上から効果的な順に並んでいます。
- アイディアとは既存の知識の組み合わせから生まれる。たくさんの小説、漫画、映画、ゲームシナリオに触れて、ネタの引き出しを増やしておきましょう。
(インプットが最重要) - 散歩しながらアイディアを練る。壁にぶつかったら散歩して話を考えるプロ作家さんは非常に多い。様々な大学の研究でも散歩が創造性を高めるのに効果的なことが科学的に証明されています。
- 風呂、シャワーを浴びながらアイディアを練る。リラックス状態にある時に良いアイディアが浮かびやすいことがわかっています。風呂に入りながらアイディアを練る作家さんも多いです。
- メモを取る。アイディアはメモを取らないと忘れてしまうので、スマホでメモを取る習慣をつけましょう。こういったメモ書きから話を作る作家さんも多いです。
- 一日7時間は寝る。日本を代表する小説家の村上春樹は一日7時間は寝るそうです。ハーバード大学の研究でも偉大な功績を残した人は、一日約7時間は寝ていたことがわかっています。逆に6時間以下しか寝ないと、脳機能が著しく低下し精神疾患のリスクも上がります。
- アイディアがわかなかったら、とりあえず何でも良いので書いてみる。思考、アイディアは言葉にすることで連想ゲーム的に広がります。考えてから書くのではなく、書いてから考えるのが合っている人も多いです。
- たくさんの良い作品に触れて感動する!最初の項目と被りますが、自分もこんなおもしろい作品が書きたい!という気持ちが創作の原動力となります。長くプロ作家を続けている人は、感動し続けることを大事にしています。
- 失敗を恐れない!結果を求めすぎない!アメリカで行われた研究で「人は成果を求める欲求が強まると、失敗を恐れて創造性が減る傾向にある」ことがわかっています。
- 締切を作る。自分を追い込むと人間は思わぬ力を発揮します。藤子不二雄がドラえもんのアイディアを思いついたのは締め切りの朝でした。朝バタバタしていて娘さんの人形を踏んづけたことがヒントになったそうです。
黒歴史ノートは宝の山!初心者時代のアイディアに大ヒットのヒントがある
250万部突破の大ヒットラノベ『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』(2014年7月刊行)の作者、羊太郎さんは3巻のあとがきで、主人公グレンを、母親が倉庫から探し出してきた黒歴史ノートから見つけたと語っています。
この『ロクでなし』の主人公のグレンというキャラクター、実は私にとっては因縁が深いというか、付き合いが長いというか、元々は私が小説を書き始めの初期、習作で書いていた小説の『脇役』でした。
(中略)
「なんだこいつ。スレイヤーズの劣化レプリカなこの黒本の主人公より、こいつの方がよっぽどキャラ立ってんじゃん」
引用『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』3巻のあとがきより
ジャンプで連載されていた漫画家漫画『バクマン。』(2008年発表)では、少年ジャンプの人気漫画家が、小学生の時に描いていたキャラを人気漫画の主人公にしているエピソードが出てきます。
これを知った『バクマン。』の主人公、真城は黒歴史ノートをあさり、小学生の時に作った一番好きだったキャラを主人公にして、ジャンプの連載を勝ち取ります。
未熟な時に作った話やキャラというのは、実はアイディアの宝庫であり、捨てないで取っておいた方が良いのですね。
初心者の時に本当に楽しみながら作った物語には、強い情熱が宿っており、これを成長してから身につけたスキルで磨き上げると、良作が生まれるのです。
黒歴史ノートは処分せずにとっておきましょう。かつてのアイディアが生きる時が来ます!
体験を小説のネタに昇華する! 太宰治の『走れメロス』
太宰治が書いた短編小説『走れメロス』は、子供の道徳心を育てる目的で、中学校の国語の教科書に載っているほどの名作です。
以下は、あらすじです。
彼は死刑になる前に、妹の結婚式に出たいと申し出て、身代わりに友人をおいて村まで往復します。
友人を救うために処刑場に現れたメロスに王は感動し、改心して悪政をやめます。
実はこれは借金癖のあった太宰治が、ツケのたまった熱海の旅館に友人を人質に残し、東京にいる師匠の元に金を無心しに行った体験を元に書いています。
ちなみに太宰はその時、熱海に戻っていません。まさに人間失格!
