべきです。

理由は単純明快で「上達する前に大作に挑み、手に余ってしまっている」というものです。物語内容については、とても読み切れないので、ほとんど何も申し上げられません。

小説として文章が致命的に駄目です。言葉のみで読者に伝える小説であるのに、文章が稚拙で内容が伝わってこない。状況をしっかり思い描かず、記号処理的に書いたと思しき箇所も散見されます。読者に伝えるべき情報の取捨選択も不適切です。

おそらく、大事な部分については作者さん(スレ主さん)はしっかりイメージしたんでしょう。だから自信があった。これは面白いと。しかしそういう作者感覚は要注意です。作者の高揚の1/20(5%)しか伝わらないのが通例だからです。他作品の20倍面白いと思えて、ようやく同等ということです。

その上、文章技術が伴ってないとなると、さらに半分以下となります。1割程度かもしれません。そうなると1/200=0.5%しか伝わっていないことになります。

主に文章面で、抜き書き的に例を挙げて説明を試みてみます。以下は説明のために挙げてみたものであって、全てではありません。以下の部分だけ推敲したら何とかなるものではないことを、予め、念を入れてお断りしておきます。

――――――――――――――――――――――――――――
・イントロダクション
誰も読みたがらない典型的な哲学語りです。作者的に高揚するのは分かりますが、作者が面白がるほど、読者は退屈し、嫌がるものです。なぜ冒頭にこんなくだらない語りをぶち込んだのか。どうやったって目を引くツカミになりません。

文章的には、こんな簡単な内容でも、読者に対する不親切(言い換えれば、作者の独りよがり、推敲不足)が見られます。

> その疑問を胸に、予想もしなかった人生を変える大きな冒険の旅に出た……

「予想もしなかった」が何か、解釈が多岐になってしまっています。予想できない人生でしょうか。そうなら、予想できないものがさらに変わることになります。

冒険の旅に出ることが予想できなかったんでしょうか。後を読めば、おそらくそうではないかと思います。

もしそうだとしますと、読点(、)の使い方がぞんざいです。読点は適当に入れるもんだ、みたいな使い方をしてしまっている。例えば、

改> その疑問を胸に、予想もしなかった、人生を変える大きな冒険の旅に出た……

などでしょうか。情報の塊が何かを意識しないと、読点(、)はうまく使えません。

・プロローグ 絶体絶命のアンフェア・プレイ
出だしの、

> プロローグ 絶体絶命のアンフェア・プレイ
> Unfair play in a serious crisis

は何でしょうか? その後を読むと「どうやら日英タイトルらしい」と分かりますが、イントロダクションはこのプロローグに何らつながっていません。本文と思って読む向きが多いでしょうから、「?」となるはずです。タイトルは繰り返す必要はないし、英語タイトルを入れたいならタイトルと分かる書き方を考えるべきです。

>  中世のイギリスを彷彿とさせる美しい街並みとは不釣り合いな、醜い形をしている近未来の機械があちこち機関銃やミサイルを撃ちまくって跋扈している。

これが上で申した下手な文章の典型例の1つです。問題は「近未来」です。どの時点からの近未来なんですか? 作者さんには分かっている。だって設定作りは済ませ、絵をイメージして説明しているのが作者なんですから。

読者は文章からイメージを起こさねばなりません。冒頭ですから設定も知らないのです。作者さんとしては「いや機関銃やミサイルだし、機械が跋扈なんだから現代から見ての近未来に決まってる」と思えるかもしれません。

しかし読者はそんなこと知らないのです。中世風に未来的なアイテム、ガジェットがある創作作品なんて、いくらでもあるんじゃないでしょうか。それの類例だと思った場合、作者さんの設定とずれが生じます。

読者にはどんな情報を出してあるか。読者に引き出しには何がありそうか。それが意識できないと、伝わる文章にはなりません。

> 「危ない!」
>  どこからともなく響いてくる、焦りのこもった声。それを聞いた俺は声の源を探そうと後ろを振り向いたが、時は既に遅かった。
>  何の前触れもなく飛んできたミサイルが俺の近くに爆発し、それによる爆風に巻き込まれた俺の体はふっ飛ばされ、

「危ない!」はおそらくミサイルを視認した誰かが主人公に発した声でしょう。主人公のいる辺りにミサイルが落ちると分かるほどの距離のはずです。「危ない!」の声から一瞬の間しかないはずです。

ですが、上記のような間に延々と状況描写を入れてしまっている。かつ、状況を詳細に描写してしまっている。一人称のはずです。「危ない!」の声に振り返ろうとしたら、もうふっ飛ばされているはず。

だからリアリティがない。原因は視点が(おそらく無意識に)主人公と作者の間でブレているせいでしょう。劇的な描写をしたい等の理由で、都合のいい視点を選んでしまっている。別の言い方をすれば、主人公が神視点の作者の知識を知ってしまっている。

このことは不自然な描写を招く以外に、キャラの操り人形化も招きます。主人公が自分の意思で行動するようではなく、作者都合で動いている感じがあからさまに出てしまうということです。

・リボルト#00 静寂を打ち破る、夏休みの最終日

例えば「お袋」についての記述。主人公が小さい頃に出て行ったんですよね? 出て行った理由すら分からないということは疎遠になっていることを窺わせます。なのに、「その思考回路はお袋と同じく、まるで高校の先生と同じだ。」とある。

