どうやって「非情な選択」に誘導するかの返信
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どうやって「非情な選択」に誘導するか(元記事)
ある種火葬戦記的な世界観の忍者モノ(能力バトル要素のあるスパイアクション的な内容)で、主人公の過去として考えているのが「やむにやまれぬ理由で抜け忍になった姉を殺した」というものです。
よりによって主人公が肉親を始末する役回りを押し付けられた一因としては「姉の術(視界に捉えた相手を即死させる)が血縁者だから効きにくい」というファンタジー的な方向の理由付けはしてあるのですが、どうも政治的・戦略的な方向の理屈には難儀しております。
そもそも「姉が組織に離反する」事も含めて命令というのがなかなかどうして難しい所ですが、何かよい理由付けはありますでしょうか。
どうやって「非情な選択」に誘導するかの返信
投稿者 あまくさ 投稿日時: : 0
いざとなれば躊躇なく肉親や恋人も殺さなければならない。それが(忍者)組織の非情な掟とされている。
それで十分かと思います。
「シビアな乱世の忍者なら、そういうものだよね」というイメージを無理なく受け入れてくれる読者も、けっこう一定数は居るんじゃないかな?
もっと明確に読者を納得させる理由付けがほしいなら、分かりやすい過去のエピソードを作ってしまうのも一手です。主人公の幼少期に仲が良かった先輩とかが、肉親に情けをかけた結果、多くの仲間が惨殺される事態につながったという類いのエピソードです。シリアス系の乱世モノなら、むしろ常套手段でしょう。
他の方への返信を拝見しました。
>姉としては「主人公と一緒に」自由になろうと主人公も誘ったものの、結局それを蹴って姉を殺めた事を少し後悔している所もあり、姉殺しをしてまで国に忠誠を示したのが本当に正しかったのか、忠誠心に響く事を懸念されてその事を記憶処理で忘れさせられていた事もあって葛藤させるつもりではあります。
>あとは姉の即死能力を眼球ごと主人公に移植するためという物理的な理由付けでもありますね。
主人公が「組織の非情さ」にしだいに疑問を感じるようになっていく、というのが重要なテーマになりそうですね。
姉の眼球が移植されているという設定は、主人公が「非情な真実」から逃れられないことの象徴にもなりますから、秀逸なアイデアだと思いますよ。
一方で、「組織の非情さ」を最初から否定気味に描いてしまうと主人公の葛藤が活きてきません。そちらはそちらで、ガチで説得力を持たせる必要があります。
で、それは設定ではなく、プロットで処理する案件だと思うんですよ。以下、あくまで一例ですが、
1)冒頭あたりで前提として忍者の掟の厳しさを提示。しかし、主人公はそれの残酷さを実感的には理解していない。
2)記憶を操作されているため、姉を殺したこと自体を覚えていない。
3)何らかのきっかけで、真実を知る。自分が姉を手にかけたことを知り、姉と仲が良かったころの思い出なども蘇り、苦しむ。
4)しかし、情けゆえに重大な惨劇が引き起こされた実例もあることを提示。この段階では、むしろ組織の非情さの方に大きな正当性があると感じさせる。
5)4の葛藤を主人公がどう克服していくかが、終盤の重要な要素になる。
だいたいこんなような流れが思い浮かびます。
ポイントは、肉親を手にかけるのは残酷すぎてしのびないという「情」と、「組織の非情な掟」の両方に抜き差しならない説得力をもたせることです。
「組織の非情な掟」に説得力を持たせること自体は、実はそれほど難しくないんじゃないかと私的には思いますね。
上に例示したような、「1の優しさが100の残酷につながった現実例がある」的なエピソードを作ってやれば明解かと。
ストーリー作りの上での最難関は、むしろ5です。「非情」に説得力を持たせるのは意外と簡単ですが、そこに説得力を持たせることに成功すると、主人公が「克服」する展開を作るのがそれ相応に難しくなります。風呂敷を広げるのは簡単だけれど、大きく広げすぎた風呂敷を畳むのは難しい、というやつです。
ただ、だからと言って「非情」の説得力をあらかじめ薄めるのは悪手です。
情と非情の両方に目一杯説得力を持たせ、主人公に目一杯葛藤させ(特に終盤近くで)、それを克服させることに成功すれば、かなり感動的なストーリーに仕上がることが期待できます。
逆に言うと、ここが一番難しいということです。
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