- メロスは、太宰治。
- 身代わりの友人は、そのまま。
- メロスの妹は、師匠。
- 悪の王は、旅館の主人。
というように、自分が体験したことを元に、登場人物を置き換えて物語を物語を作っているのですね。
ダメな体験談が、子供の道徳心を育てる教材に化けるとは、なんともおもしろいです。
このように作者の体験から、小説のネタを考えるのも王道の一つです。
なにか、あなたの体験をアレンジして、物語ができないか考えてみましょう。
リラックス状態の時にアディアをひらめきやすい!
メンタリストDaiGoは精神が安定していてリラックス状態にある人は、良いアイディアを見つけやすと語っています。
例えば、文豪ヘミングウェイは作品作りの合間に旅行などの大きな遊びをしていました。思い切った息抜きは、心身の緊張を解いて良いアイディアを生みます。
映画監督のデヴィッド・リンチは朝と夕方に必ず瞑想を行っているそうです。
彼は瞑想の効果について「第一にアイディアをとらえる能力が高まった。第二に不安や恐れ、怒りや緊張することが減り、人生が楽しいものになった」と語っています。
瞑想とは、雑念を捨てて脳をリラックスさせる行為です。
発明王エジソンと自動車王ヘンリー・フォードは、家族ぐるみで付き合った仲の良い友達で、フォードはエジソンの家に遊びに行く際に、必ず新しいジョークを用意していったそうです。
そうして、二人はお互いにジョークをひろうしあい、夜中まで笑い合っていました。
実は笑いほど、精神をリラックスさせるものはありません。
瞑想や旅行、お笑い動画など、なにかあなたがリラックスできる遊びや習慣を日々の中に取り入れると、良いアイディアが浮かびやすくなります。
アイディアが最もひらめきやすい場所。お風呂
以下は、優れた映画監督であり小説家でもあったウディ・アレンの言葉です。
「ストーリーに行き詰まった時に役立つのは、二階へ行ってシャワーを浴びること。それですべてが打開されることもある。だから僕は、ときどき余分にシャワーを浴びるんだ」
彼は1時間近く、シャワーの下に立ちっぱなしだったこともあります。
東洋経済オンラインの記事によると、シャワーヘッドの世界シェア率ナンバーワンを誇るハンスグローエ社の行った研究では、世界中の72%の人が、シャワーを浴びているときに新しいアイデアが浮かんだ経験があるそうです。
人気漫画『テニスの王子様』の作者、許斐剛さんはお風呂に入っている時にストーリーを考えるそうです。
ラノベ作家・浅岡旭さんは「小説のアイディアが浮かぶのはどんな時ですか?」という質問に対して、以下のように答えています。
お風呂に入っているときです。
それとこれは癖ですが、行き詰った時は家の中を歩き回りながら思考をします。その方が考えやすいです。
このように、インタビューさせていただいた中で、「お風呂に入っている時に、アイディアが浮かぶ」と答えた作家さんは、とても多かったです。
ストーリーに行き詰まったら、ウディ・アレンのように長くシャワーを浴びたり、長風呂してみるのもオススメです!
散歩しながらアイデアを練るプロ作家は非常に多い!散歩のすすめ
散歩をすると良いアイディアが浮かぶことは、いろいろな研究でわかっています。
書籍「ハーバード×脳科学でわかった究極の思考法」(2018年3月刊行)によると、クリエイティブな発想をしたいなら『8の字形を繰り返し指で描く動きをしながら、野外を散歩するのが最も良い』そうです。
バルチモア大学の研究によって、創造性を高める3つの行動が明らかになっています。
効果が高い順に
- 1位・笑う
- 2位・散歩する
- 3位・甘い物を食べる
これらをした直後にアイディアを練ったり、考えをまとめたりすると効果的です。
ラノベ作家・黒九いなさんは「小説のアイディアが浮かぶのはどんな時ですか?」という質問に対して、以下のように答えています。
入浴中、あるいは散歩中が多いです。
息が上がらない程度に血の巡りがいい時が、アイディア出しにはちょうどいいようですね。
プロ作家の桑島かおりさんも、小説のアイディアを出すために図書館を散歩するそうです。
「アイディアがなにも出ないときは、図書館の中を散歩しながら本の背表紙を見てキーワードを探してみたり、辞書をめくって言葉と言葉をかけ合わせたりして、面白い設定やシーンを考えたりします。
大体一つの設定や、書きたいと思うシーンから膨らませていくことが多いです」
実は古今東西の多くの作家や学者にとって、散歩はインスピレーションの源でした。
19世紀のイギリスの小説家ディケンズも散歩が好きでした。午後2時から3時間。約30キロも歩いたといいます。
小説の執筆に行き詰まったら散歩をしてみましょう!