父親が母親の思考回路と似ていると、主人公は判断できてしまっている。じゃあ母親についても熟知しているはずなんですよね、となります。疎遠なのか、出て行った後も親密にしているのか、イメージが揺らぎます。

こういうところ、細かい描写の都合で設定が揺らいでいる感じがあります。そのせいで読者としては、状況がうまくつかめない。

> 「何を言っている。(略)……お前と来たら、はあ……」
>  親父はそう言い、大きな溜息を付く。

こういう重複描写が目立つように思います。「はあ」で台詞を終えてから、地の文で「そう言い」では、「そう」がため息前の台詞を指すため、時間が前後します。続いて、もう分かり切っているのに「大きな溜息を付く」(なお「吐く」が適切)と繰り返している。

伝える情報が不足かと思えば、こういう行きつ戻りつや、くどさも多い。もっと読者を親切にリードしないといけません。読者は御作や作者さんについて知りたいのではないです。単に楽しみたいんです。すらすら読んで、ぱっぱと分かるように工夫しないと、読者はついて来てくれません。

・リボルト#01 地獄の中の天国 Part1 出迎えバス

語義の問題が散見される例として。

>  車掌は言うがはやいか、鍵を回して、アクセルを踏む。

車掌って何なのか辞書で確認したほうがいいです。運転以外の業務を担う乗務員です。上記一文までで、既に車掌と出ています。そう思ってイメージしたら、実は運転手だとここで分かる。そんな描写の効果はありませんから、単純に語義を間違ったとしか思えません。

これ、作者的には「ちょっと間違った」くらいの感覚になりやすいので注意が必要です(同じことが誤字・脱字にも言える)。読者からすると大問題です。多少誇張すると、言葉が通じないわけですから。言葉の通じない人の話は聞けません。作品は読めません。

> バスのスピードが急に大きな爆発音と共に上昇していく。俺は慣性の作用で、体を前に乗り出さずにいられない。

前後から察するに、急発進ですよね? その前の部分で「バックミラーから見えた車掌の目が」とあるので、主人公は運転手と同じ向きに座っていることも分かる。バスということから、運転手の座席は前部にあるはずです。

急発進したら、主人公はシートに沈み込む方向に力を受けます。「俺は慣性の作用で」と書いてある以上、ご承知のはずです。なんで逆になってるんですか。この発進シーンは、主人公をドタバタさせようと思ってはいるものの、実際の状況をイメージせず、主人公の目線にもならず、適当に記号処理したようにしかみえません。

この発進シーンは、よくあるシーンながら、ようやく目を引き得る、動きのあるシーンのはずです。そこに全く力を入れていないように感じられます。
――――――――――――――――――――――――――――

引用しての説明はここまでにします(とても書き切れない、少なくとも網羅的には)。最後のほうも少し拝読してみましたが、どうも文章技術、情報処理的に大差はないようです。
(字数制限により続く)

カテゴリー : やる気・動機・スランプ スレッド: 苦労して書いた小説はまったく読まれません、評価されません。どうすればいいか教えてください。

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元記事:竜の飛ぶ速さについて

ファンタジーの世界観において竜騎士を登場させようと思うのですが、竜が飛ぶ速さの描写が難しいと悩んでいます。
例えば競走馬のように600mを33秒、34秒で飛ぶ、という表現では遅いと感じますでしょうか?
皆さんの意見をお聞かせいただけますとありがたいです。

上記の回答(竜の飛ぶ速さについての返信)

投稿者 手塚満 : 3 人気回答! 投稿日時:

小説「百年の孤独」を書いたガルシア・マルケスの言に「『象が空を飛んでいた』と言ってもリアリティがない。しかし『4257頭の象が空を飛んでいた』と言えば、信じたくなる」というものがあります。

ごく一部に奇妙なくらいの細かさ、具体性を入れる手法で「魔術的リアリズム」と呼ばれている手法の一つだそうです。「4257頭の象が空を飛んでいる」という表現は、よく考えてみると、むしろあり得なさそうです。そんな多数をどうやって数えたんだ。普通、無数の象とか言うんじゃないか、とかとか。

もちろん、その通りで、だからこそインパクトがあって、信用したくなるわけです。読み手の常識を突き破って、ある種の判断停止に追い込み、「そこまで詳しく言うんなら本当だろう」という気分にさせる。だから、リアリティを感じるわけですね。

ご質問文で例に挙げておられる「600mを33秒、34秒で飛ぶ」はどうでしょうか。常識的な判断が利いてしまう描写、説明です。そのため、読者の想定を突き抜けるインパクトはありません。速度計算しないと分かりにくいものでもある。だから一読してスピード感を感じるのが難しい。異世界での「竜は速い」(あるいは遅い)という実感が伝わりにくいでしょう。

そもそも、秒速18m=時速65kmって、舞台となる(異)世界速いのか。何をもって速いとするか、その世界での基準がないから分かりません。リアルでは時速65kmが速かったなんて、大昔の話ですよね。時速100kmですら、もはや普通の速度です。現実感覚をもってしても、スピード感は感じられない(小説世界での基準が分からないとき、読者は現在の現実感覚で感じ、考える傾向があります)。そういう問題もあります。

一方、「競走馬のように」はどうでしょうか。これも具体的です。しかも視覚的で、ぱっと分かる表現です。もし異世界にリアル同様の「馬」がいれば、その速度は感覚的に分かります。「馬が疾走」と書けば、読者にぱっと伝わる。

それなら、例えばですが「馬」を基準にする手が考えられます。竜騎士がいるなら、普通の騎士がいてもいいでしょう。あるいは伝令の早馬でもいい。並みの馬が疾走しているとして、竜騎士の乗る竜がみるみる追いつき追い越せば、竜の速さは感覚的に伝わります。

さらに竜の速さを強調するなら、例えば並みの馬とは比べ物にならない駿馬に乗る騎士がいったん追いついて来ればいいでしょう。竜が力強く一羽ばたきすると、その駿馬の騎士ですら離されてしまう。駿馬の騎士は呆然として(←小説世界の住人の感覚を使うテク)、地平線の彼方に消えていく竜を見送る、とか付け加えてもいいかと思います。

以上の例はこの場での思い付きですので、練れていない点はご容赦ください。ポイントを簡潔にまとめますと、

1.数字を使うなら読者の想像力を突き抜けるくらいにする必要がある
2.そうでないなら、読者が知っていて、数字抜きで具体的にぱっと想像できるものを基準にするべき

ということです。

カテゴリー : 設定(世界観) スレッド: 竜の飛ぶ速さについて

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元記事:選んだ題材を、物語に必要不可欠な要素にする方法

自分の書いた小説を、友人や新人賞の下読みの方に読んでもらったところ
「選んだ題材が、他のものとすげ替えても成立してしまう」と言われてしまいました。
仮に題材が「天使(ヒロイン)と悪魔(主人公)」だったとすると、
「天使と人間」や「人間と人間でも」作品は十分成立してしまうそうなんです。
しかしその指摘を受けても、何をどう改善すればいいのかいまいちよく分かりませんでした。
というか捻くれた見方をすれば、どんな作品の題材でも他のもので成立してしまうのではないかと思っている自分もいます。
たとえば猫型ロボットの『ドラえもん』だって、犬型でもいいし、たぬき型だって成立はすると思うんです。
(もちろん、猫型でないと微妙につじつまが合わないこともあるとは思いますが)

なので、どのように人物や物語を書けば、題材を必要不可欠なものにできるのかを教えてもらえればと思います。
できれば、例のようなものを交えて説明してもらえるとたいへん助かります。
厚かましい質問でもうしわけないんですが、よろしくお願いします。

上記の回答(選んだ題材を、物語に必要不可欠な要素にする方法の返信)

投稿者 手塚満 : 3 人気回答! 投稿日時:

ご友人や下読みさんに「選んだ題材が、他のものとすげ替えても成立してしまう」と批評された作品を読まずに、どう回答できるか難しいものがあります。考えあぐねてしたら、既に複数の良回答が出てまして、以下は被るところ多々ですがご容赦をお願いしたいと思います。

まず、作者視点からすれば、天使と悪魔を、天使と人間、人間と悪魔等々、挿げ替えできるのは、実は当たり前です。古来から「換骨奪胎」という言葉すらあるほどですから。作者はできて当然、しかし読者にそう受け取られたら(挿げ替えできるんじゃね?)失敗なんです。

おそらく、ご友人、下読みさんは読者として、主人公、ヒロインのキャラの作り方に問題を感じたのではないでしょうか。よく言われる感想としては「キャラが立ってない」というものがあります。無個性とか、あまりにもテンプレ、あるいは作者の操り人形等々の失敗パターンがあります。

よくある事例をいくつか考えてみます。

――――――――――――――――――――――
1.キャラの特徴が肩書

キャラ設定が悪魔だとして、一応、本人から「地獄から来た」「千年前にはとある王国の王を堕落させ、国を滅ぼしたこともある」とか言う。だけど、舞台となる高校に普通に転向してきて、普通に友人付き合いを続けているとします。どこが悪魔なんだろう、となります。

あるいは、物凄く強い空手家主人公だとします。コンクリートの壁も蹴破れると自慢はするけど、一向にキックを披露しなかったら、単なる設定に堕します。

前者なら悪魔らしい行動も必要です。言葉巧みにそそのかす、のはちょっと難しいですが(悪魔レベルの知恵、話術が必要)、悪魔がターゲットの目を見つめると、ターゲットは魅了されるシーンとか入れればいい。後者なら、実際にコンクリートの壁を蹴破って現れるシーンがあればいい。

要はキャラに肩書(設定)を与えたら、肩書にふさわしい行動(シーン描写)を取らせる必要があるわけです。でないと、作者がキャラに与えたのは説明だけで、読者が感じるのはカタログスペックだけになってしまいます。それではキャラが立たず、「この主人公、誰でもいいじゃん」になりがちです。

2.キャラに強烈な個性がない

肩書とも関連するんですが、特徴的なポイントをキャラに与えてあるかどうかですね。アニメですと、例えば天使であれば、頭上に輪っかがあり、背中に羽根があって、ときどき飛んでいれば天使っぽいと感じさせることは可能でしょう。