天才物理学者アインシュタインは、研究に行き詰まると、友達の物理学者の元まで、用もなく遊びに出かけたそうです。
歩いている途中で「これだ!」とアイディアを閃いては、慌てて家に帰って研究を続けたという逸話があります。
小説を書くのは早朝がオススメ!創造性が最も高まる時間帯
脳のクリエイティブな能力が最も高まるのは、朝起きてから2時間の間だということがわかっています。
睡眠から目覚めて、心身の疲労が回復している午前中は、一日のうちでもっとも脳の能力が発揮される時間帯なのです。
逆に夜は、脳の性能が低下するので、仕事をしないほうが良いです。
南オーストラリア大学のドルドーソン氏の研究によると、朝に行うと15分でできる作業が、昼にやると30分かかり、夜になると2時間もかかるそうです。
人間は原始時代、日の出とともに起きて、昼に活動し、日が落ちたら寝る生活をしていたので、このような身体と脳のリズムを持っています。これをサーカディアンリズムと言います。
たまに夜中に元気になる夜型人間の方もいますが、これは例外で、人間の本能は、朝から活動開始して、日が落ちたら寝るようにできています。
日本を代表する小説家の村上春樹は毎日、午後9時から午前4時までたっぷり7時間寝るそうです。完全な朝方ですね。
大ヒット漫画家の細川貂々さんの仕事時間は、午前8時から午後5時くらいまで。よほど忙しくない限り、夜には仕事をしないそうです。
作家の石和仙衣さんは、アマチュア時代、午前3:00頃に起きて、会社に出勤する7:00頃まで小説を書き続けたそうです。
このやり方で、講談社X文庫ホワイトハート新人賞を受賞しています。
プロの作家さんに話を聞くと、朝早起きして小説を書いて、夜は仕事をせずに休むタイプの人が多いです。その方が仕事の生産性があがるからです。
締切を作る。自分を追い込むと良いアイディアが浮かぶ
甲賀忍法帖などで知られる作家の山田 風太郎は、「発想の最大原動力は締め切りである」と語っています。
「とにかく約束した以上は書かなければならない。その切迫感だけで、ほかにはなんのたねもしかけもなく、アイディアがころがり出してくるのである。出てくるアイディアそのものより、このからくりの方が、われながらよっぽど、まかふしぎである」
文豪ドストエフスキーは、莫大な借金を背負い、出版社から報酬3000ルーブルを前借りして返済するも、残ったお金を賭博で全部使い果たします。このデタラメで追い詰められた状況で、傑作『罪と罰』(1866年)を執筆し、26日で仕上げています。
締切に追い詰められると人間は、限界以上の力を発揮して、思わぬ傑作を生み出します。
Web小説を書いている場合には「毎日必ず一話を更新します!」とTwitterなどで読者に宣言してしまうのがオススメです。
信頼できる仲間に小説のアイディアを話す。意見をもらう。大作家スティーヴン・キング誕生秘話
脳科学者の中野信子さんによると、アイディアを次から次へと出すために有効なのは、「アイディアを人に話すこと」だそうです。
何か小説のネタを思いついたら、家族や友達に話すようにすると、アイディアがマシンガンのように出やすい脳になります。
海外小説では謝辞で、作者が家族や仲間に意見やアイデアをありがとう、といったことが書いてあります。
例えば大作家スティーヴン・キングは、女性を書くのが苦手で、超能力を使う少女を主人公にした大ヒット作『キャリー』(1974年刊行)を書く際、妻から女性について教えてもらい、女性キャラを作るのに協力してもらいました。
キングは『キャリー』でデビューし、大ベストセラー作家の道を歩むことになります。
文豪・夏目漱石は、デビュー作となった「吾輩は猫である」(1905年発表)を、俳句友達に見せて意見をもらい、何度も改稿しています。
タイトルも最初は「猫伝」にする予定でしたが、友達の高浜虚子が、もっと良い物を考えてくれました。
「小説は一人で執筆する物」というのは、実は割と固定観念です。プロ作家は編集者と一緒に作品を作ります。
信頼できる友人や作家仲間にアイディアを話す。原稿を読んでもらってアドバイスしてもらうことは、大いにプラスになります。