しかし文章作品です。たとえ「頭上の輪を輝かせ、背中の羽で優雅に飛んでいる」と書いたところで、言葉という記号に過ぎません。絵やその動きをイメージするのは読者です。作画、動画化、演出等々の映像・音声に関わる部分は読者が脳内で再現します。読者に任せる部分で強烈な特徴、個性を出すことは至難と考えておくのが無難です。

しかし絵ではできず、文章でやりやすいのはキャラの内面です。アニメですと、天使が主人公を心配しているとして、例えば椅子に座って心配そうな顔をしているくらいしかできません(内心台詞という手はあるが、ウザくなりがち)。

文章なら内面をダイレクトに書けます。主人公をどう心配するか。そこにキャラ特徴、個性を出せます。主人公が弱いと思って心配するか、あるいは主人公が戦う敵の強さを恐れるか、はたまた主人公との死別か。死別を心配するとして、絶対に嫌なのか、覚悟はあるがその後の悲しさか、いろいろあるはずです。

そうしたことを描かず、例えば浅く「心配だ心配だ」とだけ言っているようでは、いくらでも替えが利くキャラになってしまいます。このキャラならこう思うはずだという段取りを描写しておき、イベント発生でその通り(読者の期待通り)にする、あるいは逆にして意外性を出す、といった工夫が必要なわけです。

3.天使と悪魔の対立性と人間との差異

これも個性、特徴などと関係しますが、相対的な面についてです。仮に天上世界でストーリーが終始すると、天使しかいません。天使がどうして天使なのか描きにくいのです。なぜなら、「普通」という判断の基準を示すべきキャラが天使しかいないから。善人だけがいる村、とかと差異が出せません。

天使がいるなら悪魔もいるべきであるわけです。悪魔は悪行を行い、天使は善行を尊ぶ。悪魔の行いを天使は邪魔し、逆に天使が何かしようとすれば悪魔がちょっかいかける。これで天使と悪魔の違いは出ます。

ですが、まだ足りません。天使と悪魔しかいないなら、読者はどちらかを価値・判断の基準とするでしょう。すると、天使と人間(相対的に人間が悪)、人間と悪魔(相対的に人間が善)と差異が出しにくくなります。これもキャラの置き換えが利いてしまう原因となります。

ですので、人間キャラも登場してもらう。読者人間ですから、人間キャラが出てきたら、そのキャラを基準にしやすいはずです。すると善と悪との中立ポイントが分かり、天使がいかに善か、悪魔がいかに悪かが分かりやすくなります。すると、キャラの入れ替えも用意ではない感じが出て、キャラの立ち位置が安定します。

4.キャラに変化がない、ないしはキャラが(ご都合主義的に)いかようにも変化してしまう

キャラ設定を決めたら、その設定をいかに見せるかは工夫したくなります。ですが、例えば悪魔キャラを描いていて、選択肢が出る状況だったら常に悪の道を選ぶとしたら、単調になります。キャラが機械的といってもいいでしょう。

機械的な反応するだけなら、キャラに魅力は生じにくくなります。やはり迷い、ブレも入れておきたいところです。その迷い、ブレでキャラに特徴ができ、個性が生じて、他のキャラで代用することができにくくなります。

これとは逆に操り人形と呼ばれるタイプのキャラも替えが利く感じがつきまといます。例えば、作者が進めたいストーリーのためだけに行動し、作者が言いたいことだけを代弁してしまうようなキャラです。作者がそのキャラの皮をかぶっているだけなので、皮の部分は替えが利いてしまいます。そのため、そのキャラならではの魅力が生じにくい。
――――――――――――――――――――――

例を挙げだすとキリがないですから、これくらいにしておきます。替えが利くと批評された題材が、必ずしもキャラだけとは限りませんし。

いろいろ原因例をあげてみましたが、実は最も気になるのが「スレ主さんの考察が浅くないか?」ということです。

例えばドラえもんについては、確かに犬型やタヌキ型ロボットで換骨奪胎できるでしょう。しかし、ドラえもんの作品でドラえもんを犬型ロボットにデザインしなおして、自然かどうかは疑問です。

例えば、ドラえもんの初登場は「引き出しの中から出てくる」です。タイムマシンがそこにあるからですね。引き出しの中からひょっこり出てくるって、狭いところが好きな猫的な演出です。

犬でイメージするのは主人に忠実ということです。主人公の言いつけを守る。ですが、ドラえもんはのび太の性根を叩き直すために未来から来ています。行動原理が逆であるわけです。一方、猫は勝手に動き回り、飼い主が後を追うように世話をします。飼い主が気に入らないことをすると、猫は引っかいたりします。ドラえもんが(当初)やろうとしていることと似ていなくもありません。

こう申し上げると、こじつけに聞こえると思います。実際、こじつけです。ですが、スレ主さんが仰る「犬型でもいいし、たぬき型だって成立はする」と同レベルでもあります。

スレ主さんは「指摘を受けても、何をどう改善すればいいのかいまいちよく分かりませんでした」と仰ってますね。それは、もしかすると批評に対し、(おそらく無意識に)反対材料を探してしまっているからではないでしょうか。

批評を受け入れる、受け入れないは別として、ご友人や下読みさんがどうして「選んだ題材が、他のものとすげ替えても成立してしまう」という難点があると感じたのか、その人の思考、気持ちに沿ってシミュレートするべきではないかと思います。

言い換えれば、「仮に批評が正しいとすれば、原因はここだろうか」という仮説を立てて検証すべきということです。結果、批評が間違いと判断したなら、それでいいでしょう。逆に部分的には正しいと分かったら、収穫です。改稿や次作に活かせます。

以上、当該作品を知らずに、あくまでも可能性の1つとして模索、説明してみました。大ハズレの可能性も高いですので、その場合はご容赦をお願いします。

カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 選んだ題材を、物語に必要不可欠な要素にする方法

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元記事:物語には明確なラスボスが必要でしょうか?

いつもお世話になっております。
長編小説に挑戦中の、やとうです。

このところコロナウィルスで日々の暮らしが大きく変わりましたが、
皆さまはお元気にお過ごしでしょうか。

自宅で過ごすことが増えて、最近家の中も落ち着きだしたのでやっと落ち着いて創作が再開でき、
プロットの構成を見直したのですが、作中のラスボスの存在について、疑問を抱くようになりました。

今書いているものは、例えると〈ハリー・ポッター』のヴォルテモート卿のように、序盤から敵として存在感を示し、これを倒せばクリアというような明確な存在がいないのが現状です。
敵として登場させようと思っているキャラクターの中には、少々書き加えればそのポジションができそうな候補はいますが、いなくても成り立てそうな気もします。
ただ、存在すれば敵側の勢力が色々と作れそうな…とも迷います。
どちらにしても現状のプロット通りにいくと、敵対する存在がまだ薄いので話の流れに合わせた敵キャラクターは追加でいくつか必要だと感じています。
現状だと次々遭遇する中ボスクラスを中~短編ごとにポコポコ戦うような流れです。

共通の黒幕・ラスボスは可能な限り、作れるのならばあったほうがいい存在なのか。
なくても成立するならば、単発の敵だけでそのままやってみても良いのか。

学校も職場も非常事態でお忙しいところ恐縮ですが、皆さまの創作での気付きやご意見を伺えれば幸いです。
よろしくお願いします。

兵藤晴佳様、t様、御茶ノ宮悠理様、以前コメントをいただいていたのに、お返事がなく申し訳ありませんでした。家のごたごた~コロナウィルスで秋から長期にバタバタしていて、返信のタイミングを伸ばしたままで今日まで来てしまいました。
個別のお返事も考えたのですが、そちらにお返事するとほかの方の質問がサイトの表に出てこなくなってしまうためこちらで返信いたします。

兵藤晴佳様
『大君の都』は興味があったのですが、現在図書館がすべて閉館なので、時期を見て必ずゲットしに行きます。
t様
時間がたった後に一章を読み直してみても、この流れは変えられないと思いました。犠牲になった一章をその後にうまくつなげることを優先します。 

御茶ノ宮悠理様 
すこし創作から離れて戻ってくると、設定の至らない部分や違和感に改めて気づきます。設定の浅い見切り発車はうまく続かないと実感しました。

皆様、ありがとうございました。

上記の回答(物語には明確なラスボスが必要でしょうか?の返信)

投稿者 手塚満 : 3 人気回答! 投稿日時:

回答書いてみたら長くなりまして、結論から申し上げますと、ラスボスがいて面白いかどうか次第(少なくとも必須要素ではない)、という月並みなことになります。以下、説明してみます。

「魔王と勇者」みたいなテンプレートないしはジャンルですと、お考えのような悩みは起こらないですよね。ラスボスが世界に災厄を与え、そいつを倒しさえすれば、元の世界に戻る。読者がそう期待してるんですから、作者はいかに禍々しく強そうな魔王を作り出すことに専念すればいい。

ですが、そういうテンプレートでない場合はどうか、ということになりそうです。一応、物語には「勝利条件」とも呼ばれるものがたいていありまして、それを満たせば物語に納得性のある完結を与えられる。それはラスボス不在ではいけないのか。勝利条件を楽々満たしたら面白くもなんともないですから、邪魔するものがないといけない。そいつがラスボスか、みたいに思えることがあります。

ラスボスの必要性で悩みが生じたら、ラスボスを少し掘り下げてみてはどうでしょうか。ラスボスの存在意義や物語上の機能です。それでラスボスの要不要が見えてくるはずですから。

以下は、話が発散しないよう、私なりにご質問文から受けとれた内容で、事例的に絞って考えてみます(ラスボスについて網羅的に語ることは不可能のため)。

1.主人公に対する障壁の擬人化でラスボスを作ることがある

古代からの神話、伝承などでは、悪魔や魔物が人間に災いをもたらす話がよくあります。そこで英雄が登場して倒したりするわけですね。(現代での童話としてマイルド化されていないものでは)かなり容赦ないことが多いです。

例えば「ジャックと豆の木」では、主人公ジャックは人食い鬼(オーガ)の居城に偶然侵入し、人食い鬼の妻にかくまわれて助けてもらったりしておきながら、財宝を盗んで、幸運に恵まれてですが人食い鬼を墜落死させて倒して、ハッピーエンドです。

これには、古代~中世までの自力救済、自警主義もありますが、ラスボスたる人食い鬼が疫病や天災の擬人化キャラらしいことも影響がありそうです。まだ子どもであるジャックは人食い鬼より、ずっと非力ですよね。人間も昔は疫病に対して無力だったし、天災は今でも防ぎきれません。どうしようもないものを擬人化して、弱き者が倒す話に希望を感じることができるわけです(まあ諸説あるところではありますが)。

ですから、ジャックが人食い鬼の妻から保護されても、その居城から盗んでも、人食い鬼を事実上殺害しても、納得されるわけです。ただ、マイルド化された現代の童話化ですとジャックがやり過ぎと思う子どももいるようです。「人食い」が描かれませんから。

「かちかち山」なんかでは、マイルド化されたものでは、狸がお婆さんを蹴飛ばして逃げただけで、仕返しに兎に例の仕打ちで殺されたりします。ですが、原作ではお婆さんを殺して婆汁にしてお爺さんに食わすわけですね。

巨大な人食い鬼(災厄)に対して子どものジャック(災厄に非力な人間)、人を化かす能力がある狸(災厄)に対して兎(非力な人間)が勝つ、で災厄 vs 人間を模しているわけです。そして、現実では不可能だけど、フィクションでは人間が勝つ。

あるいは人間側から飛びぬけて強力な者が出て欲しいという希望としては、例えば古代ギリシア神話ではヘラクレスなどだったし、現代でもヒーロー物は盛んに作られています。これらは話として分かりやすいんです。どこにいるか、そもそもいるかどうか分からない災厄の原因を加持祈祷とかでなくなりました、と言っても、なんだかすっきりしません。目の前に現れて、目の前で倒されることに意味があります。そのためには擬人化が手っ取り早いわけです。

インドの古代伝承などでは、内心の葛藤を擬人化する手法がよくあったとのことです。例えば、釈迦が悟りを開くための瞑想において、愛の神マーラが現れて誘惑し、大悟を妨害します。これは釈迦が内面で性欲に負けそうになり、しかし打ち勝ったことを、外面のイベントで表したとのことです(これも諸説あるんでしょうけど)。

2.ラスボス不在の名作・人気作も多々ある

小松左京の「復活の日」では、生物兵器で人類の大半がやられてしまいます。映画版では設定が簡略化されましたが、原作小説では「ある病原菌が蔓延していると思ったら、致死性を持っていたのは最近の中のウイルスだった」となっています(小説執筆当時は、理論的に予測されていただけで、まだ発見されていなかったもの)。

これを作った奴はいる。盗み出して、事故とはいえバラ撒いた奴もいる。ですが、そいつらを糾弾したり、倒したりしたところで事態が解決しないのは言うまでもありません。ウイルスという、別に人間を敵視したり、生存競争相手でもないもの(むしろウイルスは宿主が必要)にどう対処するかという話で終始します。ですからラスボスはいません。だけど、面白い。

小松左京ではもっと有名なのが「日本沈没」ですね。これも自然現象であり、敵はいない。異変が続く日本に外国が攻撃してきたりもしない。どこへ逃げるか、どうサバイバルするか、あるいは従容として受け入れるか等々です。しかしこれも面白い作品であったのは確かです。

あるいは「首都消失」もラスボスがいません。いてもよさそうです。なにせ、何者かの仕業としか思えない現象で、首都が通過不能の障壁に覆われてしまうわけですから。しかし、その物語の面白さは「首都を失った日本が、どうやって崩壊を防ぎ、再統合できるか」にあります。もっとも、首都消失に対処する前に物語は終わっています(ラストで障壁の消失が暗示されるのみ)。

小松左京の3作品どれも、解決できない問題に対処する人々を描く意図があります。だから、明確な敵、特にラスボスを設定しないわけですが、それだけに何の物語かは分かりにくくなっています。

聞いたところでは、小松左京は社会派小説を書きたかったそうで、例えば「日本沈没」では、日本という国を失い、流浪の民となった生き残りの人々を描きたかったようです。日本が沈没するのはいわゆる冒頭のツカミといったところでしょうか。しかしその部分が受けてしまって、続編が作りにくくなったようです。

「復活の日」も同様です。ウイルスは人間では克服できず(人間は一握りしか生き残らないし)、人類がいない世界で偶然起こった核戦争でウイルスが克服されてしまいます。これも小松左京は本当はその後が描きたかったとも聞きますが、ツカミの「人類ほぼ絶滅」が受けてしまったんでしょうね。

3.やはりキャラで語るほうが面白くしやすい

ですが、我々はエンタメ志向です。受ける部分が大事です。もし「復活の日」類似作品を書くとしたら、勝利条件を分かりやすくする必要が生じます。偶然解決しました、では例えばカタルシスがない。

そこで、ウイルスを擬人化します。例えば、黒幕がばら撒いた増殖型ナノマシンだが、主人公らは分からず、ナノマシン対処に奔走するが一定以上の効果をあげられない。ついに黒幕が常に制御してことが分かり、黒幕を倒して全て解決。みたいな感じですね。主人公が何をすればいいか明快にして(擬人化による勝利条件の提示)、達成されるか否かのドラマを作ることになります。

4.ラスボスの役割面から

ラスボスがどういうキャラか、言い換えれば、主人公に対する物語上の役割、機能があるかも考えてみます。主人公に対する悪役・敵対者で、実は主人公と似ていることがあります。例えば、主人公が一歩間違えば、なっていたかもしれない姿であったりします。

例えば、主人公も敵役も「病弱なヒロインを幸せにしたい」という願いは共通であるとします。敵役はヒロインの病弱を克服できるのが臓器移植と考え、ヒロインの双子の妹の殺害を図る。主人公はヒロインが病弱であっても精神的な安定を得られるよう努めたいと考える。するとヒロインの双子の妹は守らなければならなくなり、主人公と敵役は衝突します。敵役を複数の配下を従える地位に置けば、ラスボスとなります。

悪役・敵対者が主人公と逆の価値観で動くキャラのこともあります。主人公と敵役だけが、常人と超絶する同じ力があるとして、主人公は他人を助けるために使いたい、敵役は己が欲望・快楽を満たすために使いたい。ほぼ必然的に敵役は周囲を虐げ始めますから、主人公の信念と衝突する。敵役が自分の能力の一部を配下に付与できたりすると、敵役はラスボス化します。

ラノベキャラクター小説と言われてまして、物語をキャラクターで語ることを読者は期待していそうです。作者としても、状況や設定でキャラを動かすより、キャラで状況等を動かすほうがやりやすいのではないかと思います。そして、たいていの主人公は自分に欠けたものを見つけ、それを満たすために行動します。

その欠けたもの、あるいは欠けている原因を擬人化するにはラスボスを作るのが便利であり、主人公に欠けた部分をラスボスに持たせるには、主人公との共通性があるほうがやりやすいわけです。

5.ラスボス足り得る敵キャラを退場させて面白くした事例もある

でも、そういうタイプの物語ばかりとは限りません。ラスボスがいることが魅力になるわけではないし、ラスボスがいないと減点、みたいなことは決してない。ボクシングの古典的名作「あしたのジョー」では、主人公の矢吹に対し、序盤では圧倒的に強い力石が登場します。矢吹は力石に勝ちたい一心で、必死にボクシングを続ける。

紆余曲折あって矢吹と力石はボクシング対決に至るんですが、善戦する矢吹を力石は退けるものの、そこで死んでしまう。そこからも矢吹は続々と強敵に立ち向かい勝ち続けるんですが、矢吹の脳裏には常に力石がいます。力石に勝つ、という矢吹の願い(作品テーマ)は満たされない。ですが、そこが魅力なわけです。ラスボス足り得る力石がいなくなってからが面白いわけですから、ラスボスがいないほうが面白いといえます。

6.ラスボスは不可欠な要素ではない

ですので、ラスボスがいないけどどうしよう、とお思いになったら、そもそも論としてその物語にラスボスは必要なのか、どういうラスボスなら適するのか考える必要がありそうです。その結果、面白くできるラスボスを思いつけば、話に入れればいい。逆に、ラスボスを足しても蛇足でありそうなら、ラスボスなんか気にせずに進めればいいはずです。

カテゴリー : ストーリー スレッド: 物語には明確なラスボスが必要でしょうか?

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元記事:一人称で、相手の名前がわからない時の呼び方。

一人称で、相手の名前がわからない時の呼び方ですが、皆さんは、どうかされていますか?
主人公:女性、相手:男性(冒険者) の場合です。

アイツ、彼、あの男、あの冒険者、奴

もしろん、後で、その男の名前はわかるようになっています。
どうぞよろしくお願いいたします。

上記の回答(一人称で、相手の名前がわからない時の呼び方。の返信)

投稿者 カイト : 2

はじめまして、カイトと申します。
色々な方がお返事されている中で、蛇足的ではありますが。

あいつ、あの人、〇〇の男、といろいろありますが、主人公の性格や状況で左右されるかなと。
例えば、主人公が上品さを取り繕う性格(状況)の場合

───
あぁ、あのヤローのことか。内心そう舌打ちしながら、私は頬に手を添えて応えた。
「その方でしたら、##の酒場でお見かけしましたわ」
───

とか。

あと、第一印象であだなを決め、正式な名前がわかるまではそれで統一するとか。
「赤毛」「片腕」「ユーレイ」「白兎」
など。

創作の一助になれば幸いです。

カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 一人称で、相手の名前がわからない時の呼び方。

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投稿日時:

元記事:キャラクターから作るのかストーリーから作るのか

ここでは何度も相談させていただいている者です。
そして一歩が踏み出せない者です。
ストーリーについて、あらすじにしてもプロットにしても何から手を付けるべきなのか悩んでいます。また登場人物もどう魅力的なキャラクターにしたらいいか悩んでいます。
転生するのか、舞台は現代なのかナーロッパなのかは置いておいて、私が書きたい大まかな要素は、
「主人公が複数のヒロインと一緒に敵と戦うファンタジーハーレムもの」
です。
キャラクターから作ってからストーリーを思いついたとしても、「このキャラはこのストーリーに相応しくない」ととなりキャラクターを作り直す。また、ストーリーを考えて、「面白くするにはどういうキャラクターにどんな役割を与えるべきか」が分からなくなりそうです。
自分が何から手をつけるべきなのか、そのために何を学ぶべきなのか教えていただきたいです。

上記の回答(キャラクターから作るのかストーリーから作るのかの返信)

投稿者 読むせん : 0

あほんだら(-。-)y-゜゜゜
貴様の地頭は死んだ。
ここにおるお前さんは単なるアホカスだと思う事にするわ。やーいカース。
==========
ほらオラクルだぞ泣いて感謝しろや
起こり
・死神の正位置、ちなみに№13
承り
・聖杯の8

・聖印の6

恋人達
ーーーーーーーーー
①仮想主人公「どんごる」は『過去との決別』を行う羽目になります。
追放などを表すカードです。男が黄金の杯8個を背にして去っていきます。失望なども表しますし、置き捨てられてしまった聖杯は価値あるトロフィーであるはずなのに、彼はそれらを持っていくことを許されず、粗末な杖を突き、衣一つで真っ暗な夜に独り去って行きます。
彼の背と彼の行く先を、2つの月が静かに照らしています。

これを【主人公の過去】とする。

②失望し、8つの宝を失意のままに失った男「どんごる」は死に出会います。
占っている私は、「死神」のカードは正位置でも、わりと良い意味で捉える派やから、なにか寓意でもいいし、それこそ主人公の死→転生の展開にしてもいい。
見たまんま死神ロリと契約し、「暗黒騎士」とかに成ってもいい。

これが【主人公の現状】とする。

③トラブルに出会う
②で「どんごる」はトラブルに巻き込まれます。カードの意味からして【公平な分配、慈善活動、人間の行う正義の行い】たぶん②でチート能力を得てしまった「どんごる」を妬んだカスから『ずるい!!不公平だ!!俺にもよこせ』と無理矢理奪われそうになるか、便利に搾取されそうになります。
 このカードは神が采配を振るう絶対無私の【正義】ではない、どこまでも人間尺度の【公平さ】を私は受け取る。

まあ主人公の過去【失意のまま失った8つのトロフィー】から考えて、普通に拒否る。


恋人達
神からも祝福される恋人達。
============
裏切りの剣聖の裏切り
謀略の果てに死地に送られた俺は戦乙女(ワルキューレ)にモテまくってハーレム形成しちゃいました。

って所やね。

カード番号としては聖杯8,死神13、聖印6、恋人達6
ハーレム要員は13人か6人。
8は人徳などを表す8徳か、8種類のすごい宝やチートにして、それらが主人公から奪われた設定をつける。

ただ、棒とか剣みたいに「戦い」に関するカードが今回は出ていないから、単なるザマァの可能性もあるな。

カテゴリー : ストーリー スレッド: キャラクターから作るのかストーリーから作るのか

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投稿日時:

元記事:メインキャラクターの人数と出し方とは

私の拙作について多くの方から「登場人物が多すぎる」と指摘を受けています。
確かに以前鍛錬投稿室に投稿した作品は登場人物が多くて、しかもメインキャラクター四人が一話でまとめて登場するというあまりよろしくない手口を使ってしまっていました。

これを反省して次回作ではまとめて登場させるのを避けようと思うのですが、人数自体は相変わらず多くなりそうです。
今構想しているメインキャラは6人で4人は序盤に二回に分けて出して、残り2人は中盤以降にから登場させようかと思ってます。
まとめて出さなければ混乱は少ないと言われているのですが、それでも6人は多いという意見もあったので不安になっています。(サブは基本的に登場回が終わったら退場しますが、まあまあな数は加わります)

ちなみに、これでも減らせる努力を限界までした上でこの人数です。これからさらに減らすのはなるべくしたくありません。
登場回数を分けるという手法を取れば多少多くても問題ないのなら、それでいいのでしょうけど……
ちなみに規模は前作と同じくらいかそれより少し長い程度を構想しています。

上記の回答(メインキャラクターの人数と出し方とはの返信)

投稿者 ヘキサ : 0

参考:ドラえもんは彼を含めて5人、クレヨンしんちゃんは5人、ハルヒだとやっぱり5人か……「あの花」が6人(5+1と言ったほうがいいかもしれないけど)、「ここさけ」が4人と。エヴァは4人で劇場版で1人増えたけどなんか微妙なキャラだしな。

長編で6人はなんとかなる範囲だとは思うけど、「どういう経緯で物語に参加するのか」が大事だよね。それさえしっかりしていれば問題はないけれど、「なんとなく出したい」だけで考えてると1~2名ほど空気キャラが出るかもしれないかな、と読んでみます。
まあ前回は団体さんが多かったから、そうでないだけでも随分すっきりしてるんじゃない?とは思いますけどね。

男女3名ずつの6名だとしたらバランスは決して悪くはない、けれど、実際にその連中でわちゃわちゃやってる姿を思い浮かべてみるといい。なんとなく1人くらい目立たない奴が出そうな気がしている。

カテゴリー : キャラクター スレッド: メインキャラクターの人数と出し方とは

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ライトノベル作法研究所管理人うっぴー /運営スタッフ:小説家・瀬川コウ:大手出版社編集者Y - エンタメノベルラボ - DMM オンラインサロン

プロ作家、編集者にアドバイスしてもらえる!勉強会で腕を高めあえる!小説で飯を食べていきたい人のための創作コミュニティ。学生には交通費1000円を支給。

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